ウルトラマンゼノン ウルトラの奇跡   作:ウルトラゼロNEO
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絆∞Infinity part3

海上から町へ迫る改造タイラントの前に降り立ったゼノンとジード。改めて間近で相対してみれば、身が竦んでしまうほどの威圧感を感じてしまう。それはやはりタイラントが元は様々な怪獣達の怨念が組み合わさって生まれた怪獣であり、そんな存在がこれほどまでの巨躯となって再び猛威を振ろうとしているからなのだろうか。

 

 

「ジェアァッ!」

 

「ハッ!」

 

 

恐れはないと言えば嘘になる。しかしだからと言って、逃げるわけには行かない。ゼノンとジードは臨戦態勢を取ると、水飛沫を上げながら一気に飛び上がり、空からの改造タイラントへの攻撃を試みる。

 

ゼノンもジードもこのタイラントが改造され、強化された個体であることは知らない。しかしその元のタイラントと共通する外見や元の比ではない巨躯から改造タイラントから放たれるであろう攻撃の一つ一つは危険だと判断しての戦法だった。

 

改造タイラントも飛び回るハエを払い落とそうと、改造前は鉄球から鎖を打ち出していたが、今度は逆に大型化した鎖に繋がれた鉄球や獄炎の如き火炎を放って迎撃している。幸いにして、二人のウルトラマンは空戦での小回りは利くほうで何とか渡り合うことには成功しているが、それでも改造タイラントの外殻によって中々こちらの攻撃も通じないような状態だった。

 

 

(このままだと…ッ!!)

 

 

あまりにも強靭な改造タイラントに戦慄するユウマ。このままでは改造タイラントを打ち倒す前にこちらのエネルギーが尽きてしまう。そうなる前に何とか決着をつけなければならない。

 

改造タイラントの攻撃を巧みに避けながらギャラクシーブレスレットに手を添える。ギャラクシーブレスレットをゼノンギャラクシーに変え、一撃必殺の攻撃を叩き込もうと考えたのだ。

 

ジードも同じことを考えたのだろう。両腕をクロスさせ、赤黒く迸るエネルギーを溜めようとする。タイラントを葬った光波熱線・レッキングバーストを放とうと言うのだろう。二人のウルトラマンが目配せをし、タイミングを合わせようとした時だ。

 

 

──空から光線がゼノンに降り注ぎ、撃ち落としたのだ。

 

 

「ゼノン──ッ!?」

 

 

ジードが驚いて、レッキングバーストの発射体勢を解くなか、続けざまにジードにも光線が放たれて、まともな直撃を受けたジードは海面に叩きつけられる。

 

 

「──祭りのようなことをしておる」

 

 

海面に落ちた二人のウルトラマンは立ち上がろうとするも改造タイラントが自身を中心にグルグルと振り回すことで放った鉄球をその身に受けて、身体をくの字に曲げながら吹き飛ばされてしまう。それでも何とか身を起こして、先ほどの攻撃を仕掛けてきた相手を見やれば、空中から悠然と飛来してくるテンペラー星人の姿があったではないか。

 

 

「であれば興じねば損であろうッ!!」

 

 

しかし現れたのも束の間、ゼノンとジードに対して、追撃を仕掛ける。ただでさえ改造タイラントだけでも厄介だと言うのにテンペラー星人の出現は形勢を一気に変えた。

 

 

「ッ!?」

 

 

しかも介入してきたのはテンペラー星人だけではなかった。別方向から放たれた砲撃にゼノンが身を怯ませれば、そこには幽鬼のようにこちらに迫る深海棲艦達の姿があるではないか。

 

 

「なんで…?どうして、こんな時に…ッ!?」

 

 

思いも寄らぬ深海棲艦達の介入にユウマは唖然とする。確かに深海棲艦は人類の脅威ではあるが、こうして直接、ゼノンに攻撃を仕掛けてきたのはこれが初めてだからだ。

 

 

【まるで…あの怪獣に吸い寄せられているかのようだ】

 

