異形のバースト・リンカー『凍結中』   作:羽島羊

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漸く物語が大きく動きだします。
此処まで長かった・・・それではどうぞ!




安土城での激戦からの3年経ち僕もレイちゃんも年5生になった。

 

ブレイン・バーストは相変わらずの毎日無制限中立フィールドでエネミー狩りやダンジョンの探検をしている。

 

 

 

 

そしてとある夜僕とレイちゃんの家でご飯を食べテレビを見ながら雑談をしている。

 

「じゃあご両親明日帰ってくるんだ。」

 

「うん、大体3年ぶりかな?詳しい事は忘れちゃったけどね。」

 

そう明日どういう訳か僕の父さんと母さんが帰ってくるのだ。

 

「そうなんだ、確か悠君のご両親はお医者さんだったっけ?」

 

「そうだよ、前に話したと思うけど滅多にこっちに来る事はなくてね、大抵病院の自分達の部屋か研究室で寝泊まりしてだよる。

 

連絡もたまにメールで来るんだけどそれも内容はテストや成績の事ばかりだよ。」

 

僕の両親は2人共医者で同じ病院に勤めて同じ研究をしたりあちこち飛び回ったりしているので実に多忙でか顔を合わせて会する事なんて1年に数回しかない、それも先程の様な勉学についてばかりだが。

 

それからも話しを続けていると22時になっていたので帰る事にした。

 

「それじゃあまた明日ね。」

 

「うん、バイバイ。」

 

レイちゃんと別れ家に帰り眠りについた。

 

   

 

 

 

 

 

 

翌朝学校に行く為に玄関を出る、父さん達が帰ってくるのは時間的に昼位だろう。

そう考えながらロビーえと降りレイちゃんと一緒に学校に向かう。

「父さんと母さん明日の朝までこっちに居るって言ってたから悪いけど今日はレイちゃんの家には行けないんだ、ごめんね。」

「気にしなくていいよ、それよりも折角の家族みずいらず何だから。」

そう言ってくれるレイちゃんの気持ちは嬉しいが・・・。

「みずいらず・・・か。」

僕の中では両親と言うのは何て言うか・・・複雑だな。

 

 

 

時間は経ち学校が終わりいつもと同じおうにレイちゃんと一緒に帰りエレベーターで別れ自宅へと歩くがその足取りは何故かいつもより重い。

 

そして自宅の前まで来て意を決して玄関の扉を開ける。

 

 

靴を脱ぎリビングへと向かうとそこにはテーブルに座り幾つ物仮想デスクを開いた両親がいた。

 

「・・・ただいま。」

 

「悠か・・・思ったより遅かったな?」

 

「あら悠・・・お帰りなさい。」

 

「・・・・また何かの研究?」

 

「ああ、だがまだお前には早い。」

 

「そうよ、もっと勉強して早く私達の為に研究の手伝いをするのよ。」

 

「・・・・(ぎりっ)」

 

3年ぶりに会ったというのに2人共話す時最初に一瞬僕を見ただけで後は相変わらず仮想デスクから目を離さずにいる。

 

「所で悠学校の方はどうだ?」

 

「それはどう言う意味?」

 

「勿論成績の事に決まっているでしょ?」

 

「・・・常に学年1位はキープしているよ。」

 

「ならいいと言いたいがたかだか学年1位で満足してもらっても困るがな。」

 

「そうよ、もう少ししたら彼方も中学受験なんだから、もっと頑張るのよ。」

 

「分かってるよ。」

 

「ならいいんだが、さっき窓から外を見た時に丁度お前の姿が見えてな、そしたら誰かと一緒にいるのが見えてな。

で、相手はどういうのだ?」

 

「友達だけど。」

 

この時点で父さんの話し方に沸々と怒りが沸いて来た。

 

「そんな事は聞いていない優秀なのか聞いているのだ。」

 

「成績は僕と同じ位だよ。」

 

「・・・そうか、ならいい。

優秀な人間なら将来の役に立つからな。」

 

「役に立つ?」

 

「そうだろう、優秀な人間とのパイプは早い段階で作っておいた方が後々利用出来るからな。」

 

