Hightension School Jo×Jo   作:尾河七国

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七夕で願った事……一ヶ月投稿ペースをなんとかしたい。

はい、プール回3発目をどうぞ。



第41話《プールでのお約束事 その③》

 過程がかなりぶっ飛んだ内容だったものの、一同は漸くプール掃除を終えた。朱乃が魔法を使って水を投入。いよいよ待ちに待ったプール先取り遊泳である。しかし…

 

 

「あれ、ジョジョ君は?」

「そういえばさっきからいませんわね…。誰か見かけましたか?」

「いや、俺は見てないっす」

「我も」

『ニャー』

 

 

 丈城だけがその場にいなかった。辺りを見渡してみるが姿はなく、やってくる気配も感じない。きっとトイレか更衣室にでも行ったのだろう。この時リア達はそう考えた。

 

 その時である。

 

 

「……プールになにかいます」

 

 

 小猫がプールの水面を指差し、その異変を周囲に知らせた。

 先程入れたはずのプールの水。その中央に泡沫がいくつも浮き上がっていた。はじめは一つ二つ程度だったそれは、やがて勢いを増してボコボコと吹き出す。

 

 

「朱乃先輩が入れた時って……なにもありませんでしたよね? プール槽の中って」

「ええ。排水溝から空気が……というではなさそうね。どう考えてもあの勢いはおかしいもの」

 

 

 たしかに水を入れる寸前までなにもなかった。それはこの場にいる全員が認知している。だが依然として吹き出す泡は一向に止まらない。

 

 すると

 

 

(♩〜某イルカ刑事登場BGM)

「んっ!?」

「なに? この音楽は…」

 

 

 今度は校内放送から流れる、某イルカに乗った警視の登場音楽。すぐにボリュームが下がったと思いきや、聞き覚えのある人物の高らかな口上が述べられる。

 

 

『フッフッフッ! 冴えるスタンドパワーは伊達じゃない! 仲間を愛し、正義を守る! 誰が呼んだかスタンド使い、キュ〇レンシルバーは蛇使い!』

 

 

 その口上と共に吹き出す泡の中から浮かび上がる人影。風に還った戦士のアピールポーズのまま、偽キャプテン・テニールのスタンド『暗青の月(ダークブルームーン)』を従えていたのは、いつのまにか槽内に忍び込んでいたこの男。

 

 

「オカルト研究部唯一にして最強の人間! 兵藤丈城、只今k「どこの土〇ェ門よ貴方は!」メリ〇ダスッ!?」

(ザッパーン!)

 

 

 リアの全力投擲したタワシがクリーンヒットした丈城であった。

 

 

 

 〔駒王学園プール取り決め その⑥『プール槽内でドル〇ィン刑事のものまねはやめましょう』〕

 

 

 ☆☆☆

 

 

「続・前が見えねぇ」

「それって続くものなのですか?」

「どーでもいいけど結局全部お前の自業自得じゃねぇか」

 

 

 ワムウの格好から普通の水着にジョブチェンジした丈城。その顔はサz……もとい、タワシがめり込んでいた。しかしそれでも偉そうに腕を組んで空を見上げている始末。一体どこまで頑丈な体なのだろうか。

 

 

「んしょっと。まぁ色々あったが、とりあえずさっきの頼み事ぐらいはこなさなくっちゃあな。サジ、自由遊泳はそれからだぜ」

「あぁ。リアス先輩直々だから、断るわけにもいかねぇし」

 

 

 タワシを引っ剥がしてそう言う丈城の言葉にサジは顔を掻きつつそうボヤいた。実は二人、今しがたリアからとある事を頼まれたばかりなのである。その内容とは……

 

 

「でも意外だなー。小猫ちゃん運動神経いいから、てっきり水泳も得意だろうとばかり思ってたよ」

「……水は苦手です」

「アーシアは泳ぐ機会なんざなかったわけだし、オーフィスに至っては……どうなんだ?」

「海はある。我、プールは初めて」

 

 

 小猫、アーシア、オーフィスを対象としたスイミングレッスンである。小猫は猫気質のせいか泳ぐ事ができず、アーシアは全くの初心者。オーフィスはそもそもドラゴンのため、人の姿での水泳は勿論初めてである。そこでこの先あるであろう水泳の授業の予習として、丈城とサジがコーチとして抜擢されたのだ。

