「俺はもうすぐお気に入りが800を超えることを喜んでいたと思ったら、凄い勢いでお気に入り数が伸びていってたった4日で1000を超えた」
な……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何があったのかわからなかった……頭がどうにかしちまったのかと思った……
催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
思わずポルポルな状態から始まる前書き。日間ランキングってスゴい(小並感)
歓迎会から幾許かの日々が過ぎ去り、昼休みを迎えた俺は今、散歩部の面子と机を囲み昼食を取っている。
「だからさー、せっかくせかちーが女子校エリアに堂々といられる今のうちに4人で新しい散歩ルートを開拓しちゃおうよー!」
「お姉ちゃん、世界くんは共学化の為にここにいるだけで女子校エリアを好きに出歩けるわけじゃないよー」
「そこはほれ、我ら2人はそれぞれ気配を断ち、拙者直伝の隠形でお主らも気配を断てば万事解決でござるよ」
「なあ、それ散歩じゃないよな。スニーキングミッションって言うよなそれ」
流石2-A、ただの食事時のお喋りですらカオスである。ていうかその案は色々な意味で絶対に実行するわけにはいかない。
……何故かって? 俺の社会的地位がピンチというのもそうだが、高音さんあたりに凄い目で追いかけられた挙句いつものオチになるのが目に見えてるからだよ!
「え、なになに? 世界君が女子校エリアでこっそり覗きするって?」
「なんだせかっちー、それならチア部にいつだって来ていいのに。んー?」
「にゃっははー、よっきゅーふまんってやつー?」
「そんなこと微塵も考えてないからおちゃらかすなビッチアガール共」
風香の散歩計画を実行する前から社会的地位が危ないことになってしまった。なんなのお前ら、そんなに俺を性犯罪者にしたいの?
ていうか、やっぱり女子校なんかに男1人だけでいるもんじゃないわ。あーあー早く3学期終わらねーかな(遠い目)
「……よし、御馳走様でした。じゃ、俺は着替えてくっから、また後でな」
「えー、もう少しお喋りしようよせかちー」
「ですです。まだ体育まで時間ありますよ?」
「この教室で着替えられるお前らと違って男の俺は男性職員用のトイレまで行って着替えなきゃいけないんだよ」
「なんだ、それなら一緒に着替えていけばお手軽に私達の下着姿が見られるにゃー?」
「なあ桜子、俺そんなに欲求不満に見えるか?」
その言葉に6人で顔を見合わせ「やっぱり男の子だし」「男子であるならこの状況、溜まるものが溜まっているというものでござる」「いやだからってホントに下着サービスしていいわけじゃないから」と、美砂、楓を筆頭にふざけた会話を交わす始末で、円以外に常識人が誰もいない。だからその危機意識でいいのかじょしちゅうがくせー。
とにかく着替えは済ませなければならないのでさっさとおバカ達の会話から離脱し、職員トイレで着替えを済ませる。5限は屋上でバレーであるので、先に行って準備でもしておこうかね。
そんなことを考えてながらトイレを出ると、職員室の方が騒がしいのに気が付いた。なので視線をそちらに向けると、亜子とまきが職員室内のネギへと向かって何事か訴えているのが見える。
「亜子、まき、どうした。何かあったのか?」
「あ、世界君大変なんやッ! 中庭でウルスラのセンパイ達が!」
見ると亜子の額にはバンソーコー、まきも若干怪我をしているようだ。え、なに、お前ら中庭でバレーやるとか言ってなかったっけ?
「それっ女子高生アターッ「すみません先輩がた、ちょっとそこまでにしてもらえませんかね」クって、え? ボールどこ!?」
亜子とまきの言うとおりに中庭に急行してみれば、今にもウルスラの女生徒がアキラにアタックをぶち当てるという場面だったので、ちょいと風の魔法を使ってボールを攫い取る。
え? 秘匿? どっかの魔法学校首席みたいにバレなきゃいいんだよ。そう、バレなきゃな!
「あ、ありがとう世界君。助けてくれて」
「おー、ナイスタイミング世界! これで形勢逆転だね!」
「おー、お礼なら後で亜子とまきにも言っといてくれアキラ。あとゆーな、誰もこんな喧嘩に参加するとか言ってないからな」
奪い取ったボールを手にしたままアキラとゆーなを背に庇い、アタックをかまそうとした女生徒の方を見やる。
「あ、あんたは、たしか……!?」
すると、どうやらリーダー格らしい少女は俺を指差し、顔を蒼白にしてガタガタと震えていた。よく見れば後ろで群れている他の先輩たちも同様の状態に陥っているようである。え? 俺まだ何もやってないよね? 何その反応?
「や、やっぱりアンタ、そうだ、間違いないわ! アンタは!
