「フフ、フフフ、フハハハハハハハハハッ! 一、十、百、千、万、十万、そしてそして……百万ッ!
――ッシャアアアア―ッ! これでしばらくは財布を見ていちいち溜息を吐く日々とはオサラバだぁーッ!」
学園祭終了後の振替休日、俺は超と共にプロデュースした『ちゃおえもんと秘密のダンジョン~大火星探検団~』の売り上げが収まった通帳を見て抑えきれぬ高笑いを響かせていた。
といっても勿論超一味との山分けであり、その他にも自身の趣味などにつぎ込んでしまったのでかなり目減りはしたがしょうがない。魔法関係の市場、それも俺が満足レベル出来るレベルの代物を購入するとなると最低でも桁が7はするのだ。
が、その残額だけでも一般の学生基準で遊ぶにしてもしばらく困らないだけの金額を確保することができた。ゲームを遊びきれないほど大量に買うとか中坊なら一度は夢見るバカな使い方すら今の俺なら可能なのだ。うはぁ、夢が広がりんぐ。
「さぁ~て、振込も終わったことだし……そういやもう昼飯時だな。ここは普段は近づくことすら出来ないようなお高いお店n「随分と景気が良さそうだねェ旦那?」
――誰だッ!?」
「学園祭売上ぶっちぎりの1位を取って嬉しいのはわかるけど、こぉ~んなところで叫んじゃうのは不味かったかな~♪ ……で、億、だって? その辺この私にも少し詳しく聞かせてもらえないかな~♪」
「か、和美!?」
テンションMAXでいざ昼食へと赴かんとした俺の背後からかけられる声に振り向いてみれば、そこにいたのは麻帆良のパパラッチと呼ばれ、その飽くなき真実への探求心という他人からすれば迷惑極まりない信念のもと、美味しいネタがあればどこにだろうと姿を現す我が友人、朝倉和美だった。
「お、お前なんでこんなところに!? ここは散歩部の中でも一部のエースしか知らない秘密の裏路地だぞ!?」
そうだ、先ほど和美は「こんなところで」と言ったが、今俺たちがいる場所は麻帆良でもごく一部、それこそ散歩部などという奇特極まりない部活をやりこんでいるような人間でしか知らないハズの裏路地なのである。いくらコイツが麻帆良でもかなりの情報通とはいえそう簡単につきとめられる場所ではないのだ。
「そうだねぇ、確かにこんな場所私は知らなかったよ? でも、忘れたの? ウチのクラスにはそんな穴場すら虱潰しに探し当てるようなのと1年間ずっと部活を一緒にやってた双子がいるんだよ~?」
「あんのロリ双子ぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
犯人は俺と同じ散歩部のエースでした。アイツら、いったいどれだけ俺から貪り取れば気が済むんだ……ッ!
「でー、今は風ちゃん史ちゃんの情報のもと私ら女子中2-Aの有志でアンタを探してたってわけ。イヤー持つべきものは甲斐性のある男子のトモダチだよねぇー♪」
「だ、だが待てッ! それを言うなら俺とあのダンジョンを共同開発した超こそ真っ先にお前らが食いつくターゲットになるんじゃないのか!?」
「その超はもうとっくに姿を晦ましちゃったよ。もちろんアタシも最初は超から取材させてもらうつもりだったんだけど、流石に天才、1年間クラスメイトやってただけあってこういうことになるのは最初からわかってたんだろうね。
で、一度姿を晦ましたが最後、あの超なら次姿を現した時には間違いなく私らじゃ今回得た売り上げには手出しができないようにしちゃうだろうから、もう片方から取材させてもらうことにしたわけよ♪」
学園祭での相棒すら俺の味方ではなかった。ゴッド、貴方どれだけ俺が嫌いなんですか。
「グッ、裏切り者め……ッ! ていうかお前さっきから取材取材言ってるけどそれって間違いなく普通の取材じゃないだろッ!?」