「その通りよ、さっきの子が優秀なら将来きっと彼方の役に立つわよ。」

 

「彼女は物じゃない!!」

 

もう我慢の限界だった、さっきから僕やレイちゃんを物としか見てない言い方が我慢ならなかった。

 

「?、何を怒ってるから知らんがその娘とは仲良くしておくんだぞ、将来の為にもな、昔から言っているから分かってると思うがお前は将来私達と同じ医者になるのだぞ。」

 

「これからも私達と同じ医者を目指して頑張るのよ。」

 

「(これ以上此処に居たく無い!)」

 

そう思い自分の部屋に逃げ込むかの様に入って行く、大丈夫だとは思うが一応部屋の鍵を掛けて加速コマンドを唱える。

 

「アンリミテッド・バースト!!」

 

 

 

風化ステージ内に有る町の建物が先程から次から次に崩壊していく、その原因を作っているのは先程から手に持つ鎌で手当たり次第に破壊を繰り返すスカルだった。

 

「くそっ!くそっ!くそっ!」

 

ダイブしてからそれなりの時間が経過しているが一向に怒りは収まる気配は無い。

 

「(僕は!僕は一体何の為に生きているんだ!?)」

 

両親と同じ医者になる為に?、前の僕なら何の疑問を抱く事は無く言われたとうりにそうしていただろう。

 

だが今はそう思わない、考えられるのはとレイちゃんと出会って今までに感じた事の無い色んな感情が芽生えたからだろう。

 

彼女と出会わなければ今の僕は無いだろう、だから余計に怒りが湧いてくる憎しみが湧いてくる・・・。

 

「うああああああ!!」

 

その後も暫くの間スカルは湧きあがる感情を目の前の建物にぶつけ続けた、そして何時しか体から薄暗い青色の光が発せられていたがスカル自身がそれに気付く事は無かった・・・。

 

 

 

 

 

 

両親との再会から数日荒れていた心も落ち着き以前と変わらない毎日を過ごしている。

 

今日も学校の昼休みの時間にレイちゃんと対戦をしたりしていると突然担任の先生に呼ばれ一緒に来るように言われた、特に心当たりは無かったが言われた通り先生に付いて行く。

 

先生に連れられ職員室の隣の校長室に入ると校長先生がソファーに座っていた、反対側のソファーに座る様に言われ座ると先生も校長先生の隣に座る。

 

「夜神君落ち着いて聞いて欲しい。」

 

校長先生がそう言って話し始める。

 

「先程警察から連絡があってご両親の居た病院で火事が発生してその火事に巻き込まれてご両親が今意識不明の重体で現在病院に緊急搬送され先ほど亡くなられたたそうだ・・・・。」

 

「え?」

それを聞いた時最初に浮かんだ言葉がそれだった。

 

「信じられないかもしれないが・・・。」

 

「どういう事ですか?」

 

そう訊くと先生が今朝のニュースであろう映像を見せてくる。

 

「今朝未明愛知県内の大学病院で火災が発生し現在消防隊による決死の消化活動が行われていますが火の勢いは治まらず今も激しく炎が燃えています!

現在数名が大量の煙を吸って現在意識不明の重体で近くの病院に緊急搬送されましたが以前取り残されている生存者もいるようです。」

 

そこで映像は終わっていた。

 

「ご両親共今病院に着いた時にはもう・・・。」

 

頭が真っ白になる感じがした。

 

その先先生が何を言っていたのかは覚えていない

とりあえず今日は気持ちの整理をする為に早退するよう言われマンションの自室のベッドの上で横になってる。

 

何もする気が無くただ寝転がっているとどの位時間が過ぎたのかいつの間にか日が沈み暗くなっていた。

「もう夜になってたんだ。」

 

ベッドから起き上がり簡単な夕食を作るが食欲があるはずもなくほとんど食べずに終わった。

再び自室に戻ろうとするとニューロリンカーに着信の知らせがあり出ると東京に住んでいるお婆ちゃんからだった。

お婆ちゃんと両親の中が悪かった為数回しか会った事がないがとても優しい人だ。

 

「もしもしユウちゃん、久しぶりね。」

 