 

 ちなみに裕斗はゼノヴィアに誘われて、隣のレーンで水泳対決。朱乃はリアと共にプールサイドでくつろいでいた。

 

 

「それじゃあ、まずはプールの縁を掴ませてのバタ足練習からだな。えーっと…」

「サジは小猫を担当してくれ。アーシアとオーフィスは俺が見るわ」

「わかった。でも大丈夫なのか? 二人分はキツくないか?」

「問題ねぇな。それに万一お前が邪なこと考えたとしても小猫ならしばけるだろ」

「……問題ありません。痛くします」

「は、はい…」

 

 

 とりあえず真面目にやろう。そう心に誓ったサジだった。

 

 

 ☆☆☆

 

 

「ベネ(よし)、とりあえず補助つきで25メートル泳ぎきったな。お疲れ様、二人とも」

「……きゅぅぅぅ、疲れましたぁ」

「ぷハッ。結構泳いだ。我、クタクタ」

 

 

 丈城の的確なレッスンの賜物か、アーシアとオーフィスはものの短時間で泳ぎのコツを掴み、まだ補助つきではあるがプールの端から端まで泳げるようになった。一方のサジも気をつけてレクチャーした結果、ノーダメージで習得させることに成功。今は休憩という形で、小猫は木陰で読書を。サジはゼノヴィアと交代して裕斗と競っている。

 

 

「それじゃあ俺らも休むか。結構疲れたろ」

「は、はいぃ」

「ん、休む」

 

 

 二人とも意気込んで泳いでいたため、既にクタクタ状態。木陰のベンチに腰を下ろした彼らは早速濡れた体を拭き始める。先に手っ取り早く拭き終わった丈城は残る二人をバンザイさせて丁寧に拭いていった。

 

 

「はい、おしまい」

「はぅ。ありがとうございます、ジョジョさん」

「ありがとう、ジョジョ」

『ニャッ』

 

 

 ついでに二人の頭を撫でてあげると、さも気持ちよさそうに目を閉じてグイグイ頭を突き出してきた。しかもそれに乗っかってリーフもグイグイ来るもんだから、仕方ないなと交互に撫でてあげる優しい丈城。

 

 しばらく経ち、はたと彼が気づくと二人と一匹は膝枕の体勢ですっかり寝入ってしまった。

 

 

(やれやれ…ま、このまま寝かしといてやるか)

 

 

 丈城は二人を起こさない様に、そっと頭の下にタオルを敷いて脱出。

 とりあえず自販機にでも行こうと歩き出した時だった。

 

 

「うん?」

 

 

 プールの対岸でうつ伏せになっているリアの姿が目に映った。恐らく日光浴でもしているのだろう。シートを敷いて上半身を起こし、こちらに向かって手招きしている。

 気になった丈城は彼女の元へやってきた。

 

 

「どったの?」

 

 

 用件を尋ねると、リアは一本のボトルを彼に手渡して

 

 

「ジョジョ、オイルn「だが断る!」ええっ!?」

 

 

 速攻で断られた。

 

 

「あのなぁ、そういうのは同性同士でやってくんねぇかな? いるだろー? 朱乃っちとかゼノヴィアとかさぁ」

「あら、こういうのは異性がやってこそ意味があるのよ? それに朱乃もゼノヴィアもどこかに行ってしまってここにはいないし、アーシア達は疲れて眠っているでしょう? 光栄に思いなさい。私は貴方にしか異性に肌を晒す事を認めていないのだから」

「やってもいいがスタンド使うぞ」

「んもぅ、相変わらずね」

 

 

 呆れた口調でボトルを返す丈城。心底悔しそうなリアの表情を見る限り、本当にやってもらいたかったのだろう。最も丈城の性格上頼んだところで無駄としか思えないのだが。

 

 オイル塗りが目的とわかり、断った彼がその場から離れようとしたその時だった。

 

 

(ムニュゥゥ)

「ファッ!?」

「ジョォ〜ジョ君♩ 私には塗ってくれますわよね?」

「あっ、朱乃っちぃ!?」

 

 

 丈城の背中にふくよかな弾力と生温かい感触が押し付けられた。驚いて硬直していると、肩口から朱乃の顔がひょっこり。至近距離から見つめるその相貌は真っ直ぐ丈城の目を見つめ、更に耳元で囁くように甘美な台詞を口にする。

