オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど･･･「本編完結」 作：どこかのシャルロッ党
翔真は前面のモニターに映し出されたエクシェスに警戒を強める。
機体から溢れ出す殺意に身が凍る程に、体が震える。しかしこちらにも
譲れない事情がある。翔真はエクシェスによって大破したアドヴァンスド
ジンクスから、シャルロットによって届けられた深紅の正義････････
『ZGMF-X09A ジャスティスガンダム』に乗り換えている。
「マルス････正気なのか?」
『俺はマルスじゃないッ!マルスは死んだ････今ここにいるのは
アレスである俺だ。貴様も邪魔をするなら倒すッ!』
「翔真ッ!」
「シャル、しっかり掴まってろよ」
シャルロットを膝の上へと乗せて、翔真は機体を加速させる。かつては
封印されたジャスティスは、再び荒れ狂う空を駆け巡る。そしてアレスは
エクシェスをジャスティスへ向かわせる。
「『はああああァァァ!!』」
交差する叫び。同時にジャスティスとエクシェスが交差する。
時に人は己の考えを優先させようとする。時に人はどんな状況下でも
非情になり悪魔となる。アレスの心の傷となった立て籠り事件には
もう１つ隠された真実があった。立て籠り事件発生直後に、現場の指揮を
任されていた大東貫一。彼はテロリスト達の要求を聞き、策を講じていた。
しかしその時であった････大東は現場の副指揮官により身を拘束される。
「なにをする!?」
「いやいや。司令がお疲れだと思いましてね。ですから
我々が用意したこの部屋で身を休めてください」
「その割には････真っ暗で、拘束椅子があるんだね?」
「おい」
「「ハッ！」」
以前から大東の活躍に嫉妬していた副指揮官は部下の二人に大東を拘束、
及びに所持品を全て取り上げさせた。何も出来ないまま大東は拘束され
真っ暗な空間に閉じ込められた。
「(全く････わたしとしたことが。作戦を話すべきだったかな)」
テロリスト達の要求････それを承諾することは出来ない。そこで大東が
考えていたのは要求を敢えて飲み振りをして、逃走経路までやって来る
テロリスト達をGspirit隊の総力をもって叩き上げるという策を考え、
まず先に自分が偽装退陣するという行動を起こそうとした。しかし
作戦を話さなかった誤算により、今に至る。
「(司令ばかりにいい顔させてたまるものか)」
時間は徐々に迫り来ていた。条件を飲まなければ人質達が殺される････
誰もが不安を抱く中、副指揮官は信じられないことを口にした。
「我々はテロリストのいかなる要求にも屈しない!これは
大東司令のお言葉だ!テロリスト共、貴様らに自由の選択などない」
この発言に誰もが唖然とする。
「(あとのことは司令に擦り付ければいい。ミッドチルダの平和の為、
蒼き清浄なる世界の為に････人質達には平和の糧となってもらう)」
『正気なのか!?』
突如として通信が繋がる。声の主はニックだった。ニックは当時突入部隊で
大東の指示を待っていた。しかし副指揮官の発言にニックもまた動揺する。
『大東司令は何処にいる!?何故貴方が指揮を!』
「司令はお疲れなのだよ。だからわたしが指揮を取っている」
『ッ!････さっきの発言、大東司令なら絶対に言わないぞ。
そんな事言って、人質が殺されたらどうするつもりなんだ!?』
「そこは君達の頑張り次第だよ。例え人質が殺されても、責任は
君達にあると思うがね。時間に猶予があったはずなのに人質を
見殺しにしたGspirit隊････と言われるかもしれんぞ?」
『だったら今すぐに突入許可をください!』
「それはダメだ。奴等が人質を殺す瞬間がチャンスなんだ。
許可は出来ない。そのまま待機していろ」
ニックは渋々了解と返答。大東の安否を心配するも、事件は悲惨な形で
終わってしまった。作戦終了後、ニック達は副指揮官を拘束した。
もちろん悲惨な形で終わったという後悔に、大東は何も出来ないまま
己の無力さを感じた。
もしあの時････現場の指揮を大東が取っていれば････
アレスが家族を失うことはなかった。