「やだなー、ちゃーんとした普通の取材だよ。……ただ取材場所がJOJO苑になるってだけで」
非常にいやらしい笑みを浮かべる和美。今にも私は実は悪の女幹部なのだとか言いそうな笑みである。……というか待って、今物凄く聞き捨てならない店名が聞こえたんだけど。
「ちょ、超高級学食だとッ!? ふざけんな、そんなトコロで食い盛り花より団子の女子中学生ほぼ1クラスなんかに奢ったら一気に売上の残りがトんじまうだろうが! 俺の取り分はもうほぼ全て趣味に突っ込んじまったんだからたいして残ってないんだぞッ!?」
「うわー、昨日の今日でもう億がほぼスッカラカンとか、相変わらず金遣い荒いね世界っち。でーも、それは世界っちの自業自得だし、私たちにはそんなこと知ったこっちゃないんだよなー♪
――ねえ、ゆーな、パル、春日、柿崎?」
「そのとーり! やーっと見つけたにゃ、世界っち。今日はもう寝かさないぜ~?」
「やー、女友達約30人に高級学食で奢りだなんてさっすがモテる男は違うねぇ世界君?」
「ナハハハハ、それに加えてウチのココネにも奢ってもらえるそうで。この施しの精神、きっと天上におわす我らが主も喜び過ぎて一緒に奢られに来ちゃうんじゃないかなー!」
「あ、ちなみにこの路地の外も武道四天王の4人が固めてあるから今更逃げようとか思わない方がいいよ~?」
「」
もたもたしている内に四方を固めているのは女子中2-Aの中でも今一番会いたくない4人であった。オマケに周囲の気配を探ってみれば確かに強力な気配が4つ。それに加えて多数の覚えのある気配がこの場所に向かってくるのを感じた。
そして、トドメとばかりに感じる強大過ぎるその気配……学祭期間限定でこの麻帆良に満ちる世界樹の魔力によって力が回復している我が姉のものであった。ふぁ、ふぁっきん!
そうしているうちにもジリジリと距離を縮めてくる5人。な、何かないのか。四天王はともかくとして今の姉ちゃんを出し抜く何か……ダメだ。何も思い付かない……ッ!
「「「「「さあ、観念しなさーいッ!」」」」」
あ、やめて来ないで。だ、誰か助けて。ハイエナが、飢えた
・主人公の金遣い
神代の魔法使いの末裔とかいういくらでも金を荒稼ぎできそうな存在でありながらやたらと普通の中学生みたいに貧苦に喘いでいるのが目立つ理由がコレ。早いところその財布を握る人間が現れないとそのうちあっという間に破産しかねない。
・麻帆良のパパラッチ
うひゃー、残り僅かとかいっといてコレとか、ホンットこいつ規格外だよねー♪
主人公とは初の報道部活動で調子に乗り過ぎて厄介事に巻き込まれたのを機に知り合う。
その時目撃した麻帆良学園の最終兵器の強さからその後度々取材活動時のボディーガードを頼むようになり、気の置けない付き合いをするようになった。それがどの程度の気持ちなのかは今はまだ語られない。
・男子学生の夢
みんなもそういった大金が手に入ったらとにかく遊び倒してみたいっていうバカな妄想をしたことがあるじゃろ? え、無い? またまたご冗談を。
・超高級学食JOJO苑
原作での麻帆良祭でもその名が出ていた超高級学食。主人公の影響で火星ロボ軍団VS魔法騎士団なんてことになるのか、かなり怪しくなってきたためここで使用。生憎飢えた女子中学生の餌食になったのは原作のゆーな☆キッドさんではなく主人公だったが。
学園祭ネタを引っ張るつもりはなかったが、色々と使い勝手がよさそうなので引き続き使用。
今回はこのまま2-A約30人が出席するパーティの模様とか描いてみようかと考えたが、作者の技量ではとても描けないと気づき断念。許してください。
お詫びと言うわけでは決してないが、その1部として次回はある3人組と主人公との絡みを描くので、できればお楽しみください。
では今日は日曜日なのに朝が早い作者はもう寝る。おやすみ!