大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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長らく更新致さなかった事、すみませんでした!

リメイクなんで色々と変わってます。

そして、滝崎……。


16 西安事件 後編

支那 西安

 

日付が間も無く17日から18日に変わろうとする時、事は既におきていた。

稲作が終わり、野晒しの水田…もちろん、水など入れていない…に屈強な男達が落下傘降下した。

そして、手慣れた手付きで一緒に投下された物量筒を回収し、装備を整えると隊列を組んで歩き始めた。

そして、暫く行くと……目的の蒋介石が監禁されている屋敷が現れた。

寝ずの門番役である兵士達3人が隊列が見えた瞬間、誰何しようとしたが背後から忍びよっていた潜入工作員に口を塞がれ、喉を切られて始末された。

そして、潜入工作員3人は隊列の先頭にいた隊長に現状を二、三言告げ、隊長は隊列の部隊を屋敷に雪崩込ませた。

この不意を突かれた奇襲攻撃に張学良配下の部隊の対応は後手後手に回った。数日経過していた為に襲撃なんて有る筈ない、と思っていた兵士達は寝るか阿片を吸っており、大半の者が急な対応が出来なかった為に容易に崩れた。

ベルクマン系短機関銃と柄付き手榴弾で抵抗を排除、忽ち監禁されていた蒋介石を確保し、就寝中を襲撃されても激しく手足をばたつかせて抵抗する張学良には麻酔薬をタップリ注射し、身柄を拘束した。

そんな中、ある隊員がとある一室から人の気配を感じベルクマン短機関銃を一連射、更に駆け付けつてきた仲間と共に互いに手榴弾を部屋の中に投げ込んだ。

そして、ドアを蹴破り突入してみると、扉の近くに短機関銃の一連射を浴びて死んでいる死体、その奥のソファの後ろに手榴弾が原因で気絶している男を発見した。

この気絶している男、扉の近くで死んだ部下と共に休んでいた周恩来だった。

部下は爆発音に扉の隙間から様子を伺った為に銃撃を浴び、周恩来はソファの陰に隠れたが、投げ込まれた手榴弾により気絶してしまったのだ。

隊員は脈を確かめ、気絶しているのを確認すると周恩来の身柄を外に出した。

そして、暫くすると救出された蒋介石は確保された張学良の自動車に乗って一路近くの飛行場に向かっていた。

 

 

「君達は…日本軍かね?」

 

流暢な日本語で蒋介石は隣に座る機関員に訊いた。

 

 

「はい、今回の一件を不審に思った陛下の意により調査し、陛下に申し上げましたら、『同じ亜細亜の民として助けよ』との命が下りましたので、東久邇宮殿下から前田少将、陸軍三羽烏、石原大佐らの指示により、閣下を救出致しました。ですが、表向きは閣下のドイツ軍事顧問団とその育成兵による救出になっております」

 

機関員はニヤリと笑いながら答えた。

 

 

「なるほど、日本陸軍のトップ達に加え、今上陛下が居られのなら、安心だ」

 

蒋介石も安心した様に微笑んだ。

 

 

「閣下はこのまま戻って頂きます。後の片付けは我々がやりますので」

 

 

「うむ、わかった」

 

その後、蒋介石と張学良、ついでの周恩来に機関員を含めた襲撃部隊は蒋介石傘下のドイツ軍事顧問団ひきいる部隊が確保した飛行場に向かい、直ぐに全員が輸送機に乗り込むと空の人となった。

その10分後、海軍基地航空隊の96式陸攻隊が飛来、飛行場を爆撃し、証拠を綺麗に始末した。

 

 

 

南京に戻った蒋介石は直ぐに国民党臨時幹部会議を開き、自らの無事と共匪(支那共産党)討伐の続行を宣言し、混乱の収拾と方針の再統一を行なった。

また、張学良については背信と自らの拘束、更に共匪と繋がっていた事から地位の剥奪と身柄拘束・監禁の処分を下したのであった。

こうして、西安事件は蒋介石の帰還により幕を閉じた。

そして………支那共産党とコミンテルンの思惑は潰され、支那事変も阻止される事になる。

 

 

 

 

暫くして 京都市内

 

 

