ウルトラマンゼノン ウルトラの奇跡   作:ウルトラゼロ
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誕生ウルトラマンゼノン! part3

 

 

「グゥウウ…ッッ!!」

 

「…」

 

 

突然現れたゼノンに警戒し低い唸り声を上げ威嚇するゴモラ。足で地面を軽く蹴りいつでも突撃しようとしていた。対してゼノンは臨戦態勢を取ってゴモラの出方を伺う。両者の間には艦娘でさえ息を飲む緊迫した空気が流れていた。

 

 

「ギュオオオオォォォォォォォォォーーーーーーーンッッッ!!!!!!!!!」

 

「!」

 

 

ゴモラは強く地面を蹴ってゼノンに突撃をしてくる。素早く反応したゼノンも同時に走り出す。両者は地面に強い振動を与えながら距離を詰めていき、速度を利用したゴモラは鼻先の角を付き出すとゼノンは角の部位を両手で掴み足を踏ん張ってゴモラを受け止め、その際に強い力のぶつかり合いが生じて、大きな水しぶきが巻き上がる。

 

 

「きゃぁっ!?」

 

「…ッ!」

 

 

大きな水しぶきは艦娘達を襲う。悲鳴を上げたのは金剛型三番艦の榛名だ。ゼノンはゴモラを受け止めながら背後で起きる二次被害を見て焦る。このままここで闇雲にゴモラと戦っていては周囲にいる存在が危険なのは明白だ。

 

 

「ジェァアッ!!」

 

 

ゼノンは初めて声を発する。野太く力強い声だ。ゼノンはゴモラを振り払い肩甲骨の部分に一発、二発とチョップを当て顎先に鋭く力強いアッパーカットを浴びせる。脳震盪を起こしたのかゴモラは後方にふらつきながら後退する。

 

すかさず距離をつめて飛び回し蹴り。風切り音と共に放たれたその鋭い蹴りはゴモラの首元に直撃して、倒れさせることに成功した。

 

倒れたところにすかさず駆け寄りゴモラの強靭な尻尾を掴むと脇に抱えて回転。ブォンッと風を切りながら暫く回転するとそのままジャイアントスイングで更に陸地から離れた海へと投げ飛ばす。水深は先程よりも深いためゴモラの半身が沈むほどだ。

 

 

「ヘェアァッ!!?」

 

 

なんとか艦娘達からも距離を取ることに成功したゼノン。ゴモラを追いかけるために走り出した瞬間、勢いよく起き上がり下半身は海に浸かったまま角先から超振動波を発射。ゼノンは胸の蒼いクリスタルのような部位・パワータイマーに直撃し苦悶の声を上げ、思わず動きを止めてしまう。

 

 

「あのでっかいの…味方なの?」

 

「…分からないけど…でも、あの宝石みたいなのが弱点なのかしら…?」

 

 

ゼノンの配慮によってゼノンとゴモラとの距離が離れた場所で艦娘達が戦闘の様子を見つめている。瑞鶴はあくまで自分達を守るように背を見せ戦うゼノンに誰に問いかけるわけでもなく呟くとその隣にいた翔鶴型空母の艦娘の翔鶴がパワータイマーへの直撃で動きが鈍ったゼノンを見て分析をする。

 

動きが鈍ったのを感じ取ったのは翔鶴だけではない。ゴモラはその自分にとって自慢の強靭な尻尾を浴びせる。その威力は凄まじいもので巨体であるゼノンを容易に吹き飛ばすほどだ。

 

 

「ディァッ…ァアッ!!?」

 

 

倒れたゼノンに追い打ちをかける為にゴモラはゼノンを背を向け、代わりにその尻尾を何度も何度もゼノンに振り下ろし滅多打ちにする。腕で防ごうとするゼノンだったがそれでもダメージは大きい。

 

するとゼノンのパワータイマーが青から赤に代わり、一定のリズムで点滅すると共に音が鳴る。それはまるで自分の危機を表すかのように。

 

 

「あまり良い感じではないようだな…」

 

 

パワータイマーの変化に反応を示したのは長門だ。ゼノンが何者か分からない以上、ゼノンを行動など全てを見極めていたのだ。

 

 

「ウゥッ…!」

 

 