 

ゼノン達を牽制しつつ、深海棲艦達は改造タイラントへ向かっていっている。そこに敵対などの意志はない。その行動にゼノン自身も引っかかりを感じる。

 

しかし今はそんなことを疑問に思っている時ではない。改造タイラント達は決して攻撃の手を緩めるような真似をしないからだ。瞬く間にその身体に傷を受けていく二人のウルトラマン。形勢は誰が見ても明らかだった。

 

空戦を仕掛ける隙すら与えられず、ゼノンとジードはそれぞれ身を寄せるとお互いを支えあおうと光波バリアを張ることで攻撃を防いでいる。しかしそれも限度があった。

 

改造タイラントから放たれた鉄球がバリアを打ち砕き、ゼノンとジードは大きく吹き飛ばされてしまったのだ。

 

 

「この…ッ…ままだと…ッ!!」

 

 

何とか起き上がろうとするゼノンとジードだが、危険を知らせるように二人のタイマーは点滅を始める。危機的状況に何とか打開策を模索するジードだが、現実がそのような時間を与えず、改造タイラント達は死神の如くゆっくりと近づいてくる。

 

 

「俺はッ…まだ未来に進んでない…、こんな…ところでッ!」

 

 

痛む身体を何とか奮い立たせて立ち上がろうとするゼノン。それは何よりユウマの意思が強く働いてのことだった。それは何より母との約束があるからだ。

 

──同時にゼノン達が背中に守る町の方角から小さないくつかの光が見えた。

 

次の瞬間、深海棲艦達の周囲に砲撃が降り注ぎ、間髪いれずに艦載機達が襲い掛かったのだ。

 

 

「まさ、か…」

 

 

その光景にゼノンが振り返ってみれば、何とこちらに向かってくる金剛や赤城、矢矧をはじめとした艦娘達の姿があったではないか。

 

 

「HEY!ゼノン、大丈夫デスカー!?」

 

「深海棲艦はこちらで引き受けます」

 

 

ゼノンに対して、金剛が軽く手を振って声をかけるなか、赤城は鋭く深海棲艦達を見据えると、自分達艦娘は深海棲艦達を引きつけようと動き出す。

 

 

「──ホント、ユウ君はボロボロだねー」

 

 

艦娘達の参戦に驚いていると、ふと近くで話しかけられる。突然、現れた気配と共に見て絵見れば、そこにはミコであろうガッツ星人がいた。

 

 

「だから帰ったら、この無敵のお姉さんがギューってしてあげるね」

 

 

いつもの調子で話しかけてくるその姿に不思議と安心感を覚える。そんな風に心強さを感じていると…。

 

 

「えぇいッ!塵芥が揃いに揃って!!」

 

 

次から次へと現れた艦娘やガッツ星人に業を煮やしたテンペラー星人は両腕から必殺の光線を放つ。そのあまりにも強大な光の本流が一直線にゼノンの元へ向かって、突き進んでいき、ゼノンが何とかガッツ星人を庇おうと身構えると…。

 

 

「させるかッ!!」

 

 

動いたのはジードだった。何とジードはゼノンと光線の間に立ったのだ。次の瞬間、光線はジードの元で大爆発を起こす。

 

轟々と燃え上がる炎を前にテンペラー星人はせせら笑い、艦娘達はまさかと苦しげに表情を歪ませる。もしや最悪な事態になってしまったというのか。

 

 

「な、なに…ッ!?」

 

「海面が…!?」

 

 

だが次の瞬間、海面が大きく震える。まるで巨大な存在が現れたかのように。あまりの状況に矢矧や榛名が困惑していると…。

 

 

 

 

 

 

《Ultraman Geed! Magnificent!》

 

 

 

 

 

 

大きく海を揺らし、炎の名から姿を現したのは堅牢な騎士の甲冑を纏ったかのようなジードだったのだ。ただそこにいるだけで息を呑むような気高く偉大なる崇高なその姿に誰もが視線を奪われる。

 

 

守護(まも)るぜ、希望ッ!!」

 

 

これこそジードが持つ形態の一つ、ウルトラマンジード マグニフィセント!