 

 

「ジョジョ君だってもういい年ごろですし、女の子についてもっと掘り下げてもいいんじゃないかしら? 清い交際もいいけれど、男の子らしく獣になって、欲望のままに女の子を貪って……ね?」

「出来るかァッ! そらオメェらはいいかもしんねぇけどよォ、まだ純真な子達がいるだろうが! 教育の阻害になるでしょ!」

「……じゃあ二人っきりならいいのかしら? ジョジョ君のどこをどう刺激してあげれば飢えた獣になってくれるのかしらねぇ…。今度お母様に相談してみますわ♩」

「オレのそばに近寄るなああ─────────ッ」

 

 

 先の事件で丈城が命の恩人である『レッド・ホット・チリ・ペッパー』の本体だと知ってから、朱乃が以前にも増して積極的に迫るようになった。隙あらばハグや寄り掛かったり、時にはキスまでしてくる始末。さらにはこの事実を両親にまで報告したというのだからさぁ大変。姫島家をあげて丈城を婿入りさせるプロジェクトが本格的に動き出したという(朱乃談)。

 

 

「ちょ、ちょっと朱乃! 私のオイル塗りが先よ! そ、それにそんな風に私のジョジョを誘惑しないでとも言ったはずよ!」

「ねぇ、ジョジョ君。部長が怖いですわ。私は日頃走り回って疲れているであろう、かわいい殿方の溜まっているものを吐き出させてあげたいだけです」

「俺からすりゃどっちもどっちだよこのスカタン!!」

 

 

 このアプローチに焦りを感じたのか、一足遅れてリアが乱入。即座に立ち上がって朱乃に人差し指を突きつけ、悔しさ混じりの視線をぶつける。

 

 

「朱乃。ちょっと調子に乗りすぎよね? あなた、私の下僕で眷属だということ、忘れているの?」

「あらあら。そんな風にされてしまうと私も困ってしまいますわ。────リアス、私は引かないわよ?」

 

 

 リアの挑発的な態度に感化されたのか、朱乃も丈城からゆらりと離れ、ハイライトを消した相貌で対峙する。一見して物凄いいがみ合いのように感じるものの、首から下と事の発端を知れば迫力が一気に消え失せる。これぞまさしく『意味がわかりませんなぁ』。

 

 

「オイ、お前ら一体何を──────」

「ジョジョはあげないわ。───この (自主規制) 」

「可愛がるくらいいいじゃないの。─── (自主規制) 」

「あなただって (自主規制) じゃないの!」

「あら、そんなこと言うなら今すぐジョジョ君と (自主規制) しますわ」

「ダメよ! ジョジョとの (自主規制) は私が先なんだから!」

「テメェら真っ昼間から何放送禁止用語垂れ流してんだァッ!! 自重しろォッ!!」

 

 

 某眼鏡侍の如く血管を浮かばせながらツッコむ丈城だったが、女同士のバトルは更にヒートアップ。遂には魔力弾を乱発しまくっての大乱闘へと洒落込んでしまう。

 

 

「大体朱乃は男は嫌いだったはずでしょう! どうしてよりによってジョジョと (自主規制) しようとするのよ!」

「そういうリアスだって、男なんてみんな一緒だって一括りにしてたくせに! 都合のいい時だけ彼女ぶらないで! この (自主規制) !」

「ジョジョは特別なの! ジョジョと (自主規制) していいのは私だけなんだから!」

「私だってジョジョはかわいいわよ! それに今の私があるのは彼のお陰でもあるの! そのお礼として (自主規制) を捧げたっていいじゃない!」

「ここでやるなテメーらァァ───ッ! プールぶっ壊す気か破壊神共ォォ───ッ!!」

「おわっ!? 一体何事だ!?」

「ひゃああっ! あ、危ないですぅ!?」

「総員退避ィィ─────ッッ!! プールから避難しろォォ─────ッッ!!」

 

 

 このままでは危険と判断した丈城はアーシア達に呼びかけて、プールから脱出するよう促す。『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』で流れ弾を弾きつつ避難誘導したのち、彼も一旦そこから逃走するのだった。

 

 

 〔駒王学園プール取り決め その⑦『プールサイドでの痴話喧嘩はやめましょう』〕

 

 

(←To Be continued…)

 

 

 




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