ま、まあ変に中途半端になるよりはいいよね!(開き直り)
2月24日午後8時48分
後書きの『
『ギャーッ!? こ、これは、私の嫌いなニンニクやネギーッ!? き、貴様ら親子は本当に揃いも揃ってーッ!!!』
『ふふ、しかもこれはただのニンニクやネギじゃありませんよ! 世界さんの別荘の薬剤庫にあった対吸血鬼用に育成された特製のものです!!』
『あ、あのバカ弟子ーッ!!!』
『ああ、マスターがこんなにはしゃいで……素晴らしいです世界さん(REC)』
「…あ、あれ俺がそのうち姉ちゃんへの仕返しの為に使ってやろうと思って研究してたヤツだ」
学園都市大停電当日、つまりネギと姉ちゃんの決闘当日である今日。夜までの時間を何事も無く過ごした2人は、約束通り、大停電が始まり姉ちゃんの封印を一時的に解除できる夜8時に激突した。
と、いっても最初はネギが最強モードの姉ちゃんと茶々丸の主従に良いように遊ばれている、という一方的な展開だった。ネギも自分1人だけじゃなかったらここまで一方的に攻撃を喰らうようなこともなくまだやりようがあっただろうが、どうもあてにしていたコタはこの段になっても決心がつかなかったようで、仕方なく自分1人できたらしい。
コタも普段はそんな風に悩むような性格でもないのだが、やはりそれだけネギを強くライバルとして意識しているということだろう。助けあうよりも高め合いたいということだ。まあこれはどちらかしか選べないということでもないのであるが、未だ小学生でしかないコタにそこまで求めるのも酷であるというものだろうか。
と、いうわけでパートナー不在で世界最強クラスに挑むことになったネギだが、原作通りに学園都市の端にある橋まで姉ちゃんと茶々丸を誘導し、捕縛結界に嵌めるという戦法を取った。これで終わりなら原作同様に対結界を意識し姉ちゃんが用意しておいた、茶々丸の『結界解除プログラム』で詰みだっただろう。
しかしそこは原作とは一味違った成長をしてみせた我が居候。姉ちゃんと茶々丸が結界に捕らわれるやいなや、まだ俺のバトルフェイズは終了していないぜ! と言わんばかりに2人を罠を張っていた部分ごと抉って風の魔法で持ち上げ吹き飛ばし、別地点に用意しておいたらしいニンニクやネギがたっぷりと浮かんだドデカい水溜まりに叩き落とすという暴挙に出た。
しかもアイツ、台詞を聞いてみたところ、どうも俺の薬剤庫からちょろまかしをしてきたらしい。それも俺がそのうち姉ちゃんへの日頃の恨みを晴らしてやろうと密かに研究・育成していたニンニク・ネギをである。
まあ、元々いつか使ってやるつもりだったんだし結果オーライ……じゃねーよ。何の準備もしてなかったのにここで使われたらまた地獄の手合せ耐久コース直行じゃねーかよどうしてくれるんだ。
あと茶々丸、大嫌いなものに狼狽えまくってる姉ちゃんを嬉々として録画してんじゃねーよ。姉ちゃん泳げないんだから早く助けてやれよ。
「お前はあの別荘でいったい何を育てているんだ……」
「アイヤー…さっきまで良いようにエヴァにゃんに追い詰められていたネギ坊主が、今度は逆に良いようにエヴァにゃんを追い詰めているアル」
ちなみにネギ達が当人たちにとっては大真面目な決闘、傍目から見れば何かの漫才かと考えるような光景を展開してる今、俺が何をしているかというと。姉ちゃんが最強モードで暴れる機会なんてそう無いし、せっかくだからということで普段、氣の使い方の修行を見ている古に裏の世界の頂点の1人の力を見せてやろうと思い、そしてついでにと武道四天王のその他3人を誘って5人で決闘を観戦している最中である。
古も裏世界の最強の一角の戦いが見れるということで大いに気合いをいれてきたのようなのだったが、たった今ネギがとった作戦に気が抜けてしまったらしく、勉強時に分からない問題に当たった時に見せるようなアホ顔で見たままの感想を述べている。ごめんね、せめて俺が注意しておけばよかったね。
