ウルトラマンゼノン ウルトラの奇跡   作:ウルトラゼロNEO
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三面怪人

ダダ

戦車怪獣

恐竜戦車

登場


艦娘標本 part1

 

時刻は深夜、夜も深まった頃、マツミズ達が所属する鎮守府とはまた違った場所にあるこの鎮守府にて息を荒げ肩を上下させながらしきりに背後を振り向き走っているのは艶やかな黒髪と金剛型よりも巫女服を彷彿とさせるのが印象的な扶桑型の艦娘である扶桑と山城だ。彼女達は出撃に使用しているドッグへ向かって走っていた。いや走るというよりは逃げていると言った方が正しい。

 

 

「早くこのことを知らせないと…!!」

 

 

では誰から逃げているのか?それはすぐに分かる。ドッグにたどり着いた扶桑達は息を整える時間も惜しいと言わんばかりに行動に移る。その場に置かれている緊急時の出撃の際に使う用途で設置された壁に埋め込まれた装置を起動させ手動で操作する。出撃という文字が浮かんだパネルへ移動、踏み込むと脚部の艤装が二人に装着される。

 

 

「っ!?」

 

「もう来たのね…!」

 

 

すると大きな足音が聞こえ山城と扶桑は険しい表情で振り返る。そこには彼女達よりも一回り大きい縞模様の肉体とオカッパのような頭部に厳つい顔と青い瞳を持つ謎のSF映画にでも登場しそうな長い砲身の銃をもつ怪人だった。

 

 

「山城っ!」

 

「ッ!はいっ!」

 

 

この怪人…いや、宇宙人ダダこそが彼女達が逃げていた存在なのだ。遭遇時のダダは今のような青い瞳ではなくピンク色の瞳で今のような厳つい顔つきではなかった。これは二体いるかということなのだろうか?だが今はそれを考える時ではない。扶桑は山城に声をかけ、彼女達は青い瞳のダダに背を向けて満たされた足元の水面を駆け出す。

 

 

「…」

 

「──そんな…!?」

 

 

艤装が全て装着されもうすぐドッグから出ようといったところだ。幸いあの怪人は追いかけては来ていないようだ。安堵しているのも束の間、先方には再び先程のダダが浮遊していた。

 

 

「貴方達は一体…!? なんで私達を…!?」

 

 

いや、やはり先程のではない。今度のダダの瞳は黄色で今まで出会った二体のダダとはその顔つきがやはり違った。思わず山城は声を出してしまう。ダダは今に現れたわけではない。この鎮守府ではここ最近、所属する艦娘が何人か行方不明なのだ。噂では心臓の鼓動音のような音を鳴らす怪人が現れ艦娘を連れ去るという話が実しやかに囁かれていた。そして現にその怪人が目の前にいる。砲身を向けながら扶桑は叫ぶ。だがダダは答えない。そればかりかその銃口を彼女達に向ける。

 

 

「っ…!!」

 

 

山城に恐怖心が襲いかかる。この姿で目覚めてから芽生えた感情のひとつだ。思わずそのまま叫ぼうとするが、無情にも引き金は引かれようとした瞬間、目の前のタダに爆発が起きる。見れば扶桑の艤装の砲口から硝煙が立ち上らせていた。直撃した部分は黒く焦げており真っ先に攻撃してきた扶桑に狙いを定めたのかダダは扶桑へ銃口を向ける。

 

 

「山城…」

 

「──姉さま!?」

 

 

ふと扶桑が優しげな表情を山城へ向ける。姉と認識して敬愛している目の前の女性の意図が読めたのか、山城は目を見開き、止めてと言わんばかりに悲しげな表情を浮かべるも扶桑は表情を凛としたものに変えその場に止まり再び砲撃を開始しダダから山城が見えなくなるように攻撃を浴びせる。ダダもこれだけ攻撃を受けては扶桑を相手にする必要があるため扶桑へ注意を向けると、その脇を移動していた山城が通り抜ける。

 

 

