シリアルに生きたい   作:ゴーイングマイペース

12 / 44
 そろそろこの前書きのスタイルが面倒になってきた第12話




 と、いうわけで今回は1つの節目ということで、ちょうどいいから次回からはこのスタイルを崩しまーす。では本編をどうぞ。


12時間目 : え? この娘ダレって……ちゃんと原作にいましたよ?

「で、結局どーいうことかキッチリ教えてくれよじっちゃん」

 

「フォフォフォ、まあそう詰め寄るでない。キッチリしっかり説明はするからその振り上げた拳を下ろすのじゃお願い」

 

 うるせー、こっちはさっきの騒動とプラスして積年の恨み辛みがあんだぞクソジジイ。

 

 世界樹前広場から場所を移し、現在地は学園長室。麻帆良学園都市学園長であり関東魔法教会理事でもある近衛近右衛門の根城にて、俺は先ほど広場であった騒動とその経緯について詰問を開始したところである。

 

 と、いうのも「早速じゃが小太郎君の実力のほどを知ってもらうとするかの」とこのジジイが言ったと思ったら「それやったらそこの兄ちゃんとやるわ!」と小太郎君が言い返し、あれよあれよと言う間に俺VS小太郎君の構図となってしまったのである。周りも特に何か異議を申し立てることもなくそのまま模擬戦ムードとなってしまったので、俺もわざわざ反対意見を出すことなくそのまま模擬戦に突入した。

 結果は俺が小太郎君の腹に気を集中したパンチを叩き込むことで小太郎君が気絶し、俺のKO勝利。狗神だの忍術だのと色々と多彩な技を仕掛けてはきたがまだまだ荒削り、未熟そのものな出来だったので特に苦労することもなく勝利出来た。

 

 そうして小太郎君の顔合わせ目的の集会は終了。各自解散の流れとなり、俺も小太郎君に治癒術をかけてから学園長に任せて帰ろうとしたところ、小太郎君と共に話がある、と学園長が言い出したので、そのまま小太郎君を背負い学園長室へと赴き今に至る、というわけである。ちなみに小太郎君は今、学園長室に備え付けてあるソファーでグッスリです。

 

「まあ、そう難しい話をするというわけではない。ただ、そこの小太郎君をお主の屋敷に住まわせてやってはもらえんか、と頼みたいだけじゃ」

 

「ただ、で済ませるようなことじゃないんですがそれは」

 

 まさかの小太郎君我が家に居候要請だった。どういう風に思考回路が機能すればそんな話になるのか。なんで、ホワイ?

 

「とりあえず小太郎君起こすぞ。当人無視して話していいことじゃない」

 

 というわけで小太郎君にレッツ気付け! と活を入れ復活させた。そうして先ほどの学園長からの要請について説明する。すると

 

「それ最高やん! いいで、俺なら何の問題もない!」

 

 超乗り気だった。学園長も訳知り顔でウムウムと首を動かしている。え? 何、この場で俺だけなんかおかしいの?

 

「そもそもじゃな世界、この子が麻帆良にやって来たのは元はと言えばお主のせいなんじゃよ」

 

「え、何ソレ。俺この子と会ったのは間違いなく今日が初めてだし、なんかの間違いじゃないのかソレ」

 

「何も間違ってなんかないで兄ちゃん! 俺、兄ちゃんの噂聞いたからココ来ること決めたんや!」

 

 噂とな。

 

「そうや! 俺知ってるんやで。火星世界、今裏世界の新世代で一等強い男や、って!」

 

「ゴメンじっちゃん、訳してくれ」

 

「うむ、つまりじゃな。世界、お主の同世代の魔法使いと比べて桁外れなその実力こそが小太郎君がこの麻帆良にやって来る決め手となったのじゃよ」

 

 そこから更に詳しく話を聞いてみると、要するにこういうことらしい。

 

 小太郎君、ちょっといけない裏仕事の最中戦った神鳴流剣士の何某さんに敗れ捕縛される 。

→ 関西呪術協会、小太郎君の処遇を決定する際、未だ子供だからという何某さんといちいち子供に割いている時間はないという何某さんの話し合いの結果、何処か他所に飛ばされる事が決定する。

