大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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お待たせして申し訳ありませんでした。

今回はリメイク版オリジナルのおまけを入れています。


13 足掛かり(+おまけ)

5月18日、『史実通り』現役武官制度が承認・可決された。

しかし、それだけではなかった。これに加えさらに『統帥権政府委任案』と『陸海軍統合戦略会議案』が同時に可決,承認された。

もちろん、これは滝崎からの助言があったからだが、纏めたのは陸軍は永田少将や前田侯爵、海軍は山本航空本部長や堀少将滝崎が連日に渡って様々な角度から調整した物だ。

当初は現役武官制度を認める交換条件として承認してもらう方針であったが、予想通りと言うべきかどちらも陸海軍双方から激しい抵抗があった。特に統帥権問題に関しては当時の『不磨の大典』大日本帝國憲法に触れる問題であった為に議論を呼んだ。

しかし、これを聞いた昭和天皇は異例にも自ら陸海軍省に乗り込み、「前回の軍縮条約時の騒動や天皇機関説騒動、更に515事件や今回の223未遂事件(*)において常に統帥権が纏わりつき、結果は皇道派・統制派の闘争と流血事件であった。これは朕を含めた皆の問題である! 臣民を守るべき軍が統帥権問題で武力を臣民に向けるなどもっての他である!!」と一喝、更に「これを解決する為には『不磨の大典』と言えども時代によって変えねばならぬ時がある。もし、それに不満があるのであれば、朕自ら近衛師団を率いて応じる覚悟がある! 不満がある者は直ぐに退席せよ!」と言われ、反対派はなりを潜め、更に後の『昭和改憲』に繋がる事になった。

そして、『陸海軍統合戦略会議案』については双方の心情的嫌悪感からの問題であったのだが、これも「過去の日露戦役の辛勝は形は違うが、陸海軍の情報共有と意識統一の結果である。いま欧州の雲行きが怪しく、再び戦乱が巻き起こり、それが何らかの形でアジアへ飛び火し、その火を消し去る事が今の状態で可能なのか? 言っておくが、今度は血も涙も無い傍若無人なソ連が相手になるやもしれんのだぞ! 尼港の悲劇を再び繰り返すのか!?」と、これまた語気を激しく昭和天皇が問うた為、自然的に承認される事になった。

 

(*)……223未遂事件とは、226決起(史実の226事件)に向けた部隊配置、並びに決起文の作成などの最終会合が2月23日の夜に行われており、その会合に憲兵隊が突入し、軍民関係者を逮捕した事件。

決起が未遂に終わった為、未遂事件と命名された。

 

 

 

その頃 舞鶴 松島宮邸

 

 

「山下奉文少将の陸軍残留を東久邇宮殿下は決めかねている様だな」

 

東久邇宮殿下からの手紙を読んだ松島宮が滝崎の方を見て話題をふった。

 

 

「なら、返事はイエスだ。確かに山下少将は皇道派だが、その話は終わってるし、彼は有能な人間だ。それより、彼をイギリス・ドイツに派遣して色々と学ばせた方がいい」

 

 

「わかった、返事にそう書いておこう。あっ、叔父様から、溶接工法製作に最適な船舶の問い合わせがきているが?」

 

 

「うむ…そうだな、いきなり大型艦は不味いだろうし…」

 

 

「特型駆逐艦のどれか…ともいかんか?」

 

 

「それはそれで設計図を1から書き直す事になるからな。単純な構造で練習になる、大量生産品は……」

 

そう呟きながら、滝崎は持っていた鉛筆を回す。

そして、ふとその鉛筆が止まった。

 

 

「大型発動機艇…大発、上陸用舟艇なら条件に見合うな。次に二等輸送艦、その次に駆逐艦の設計を流用している一等輸送艦、そして、各種艦艇へ、と移行させたらいいな」

 

 

「わかった。それも返事に書いておくぞ」

 

そう言って松島宮はサラサラと返事を書いていく。

最近気付いたが、さすが皇族家の人間と言うべきか、松島宮は文才豊かである。よって返事は松島宮に任せている。

 

 

 

(おまけ)その頃………………

 

 

一機のスーパーマーリンS4レース用水上機が全速力で垂直上昇していた。

そして、高度3000で上昇を止め、水平飛行に切り替えた。

 

 

「…………狭いわね」

 

ゴーグルを掛けたまま、不満あり気に呟くパイロット。

 

 

「飛び飽きて狭くなったわ。もっと広い海と空はないの?」

 

なんとも贅沢な願いを呟くパイロットである。

 

 

「あっちは地上を走る物だからいいけど、私はもっと広い所を飛んでみたいわ」

 

 

 

これまたその頃…………………

 

 

 

「クシュッ! ん、誰か噂でもしたか?」

 

軍手にドライバーを持ってバイクを弄っていた人物が小さくくしゃみをして顔を上げた。

 

 

「……まさか、また、あのバカな親戚か? まったく、また暢気に空でも飛んでいるのか…」

 

そう呟くと此方もブツブツと呟きながらバイクを再び弄り始めた。

 

 

 

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