あと刹那、俺だってもうちょっとマシな使い方をするつもりだったんだから、そんな呆れ顔でこっちを見られても困る……。
『茶々丸キサマァ!? バカなことをしとらんでさっさとこの捕縛結界を解除せんかぁーッ!?』
『…しょうがないですね。結界解除プログラム始動。……すみません、ネギ先生』
『な……え!?』
そうしている内にやっと姉ちゃんが茶々丸に2人を縛り付けていた罠を解除させる。茶々丸も一瞬残念そうな様子を見せたものの主に逆らってまで続けたいことでもないらしく、大人しく姉ちゃんに従い、続けて背中のブースターを展開し姉ちゃんを抱えて水溜まりから脱出した。ネギもまさかあの捕縛結界をこうも簡単に解除できるのかと、勝利を確信していただろう分余計に驚きを隠せないようである。
『ふぅ、ふぅ……。フ、フフ。15年の苦汁を舐めた私が、この類の罠になんの対処もしていなかったと思うか? ――この通りだ』
『…そ、そんな……!?』
『私も詳しくはわからないんだけどな。科学の力って奴さ。
――さて、いったいどうしてくれようかこのガキ……!?』
『……く、くぅうッ』
そうして罠から脱出した姉ちゃんは、多分サウザンドマスタ―に良いようにやられた過去も相まってか、凄まじい魔力をその身から吹き荒らし始める。
対するネギは泣き言こそ言わないものの、あの一見ふざけまくっていたようにしか見えない作戦だけに賭けていたのか、それとも他に罠があってもさっきのように茶々丸に対処されてしまうと考えたのか。何もできないまま歯を食いしばり、姉ちゃんから発される魔力の圧に耐えている。
「乾坤一擲であったでござろう策を破られた以上、このままではネギ坊主の負けで勝負アリでござるな」
「そうだな。しかし世界、ネギ先生は相手が
普段通りの糸目のまま戦場の様子を見て、これで決着かと言う楓と、流石にこれで終わりではないだろう、と普段の自分の観察眼を信じているのか、そう言ってネギの行動について俺に聞いてくる真名。確かにこのままなら成す術が無くなったネギの敗北で終了だろうが、そうは問屋が卸さないだろう。
「いや、このまま1人ってことはないぞ。たぶん、そろそろ来るはず……来た来た」
「ん? あれは……なるほどね、そういうことか」
『ネギーッ!』
『兄貴ーッ!』
『コ、コタロー君! それにカモ君も!』
『フン。このまま姿を見せず終わりかと思えば……やはり来たか、犬上小太郎』
そうして自身の大嫌いなものが浸かった水溜まりに叩き落とされる、という屈辱的だろう罠にかかった姉ちゃんがネギにトドメを刺そうとしたまさにその時、ようやく決心がついたのか、コタが肩にカモを乗せて決闘の場に全速力で走っていくのが見えた。
『おら行けやカモ!』
『任せろ、俺っちの力を見せてやるぜ! オコジョフラーッシュ!!』
「うおらァッ! 行けや狗神ィ!」
そのままの勢いで決闘の場に乗り込んだ2人は、まずカモが原作通りに茶々丸の視界を一瞬眩ませ、続けてコタが狗神を数匹解き放ち、視界を塞ぐようにさせることで同じように姉ちゃんの視界を一瞬眩ませた。
もちろんそんなものでどうにかなる我が姉ではないので一瞬のうちに狗神たちを蹴散らすが、その一瞬がアレば2人と1匹が姿を隠すには十分だったようで、上手い事物陰に隠れてしまった。
「? なぜ小太郎さんがこの場に…待てよ、西洋魔術師……パートナー……
――まま、まさか!?」
「お? せっちゃん今ナニを想像したの? ねえねえムッツリせっちゃん何を想像したのー?」
「!? ち、ちが、そんな。ウチ、キスがどうこうなんて」
「ムッツリアル」
「ムッツリでござる」
「ムッツリだな」
「お、お前たちィーッ!」
そんな様子を見ている内に、なにやら刹那が良からぬ妄想を膨らませていたのでここぞとばかりにからかう俺と、それに便乗する3人。しかし刹那がムッツリなのはいつものこととはいえ、その手のもいけてしまうとは。触覚メガネの毒電波に犯されでもしたのだろうか。
