シリアルに生きたい   作:ゴーイングマイペース

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 ふぇぇ、前話で誤字脱字多過ぎだと思ったら、投稿してたのが推敲前の原稿ファイルだったよぉ……(震え声)

 やだもう、顔から火が出そう。後で今までの回も確認しておかないと……




 そして普段より長くなった割にまだ1話が終わらないという不具合も。


 ……じ、次話で終わらせてみせるし(目逸らし)


15時間目 : 人それをフラグという

「学園長先生ッ! どーゆことなんですか!!?」

 

「フォッ!? ア、アスナちゃんどうしたんじゃ!?」

 

 愛しの高畑先生に下着姿(特に一部)を見られたことがよっぽど腹に据えかねたのか、学園長室に足を踏み入れるなり怒号を上げる我が幼馴染。平和な朝を過ごしているだろう一般学生たちにまで轟いていそうな声量に、明日菜に続いて入室した俺たちは揃って耳を塞ぎ学園長に詰め寄る明日菜の様子を窺う。

 

「どうしたもこうしたもこの失礼なガキンチョのことですよ! こんなのが先生ってどういうことですか!!? しかも高畑先生を押し退けて私達の担任になるって!!!」

 

 おそらく一番引っ掛かってるのは担任云々だろう。さっき高畑先生からそのことを直接告げられた時、まるでこの世の終わりが来たとでも言うような顔してたしなコイツ。

 

「ま、まあまあアスナちゃんや。何があったかは知らんが、このことはもう決まったことであってじゃの……」

 

「高畑先生がこんなガキの為に辞めるってだけでも腹立つのに! 先生なんてやらせずにまず小学校からやらせて常識学ばせた方が世の為人の為です!」

 

 怒りの止め所がないのか延々と不満をぶちあげ続けていく明日菜。そのため、傍で聞いているネギはすっかりふくれっ面である。まあいくら天才児だろうがまだまだ子供だし、ここまで言われれば腹も立つだろう。

 それにいくら本人が原因とはいえ子供のやったこと、というには乙女の恋心的に聊か被害が大きすぎた気がしないでもないが、いつまでもこの状態を続けるのも忍びない。というかいつまでもこの調子だと話が進まない。というわけで

 

「はい明日菜ストップだ、いつまでもそんな馬鹿デカい声でがなり立ててんじゃねーよ。ホラ行くぞ」

 

「ちょ、離しなさい世界! 私はまだまだ言い足りないことが山ほどあって――!」

 

「アスナがいっつまでじいちゃんに文句言っても、大人が決めたことウチらが変えられるわけやあらへんえ? と、いうわけでレッツゴーや」

 

 俺が明日菜を背中から羽交い絞めにし、木乃香がいつも通りにほんわかとした調子でそっと諭す。どうやら木乃香の中では既にこの件については決着が着いているらしい。そんなことまでのほほんでいいのか我が幼馴染よ。

 

「と、いうわけでじっちゃん、言われたことはやったからな。俺と木乃香は明日菜連れて先行ってるから、ネギのことよろしく。

 じゃ、ネギ。先行って待ってるからなー」

 

「ほなまたな、じいちゃん、ネギ君。ほらアスナ、行くえー?」

 

「あ、ハイ! ありがとうございました、世界さん、このかさん!」

 

「(ホッ)うむ、ご苦労じゃった世界君。このかもすまんかったのう、勉強頑張るのじゃぞ」

 

「あ、ちょ、待って世界! くぅ~、私はアンタなんか絶対に先生として認めないんだからねー!」

 

 どうでもいいけどここまで大声で怒鳴り続けるのは乙女の恋心的に考えてかなりの致命傷なんじゃないかな(小並感)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーす、おはよー」 「おーす♪」

 

「お、おはよーせかっち、このか♪ 

 って、なんで明日菜引きずってんの? ちょっと変わった登校デートー?」

「あー、それはな……」

 

「黙りなさい柿崎、今の私は怒りだけで目に映る物全て燃やし尽くしかねないわよ」

 