京都市内にあるとある料亭に滝崎、松島宮、更に前田侯爵、石原莞爾、山本五十六、そして、拘束後、秘密裏に日本へ連行された周恩来がいた。

 

 

「まったく……まさか、日本が陸海軍合同でこの件に介入してくるとは予想外だった」

 

 

居並ぶ面々を前に日本へ留学経験のある周恩来は流暢な日本語で言った。

 

 

「なに、手を回したのは我々陸軍、最後の片付けを海軍がやっただけだ」

 

 

「だが、まさか国民党にまで話を通していたとはな」

 

 

「要らぬ疑いを掛けられない為にな」

 

 

「それに話の体裁上は国民党が自力で奪還した事になっている。我々は伝を使って手伝ったまでだ」

 

確かにそうだった。

陸軍は支那通の岡村中将他、汪兆銘ら支那国民党要人への伝を使い(軍・政共に日本への留学者が多かった為である)今回の作戦を実施したのである。

 

 

「それで、蒋介石に引き渡さずにこうして日本へ私を連れて来たのは何故かな?」

 

 

「蒋介石奪還が目的で、貴方に関してはついでみたいなものだったからね……どうする、滝崎君?」

 

そう言って石原大佐は滝崎に視線を向ける。

 

 

「さて…軍事素人の毛沢東にとって貴方は朱徳らと並ぶ共産軍の重鎮。既に死んだと思われていても不思議はありませんが…」

 

さすがの滝崎も偶々手に落ちた周恩来をどうするかは考えていなかった。

 

 

「日本陸軍がこんな若者に意見を求めるとは意外だが…言っておくが、私を利用しようと考えるだけ無駄だ。共産党にはソ連の助力があるのだぞ?」

 

 

「……それもそうですね」

 

そう言って滝崎は懐から14年式拳銃を取り出すと何の躊躇いも無く周恩来へと向けた。

 

 

「「「「「な!?」」」」

 

 

「た、滝崎!!」

 

驚く周恩来や前田侯爵ら、更に止めるべく声を上げる松島宮。

 

 

「確かに貴方は要らない。それどころか支那共産党同様、害しかない。貴方によって幾人の洗脳者やシベリア抑留犠牲者が出たか、また、毛沢東がどれほどの民を殺したか、幾人の周辺国の民が苦しんだか、そんなのは『理想の実現』と言うものの前にはどうでもいい事でしょう。なら、既に死んでる事になってる貴方がここで死んだところで何も変わらない訳だ」

冷静に、しかし、何処か冷徹に淡々と言葉を述べる滝崎に周りは兎も角、こう言った場を何度もくぐり抜けた筈の周恩来は何故か言い表せない恐怖を感じていた。

 

 

「まあ、どれだけ言葉を積んでも意味は無いでしょう。実の弟、愛する義理の娘、かつての仲間や部下達の逮捕指令書に毛沢東の権力を示す為にサインする事になる事実を知る前に死ねば代わりの者が…」

 

 

「ちょっと待て! 娘が…孫維世(ソンイセイ)の逮捕命令にサインするとはどう言うことだ!?」

 

 

「貴方が国民党との内戦に勝って暫くしたのちの1960年代後半から70年代後半までの約10年の間、支那では『文化大革命』と言われる『破壊・殺戮』活動が行われました。そんな中、女優である貴方の養女孫維世は『反乱の疑い有り』として、『貴方のサインした』逮捕指令書によって逮捕・監禁・拷問死した。その背景には毛沢東の女癖の悪さ、更に妻で元女優の江青(コウセイ)の嫉妬となってますが…まあ、旦那も妻も死体の山を築きますから、屑には変わりないですな」

 

 

「…………まて、なんでそんな事を…しかも、未来の事を…」

 

 

「それはね、彼がさっき語った事の更に30年も後の世から来た『未来の人間』だからだよ。彼のお陰で西安や君らが計画している事はお見通しだったのさ」

 

周恩来の質問に答える山本五十六。

それに唖然とする周恩来だった。

 

 

 

暫く後の松島宮・滝崎の会話

 

 

「冷や冷やさせるな。まあ、確かに殺す気満々の目をしていたがな……まさか、本当に撃つ気だったのか?」

 

 

「初弾の装填はしてあったから、後は安全装置外して撃つだけだった」

 

 

「………恐ろしい奴め」

 

 

 

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