軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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18話

誰かが言った…かじるとまるでさくさくと揚げたてのポテトチップそっくりの葉っぱが生い茂るポテチの木、 ポテ木 があると…

朝になると流れる川も滝も泉もすべて新鮮で甘酸っぱいとろとろのヨーグルトになる不思議な島、 ヨールグ島 があると…

世はグルメ時代…いくなる味を求めて、探求する時代…

フグ鯨を捕獲するため、砂浜の洞窟にやって来たキョウ達。その途中、洞窟で一番厄介な猛獣デビル大蛇と出会ってしまった。それと同時に、一緒にいた筈のトワの姿も消えてしまい、キョウはサラとアンゼリカにデビル大蛇を任せ、姿を消したトワを探しに走った。

 

キョウ「クソッ!どこにいるトワ…」

 

洞窟は広く複雑な為、捜索は困難な状況である。だが、それは普通の人間の場合だ。

 

キョウ「仕方ねぇ…近くに猛獣の気配や臭いは感じない。なら…スゥゥ…」

 

大きく息を吸うキョウ。説明すると、キョウの強さはこの世界最強とも言われる八王の強さより上である。八王の中には、息を吸うと周囲の酸素は一気に奪われ真空状態になる。当然、八王以上の強さを持ってるキョウも、本気で吸えば半径数十キロは真空状態になる。だが、何故ならないのか。それは、神様がしてくれたノッキングで力を封じてくれてるおかげである。ノッキングされている状態ならば、息を吸う量は普通の人間より少し多いくらいだ。なので、大きく息を吸っても周囲に影響はでない。最も、普段からキョウは滅多な事がない限り空気は吸わない。こうやって技を使うときのみなのである。

 

キョウ「エコーロケーション・反響マップ!」

 

超音波で、洞窟内の地形を調べる。すると、2つの動きを感知した。1つはトワで、もう1つは大人の男だ。

 

キョウ「なるほど。トワを囮にして、自分は安全にフグ鯨を捕獲するって事か。チョーシにのってるな」

 

居場所を見つけたキョウは、急いでその場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トワside

 

 

トワ「む~!むむ~!!」

 

「安心しろ嬢ちゃん。お前はキッチリ猛獣の餌になってもらうからよ」

 

口を塞がれたトワに、男はそう言う。それを聞いたトワは、恐怖に怯えていた。そのまま奥に進んでいくと…

 

 

 

 

 

 

 

ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"ロ

 

 

 

 

 

 

 

先程とは別のデビル大蛇が現れたのだ。

 

「マ、マジかよ!」

 

トワ「む~!!」

 

「へへっ、おらよ!」

 

すると男は、トワをデビル大蛇の方に投げた。

 

「悪いな嬢ちゃん!精々そいつの餌になってくれよ!」

 

そう言い、男は洞窟の奥に走っていく。だが、こういうパターンの場合、ろくなことが起きるはずもなく…

 

「うわああああああ!!」

 

逃げようとした男は、デビル大蛇にやられたのであった。男を食したデビル大蛇は、今度は反対側にいたトワの方を見る。

 

トワ「あっ……」

 

当然トワに、デビル大蛇を倒せる訳がない。それ以前に、戦闘自体が得意ではないので、その場で脅え固まっていた。

 

デビル「ぎゃおおおおおおおおお!!!!」

 

トワ(に、逃げないと…でも、足が…動かない。助けて…アンちゃん、サラ教官…助けて…キョウ君!!)

 

デビル「ぎゃおおおおおおおおお!!」

 

デビル大蛇はトワに襲い掛かる。トワ自身も駄目だと思い目を瞑る。すると、何処からか声が聞こえてきた。

 

『蛇が。チョーシにのるなよ』

 

デビル「!!?」

 

トワ「キョ、キョウ…君」

 

聞こえてきたのはキョウの声だった。ゆっくりと目を開くと、トワの目の前にキョウが立っていた。

 

トワ「キョウ…くん…」

 

「遅れて悪いなトワ。少し待ってな」

 

そう言うと、キョウは懐からノッキングガンを取り出し、自分に打ち込む。すると、キョウの体はどんどん大きくなり、高さはデビル大蛇と同じになった。

 

トワ「……」

 

初めて見るキョウの姿に、トワは言葉を失い呆けていた。

 

「さて、悪いがさっさと終わらせてもらうぞ…フン!」

 

キョウは素早く持ってたノッキングガンをデビル大蛇に打ち込んだ。ノッキングをされたデビル大蛇は、動けなくなりその場で倒れたのだった。

 

「ノッキング完了。まぁ、1日経てば元通り動けるさ」

 

そう言いつつ、自分にもかけてたノッキングを解除し、普段の大きさに戻った。

 

「無事か?トワ」

 

トワ「キョウ君…キョウ君!」

 

キョウの言葉に、トワは安堵になりそのまま抱き付き泣き出した。

 

トワ「うええええん!恐かったよ!本当に…死んじゃうかと」

 

「悪かったな。恐い思いをさせて。けど言ったろ?何があっても守ってやるってよ」

 

トワ「グスッ…うん!」

 

洞窟に入る前に言われた言葉を思いだし、泣きながらだが笑顔になるトワであった。

 

「さて、サラ達の所に戻るか」

 

「その必要はないわよ」

 

戻ろうとするキョウだが、奥からボロボロだがサラとアンゼリカがやって来た。

 

アンゼリカ「トワ!」

 

トワ「アンちゃん!」

 

2人は互いに抱き合う。まぁ、アンゼリカだけは半分下心あるけど。

 

「何とか無事みたいだな」

 

サラ「本当になんとかよ!あんたの方は、相変わらずね。見事なノッキングだこと」

 

「ま、伊達にノッキングマスターって名を言われてなからな」

 

ノッキングされたデビル大蛇を見て、サラは皮肉っぽくキョウに言うのであった。


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