「だ、だから違う。これはあくまで西洋魔術師についての知識から来る、いわば至極当然の考えであって「はいはいわかってるわかってる」ならこっちを見ろ世界ィ!」
などとせっちゃんの可愛さを引き出し堪能している内にカモが『
『いいかネギ、ただでやってやるわけやない。あくまで俺とお前はライバルなんやからな、これは貸しや。この先いっつもお手手つないで仲良く、ましてや女と
『うん、それでいいよコタロー君。来てくれて、ホントにありがとう』
『よし、じゃあ行くぜ! 『
どうやら普段から一緒に戦ってやるわけじゃないからな! 勘違いするなよ! というツンデレ理論武装をすることに決めたらしいコタがその旨をネギに向かって言い、それに対してネギが頷く。
そうしてカモが、俺が2人が『
え? キス? ショタ同士のそんなシーンとかごくごく一部しか需要が無いからね。少なくとも俺は絶対に見たくないです。(真顔)
『ふん、ようやく出てきたか。…さて、こうしてお前たちガキ2人が揃った今、ようやくいつぞやの借りを返せるわけだな』
『はんっ、真祖ゆーてあんま俺らをナメてかかってくると怪我するで。こちとら普段からアンタ程じゃないゆーても、山ほどバケモノ相手に修行してるんやからな! やったるで、ネギ!!!』
『うんっ! ラス・テル・マ・スキル・マギステル――!』
『来い、ガキども! リク・ラク・ラ・ラック・ライラック――!』
そうしてついに、ネギと姉ちゃん、コタと茶々丸が互いに魔力や氣を迸らせ、周囲にその余波を撒き散らしながら激突を開始した。
○ △ □ ☆
「――まあ、姉ちゃんが最強状態ならこうなるのはわかってたんだけどな」
「う、う~ん……」
「や、やっぱ最強状態の真祖つええ……」
「ふん。最初から本気を出せていれば、この私がたかだか10年しか生きていないようなガキ2匹に負けるものか」
といっても真正面から戦えば万全の状態の
とにかく決闘が終了したので俺も現場へと赴く。大停電が終わったことにより姉ちゃんは再び封印最弱状態に戻ってしまっているので、俺が後始末をする必要があるからだ。
「途中の罠は乙女相手にどうかと思ったアルが、それでもよくやったアルよネギ坊主」
「うむ。それにコタローも、ああも変幻自在な戦い方をする茶々丸殿相手によく健闘したでござるよ」
「そうだな、本当によく見事だったよネギ先生。…まあ、そこのムッツリは君たちが奮闘している横でよこしまな妄想を膨らませていたがな」
「いつまでその話題を引きずるつもりだ真名ァ!」
俺と一緒に決闘を観ていた古、楓、真名、刹那もそれぞれネギとコタにねぎらいをかけることにしたらしく2人へと近づいて行った。ただ刹那だけはまたもイジられていたけども。もう【刹那=イジると輝く】は友人一同の共通認識なのではないだろうか。まあ不憫だとは思うが、それ以上にイジられてる最中の刹那が可愛くそして楽しいのでみんなやめられないのだろう。実際俺も超楽しいし。
「世界、それもこれもお前が余計な混ぜっ返しをするからだな「ハイハイせっちゃんカワイイカワイイ」かかかかかかわっ!?」
「お疲れさんネギ、コタ。どうだった、最強の魔法使いとの決闘は」
「最初に勝てたのは本当にラッキーなだけだったんだなって……」
「てっぺん目指すんならまだまだ修行せなアカンゆーことがよーくわかったわ……」
とりあえずまずは、と姉ちゃんの足元に倒れ伏し、満身創痍といった状態の弟分たちにこの決闘の感想を聞いてみると、意外と元気そうな返事が返ってきた。まあ怪我も無いよう倒されたみたいだしそう不思議なことじゃない。そう思って我が姉を見やると、フンッ、と鼻を鳴らして返された。
「で、だ。負けた以上はネギ、お前は姉ちゃんに血を吸われなきゃいけないわけだが」
「わ、わかってます。決闘して負けたんですからそのことに文句なんてありませんよ」