「はい、ご無沙汰してます。」

 

「お父さん達の事は・・・。」

 

「はい、聞いています。」

 

「そう・・・大丈夫てそんな訳ないわね。」

 

「いえ、大丈夫です。」

 

その後も少し話をして細かい手続きなどはしてくれるにと葬儀の日程が決まったら連絡してくれるという事で話が終わり自室に戻りベッドの上に寝転がる。

 

何をする訳でもなく唯寝転がっているだけなのも駄目だと思い無制限中立フィールドに行こうとコマンドを唱えるが行けず疑問に思っているとニューロリンカーがグローバル接続されていない事に気付き接続しもう一度唱える。

 

「アンリミテッド・バースト。」

 

 

 

 

 

 

 

ステージは世紀末ステージだった、近くにある車やドラム缶は炎上しているので夜なのにほのかに明るい。

 

久しぶりに1人で来る無制限中立フィールドは何だか思ってたよりも寂しい感じがした。

 

いつも一緒に来てるカノンがいないで1人というのは何だか寂しい感じがした。

 

「父さんも母さんも2人共もういないのか・・・ふっあははははは!!。」

 

そう思うと何故か笑いが込み上げてきた、これがいけない事だと分かっていても抑える事が出来なかった。

 

「そうか2人ももういないんだ・・・ならもう医者になる必要も2人の言いなりになる事も無い!

僕はやっと自由になれたんだ!?。」

 

そう言って再び笑い出すと僕の体のあちこちから薄暗い青色の光が発せれるが・・・。

 

「その力を使っちゃ駄目!!」

 

上の方から聞こえた声はこの2年間で最もよく聞いた声だがそれが今聞こえるはずがない、そう何故なら此処に来る事は彼女に言っていないのだから。

 

しかし顔を上げ声の聞こえた方を見ると街頭の上に器用に座るレイちゃんがいた。

 

何故?どうして?、そう考えてるうちに跳び下りてこちらに走って来て行き成り抱きついてきて此方が何か言う前にカノンから切羽詰まった有る意味悲鳴の様な声が飛び出した。

 

「スカルに何が有ったのか分からないけどその力を・・・怒りや憎しみで心を壊しちゃ駄目だよ!!」

 

「壊す・・・心を?」

 

「そうだよボクはもう見たくないんだ、大切な友達の心が壊れて人じゃなくなる姿なんて!!」

 

 

カノンの声と共に僕の体から発せられていた光も消えていった、そしてカノンと向かい合う形で座っている。

 

 

「聞かせて何があったの?」

 

「・・・父さんと母さんが死んだんだってさっき学校で先生に教えてもらったんだ、そしたら悲しいより嬉しいの感情が出きたんだそしてさっきに至るんだ。」

 

僕の説明を聞いてカノンは間違いなく激怒するだろうと思ったが反応は違った。

 

「スカルは・・・ユウ君はご両親をもしかして憎んでいたの?」

 

「・・・そうだと思う、昔から周りの子は楽しく遊んだりしているのに何で僕だけって思ったり、なりたくもない医者を何で目指さなくちゃいけないんだろうって何度も考えたからね。」

 

「・・・知ってる?加速世界の姿デュエルアバターの姿がどうやって決まるのか?」

 

唐突に聞かれ一体何故と思いながらも答える。

 

「そんなのランダムで決まるんじゃ・・・。」

 

「それは違うよ、ボクの強化外装が銃であるのには理由があると思うんだ。

それはバーストリンカー本人の心の傷トラウマなんだよきっと、だからカーマイン・カノンの武器も銃なんだよ・・・。」

 

「心の傷トラウマ?」

 

それなら余計に納得出来ない、今の日本の状態からしてレイちゃんと銃に何の接点が有るだろう。

 

「・・・目の前で殺されたんだ母さんを。」

 

「なっ!?」

 

「前ボクの母さんが死んだっって言ったよね。」

 

「それは聞いたけど殺されたって?」

 

「母さんも刑事でね父さんと結婚してボクが生まれる時に引退したんだ。

それでボクが5歳の時にちょうど母さんと2人で出かけてた銀行が強盗に襲われたんだ。」

 

「もしかして・・・。」

 