→ だったら俺強いヤツのいるところいきたい! という小太郎君の意見を聞き、まあそれぐらいの願いなら子供に与える罰としても問題ないだろうし、昨今名を上げている俺のいる麻帆良に厄介払いやー。

→今ココ。うーんこの。

 

「別に俺悪くねえじゃん」

 

「誰も悪いなどとは言っとらんじゃろ。ただ原因だと言っただけじゃ」

 

「それにしたってそこまでいくとこじつけだろ。もういいけどさ」

 

 むしろ余りに雑な小太郎君の扱いに同情すら湧いた。どなたさんか知らんがテキトーすぎませんかねぇ。

 

「で、小太郎君。君が麻帆良に来た理由はわかった。だが、それとウチに居候するのとどう関係があるんだ」

 

「そんなもん決まっとるやん、兄ちゃんが噂通りにメチャメチャ強い男やったからや! せやからできるだけ近くにいてええとこバンバン盗めば、もっともっと強くなれるやん!」

 

 清々しいほど男の子(バトル脳)な理由だった。ていうか原因も俺なら決定打を決めたのも俺かよチクショウ。

 

「あー、話はまあわかったよ。いいぜ小太郎君、ウチに来な」

 

 正直これ以上こんな子供がタライ回しにされるというのも忍びない話だし、俺の屋敷にも十分な余裕があることだし、男の子1人ぐらい家族になったところで問題は無いだろ、ウン。

 

「ホントか!? いよっしゃー!」

 

「フォッフォッフォ、よかったのう小太郎君。それでは世界頼むぞい」

 

 とりあえず食材1人分買い足しに行かなければ。この時間のスーパーにまだ良さげなモノ残ってるかなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおお……。こんなモンが地下にあるとか、この学園はいったいどないなっとんねん」

 

 学園長室でのやり取りから幾許か経ち、現在は我が屋敷……では無く学園地下のダンジョンである。

あの後寄り道をしつつコタ(小太郎君ではなくもっと気安い呼び方でいいと言われた)と共に屋敷に帰った俺は早々に食事を済ませ、長旅や先の模擬戦の疲れもあるだろうからさあさっさと風呂入って寝よう、と子供を労わるという常識に基づいた発言をしたのだが

 

『せっかく兄ちゃんのウチ来たのにいきなりノンビリ寝こけるとかありえへん! せやから兄ちゃん、今から俺に稽古つけてや!』

 

 と、聞く耳持たず元気一杯に吠えてみせたのである。ささやかな歓迎にと夕飯を山盛り食わしたのが裏目に出たか。

 

 まあ明日も休みだしこういう歓迎もいいだろう、というわけで屋敷から直通のゲートを使い地下遺跡へと転移。冒頭のコタのセリフに至るわけである。ちなみに現在はダンジョンへと続くやたらと長い通路を2人並んで歩いている最中。相変わらず無駄に長い。

 

「にしても兄ちゃん、どうせ転移するんならそのダンジョンってのに直接転移すりゃええやないか」

 

 どうやらコタも同じことを考えたらしい。たしかにこの通路は長い、とにかく面倒になるぐらいに長い。しかしだ

 

「いいかコタ、この無駄に長い通路を踏破して危険蠢くダンジョンに至る。これぞシンプルイズベストな(おとこ)のロマンというヤツなのだよ」

 

「おお、漢のロマン! そっか、それじゃあしゃあないな!」

 

 RPGなんかをやっていてダンジョンに向かっていると、その道中で目的地へと様々な思いを馳せるものである。真の漢はその道中ですら浪漫回路を最大限回転させるものなのだ。学園祭でもその辺を煽るために通路すらも無駄に仰々しくしたが、麻帆良男子諸兄には大好評だった。流石は我らが愛すべきバカ達だと誇らしくすらなるほどである。

 

 と、バカ話をしていると目的のダンジョンの入り口が見えてきた。コタも気づいたらしい。

 

「おっ、あれが兄ちゃんの言ってたダンジョンってヤツやな! よっしゃ、いっちばーん!」

 

 元気一杯にコタが扉を開け放つ。余程俺のつける稽古が楽しみなのだろうと、微笑ましく思いながらコタの後に続き俺も扉をくぐった。するとそこには――

 