 

ゼノン達が見たジード プリミティブがウルトラマンとベリアルのウルトラカプセルの力を一つにした姿であれば、こちらはゼノンの故郷・M78星雲光の国において偉大な存在として語られるウルトラの父とウルトラセブンの息子であり、光を受け継ぐ勇者・ウルトラマンゼロのウルトラカプセルをフュージョンライズさせた崇高なる戦士なのだ。

 

 

「オオォォォオッッッ!!!!!」

 

 

ジードMの登場に本能的に危機感を感じたのか、改造タイラントは鉄球を打ち出す。ゼノン達が身構える中、彼らを背中に守るジードMはゆっくりと前に踏み出すと、雄々しい咆哮と共に両腕を突き出して、鉄球を真正面から殴り返す。

 

すぐさまテンペラー星人が攻撃を仕掛けようとするが、その前にジードMは下から突き上げるかのように右腕から緑色の手裏剣状の光輪を放つ。迫る光輪にテンペラー星人は咄嗟に両腕をクロスさせて防ぐが、それでも威力は絶大なようで思わず仰け反ってしまっている。

 

続けざまにジードMの頭部にある鋭角的な雄々しい角から鞭状の電撃を放ち、テンペラー星人のみならず、改造タイラントをも牽制する。

 

 

「す、凄い…」

 

 

圧倒的な力を見せ付けるジードMのその姿にゼノンは唖然とする。絶対に守りぬくとその背中で語るその姿は何と崇高なことか。まさにヒーローのようなその姿にユウマは目を奪われていた。

 

 

「…」

 

「!」

 

 

そんなジードMはゆっくりと肩越しにゼノンへ振り返る。その青い瞳で見つめられた瞬間、大いなる意志を前にしたようにドキリと心臓が跳ね上がりそうになるが、その瞳から何かしらを感じ取ったのだろう。力強く頷いたゼノンはジードMの隣に並び立つ。

 

 

「僕達には仲間も、帰るべき場所もあるッ!」

 

「誰にも傷つけさせやしないッ!!」

 

 

ジードMは両拳を打ち合わして、膨大なエネルギーを発生させ、ゼノンも両腕を水平に広げる。そこに溜まる】エネルギーは彼らが抱く希望を表すかのようだ。

 

 

「ビッグバスタウェイィッッッ!!!」

 

「ジェァアアアッッ!!!!!」

 

 

同時にジードMとゼノンは両腕をL字に組み、肉体から放つ最大火力の光波熱線を解き放つ。希望と打ち砕こうとする絶望に放たれた光の奔流はまっすぐ改造タイラント達へ向かって英気、撃破までは行かずとも大きな損傷を与え、大爆発を起こす。

 

 

「──ハッハッハッ!!!実に滾るッ!!これぞ待ち望んだ戦いよッ!!!」

 

 

しかし爆炎から高笑いが響いたと思えば、爆炎からテンペラー星人が背中のマント状の触手の間に被膜を張り、翼としての機能を使い、空に舞い上がったのだ。身体に大きな傷を受けていると言うのにも関わらず、激しい戦いに気分を高揚させているようだ。

 

 

「ユウマ、ここは僕に任せて君はアイツをッ!」

 

「はい、リクさんッ!」

 

 

テンペラー星人も改造タイラントもいまだ撃破には至らず。するとジードMは改造タイラントを自分が引き受け、テンペラー星人をユウマに任せる。心強いリクがテンペラー星人をユウマに任せたことで、その信頼に応えようとゼノンはすぐさまテンペラー星人を追撃する為、飛び立つ。

 

 

「アナタも行きたいところに行ったほうが良い」

 

「…うん、じゃあそうするね」

 

 