「そう、犯人はかなりの興奮して何時人質が撃たれてもおかしくない状態だったみたいでね、

母さんはその銀行強盗を取り押さえようとして殺されたんだ。

だからボクの強化外装は銃なんだよ・・・ボクの怒りと憎しみを形にしたのがリベンジャーなんだよきっと。」

 

そう言った瞬間顔を俯け両手の拳を握りこむ。

 

レイちゃんの過去を聞いて唖然とするしかないがそれでも納得出来ない事が有った。

 

「じゃあ、僕はどうなの?僕はこれといったトラウマも心の傷も無いけどこんな奇妙な姿だよ!

さっき言った事が本当なら僕にも何かしらトラウマがあるはずだよ?」

 

「解らないよ何故その姿が生まれたのかは本人しか解らないからね、だけどユウ君にも心当たりは有るんじゃない?」

 

「心当たりなんて・・・もしかして父さんと母さんにたいする怒り?」

 

「今の所考えられるのはそれしかないね。」

 

冷静に考えれば幾つかの疑問が解決する。

 

「・・・そうか、そだったんだ。

この姿はレイちゃんの言う通り死神型のデュエル・アバターなんだよ!

他者の命を救う医者とは正反対の他者の命を奪う存在、そしてあの吸収アビリティも相手から体力つまり命を奪うのも全部父さんと母さんへの反抗心から生まれたものだったんだ!」

 

「だから、だからさっきあんなに強い負の心意が出て来たんだ・・・。」

 

「心意って?」

 

レイちゃんから発せられた聞いた事の無い単語が出てきたので尋ねると少し渋る様な表情をしたが答えてくれた。

 

「心意って言うのはボクも詳しくは知らないけど要するにイメージの力かな、とても強力な力でイメージする事によってシステム以上の現象を引き起こす力のことだよ、かつてボクの友達も負の心意が暴走した為心が壊れてしまったの・・・。」

 

「もしかして僕から出ていたあの光が心意?」

 

「そう、しかも怒りや憎しみを糧とするマイナスの感情からなる負の心意だよ。」

 

「じゃあもしあのまま光が出続けていたら僕も暴走していたの?」

 

「それは分からないけどとにかく負の心意は絶対に使っちゃ駄目だよ。」

 

今までの説明であの光がとても危険な物だと分かったが同時に幾つかの疑問が生まれた。

 

「分かったけどさっき負の心意が有ると言うことは他にも心意は有るの?」

 

「あるよ負の感情とは反対の勇気や希望と言ったか感情からなる正の心意って呼ばれるものが。」

 

「レイちゃんは使えるの?」

 

「使えなくはないけど心意を習得・使用には自らのアバターを創り出した「心の傷」と向き合わななくちゃならないんだ、そして乱用すると心が闇に呑み込まれて心が壊れちゃうんだ、ファルがそうだったよに・・・。

 

「心の傷と向き合う、だけど出来るのそんな事?」

 

それに対して首を振って答える。

 

「分からないよ、けど・・・だけどある人が言ったんだ「我々バースト・リンカーはその心の傷を乗り越えなくてはならない」って、それを聞いて気付いたんだ。

いつまでも後ろを向いていちゃ駄目だって、前を向いて進まなくちゃって。」

「だけど僕はそんなに強くはないよ・・・レイちゃんみたいに・・・。」

 

すると再び行き成り抱きしめられる感じがした。

 

「レイちゃん?」

 

「大丈夫、ユウ君ならきっとのり越えられるよ、だから今はいいんだよ我慢しないで全部出せばいいんだよ。」

 

「何が?・・・・。」

 

「たとえユウ君が御両親の事が嫌いだったとしても悲しくは無いはずだよだから自分の心に正直になって。」

 

その温かい声を聞いたとたん仮想世界では流れるはずの無い物が頬を伝って地面に落ちていった。

 

「あれ?悲しくないはずなのに・・・何で?」

 

それから僕は暫くの間レイちゃんに抱きしめられながら泣き続けた。

 

 




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感激です!!次は目指せ40件これからも少しづつですが頑張って更新していきます。
皆さま本当にありがとうございます!!

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