「くぅううううう、あのボスの性能、理不尽過ぎではありませんこと!? なんですか、私達の攻撃を悉く反射するって! ……って、へ?」

「ううう、跳ね返された魔法のせいで服がグショグショです……って、え、先輩?」

「ナツメグはまだ服に破損が無いからいいよ……。私なんて使った魔法が火だったから所々焦げちゃってるし……って、セ、センパイ?」

 

 服がずぶ濡れになって色々とイケナイ部分が透けて見える後輩と、服が所々焦げてかなりキワドイことになっている後輩と、素っ裸で仁王立ちしながら握りこぶしを胸の前に掲げて何やら歯ぎしりしている先輩がいた。……あー。

 

「なんや姉ちゃんたちおかしな格好して。はよちゃんと服着んと風邪ひくで」

 

「アホ。すみませんお邪魔しました、ほら行くぞコタ」

 

 急いでコタの腕を引っ張り180度方向転換して扉を再びくぐる。すると

 

「「「イ、イヤァーーーーーーーーーーーーーッ!?」」」

 

 背中から3つの悲鳴が轟くのが聞こえた。スミマセン、謝罪しておいてなんですが眼福でしたありがとうございます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「責任とってくださいッ!」

 

「今回ばっかりは俺のせいじゃないと思うぞ高音さん」

 

 再び時間を置きダンジョン、意図せず俺とコタに痴態を見せつけてしまった3人、高音・D・グッドマン、佐倉愛依、夏目(なつめ)(めぐみ)(ナツメグ)が衣服を整えた途端に凄まじい勢いで詰め寄ってきたのを、とりあえず子供に罪は無いとコタだけ白と黒の猫の使い魔2匹を案内役に付け、先にダンジョン初級編へと送り出し俺だけで相手をすることにした。ていうか実際俺悪くないよね、事故だよねアレ。

 

「だからいつも言ってるじゃんか、負け即脱衣なアレは改良するかさもなきゃ使用禁止にした方がいいって」

 

「そんな、ありえません! 私の『影の鎧(ローリーカ・ウンブラエ)』は装着すれば防御力3倍、お肌にピッタリ装着すれば7倍もn「それで格上相手にいちいち素っ裸になってたら世話ないよな」うっ、そ、そんなことないです! そうですわね、メイ、ナツメグ!?」

 

「……スミマセン、お姉様……」

「こればっかりはちょっと……ごめんなさい、高音お姉様……」

 

「ちょっとー!?」

 

 速攻高音さんを裏切る愛依とナツメグの2人。受け入れろ高音さん、これが現実だ。

 

「しっかしコタのことで色々あり過ぎてすっかり高音さん達がこのダンジョン修行に使うって言ってたの忘れてたわ。で、その格好は初級編のボスにやられたってとこか?」

 

 高音さんが「フフ……しょせん私なんて脱げ女よ……」と隅の方で体育座りしながら暗いオーラを醸し出しいじけだしてしまったので残る2人の後輩、愛依とナツメグの方を見やる。すると高音さんの両隣で顔を真っ赤にしながら涙目で俺を睨め付けていた2人は揃って文句を言い出した。

 

「そうですよ。あのアルマジロみたいな魔獣なんですかセンパイ、いくらなんでも私の炎の矢も『紅き焔(フラグランティア・ルビカンス)』も、お姉様やナツメグの魔法も全部跳ね返しちゃうなんておかしいです……」

 

「ていうかなんで学園祭の時と全然中の様子が違うんですか。あの時のボスはちょっと大人より大きいぐらいの可愛いワンちゃんだったのに……」

 

 どうやら()ダンジョン初級編の1つ目のボスにまで辿り着いたが返り討ちにされたらしい。

 ちなみにアルマジロもどきとは中級程度の魔法ならほぼ全て跳ね返す対魔法・物理障壁を装甲上に展開する能力を持ったこの新ダンジョン最弱のボスである。だが、上手いこと弱点である鼻を突けば障壁は消えてしまう。ただしアルマジロがこちらに気づいて丸まるより早くやる必要があるがな!