「あとは…お願い…」

 

「姉さまぁあっっ!!!」

 

 

ダダの脇を通りぬけ、後ろへ顔を振り向ける山城。扶桑は儚げでありながら優しげな表情を山城に見せるもダダの銃口から光の粒子が襲い掛かり、彼女を包むと消滅してしまう。自分を逃がすために囮となった扶桑。その名を叫びながら山城は海へ出る。ダダはどんどんと遠くなっていく山城を見て追うのを止めたのか動くことはせず、この鎮守府は再び不気味な静けさに支配されるのだった。

 

・・・

 

 

「君達が元の姿を取り戻せるかも知れない?」

 

「ああ。これを見て欲しい」

 

 

翌日、ゴモラの一件から半月が経ち、瓦礫などの撤去作業も終わり鎮守府の建て直しの進む週末の鎮守府。まだ時刻は10時で気持ちの良い日差しが照りつける。そこから一台の大型車が出ていき、その車内の後部座席でマツミズが隣に座るソーフィの話に興味を示すと彼女は懐から何やら頭に突起があり一つ目の怪人がスーツのような服を身につけた人形のようなものを取り出しマツミズに見せる。

 

 

「私達は便宜上、スパークドールズと呼んでいる。このスパークドールズはゼットン星人…つまりは私のかつての姿だ」

 

「…ほう」

 

 

人形はスパークドールズという名称のようだ。そして一つ目の怪人…ゼットン星人のスパークドールズはかつての自分だというソーフィに、なんとも言えない表情でゼットン星人のスパークドールズを見つめる。ソーフィ達がかつては見た目も違う宇宙人だというは知ってはいたが、実際にこれだと言われると妙な気分だ。

 

 

「これは私がこの人間の姿でこの地球に現れた時に傍に落ちていたものだ。最初は驚いたものだよ、母星で事故で死んだはずなのに目が覚めたら異星でしかもその星を支配している住人の姿をしていのだからな」

 

「支配…か。それで?」

 

「あぁすまない。話が脱線してしまったな。ガッツやペガッサ達も同じようなモノを持ってはいるのだが、この人形には私達本来の力が宿っているんだ」

 

 

ソーフィは当時のことを思い出し感慨深そうに苦笑していると言葉の中に出てきた単語に思う所があるのか、神妙な表情を見せるマツミズは続きを促すとソーフィはハッとし咳払いをすると再びスパークドールズの説明に戻る。

 

 

「例えばガッツの奴は分身やテレポートなんか出来るが今はスパークドールズが別にある以上、力が弱まっていて能力の行使は難しい。しかも問題があってな。例え己のスパークドールズを持っていても、かつての自分に戻ることが出来ないんだ」

 

「それはまた…。どうしてだい?」

 

「力を秘めていると言っても所詮は人形だ。身体に押し付けたところでなにもならない。これを見てくれ」

 

 

例としてガッツの能力を簡単に説明しながら、現時点の問題点を上げる。目を細め更に問いかけるマツミズ。例え持っていてもその力が使えないのでは無用の長物だ。飾りにでもしろと言うのだろうか?最初はそんなことを考えていたソーフィは人形の足の裏を見せる。そこには何やら紋章のようなモノが埋め込まれていた。

 

 

「私達はこれをライブサインと呼んでいる。これはコードのように読み取ることができる。そうすれば私達も力を取り戻せると思うのだが…」

 

「その方法がない、か」

 

「ああ。これから行く鎮守府に同じような研究をしている者がいる。意見を伺うさ」

 

 

紋章はライブサインと呼ぶようだ。しかしいかにスパークドールズを説明したところでその力を発揮できる術がない。ソーフィとマツミズは難しげな表情で考える。何とかならないものかと。だがこの場で考えて出てくるようなものではないため二人共思考をすぐに止め、元々、会話の種として話した為、ソーフィはスパークドールズを懐に戻し座席に身を預ける。そうこの大型車の車内には他にも艦娘達がいる。彼らは演習のために別の鎮守府へと向かっていたのだった…。