「ちょ、ちょい待てや兄ちゃん! そんなことされたら俺が何のためにコイツと
「落ち着けコタ。そもそも最初から姉ちゃんネギの血を飲み干す気とかないから」
「えっ」
「は?」
「まあ簡単にいうと、解除ならともかく正常化ならそこまで大量の血はいらないってことだ」
俺も姉ちゃんの弟子を長い事やってきた以上、姉ちゃんを15年にもわたって苦しめ続けた『
その結果わかったことは、本来『
恐らく、ただでさえよくわからない変テコな呪いをかの
「と、いうわけで別にお前の命までは取らないってことだ。まあさっき言った通り、正常化するなら幾らかは必要だから割とガッツリ吸われるけどな。
じゃあそういうことで、姉ちゃんどうぞー」
「うむ。……大人しくしていればすぐ済むから、暴れるんじゃないぞ、ぼうや」
そう言って、「ガブッ、ヂュウウウウウウウウウウ」と人体から血を吸い上げる時に聞こえてはいけない音を響かせながらネギの首元に噛り付き血を吸い始める姉ちゃん。何やらネギが悲鳴を上げつつビクンビクンし始めているが、済まない。まだまだ序の口なんだ。
「あ、姉ちゃんが吸い終わったらこっちの試験管4本分ぐらい貰うから、頑張れよーネギ」
「ひぎぃいいいいい!?」
「……なんや、色々と釈然とせーへんのやけど」
「ま、まあ、ここは兄貴が生きていられるってことでハッピーエンドでいいじゃねえかコタロよ」
そーそーハッピーエンドハッピーエンド。ほらーもっと気張れよネギー。
・ネギ君、父に倣う
麗しき父への愛に読者もホッコリするはず。
・主人公、どれだけの設備を持っているん?
そのスペックでもって稼いだ収入のほぼ全てを注ぎ込んでいるので、割と凄まじいものだったり。なお現在も拡大中。
・せっちゃんカワイイ
【仮契約→キス→いやらしいこと→妄想→ムッツリ→せっちゃん】という連想が執筆中浮かんできたので、せっかくだからとせっちゃんカワイイしてもらう為、せっちゃん及びお友達に登場願うことに。
・せっちゃん、もうタツミーを真名って呼んでるの?
主人公が間に入ることによって原作より早く名前を呼ぶようになったという裏設定が!
・晴れて2人はパートナー
この辺を書いている間はおもしろかったり苦しかったり。コタローのツンデレは割と書いてておもしろい方だったかも
・『
この呪い、原作での説明が僅か2行ととても短くて本当によくわからないうえに、呪いをかけた本人のテキトーっぷりも合わさって考察が割と面倒でした。楽しかったけど。
ちなみに正常化云々はただ単に
・今度の卒業と同時に自動的に解呪
・授業の範囲なら麻帆良学園都市外に出ることも可能
というものです。
と、ゆーわけでー。第2章しゅーりょー! わーパチパチー。
主にこの章で力を入れたのは『ネギの原作とは“若干”違った成長について』と、『ネギと小太郎の仮契約について』でした。そこのあたりが読者の皆様に上手く伝わっていれば幸いですが、どうでしたでしょうか。
ついでに言っておくと、そんな章の趣旨的に主人公が表立って活躍する場面がほとんどなかったので、主人公の縁の下でのサポートぶりや色々なヒロインとの絡みをあいだあいだに挟んで描写してみました。
色々大変でしたが、特に苦労したのが口調や呼称。途中何度も何度も原作を読み返し、「このキャラどんな風に話してたっけ」なんて焦りながら何冊も開いては放り出しの繰り返し。おかげで2つ3つなら印象的なシーンを何巻なのかというところからページ数までそらで言えるようになってしまった……。
まあそんな苦労の甲斐はあったのか、幾人かのヒロインの再現度に関しては満足いく描写ができたと思います。
え? じゃあその幾人かのヒロイン以外は? ……こ、これからの作者の成長に期待ということで。(震え声)
では今回はここまで。次回からは新章となります、お楽しみに。
あ、感想も引き続きドンドン送ってくださいねー!