あくまでも私見ですが、『船霊・艦魂=艦娘』ではないかと思っています。
故に好き嫌いの話とは言え、『艦これ』や『アズレン』等を邪見にする気は毛頭ありません。(実際、両方で提督してるし)
なお、次号はとある有名人が出ます。
夜 戦艦加賀艦内 小澤少将私室
小澤少将の誘いに応じ、滝崎と松島宮は小澤少将の私室前に来ていた。
「小澤少将、松島宮と滝崎、参りました」
「おぉ、構わん、構わん。入れ入れ」
滝崎の声掛けに中の小澤少将から入る様に促される。
ただ……
「なあ、滝崎。明らかに私達以外に呼ばれた者が複数いる様子だが?」
「うん、話し声がするしね。しかも、ほぼ全員、女性の声ぽいね」
促されても入りにくい理由。
それは他に人がいる事よりも、『居ない筈の女性の方々』がいる事。
「……艦外から芸者を呼んだ…訳ないよな?」
「乗艦させた時点で一騒動だよ。まあ、いつまでも入らない、は失礼だし、入るとしよう……不安だけど」
流石に『入らない』と言う選択肢は無いため、滝崎と松島宮はドアを開ける。
すると………
「どうだ、霧島。今度の演習の下地だが…」
「えーと…長門さん、基本はこれでよいと思います。ですが…」
「長門、こっちの案件の事だけど…」
見知らぬ3人の『女性』が滝崎達の事などそ知らん顔で目の前の『案件』に掛かりきっていた。
「その様子だと、ハッキリ見えても聞こえている様だな」
前回持って来た日本酒を片手に小澤少将が言った。
「え、あ、はい。バッチリ、ハッキリくっきりと」
「その様子ですと、殿下も見えているご様子…いやいや、すまんすまん。試すような事をしたな」
「いえ、今更な気もしますし…ところで、彼女達はいったい…?」
こちらの事など気にもせず、先程と同様、何かの案件を議論している『彼女達』を横目に見ながら滝崎は気になっている事を訊いた。
「うむ、まあ、君ぐらいなら話は聞いた事はあるだろう? 船霊(船魂・ふなだま)と言う存在は?」
その言葉に全てを察した滝崎は慌てる。
「あ、いえ、確かに話ぐらいは…しかし、前世でも、今までも見えては……」
「さあ、私もそこまでは解らんよ。多分、神職や坊さんが扱う領分だろう……だが、君の場合は日本を思う心が、何かしらを引き寄せたのではないかな?」
「なるほど……松島宮が見えるのは…なんか解る」
「えっ、なんで?」
「女性で皇族だから」
「ふむ、なるほど。納得だ」
「……なぜ、微妙な気持ちになるんだ?」
自分だけ見えた理由が簡単な事に微妙な表情を浮かべる松島宮。
そんな中、小澤少将の隣に道着姿の『女性』が現れた。
「小澤少将、酒の肴の件ですが…失礼しました。後で…」
「おう、加賀か。別に気にするな。それより、何度か話した2人だ。しっかりとお前達が見えてるぞ」
小澤少将の言葉に『加賀』と呼ばれた女性は此方が『見えてる』事に気付いたらしく、そのクールな表情は崩さないながらも、素早く敬礼をする。
「失礼しました。加賀型戦艦一番艦、兼ねて第一艦隊旗艦『加賀』の加賀です」
「はっはっは、まあ、少し硬い奴ではあるが、優秀だ。互いに肩を並べて戦う事になるだろうからな。喧嘩なんてせんでくれ」
小澤少将の言葉に苦笑いを浮かべて頷く2人に対し、加賀は『戦う事になる』と言う言葉に反応する。
「やっぱり…最近、戦闘を意識した演習が多いと思ったら」
「おいおい、言葉の綾だ。そう過剰に捉えんでくれ」
「本当ですか? どうも、そうは思えませんが…第一航空戦隊との合同演習はともかく、年末に配備される新型空母が所属する予定の第二航空戦隊との演習も予定していると聞きましたけど?」
「そりゃあ、そうじゃあないか。本格的な正規空母だから、天城達と違う事もある訳で…」
いつの間にか加賀に対する小澤少将の釈明になりつつある状況に何とも言えない2人。
そして、そんな状況にも関わらず、例の3人は此方をフル無視で案件の検討にご熱心だった。
「御二人に関しては小澤少将から予々…天城さんの所にいらっしゃったとか」
小澤少将の釈明が終わったと同時に例の3人との打ち合わせに入ってしまった為、2人の相手を加賀がしていた。
「山本次官の紹介で堀司令へ会いにです」
「そうですか……先日、次官付きを拝命したそうですが、その割には、特に最近、御二人のお名前をよく聞く気がするわね」
「「あはは、なんでだろうね~?」」
苦笑いタップリなハモり発言しか出ない。
「それに、扶桑さん達の改装も第四艦隊の一件からだけど…その頃から、御二人のお名前を聞く様になった気が…でも、御二人はまだ兵学校生ですから…」
「「さぁ~~??」」
思いっきり介入している(滝崎がだが)のだが、誤魔化しになっているかも怪しい誤魔化しで話を流す2人。
「じゃあ、これで頼む。ふう…加賀、待たせてすまんな。肴の件だが、頼む」
「わかりました。一旦、失礼します」
打ち合わせが終わった小澤少将の頼みを聞いた加賀がそう言って消えた。
「すまんな。旗艦ともなれば、自然に耳が良くなるからな」
「いえいえ、大丈夫です。それにしても、小澤少将が見えたと言う事は…」
「まあ、察しの通りだ。それに、今回は山本さんに会わせてやってくれと言われたからな……さあ、そんな話は無しだ。加賀が戻って来たら、肴を摘まもうじゃないか」
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