――グッドマンさんを会う度乱暴の限りを尽くし素っ裸にした挙句、恥辱の限りを与えるっていう変態ストーカー強姦魔、火星世界!!!」
「高音さぁん!?」
イヤ間違ってないけど、割と間違ってないんだけどもその表現は色々誤解を招くからやめてぇ!?
ていうかこれ噂の発信源間違いなくあの人だよな? なんであの人は自分の恥部をわざわざ自分から晒していってるの? やっぱ痴女なの、ねえ?
「世界君……」
「世界、ちょーっと職員室行こっか、ね?」
「待てアキラ、俺はやってない、イヤやったんだけどあの表現だと多大な誤解を招いてるっていうかだな。ってゆーな腕を掴むな、俺はあんな風に言われるようなことやってねーよ!」
ああほら、安心と信頼の眼差しがすっかり疑惑と軽蔑の色に染まってる! 違うんだ、あれは高音さんが何故か模擬戦を仕掛けてくる度に何をどうしても脱げるから悪いんであって、俺に責任は無いはずなんだ!
「コラー! 僕の生徒たちをイジめているのは誰ですかー!」
と、アキラ達のピンチを救うはずが何故か俺が大ピンチになるという混沌とした状況を打破する救世主がやってきた。よく来たネギ、今日の晩飯のおかずはネギま用意してやるからな!
高等部の先輩がたは俺より更にインパクトのある子供先生という存在に興味を移したようで、あっという間にネギは女子高生の群れの中に埋没していった。
そうだ、決して俺から逃げたくてネギの方に行ったとかじゃないんだ。だから未だに俺を見て怯えてる三つ編みの先輩なんかいないんだ(震え声)
「高等部がまたこっちまで来てガキみたいなこと言ってるってホント!? ……って世界、アンタ膝抱えて蹲って何してんの?」
「ああ、アスナ。これはちょっと私達が悪いというか、ウルスラの先輩たちのせいというか……」
「あはは、言葉通りのハズないってわかってたけど、ちょーっと悪ノリしすぎちゃったにゃー」
「どうせまた普段のおバカな行動が祟ったのでしょう、放っておけば勝手に元に戻りますわ。
それよりも――いい加減におよしなさいおばサマ方!」
相変わらずまるで容赦が無い幼馴染に追撃に最早俺のHPは真っ赤です。明日菜のヤツも同意とばかりに頷いて先輩たちの方に行くし、そんなに俺ってそっち方面での信用がないんだろうか。
いいんだいいんだ、どうせ俺は皆の言うとおりスケベで欲求不満なんだ……
「ほら世界君、元気出して、ね?」
「もー、あんまり悪ノリしたらあかんやん、ゆーな。それにアキラまで」
「う、ごめん」
「いやー、おもしろそうな噂だったんでつい。世界、ごめんねー?」
「……いや、お前らはもういいんだ。でも、また妙な悪名が増えてたと思うとな……」
そんな会話をしながら俺の周りを取り囲む運動部4人組。どうやら端から信じちゃいなかったらしいが、俺としてはアレは表現を大げさにしただけで内容自体は割と間違ってなかったため、なんとも言えずにただウルスラで広がっているらしき噂について考え結局鬱にならざるを得ない。
「まーコイツも思いっきり体動かせばちょっとした鬱なんて吹き飛ぶでしょ」
「あはは、何かあったらいつも体動かすだけで吹き飛ばすアスナが言うと説得力あるなー」
木乃香、それ多分褒めてないよな。
さりげなく黒い木乃香への畏怖に、思わず若干鬱モードから抜け出してしまった。しかし当の明日菜は気づいてないようだ。……まあ、割と妥当だな。明日菜だもんな、うん。
「……ん?」
「あら、また会ったわねあんた達」
……うわぁ、面倒くさいことになりそうだぞぉー。
・味方はただ1人
そりゃあ女子校に男が1人だけ放り込まれれば、ねえ?
・冤罪じゃないけど冤罪
割と間違ってないから困る。ていうかあの人学園祭編の間に何回脱げてたんだろう……
・あれ? 惚れ薬編とバカレンジャー編は?
惚れ薬編 → レン達の能力でエロティック(R-15風味)とか考えたが筆がのらなかったので却下
バカレンジャー → 主人公の影響で明日菜でさえ平均点上げてると既に出ているので吹っ飛ばす
と色々な事情で一気に原作1巻最後の章に。しかし何故か書いている内に主人公が可愛そうなことに。これも全部ネタとして美味し過ぎる脱げ女さんと学園長が悪いんだ……
さて、前書きで書いた通り、とうとうこの『シリアルに生きたい』もお気に入り数1000を突破しました! これも一重に日頃から我がSSをお読みくださる読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます!
いやー、2話続けてこんな畏まったことを言うことになるとは。連載当初からは考えられん事態に自分で一番ビックリだよ。
あ、1000突破ってことで、これからはもっと感想くれてもいいのよ?(チラッチラチラッ