このままではこちらが危ない。ゼノンは両腕をクロスさせ一気にバッと手を前に突き出すと円形の光の膜のようなエネルギーが現れる。それはまるでバリアのような役割を果たし尻尾の攻撃を防ぐ。妙な感覚を感じゴモラは動きを止め、振り返ってなにが起きたのか確認しようとすると…。

 

 

「────シェイヤァッ!!」

 

 

ゴモラの動きを止まったのをチャンスにバリアを両手で胸の前で圧縮させるとそのまま光弾として打ち出し、予想外の攻撃にゴモラは苦悶の声をあげながら派手に吹き飛び再び海面に身体を浸ける。

 

 

「…ハァッ!!」

 

 

ダメージが残っているのかフラフラと立ち上がったゼノンはそのまま起き上がろうとするゴモラの頭上へ飛ぶと再び両腕をクロスさせ高速回転する。するとゼノンの全身からエネルギーが発生しそのエネルギーは三つの光の輪となり起き上がったゴモラの頭上から降りかかり一気に締め上げ拘束する。所謂キャッチリングだ。

 

キャッチリングの影響で動けないゴモラを両手で頭上に持ち上げ、そのままゆっくりと空へ飛んでいった。

 

 

「向こうは…あの恐竜がいた島の方角…」

 

「まさか彼は…ゴモラザウルスを元の住処に戻す気なのかしら…?」

 

 

拘束したゴモラを持ったまま飛び去ったゼノンの後ろ姿を見ながら、その方向に覚えがある時雨が呟く。時雨の呟きを聞いた陸奥は顎に手を添えゼノンの行動の意図を読み取ろうとするのであった。

 

・・・

 

ゴモラが発見された孤島にたどり着いたゼノンはゆっくりとゴモラを地面に下ろし、手をかざすとキャッチリングを解除する。

 

 

「グォオォォォオ…ッ?」

 

 

今度は額のクリスタルの部分に右手を固め、右手が発光するとまた再びゴモラにかざす。右手からは温かな光である己の中の光エネルギーが発せられゴモラの傷を癒していく。今まで戦っていた相手が何故?と不思議に感じるゴモラだがこの暖かで安らぎを感じるこの光に身を委ねる。ゼノンもゴモラの命を奪う気はなかった。ゴモラは被害者なのだ。だからこそ何とか暴れるゴモラを元の島に返して上げたかったのだ。

 

 

「…」

 

 

倒れるゴモラの頭に手のひらを乗せると、ゆっくりと撫でる。気持ち良さそうに目を細めるゴモラを見て安心したのか立ち上がったゼノンはゴモラに背を向け飛び立とうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──その瞬間、ゴモラに謎の巨大なカプセルが降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グオォッ!?」

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 

 

飛び立とうとした瞬間、突如上空から謎のカプセルがゴモラに襲う。カプセル内に閉じ込められたゴモラの悲鳴を聞いてすぐさま振り返ったゼノンはカプセルを見て驚く。カプセル上部に何らかの装置があるようだが今は気にしている余裕はない、ゴモラを助けねば。そうしてゼノンはすぐにカプセルに近づく。

 

 

「ギュオオオオォォォォォォォォォーーーーーーーンッッッ!!!!!!!?」

 

 

何とか取り外そうとするもカプセルはビクともしない。すると突然カプセル内部が発光しゴモラは悲鳴を上げる。ゴモラから発せられた光はまるで吸収するかのようにカプセル上部の装置に溜まっていくのだ。

 

 

「…ッ!」

 

 

カプセルは空高く飛び消え去るとゴモラはフラフラとふらついた後に力なく倒れる。ゼノンはゴモラに駆け寄り膝まづいてゴモラを抱き寄せるが虫の息だ。

 

すると上空から怪光線がゼノンを襲いゴモラから弾かれるように吹き飛んで倒れる。ゴモラとの戦闘で消耗し更にはゴモラの治癒の為に己のエネルギーを分け与えた影響で体力もなく起き上がることもままならない。胸のパワータイマーの点滅は早くなる。せめて攻撃してきた存在を知ろうと顔を上げるそこには大きな発光する円盤が滞空していた。

 

 