 

「そりゃあアレは一般人も遊ぶことを考慮した学祭特別仕様だし。普段は俺が修行に使ってたんだから終われば()()()()仕様にするのは当たり前だろ」

 

「「先に一言忠告してくださいよぉ……」」

 

 そうネタバラシをすると肩を落とし脱力する愛依とナツメグ。この2人は高音さんにほぼ無理やり連れてこられたようなものなので、余計に悲しくなるのだろう。スマン2人とも、恨むなら俺の話を碌に聞かずにこのダンジョンに行くと言い出した高音さんを恨んでくれ。

 

『兄ちゃーん!? なんやこのヘンチクリンな魔獣、俺の攻撃がひとっつも効かへんのやけどー!?』

 

 と、『ダンジョンくんΩ』から先の3人と同じような悲鳴が。やれやれ、本当に麻帆良地下遺跡は地獄だぜ。

 

「「「貴方が管理してるんでしょう!?」」」

 

てへぺろ☆

 




・神鳴流剣士の何某さん
 昔、所要で主人公が京都に行ったときにボコボコにしたちょうど主人公と同年代ぐらいの少年。かなりの負けず嫌いだったらしく、主人公に敗れてから更に修行に打ち込み、小太郎君を捕縛できるだけの力を得た。
 つまり今回の件は原因も決め手もそうなら遠因すら主人公という。まあどうでもいい設定だよね!


・漢のロマン
 言葉は不要。少年の心をいつまでも忘れない漢たちなら魂で理解できる(ドヤ顔)


・麻帆良学園所属魔法生徒

お姉様
 くぅぅ、本当にあの男は……ッ!

 既に主人公に公衆の面前で影の鎧を剥かれているので、魔法関係者の間では脱げ女の異名が響き渡っている模様。その雪辱を晴らそうと機会があれば主人公に挑んでくるので、主人公はもしものためにと武装解除ならぬ武装装着呪文を開発。それでも日々対応に苦労している模様。
 というかあの仕様だと遅かれ早かれこうなる気がする。まあ脇役だしこんなもんだよね(暴言)

お掃除大好き
 ごめんなさいお姉様、そればっかりは庇えません……

 今回のお姉様の被害者その1。普段はお姉様が主人公に脱がされている影で魔法の指導をしてもらうなどちゃっかりしている模様。それでもお姉様のことは忘れず主人公の武装装着呪文を教えてもらうなど良い子。
 あと、鳴滝妹と同様に美化委員らしい。その辺のネタ使ってなんか書けないかなー。

通りすがりの魔法少……正義の味方
 ううう、どこまで先輩に見られちゃったんだろ……?

 今回のお姉様の被害者その2。原作だと学園祭まではお掃除大好きさんと扱いがそこまでかけ離れてはいなかったが、魔法世界に着いていかなかったことと魔法世界編が長引いたことで一気に日陰者キャラに。
 主人公とはお掃除大好きさんと同じようにお姉様が落ち込んでる影で魔法を指導してもらう間柄。ほぼ年齢が変わらないのに世界最強クラスにまで至っている主人公を尊敬している。


・使い魔ちゃんたち
 主人公が飼っている使い魔、ネギ君にとってのカモみたいな存在。特に台詞付きのキャラになる予定は無い。
 姿形や性質なんかは型月の白レン黒レンみたいなものと想像してもらえば。……あれ? なんだか台詞付けて動かしたくなってきた……くっ、鎮まれ俺の両手、タイピングする手を止めろっ……!


・影の鎧
 素肌にペ○ントとか妄想したのはきっと作者だけじゃない(断言)


・新たなるダンジョン
 そりゃあいつまでも一般人でも遊べるレベルのにしてたら修行なんてできませんわ。と、いうわけでちょうどいいので主人公でも満足できるレベルに更なる魔改造をした模様。『ダンジョンくんΩ』が殊の外役に立っているとかいないとか。



 と、いうわけでこの回を以て下拵え、プロローグは終了ーッ! いやー長かった長かった。
 さて次回からは予告通り原作期間に突入します。既に様々な部分で原作崩壊の片鱗を見せ始めているこのSS、いったいどんな展開が待っているのか! 誰か教えて!(オイ

 冗談です、ちゃんと真面目に書いていきます。では次回からもこの作品をよろしくお願いします!



 ……さて、どんなタグを追加するか真面目に考えなきゃ……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。