 

・・・

 

 

「…」

 

 

マツミズが鎮守府を経ち、一時間が経過しようとした頃、場所はマツミズ達が所属する鎮守府の食堂に移る。そこにはユウマがいた。業者によって復興作業を続けているこの場所でマツミズに手伝うよう言われたとは言え彼はむしろ自主的に来ていた。それだけ彼にとって大切な場所だからだ。そして今の彼は両手を組んで額に当てて目を閉じていた。

 

 

・・・

 

 

 

 

──艦娘を知るために来たんだ

 

 

 

【目的のひとつだ。かつての兵器、そして艦娘とは別にかつての異星人などが、それも人間のような姿として以前の記憶をもって生を受ける…。それは何故なのか。そして、やがて彼女達や君達が外宇宙に進出した時に果たして他の文明と友好関係を築けるかを調査するために来た】

 

 

 

──皆は悪い人達じゃないよ

 

 

 

【かもしれないが深海棲艦と呼ばれる生命体もいる。艦娘との関係性はある筈だと私は思っている。艦娘、そして深海棲艦…。私は知らねばならないことが多い。そしてそれ以上にこの地球に侵略者がいる】

 

 

 

──あの円盤のことか…。確かになんとかしないと。ゴモラのような事はもう二度とゴメンだ

 

 

 

【気負う必要はない。私達は一人ではないのだから】

 

 

 

・・・

 

 

「──ユウマ君、どうかしました?お疲れかしら?」

 

「…っと…いえそういうわけでは」

 

 

ゼノンとの対話が終わり、優しい女性の声がかけられたのでゆっくりと目を開けるユウマはその方向を見るとそこには鳳翔が湯呑と茶菓子を持ってきていた。どこか子を案じる母のような心配そうな表情を浮かべる彼女にユウマは首を横に振りながら笑顔で答える。その笑顔に安心したのか鳳翔はユウマの前に湯呑と茶菓子を置き向かい側に座る。

 

 

「ユウマ君が来てくれて助かっているんですよ。提督は今日は他の娘達やソーフィさん達を連れて演習に行かれてしまって人手が少ないから」

 

「僕に出来ることはなんでも。特に力仕事なんかは任せてください」

 

 

鳳翔が自分の分の湯呑を口につけて、お茶を飲む。この身体を授かり、マツミズに出されて口にしたこの飲み物。渋みもあって今では彼女のお気に入りだ。湯呑を置き、自主的に手伝いをしてくれているユウマに感謝の旨の言葉を言うと照れ臭そうな顔をしながらもユウマも表情を柔らかくして答えながら拳を胸の前に持っていきギュッと握る。

 

というのもゼノンと同化して以降、身体能力などが大幅に上がっていた。それこそよくあるアニメやヒーロー番組のような突如与えられた力によって周囲の物を思わず破壊してしまうなどまさにあのような状況だった。お陰で瓦礫撤去の時の自分の頭よりも大きな瓦礫を力んで持ち上げようとした瞬間、ヒョイと持ち上げた時などはビックリしたものだ。幸い誰かに見られてはいなかったのが救いだろう。そんなユウマを見て、鳳翔は微笑ましそうな表情を浮かべる。

 

 

「この後はどうしますか?」

 

「この建物もユウマ君が手伝ってくれたお陰で整理や掃除などもひと段落しましたが流石にユウマ君にドッグなどは手伝わせるわけにはいきませんし…。今日は雑貨店の方は?」

 

「今日は午後からなんです、午前中は明石さんが」

 

 

この後の予定を尋ねるユウマに鳳翔は上を向き考える。あれから半月、瓦礫の撤去作業もゴモラの影響で荒れていた鎮守府内部も漸く綺麗にできた。建て直しもマツミズの話ではもうすぐで終わるらしい。後は精々ドッグなどだがそこはユウマに手伝わせるわけには行かない。普段、鎮守府内の雑貨店でアルバイト紛いのことをしているユウマに聞くとどうやら時間はまだあるらしい。