《キサマらウルトラ戦士はどこにでも現れるな。態々キサマらがいないこの平行世界を選んだというのに…。だがもう遅い。この星を実験場に選んだ甲斐があった訳だからな》

 

【お…お前は…ッ?! 目的はなんだ…!?】

 

《質問の多い奴だ。しかしそうだな…。目的か…。今はこの恵まれていた星を我らが手中に収めること…。それとも貴様のような奴にはこう言った方が良いかな? 我らが目的は──》

 

 

円盤から宇宙語でテレパシーがゼノンに届く。ゼノンは同じくテレパシーで円盤との交信をすると円盤から発せられるテレパシーの声は思案するように押し黙る…。

 

 

《地球侵略。我々の第一ステップだ》

 

【なんだと…!?】

 

《あくまで第一ステップだ。全ての実験が終わればこの星…いや、この世界は用済みだ》

 

 

地球侵略。円盤から放たれた衝撃の言葉にゼノンは拳を固める。しかし円盤からの声はあくまで冷淡にそう言うと、円盤はドンドン高度を上げていく。

 

 

《貴様は生かしておこう。だが勘違いするな。あくまで貴様も実験台の一人だ。どうせ貴様もこの星で何かあればすぐに出てくるのだろう? ならば精々我らの手のひらの上で踊ってもらおう!》

 

 

円盤は最後にそう言い放つと再び大量の光線を発射。無差別に放つのは目くらましの意味もあるのだろう。だがその内にいくつかのビームが直撃しゼノンは悶える。その隙に円盤も姿を消した。

 

 

「──ッ!」

 

 

去り際に無差別に放たれた最後の一発は瀕死のゴモラに迫る。体が動かない。それでも助けようと手を伸ばすゼノン。しかし現実は残酷な結末を突きつけてくる。光線はゴモラに直撃。ゴモラは爆発してしまったのだ。

 

 

「…っ…」

 

 

ゴモラを助けることが出来なかった。ゼノンが守ろうとした未来の中にはゴモラも含まれていたからだ。その現実に拳を握り締めるゼノンはそのまま地面に叩きつけ悔しさを発散させようとする。だが、それでも悔しさは発散されることはなく、ゼノンもまたその身体を維持できなくなり半透明になってやがてはその姿を消すのだった。

 

・・・

 

 

「…ユウマ」

 

 

あれからどれだけ経ったのだろうか。ゴモラと深海棲艦との激戦が嘘のような静けさが漂うこの鎮守府。荒れ果てた鎮守府の敷地内で佇むマツミズがポツリと甥の名を呟く。シェルターに逃げろと言ったがシェルターにたどり着いた痕跡もなくそもそもユウマそのものがいないのだ。我が子同然に育ててきた大切な存在がいないことに喪失感に襲われているのは分かりきっていた。

 

 

「…提督…その…探してみましたが…ユウマ君は…」

 

「…分かっている…。ありがとう…」

 

 

そんな力なく佇むマツミズの背後からペガッサが恐る恐る声をかける。ペガッサの更に後方には動ける艦娘や宇宙人達が沈痛な面持ちで立っていた。今のマツミズに更に現実をつきつける事は酷だからだ。ゴモラの無差別な超振動波。それは一発だけにとどまらず何発か放たれた。その何発かは鎮守府に直撃し一部を消し炭にし崩壊させた。それだけでいくらでも想像の余地がある。マツミズは今にも消え去りそうな声で返答する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────おーい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 

そんな時、場の空気を壊すように大きな、そして聞き覚えのある声が聞こえる。その場にいた全員がはじかれるように顔を上げ辺りを見回すと海辺の方からユウマが手を振りながらこちらに向かってきたではないか。

 

 

「ユウマ君、無事だったんですか!?っていうかどこから!?」

 

「えっ…あぁいや…彼が助けてくれたんですよ…」

 

 

あれだけ探してもいなかったユウマがひょっこり現れたことに一同目を丸くする。代表するようにペガッサが思わず指さしながら問い詰めてくる。ユウマは頬を人差し指で掻き目を泳がしながら答えるとマツミズはその様子をジッ…と見つめる。

 

 

「彼って…さっきの巨人?」

 

「ええ、彼のお陰で助かったんです」

 

 