「アッハイ」

 

 挨拶もそこそこに、明日菜の余りの気迫に逃走を選択したらしい美砂。普段ならここから「私なら普通に腕組んだりして登校してきたいけどなー♪」ぐらい言うはずのところだが、無差別に怒りを撒き散らす明日菜に流石の2-A公認エロ番長もおじけづいたようだ。

 

「てかいい加減落ち着け、ナワバリ侵されただけで相手をぶっ殺す蛮族か野生動物かなんかかお前は」

 

「……だって、高畑先生が、アイツ私は失恋するとか酷いこと言って……」

 

「ガキの言ったことそこまで引きずったってお前の恋がどうなるもんでもないだろうに」

 

 失恋の相自体は前から浮き出まくっていたわけだからな。……くまパンのせいで余計にドギツくなったことは言わない方がいいだろう、誰も幸せにならないし。ウンそうしよう。

 

「おっはよー世界っちー♪ 新任の教師迎えに行ったの世界っちってホント? どんなんだった?」

 

「おはよー世界君♪ で、新しい担任どうだった? 男? 美形? 彼氏いそう?」

 

「おっす和美、相変わらず情報早いな。そーだ、俺が迎えに行ったよ。どんなんかっていうと、そうだな。サプライズって意味ならこれ以上の存在は無いって感じかね。

 ……あとハルナ、お前の頭の中ではどんだけ新担任について妄想が膨らんでるんだ……?」

 

 既にパル様の脳内では美形の新任男教師のめくるめくロマンスが展開されているらしい。だが流石というべきか、主役もヒロインも男である。朝っぱらからもうやだコイツ……。

 

「えー、いいじゃんいいじゃん。こんな中途半端な時期に担任変わるとか絶対なにかあるって、そうこのラブ臭レーダーが言ってるのよ! グフフフフ……」

 

「もぎり取ってやろうかその触覚」

 

「まあまあ、パルの()()はいつものことじゃん。ていうか原稿手伝ったりしてる世界っちなら耐性あったりするんじゃないの?」

 

「ああいうのは創作だからまだ割り切れるが、現実に持ち込まれると男としては流石にちょっとな……」

 

 というわけで朝から不快、もとい腐海な妄想模様を見せつけてきたバカはお仕置きの後のどかと夕映に押し付け、他のクラスメイトとも挨拶を交わし同じようなバカ話をしながらその時を待つ。

 

「失礼しま……ん?」

 

 と、ようやくネギがやって来たらしい。カッチンコッチンに緊張していると思ったら、先ほど美空とロリ双子が仕掛けていた黒板消しトラップに早々引っ掛かった。ご愁傷様ネギ坊主。

――いや、待て。アイツ、対物・魔法障壁(アンチ・マテリアル・シールド)で黒板消しを受け止めてる……!? イヤイヤ注意散漫すぎだろ、現代文明社会入り1日目でこれとか、魔法学校ってその辺のやり過ごし方とか教えないのかオイ。

 ネギ自身も気づいたのか、慌てて障壁を解除する。そのまま今の光景は無かったことにすることを選択したようで「ゲホゲホ、あははーひっかかっちゃったなーゴホ」なんて言いながら教卓へと進んで行くが、その道中にも仕掛けてあったトラップに見事に引っ掛かり、悲鳴を上げながら教卓へと激突した。

 

 しかし、これは俺も悪かった。魔法学校飛び級首席卒業という肩書、というより魔法学校というものを過信し過ぎて、ネギへの注意を怠ったツケがネギのこの醜態である。自戒してこれからはしっかり注意していかなければなるまい。

 まあ“魔法”学校を卒業したって時点で、現代社会ですぐさま生活できるほど適応しているのかと改めて考えるとアレだわ。後でしっかりその辺の切り替え時っていうのを教えとかないと絶対にマズイわこれ。

 