ジードMは次にガッツ星人を見やる。彼女が空でぶつかり合うゼノンとテンペラー星人を気にしているのが、分かっているからだ。ジードMの言葉に静かに頷いたガッツ星人はテレポートでゼノンの下へ向かう。

 

 

「僕達が戦えるのは沢山の絆があるからだッ!絶対に…守って見せるッ!!」

 

 

改造タイラントと真正面で対峙しながら、ジードMはその巨躯に恐れることなく、勇壮に立ち向かっていくのであった。

 

・・・

 

 

「やはりジードを野放しにして正解であったッ!良い目つきになったものよッ!!」

 

 

縦横無尽に空でぶつかり合うゼノンとテンペラー星人。ゼノンはウルトラスラッシュを放ちながら、テンペラー星人に食いつくが、それすらも愉快そうにテンペラー星人は哄笑を上げる。

 

 

「戦うことが目的なのかッ!?」

 

「当然よッ!我が目的は全宇宙の制覇ッ!!宇宙人連盟に名を連ねるのもその一環に過ぎんッ!!」

 

 

これまでのテンペラー星人の行動から彼が純粋な戦闘狂であるのは理解できる。空中で取っ組み合いながら、間近でゼノンとテンペラー星人は言葉を交わす。

 

 

「腑抜けを倒すよりも強い意志を持つ者を倒す方がこの名も轟くというものよッ!!」

 

「グゥッ!?」

 

 

ゼノンを振りほどいたてんぺらー星人はそのまま腕から鞭状の電撃を叩きつけ、ゼノンを吹き飛ばす。大きく吹き飛んでいくゼノンだが、海面に落ちる前にガッツ星人によって受け止められた。

 

 

「大丈夫。ユウ君は一人じゃないよ」

 

 

追撃しようとするテンペラー星人に光線を放って、牽制するガッツ星人は決して一人ではないのだとしかとその肩を抱く。それはまさに自分達は君の為にいるんだと教えるように。

 

 

「…そうだ。僕が戦うのは未来の為ッ!大切な人達と明日を掴みたいからッ!!」

 

 

ガッツ星人の言葉にゼノンは海上で戦闘を繰り広げるジードや艦娘達の姿を見やる。リクは言った。支えあう仲間達の笑顔が自分の力になると、それは自分とて同じなのだ。

 

 

「ならばワシを倒して掴んで見せろォッ!!」

 

 

強い意志を示すゼノンに感化されたように声を張り上げながら、テンペラー星の科学を集結させて編み出した自身の最大火力を誇る光線を放つ。

 

 

「ウオオオオォォォォオオッッッ!!!!!」

 

 

ソレに対して、ゼノンはガッツ星人を守る為に前に出ると、光波バリアを張って何とか食い止める。しかしそれでも相手はテンペラー星人が持つ最大の攻撃。徐々に圧されていき、バリアにも皹が入り始める。

 

 

「まだ、だッ!」

 

 

しかしそれでも決して諦めるわけには行かない。それを現すように何とか食い止めながら奮い立つように叫ぶ。

 

 

「俺達はまだ未来へ進んでないッ!どんなに辛いことがあったって、それでも過去を越え、前を向いて未来へ進まないとといけないんだッ!!」

 

 

ゼノンに降り注ぐこの膨大な光の先に進むべき未来があるというのなら、絶対に打ち破って、その先に進んでみせる。自分は前へ進まなくてはいけない。なぜなら──。

 

 

「それがッ…母さんの願いだからァッッッ!!!!」

 

 

何とゼノンはテンペラー最大の一撃を打ち破った。それはまさに彼が持つ大いなる強き意思が最大にまで働いて生まれた結果だったのだ。

 

・・・

 

 

「そうだ…。願いこそが未来を変えていくのならッ!!」

 

 

それを地上で見ていたジードは真正面に改造タイラントを見据える。今ここでその願いを消させるわけにはいかない。その為にも自分は戦わねばならないのだから。

 

 

「ウルティメイトファイナルッッ!!」

 

 

《Ultimate Evolution!》

 

