と、いうわけでバカレンジャーin図書館島編、はっじまっるよー!
程よく夜も深まった午後7時。学校エリアの敷地内も普段なら生徒その他が部活に精を出す姿などがまばらに見れることもこの時間帯ならあるであろうが、現在は試験期間中だということもあり、ひっそりと静まりかえっている。
『さー、手に入れるわよ! 『魔法の本』!!』
『『『『『おー!!!』』』』』
『おいネギ、ホンマにええんか。あの姉ちゃんら連れてきて』
『よ、よくないよー! け、けど課題について、魔法のことを知ってるアスナさんにバレちゃって……』
だというのに、その夜の学校で大声を上げてアホなことをしようとするおバカ達がいやがるこの現状について俺はどういった反応をすればいいのだろうか。
「笑えばいいと思いますよ? フフフフフ」
「ちょっと黙ろうか変態司書」
なんなのこの古本、人が困ってる様子を見てニヤニヤするのはいつものことだけど、今回は割とマジでシャレにならないんだけど。……わかっててやってるんだよなぁ、コイツの場合。
「フフ、魔法使いの試験とは言ってもまだまだ見習いの域を出ないネギ君の為の試験です。とはいえ通常の見習い魔法使いと比べていくらか優秀な彼ですが、そこまで危険はないと思いますよ?」
「ただのギャラリーは気楽でいいなあオイ。ていうかなんで俺は試験監督なんか引き受けたんだろ……図書館島での試験なんだからアンタがやればいいだろ、アル」
そう言って、俺は隣で同じように図書館島内部へと侵入(誤字に非ず)してきたネギ達を見ている、アルビレオ・イマへと愚痴を零す。この麻帆良学園では“幻の司書”などと言われている人物であり、一応俺の知人である。
「いえいえ、友人の息子の試験の監督役など努めてしまえば、思わず贔屓をして公平性を欠いてしまうかもしれないので」
「本心からそう思ってるならそのニヤニヤ笑いを止めてからもう1度言ってみろ」
終始ニヤけながら話す変態へと苦言を呈するも、やはり変わらず胡散臭い笑みを浮かべ続けるばかり。その腹が立つほど想像通りの表情に顔を俯かせ溜息をつくと、ますますニヤニヤ笑いを深くする気配が感じられた。
今までの会話から察しているかもしれないが、現在俺は学園長から出された課題の為に図書館島へとやってきたネギの試験監督をする為、同じく図書館島へとやってきている。
ちなみに現在はこの図書館島地下へと根を張っている変態、アルビレオ・イマの住処にいる。魔法使いの試験とはいえ、先ほどアルが言ったように他の見習い達に比べれば抜きんでた実力を持つネギの試験なので、のんびりとティータイムと洒落こみながら見守ろうと考えた、というのがここにやってきた理由だ。
ここの主であるアルは、終始絶妙なラインでイラッとさせられることを無視できれば上等なお茶と菓子を出すので、落ち着いて観戦するなら最適なのである。……ある、のだが……
「なんで余計なのがあんなについて来てるんだよ……」
「小太郎君同様、助っ人として呼んだのではないですか?」
「本当にそう思ってるならこっちを見て言ってみろってんだよオラァン!」
自分の発言に対する俺の反応に、ついに顔を伏せて肩を震わせ始めるアル。某魔法使い少年に倣ってバジリスクの牙でも突き刺してやろうかコイツ。
『あぶぶ、やっぱりマズイですよアスナさ~ん。これは僕の試験ですし、何より魔法のことを何も知らない人達をこんなに連れてきちゃって……』
『だいじょーぶ、私達はアンタ達の保護者よ、ほごしゃ。それにコタは最初から連れてくるつもりだったんでしょ? だったら私達がいてもいいんじゃない?』
『こ、小太郎君は魔法側の人ですし、魔法使いにはパートナーがいるのが当たり前だから問題ないんですっ。でもでも、アスナさん達は一般人ですよ!?』
『そういう訳で俺がついてくんはええんや。でもなアスナ姉ちゃん、これから俺らが行くんはカタギの女ぞろぞろ連れて行くようなトコやないんやで?』
『そんなこと言ってコタ、アンタ、クーちゃんとの勝負で引き分けたって世界から聞いたわよ?』
『う、ま、まあ菲部長は兄ちゃんと稽古してるんもあって一般人離れしてるし、大丈夫って気がせんでも……』
『小太郎くーん!?』
おいカタギに言い負かされてるんじゃねえよ小僧共。
「フフフフフッ、見事に押し切られてしまいそうですねぇ、御二人とも」
「楽しそうにしてないで手伝う気が……あるわけ無いか。あーったく、しょうがない、行ってくるか」
ネギ達はともかく、こちら側の都合でその他6人を危険に晒す訳にはいかないので、何があっても即対応できる場所で待機する必要がある。
まあ、コタが言ったようにカンフーや他にも忍者など割と曲者揃いなので放っておいてもいいんじゃないかな、といったことも思わなくもないのだが、一応の責任はあるのでしょうがない。こっそりと気配を消して後を追うことにしよう。
……のんびりお茶しながらネギ&コタの珍道中を見て笑わせて貰うつもりだったのに、どうしてこうなった。
「おや、行くのですか? ではせっかくなので私からも何か1つ」
「何がせっかくだか知らないけどおとなしくしてろください」
コイツもうホントに焚書していいんじゃないかな。
・幻の司書
ロリコン、胡散臭い笑顔、変態という三重苦を背負う古本司書。なお本人はまるで気にしていないどころか率先して他人を煽る愉快犯の模様。
一応の知人ではる主人公はちょいちょいお茶会に招待されるが、その度に絶妙に神経を逆撫でされるので割と本気で焚書を決意しかけたこともあるとかないとか。
・試験監督
日頃から面倒を見ているということからそのまま監督に。のんびりやろうなどと考えていたようであるが余分なオマケのせいで初っ端から頓挫する。頑張れ主人公、負けるな主人公!
・某魔法使いの少年
秘密の部屋!
実はもう少し長かったのですが、6000字とこの小説にしては長すぎる文字数になりそうだったので2~3話に区切ることとしました。
正直2巻分までは早く終わらせたい。俺が一番書きたいのはここじゃないんだ……ッ!
あ、続きはそう時間を置かずに投稿させていただきます。では!