 と、どうやらネギの痴態に爆笑していた2-Aの面子も、トラップに引っかかったのが良く見れば子供ということにようやく気付いたらしい。慌てて謝罪をするが、ネギと共にやって来た源しずな先生に席に着くよう促され、なぜ子供がここに、という疑問を顔に表しながらも戻っていく。

 突然の災難に泣きべそをかいていたネギも教壇へと上がり、改めて自己紹介すべくクラスメイト達の方を向く。そして

 

「今日からこの学校でまほ……英語を教えることになりました、ネギ・スプリングフィールドです。3学期の間だけですけどよろしくお願いします」

 

 と、朝方明日菜にしたのより更に酷い自己紹介をしてみせる。ふぇぇ、この先の生活を思うと頭が痛くなってきたよぉ……

 俺は前途多難な未来に頭を抱えるが、ほとんどのクラスメイトはそんな俺のことなぞ気にもしないでネギの自己紹介に驚いているようである。

 が、ここは普段からそのお祭り騒ぎっぷりで麻帆中に名を轟かせる女子2-A。そんな雰囲気は一瞬で霧散し、次の瞬間には、可愛いだのなんだのと黄色い悲鳴がそこかしこから上がった。そうしてそのままネギの元へと突撃していき、あっという間にネギは女子中学生の群れに埋もれてしまう。

 

 こいつら楽しそうだなー、と先ほど幻視した未来から目を背けていると、しずな先生に事の真偽を問い正している千雨が目に入った。そうして返ってきた答えが期待通りのものでは無かったようで、頭を抱えて項垂れる。

 落ち込んでいる理由は違うだろうが、思わず同族意識を抱いて視線を送り続けていると、それに気づいたか千雨もこちらを向いた。俺と同じ考えに至ったのかと思ったが、その顔を見るとどうやら違うらしい。

 イヤ、違うどころか凄まじい形相でこちらを睨みつけてきている。「お前知ってやがったんだろうがどういうことだおいゴラァ!」とでも言いそうな視線で俺の顔に穴が開きそうだ。

 

 とりあえず俺はそっと激おこぷんぷん丸なちうさんから視線を逸らした。余計な問題をこれ以上自分から抱えたくないっていうのは間違ってないよね? ね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではアスナさん、頼みましたわよ」

 

「ハイハイわかったわよ。頼まれたからにはしっかりやるわ」

 

 ネギの初授業は明日菜の消しゴム攻撃から始まったあやかと明日菜のいつもの喧嘩でグダグダになり見事に失敗し授業終了後。

 先ほどの喧嘩など無かったかのようにあやかは明日菜にネギの歓迎会用の買い出しを頼み、明日菜はそれをまたなんでもないように引き受けた。イヤ、ネギの歓迎会と言う点で燻りはまだあるようだが、あやかとの取っ組み合いをしたことで多少は解消されたようだ。流石はおサル、脳みその作りが単純で羨ましいです。割と切実に。

 

 そうあやかから資金を受け取ったあと、そのまま廊下に出た明日菜を俺も追いかけ、その背中に声をかける。

 

「あ、待て明日菜。俺からも出すから」

 

「何よ、居候になったからって随分と優しい……って世界あんた、財布ごとって」

 

「頼んだ。俺も着いて行きたいけど、のどかの手伝いする約束しててさ。それに昨日一応俺とコタで歓迎会やったんだが、俺じゃあ男飯ぐらいしか作れないから。いいトコでいいモン買って来てやってくれよ」

 

「……ったく、ホンット金遣い荒いんだから。あーはいはいわかりました、ちゃんと美味しいもの買って来てやるわよ。これでもかってぐらいにね」

 

 そう言って駆け出して行く明日菜。……ふふふ、計画通りッ!