ジードの精神世界でリクが起動させたのは、ジード本来の姿が映し出されたエヴォリューションカプセルだ。これを赤い金棒のような武器・ファイナライザーにセットし、ジードライザーでリードさせてスイッチを押す。

 

 

「つなぐぜ、願いッ!!」

 

 

それは命を、意志を、願いを、全てを未来へ繋げる為に──。

 

 

「ジードッ!!」

 

 

ファイナライザーのスライドスイッチを引くと、圧倒的なエネルギーが精神世界を通して、ジードの身体をラインの如く走り、周囲に眩い光を放つ。

 

《Ultraman Geed!Ultimate Final!》

 

その場にまるで心臓の鼓動のような音が響き渡る。ジードを包んだ光がそエネルギーを電流のように走らせながら消えれば、目醒めし最強の遺伝子・ウルトラマンジードが持つ究極形態…ウルトラマンジード ウルティメイトファイナルが光臨していたのだ。

 

 

「僕らは不完全でッ!でもだからこそ支えあうんだッ!!」

 

 

ジードUが発するその神々しさに改造タイラントが動きを止めるなか、ジードライザーを手に持ったファイナライザーにスキャンさせスライドスイッチ3回引く。

 

 

──目覚めよ!宇宙最強の遺伝子ッ!!

 

「支えあうことは決して弱さなんかじゃないッ!!僕らはみんなでウルトラマンなんだッ!!!」

 

 

ジードUを走るラインが光り輝く。この力を手に入れたのは、リクが紡いだ絆があったからだ。リクの闘志をそのまま力に還元し、更に増幅したかのようにファイナライザーの先端に赤黒いエネルギーが集中する。

 

 

「クレセントファイナルゥッ……ジイイイイィィィィィーーーードォオオッッッ!!!!! 」

 

 

飛び上がったジードUはファイナライザーを大きく振るい、三日月型の巨大な切断光線を放つ。改造タイラントが鉄球を放つが、未来を切り開くその一撃を前に容易く切断され、その背後にいた改造タイラントをも真っ二つにして撃破する。

 

・・・

 

 

「俺だけじゃお前を倒すことは出来ない…ッ!!」

 

 

改造タイラントを打ち破ったのと同時にゼノンはテンペラー星人にいまだ果敢に挑んでいた。しかし力量で言えば、テンペラー星人が上手なのだろう。しかしそれでもゼノンはガッツ星人の円語彙を受けながら、渡り合っていた。

 

 

「でもここにはゼノンがいる、皆がいるッ!俺だけじゃないんだッ!!」

 

 

ゼノンが右腕を突き出し、渾身の一撃を放つ。迫る拳にテンペラー星人が腕の鋏で防ごうとするのだが、直撃した瞬間、鋏に皹が入ったのだ。

 

 

「例え個人の力が弱くたって、一人一人が加われば未来だって動かせるッ!!」

 

 

テンペラー星人が驚くのも束の間、ゼノンはそれを皮切りに怒涛のラッシュをかけ、パワフルな飛び膝蹴りを浴びせて、吹き飛ばす。

 

続けざまにゼノンはギャラクシーブレスレットに手を添え、ゼノンギャラクシーに変換させると、クリスタルにエネルギーを集中させる。

 

対して、テンペラー星人もこれで最後だとばかりに自身の全ての力を集結させる。対峙する二人の戦死に膨大なエネルギーが集中するなか、決着の時が訪れた──。

 

 

「俺達は今を生きてるッ!だからこそ未来へ進むんだァアッ!!!」

 

「ならば、どちらが未来へ進むかッ…!!勝負だァアアッッ!!!」

 

 

ギャラクシーカノンとテンペラー星人の光線が同時に放たれ、拮抗する。その場に足を踏みとどまり、前だけを見ると言わんばかりに。

 

だが、勝因となるきっかけはすぐに起きた。ゼノンの両肩にそれぞれガッツ星人とジードUの手が添えられる。二人の想いを感じ取ったゼノンは強く頷き、更にエネルギーを強めるとやがて押し切り、テンペラー星人にありったけの光線を叩き込む。