 

 

「そうなると特にユウマ君にお任せすることはなくなってしまいますね。ここにいたいのであればこの建物の中であれば好きにして構いません。私はそろそろ昼食の準備を…」

 

「なら俺も」

 

「ふふっ間宮さん達がいるから大丈夫です」

 

 

お茶を一気に飲み終えた鳳翔は立ち上がり、昼食の準備に取り掛かろうとする。もうすぐ遠征に向かった艦娘達も帰ってくる。手持ち無沙汰のユウマも手伝おうとはするが間宮達もいる以上は特にやってもらうこともない。手伝おうとするユウマに微笑を浮かべた鳳翔は自分の湯呑を持って、そのまま厨房に向かい特にやることのないユウマは席に身を預ける。

 

 

『──山城、しっかりするんだ!!』

 

「…!」

 

 

あれから数分後、遠くから緊迫した声が聞こえる。声の主は聞き覚えがある。これは口調からしても時雨ではないだろうか?厨房で作業をしている鳳翔や間宮達には聞こえてはいないようだ。ゼノンと一体化を果たした影響は聴力にも影響をきたしていた。同じ場にいる彼女達にも聞こえない距離の声もユウマには聞こえていたのだ。意識を集中して声に耳を傾ける。

 

・・・

 

「深海棲艦にも襲われているわね…。衰弱の原因はその状態で漂流したからでしょうけど何故一人で…」

 

「分からない…」

-

 

艦娘が治療の際に使われるドッグがある。その場にはあの山城が治療を受けていた。山城を発見したのは遠征を行っていた時雨を含む駆逐艦で編成された隊だった。治療を受ける山城に金剛型の霧島が山城の状態を見て一人でいたことに疑問を口にすると、首を横に振る時雨の手をあまりにも弱々しい力で山城が掴む。

 

 

「宇宙人…が…わた…し…たち…の…鎮守…府…に…。あい…つ…が…みんな…を…姉…さ…まを…」

 

「彼女の鎮守府でなにかあったのね…。けど…宇宙人って」

 

「…山城の鎮守府…?」

 

 

息も絶え絶えに言葉をつなぐ山城。姉から頼まれたのだ。なんとしてでも伝えなくてはいけない。その話を聞いて霧島が考え込んでいると扶桑型とは縁がある時雨。交友もあった時雨がなにか引っかかるものを感じたのか口元に手を添え俯いて考えを巡らせているとハッと顔を上げる。

 

 

「待って!山城の鎮守府って今日、提督達が演習に向かった鎮守府だよ!!」

 

 

焦った表情の時雨。彼女の言う通り、マツミズ達が向かった場所は山城達が所属する鎮守府なのだ。慌てて霧島などが確認するとどうやら間違いは無いようだ。

 

・・・

 

 

『ダメだわ、提督達と連絡が取れない!』

 

「…!」

 

 

聞き取れなかった部分もあるがそれでも大部分は聞き取ったユウマは霧島の一言で席を立ち上がる。このままでは伯父達が危ない。湯呑や茶菓子が入った器を鳳翔達に礼を言って返すと食堂を飛び出す。

 

 

「伯父さん…!」

 

 

人目のつかない場所に移動したユウマは携帯のGPSからマツミズの場所を割り出す。連絡は霧島達の言っていたように取ることができなかった。携帯電話を落としているだけならば良いのだがなにかあっているのであれば大変だ。ユウマはゼノンブレスがはめられた腕を胸の前に構えるとゼノンブレスのクリスタルから光が溢れ、そのまま天に拳を向けるとユウマの身体はゼノンのモノへと変わり、光の球体となって町から離れるのだった。




少し間が空きましたが書いていきます。

ダダの回は私は幼少期にビデオで見たのですが、ダダの怖さよりもダダが乗り移った研究員の方の演技が凄すぎてそっちのほうが怖かったです。あの怖さを少しでも再現したいものですが難しいです。

そして次回はマツミズ達から始まります。





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