 こうしておけば律儀な我が幼馴染のこと、少々遠出して豪華な飲食物を購入しようとそれなりの店へと行くことだろう。そしていくらヤツがその俊足で急いだとはいえ、ここからそういった多少値が張るものを取り扱ってる店舗までそれなりには時間がかかる。

 その間に俺はのどかが図書館島まで運ぶと言っていた本の山を運ぶ手伝いをする。こうしてどう考えても非力なのどかには持てないような本の山の運搬を俺が手伝うことで、原作のようなアクシデントは起こる可能性はなくなる。

 

 ――そう、つまり俺は原作で明日菜が魔法の世界に足を突っ込むことになった一連の流れを変えることによって、明日菜への魔法バレを防ごうとしているのだ。いくら明日菜がこの世界の元になった物語の鍵のような存在とはいえ、そのせいで最終的に苛酷な運命を背負い込むことを知っている俺としてはわざわざ自分の幼馴染をそんな目に合わせるなどありえない選択だ。

 故に転生者としての特権をフルに活かし、この計画を立案、実行したわけである。こうすれば明日菜がネギの魔法を目撃してネギへと超能力者だなんだと問い詰めることはない。いやそもそも魔法を使ってまで解決しなければならない事態など発生しないのでそんな事態にすらなりえない!

 

「クッククククク……なんて冷静で的確な判断力なんだ。自分で自分の頭の出来が恐ろしいぜ……」

 

「あ、あのー世界くん。そろそろ本持って行かないと歓迎会に間に合わなくなっちゃうー……」

 

 俺が余りに隙の無い自分の計画に1人笑い声を上げていると、のどかが横からおずおずと小さく声をかけてきた。見れば既に机の大量の本が積み上げられており、あとは運搬を待つばかりという状態になっている。

 

「おっと、すまん。じゃあ行くかのどか」

 

「う、うん。……世界くん、なんだかご機嫌だねー。どうしたのー?」

 

「ん? いやー歓迎会楽しみだなーって」

 

 どうやら顔に出ていたらしい。まあそれもしょうがないと、ご機嫌状態のままにのどかと雑談しながら図書館島への道程を行く。今なら普段は絶対に女子には言わないような歯の浮くような台詞も言ってしまえそうなほどに気分が高揚している。言わないけど。

 

 

 

 

 ――何はともあれ、フフハハハ! 勝ったッ!! 第3部完ッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せせせ、世界さーん! あ、あ、あ、アスナさんに、まほ、魔法がーッ!?」

 

「ちょっと世界!? アンタまで魔法使いってそれどーゆうことよーッ!?」

 

「」

 

 

 

 

 

 ……幼馴染を助けたいって、俺、そんなに悪いこと考えたかなぁ……?

 




・2-A公認エロ番長
 公式設定? まあ原作で本人が口に出しているので公式設定でいいんじゃないかな。
 といった感じで、何巻だったかは忘れたけど巻末の質問コーナーで「彼氏なんて何人いてもいい」とか言う子だし、まあ納得の2つ名。


・腐女子
 出番をあげる=腐らせる
 なんという酷過ぎる方程式。というか作者の心にも割とダメージががが。


・魔法学校
 いくらかのネギま二次で触れられてはいたけど、現代社会での生活法とか教えないのだろうか。マグル学とか。え? それ違う?


・ちうさん、怒りの詰問。
 逃げ切れなかった主人公に詰め寄る時には既にカム着火インフェルノぐらいになっていた模様。まあパパラッチさん達との会話が聞こえたとすればそりゃあこの子なら問い詰めるよね。


・どう足掻いてもメインヒロイン
 この子フェードアウトしちゃったら色々立ち行かなくなるから(目逸らし)
 と、いうわけで頑張れ主人公! 読者さん達も君を応援してくれるぞ! 多分!



 こんな感じで原作1話のいわば中編部分は終了。必ず次で終わらせますから!
 というか、漫画の1話っていうモノの性質からして元々長くなるモノだからその二次も長くなるのはしょうがないんじゃないかなー、と開き直ってみたり。


 あと、非常に心苦しいのですが誤字・脱字など見つかりましたら、遠慮、容赦なく指摘してくださると助かります。見つかったらどんどんお願いします! 


 それでは次回、原作1話最終回編で! 

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