 

 

「グッ…ガハッ…!?」

 

 

ギャラクシーカノンを全て受けたテンペラー星人は足を震わせる。最早、身体が限界に達しているのは誰が見ても明らかだった。しかし光線を押し切られてもなお、自身は一歩たりとも後退しなかったのは彼の意地か。

 

 

「フフフッ…ハハッ…!!」

 

 

ゼノン達が立ち尽くすテンペラー星人の姿を警戒しながら見つめるなか、テンペラー星人は突如として、笑い声をあげる。

 

 

「…不思議と高揚感がある…。負けたことは口惜しいが…これはこれで…悪くない一生だ」

 

 

最早、テンペラー星人は長くない。なぜならテンペラー星人の腹部はギャラクシーカノンによって風穴が開いているのだから。しかしそんな状態にも関わらず、テンペラー星人はどことなく満足そうに話す。

 

 

「未来へ掴むと言ったな…。ならばワシの屍を越えて突き進んで行け、光の戦士よ!!」

 

 

そう言い残してテンペラー星人は爆発四散する。最後まで倒れなかったのは彼の戦士としての維持か。しかしそれでもテンペラー星人を打ち倒したのだ。

 

 

「終わった…」

 

 

同時に深海棲艦も何とか対処した赤城達も戦いが終わり、そっと胸を撫で下ろす。するとそんな彼女達に光が差す。

 

なんと朝日が姿を現したのだ。戦いの終わりに誰もが感嘆の声を上げるなか、ゼノンとジードUは向かい合うと、握手を交わすのであった。

 

・・・

 

 

「ごちそうさまっ!」

 

 

数時間後、戦いの終わりにマツミズ宅へ帰ってきたユウマ達。戦いの後の空腹を満たす為、カップラーメンで腹ごしらえを済ませたリクは両手を合わせる。

 

 

「じゃあ、僕はもう行くよ」

 

「…もう行っちゃうんですか、リクさん」

 

「僕にも帰る場所と待ってる仲間がいるからね」

 

 

すくっとリクが立ち上がると、まだ戦いが終わったばかりで余韻もないユウマは寂しそうに話す。しかしリクはこの世界の人間ではない。いつまでもこの場にいることは出来ないのだ。

 

 

「大丈夫。またなにかあれば会えるよ。僕達は仲間だから」

 

「リクさん…。はい!俺、リクさんに教わったこと絶対に忘れませんッ!!」

 

 

一人の先輩として、ユウマの肩を触れながら優しく笑うリク。その温かな笑みに心に明りが灯ったユウマはソレを表すように微笑むと、その笑みに頷いたリクは家の外に出る。

 

ユウマ達がその後を追いかけてみれば、途端に眩い光に目を遮られ、視界が回復した頃にはそこにはマントを風に靡かせた黄金の鎧を持つ紫のジードがいた。

 

 

「ユウマ、君にはこれからもっと大変なことが待っているかもしれない。でもだからこそ君が君の運命を変えるんだ」

 

 

黄金のジードの神々しさに圧倒され、ユウマ達が言葉を失っているなか、ジードことリクは最後に運命を変えた者としての言葉を送る。その言葉にユウマが確かに頷いたのを確認すると、黄金のジードはその力で自身の宇宙へ帰っていくのであった。

 

 

「行っちゃったね…」

 

「うん…」

 

 

ジードがいた場所を見上げながら、ミカヅキとホシヒメはどこか寂しそうに言葉を交わす。リクがいたのは本当に束の間だった。だが彼のお陰でユウマが立ち直ることが出来たのだ。

 

 

「…俺さ、やりたいこと見つかったよ」

 

 

切なげに空を見上げていたユウマはポツリと零す。呟きを聞き取ったミカヅキとホシヒメが一体何なのかと彼に視線を向けると…。

 

 