ペガッサに続いて続々と艦娘達がわらわらとユウマに駆け寄る。まず最初に艦娘の中から口を開いたのは金剛型二番艦の比叡だ。比叡の質問に対しユウマはにこやかに頷き答える。

 

 

「彼彼って…随分仲良さそうに言うけど結局なんなのアレ?味方…なの?」

 

「…彼は…未来を掴もうとする者達の味方であり未来を脅かす者の敵です。だから僕達が脅威に晒された時、最後まで諦めない限り力を貸してくる…って、えっと…僕を助けてくれた時に言ってました」

 

 

瑞鶴がまるで知り合いのように話すことに疑問を持ち本質に迫る。自分達にとって敵であれば脅威だろう。それに対する答えをゼノンとひとつになったユウマが答える。実際のユウマとゼノンの初遭遇時の会話とは違うが自分がゼノンであることを隠すために、そしてゼノンの意思として答える。それは必ずしも人類にとって絶対的な味方であるということではないということだ。今回の一件もあくまで未来を掴もうとしたユウマを尊重し、ゴモラも救おうとしたからだ。もっとも、そのゴモラを救うことは叶わなかったが…。

 

 

「まぁつまり…ギリギリまで頑張って踏ん張って、それでもどうにもならなかった時に助けてくれる、ってことだろ、ウルトラマンは」

 

「ウルトラマン…?」

 

「ん?彼の名前じゃないのか?てっきりそうだと思ったんだが…」

 

 

味方かどうかはハッキリはしない。微妙な空気が流れる中で口を開いたのはソーフィだった。ソーフィの言葉の中に出てきたウルトラマンという名前に首を僅かに傾げるユウマの反応に違ったのかと少し驚いた顔をしつつ考えるようにあご先に手を添えていた。

 

 

「…いえ、そうです。ゼノン…。彼の名前はウルトラマンゼノンです」

 

 

一瞬ではあるが表情が締まったユウマは頷き、すぐに表情が先程までの柔らかいものに戻るとゼノンの名を改めて口にした。

 

 

「例えなんであれ…お前がお前であればそれで良い。無事で良かった」

 

「伯父さん…」

 

 

その後も艦娘や宇宙人達から無事を喜ばれ話しかけられたりする中、マツミズがその波をかき分けてユウマのそばに歩み寄るとその肩に手を回し引き寄せ、その耳元で囁きユウマの無事を目尻に涙を浮かべて喜ぶとユウマもまたしんみりとした表情を浮かべる。

 

 

「…だが避難しないで戦場になっていた場所まで来たことまでは見過ごせない。どんな気持ちだろうと危険に変わりないんだ。現にお前はこんなにも色んな人を悲しませ心配させたんだ。後でお説教だな」

 

「うん…本当にごめん…。ごめんなさい」

 

 

手を戻すとその表情は厳しいものに変わる。ユウマが鎮守府にいる者達を大切な存在と言うのであれば鎮守府にいる者達にとってもユウマは大切な存在なのだ。マツミズの言葉にそのことを改めて実感したユウマは嬉しく思いつつも心配をかけてしまったことに心から詫びる。

 

 

「…さて、その前に鎮守府をどうにかしようか。大淀、業者を手配しておいてくれ。無事な者は業者が来る前に私と瓦礫など少しでも撤去をしよう。間宮達はその間に簡単なもので良いから軽食を頼む。ユウマ、勿論手伝ってくれるな」

 

「…うん!」

 

 

マツミズは一部が崩落した鎮守府を見ながら全員に声をかけ、また大淀、間宮などに手早く指示を出すと最後にユウマを見て声をかける。ユウマは喜んでと言わんばかりに鎮守府に向かって歩きだしたマツミズの後を追う。その腕にゼノンにパワータイマーを模したような鉱石が埋め込まれた腕輪を輝かせながら…。




<次回予告>

遠征を終えた時雨達。マツミズ達が所属する鎮守府へと帰投する最中に漂流する酷く衰弱した別の鎮守府に所属する艦娘を発見した。鎮守府へと連れ帰り話を聞くと、三人の宇宙人によって艦娘達が次々に姿を消しているという驚くべき話だった…。

次回 艦娘標本

※ちなみにカプセルの元ネタはFE0に登場したとあるカプセルです。







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