「母さんのようになりたいんだ。母さんが求めた出会いを…。母さんが進めなかった未来を…。何れゼノンの力を借りなくても自分達の力で宇宙へ飛び立って行けるようになりたいんだ」

 

 

これまで将来、何がしたいのか分からずに悩んでいたユウマ。だが漸く彼の中で亡き母の志を受け継ごうという想いが芽生えたのだろう。その瞳に希望を宿しながら話すユウマの姿にミカヅキとホシヒメは顔を見合わせる。

 

 

「じゃあ僕達も一緒に連れて行ってね、ユウマっ!」

 

「これでも昔は宇宙を飛び回ってたし、力になれると思うよ」

 

 

両端からユウマを囲むと、彼の腕をそれぞれ取りながらモチヅキとホシヒメは笑いかける。もう自分達はユウマと離れる気はない。かつて彼が居場所を提供してくれた。だが今は最早、ユウマその物が彼女達の居場所なのだ。二人の想いにユウマはありがとう、と微笑を浮かべながら頷くのであった。

 

・・・

 

 

「皆さん…本当にご迷惑をおかけしましたっ!!」

 

 

それから更に数時間後、鎮守府の食堂ではマツミズや艦娘達等が多く集まるなか、視線が集中しているユウマが深々と頭を下げていた。

 

頭を下げて暫らく周囲は沈黙したままだ。課頭を下げているユウマには周囲がどんな顔をしているのかが分からず、ドキドキと心臓の鼓動だけが煩く聞こえてくる。

 

 

「ユーウ君っ!」

 

 

しかしそんなユウマを背後から誰かが腕を回し、次の瞬間、柔らかな感触が後頭部全体に広がって行く。

 

 

「ミ、ミコさん!?」

 

「約束したでしょー?無敵のお姉さんがギューってしてあげるってー」

 

 

突然のことに顔を真っ赤にしてうろたえているユウマにミコはしてやったりとばかりに悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。

 

 

「まっ…迷惑ってよりは心配よね」

 

「でも、立ち直っていただけたようで何よりです」

 

 

次の瞬間、艦娘達もゾロゾロ迫ってきて、瑞鶴のように頬を引っ張ったりと身体に触れる者もいれば、大和のように安堵して胸を撫で下ろす者と反応は様々ではあるが、誰一人として怒る者はいなかった。

 

 

(俺には…沢山の仲間がいて…その笑顔が力になる…。俺…確かな強さで進み続けます、リクさん)

 

 

周囲の温かな空気についついユウマの頬に涙が流れる。この温かさがユウマの力になる限り、負けるわけには行かない。ユウマはリクに想いを馳せながら、この幸せを享受するのであった。

 

・・・

 

 

「テンペラーがやられたか…。全く最後まで好き勝手やりおって」

 

 

一方、宇宙人連盟の宇宙船では、敗れたテンペラー星人に対して、ヒッポリト星人が悪態をついていた。

 

 

「しかしそれでも計画は順調に進んでいますよ」

 

 

元々、反りが合わなかったのだろう。次々と毒を吐くヒッポリト星人に肩を竦めながら、ババルウ星人は立体映像を表示させる。

 

何とそこには、ケーブルに繋がれた頭部に羽飾りと顎髭を持つ怪獣の姿があり、その怪獣の周囲におどろおどろしい怨念のようなものが集まり、目の前で形作ると何とタイラントの骨格のようなものが現れたのだ。

 

ただの骨格か?いや違う。その目に当たる部分が不気味に赤く発光したのだ。そのおぞましい姿にババルウ星人はただほくそ笑むのであった。




<次回予告>

ある日、ユウマは監視されているような奇妙な感覚を味わう。そんな矢先、ユウマの前に二人の美しい女性が現れた。しかもどうやら片方はフィスの血縁者のようだ。驚きも束の間、あの手この手でユウマを篭絡しようとする。苦笑するユウマ!呆れるゼノン!頭を抱えるフィス!果たしてどうなる!?

次回…夢への歩み





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