新天地東京
あれから数日生まれ故郷を離れ東京へと来ている。
そして今は名古屋駅からリニアを乗り東京駅へと移動し改札をくぐりホームへ出るとあらかじめ待ち合わせをしていたお婆ちゃんと合流し車で東京駅のある千代田区からお婆ちゃんの家のある世田谷区まで行く。
車の助手席から東京の景色を覗くと名古屋よりも都会的な風景が目に留まる。
今はニューロリンカーのグローバル接続を切っているので乱入される心配はないこれもから忠告されていた事の1つだ、そう考えてると運転席のおばあちゃんが声をかけてきた。
「今日はやけに混んでるねえ、いつもはもっと順調に流れるんだけど。」
「そうなんですか。」
「そうだよ、この分だとまだ着くまで時間かかるから眠くなったら寝ててもいいよ。」
「ありがとうございます。」
そう言われて寝ようと思ったがせっかく都心にいるので対戦しようと思いニューロリンカーをグローバル接続し加速する事にした、おばあちゃんに聞こえなうように小さく加速コマンドを唱えた。
「バースト・リンク。」
加速して対戦者リストを見ると10人以上のバーストリンカーの名前が表示された。
リストを見ながら自分と同じレベルの人を見つけたのでその人に対戦を申し込む事にした。
その人の名前をクリックすると直ぐに周りの景色が変わると同時に僕の姿も黒いフード付きマントを身に付けたサファイア・スケルトンへと変わる。
ステージは月光ステージのようで辺りは夜のように暗い、これがレイちゃん以外で初めての対戦かと思っていると周りから声が聞こえてきた。
「何だあいつ?、見たことないタイプのアバターだぞ!」
「オレ一瞬エネミーに見えたわ。」
「何か恐そうだね〜。」
「この辺じゃ見かけないね、ニュービーかな親は誰だろ?」
「でもレベル5だからニュービーじゃないと思うようよ?」
という声が聞こえてきたので周りを見てみると近くの建物の屋上に20人位のアバターがいた、彼等がギャラリーなのだろうと周りを観察していると前の方から走ってくる人影が見えた、青色でごつい感じの姿にそれに合った大きな斧を持ったアバターだった。
「俺様に挑むとは良い度胸だな、それに見かけない顔だな、何処のレギオン所属だ?」
「・・・・・。」
何処と聞かれても未所属なので答えようがないんですがと思っているといきなり持っていた斧で攻撃してきたので避けるためバックジャンプして距離をとる。
「俺様に対して無言とは生意気な奴だな、いいかオレはいずれレオニーズの幹部になるバーストリンカーだぞ!、そのオレに対してその態度気に食わないな、何処の馬の骨か知らんがオレが対戦の厳しさを教えてやるよ!」
彼がそう言うと周りのギャラリー達は「またか。」や「かわいそうに。」などといった声がした、その内のギャラリーの1人が声をかけてきた。
「気をつけろよー、そいつ大口たたくだけあって強いぞ。」
そう言うわれて気合いをいれ背中に有る鎌を抜き姿勢を低くし戦闘体制をとる。
「へっ来ないならこっちから行くぞ!!」
大きな斧を構えこちらに向かってくるのを横に移動して避けるが避けた瞬間に斧を横に薙ぎ払ってきた為とっさに避ける事が出来ず近くの建物まで吹き飛ばされる。
「うわっ!」
「たいしたことないな、ホントにレベル5かよ。」
やはりAi思考による一定のパターンで動くエネミーと人間の意思の有る動きでは違いが有りすぎる、対人戦の経験が浅い今の僕では長期戦になれば明らかにはこちらが不利になる、ならば・・・。
「おらいくぞ!!」
振り下ろす斧を横に流して避け後ろに回り相手の無防備な背中目掛けて鎌を振り下ろす「ぐっ!」体が大柄で動きが遅いので体制を整えられる前に数回鎌で斬り付ける。
「この、調子にのるな!!」
が思っていたよりも早く体勢を立て直して手に持つ斧で反撃してきた。
「喰らいやがれ!!」
しかし、それを身を屈める事で避け無防備な足目掛けてすかさず足払いをする。
「のわっ。」
狙い通りに急に足を攻撃され勢いよく頭から転んで後頭部を強打してしまった。
頭を打って無防備になったので相手の両足を持ち勢いよく回しはじめる。
「てめぇ放しやがれ!!」
ダメージから回復して意識を取り戻されて直ぐにそう言われたので放すと遠心力により空に向かって飛んでいった。
それを追い掛けるようにジャンプして空中で鎌を連続で何度も攻撃してとどめに回転しながらがら空きの腹に蹴りをたたき付けると相手は地面に向かっていき地面と衝突した。
着地して体力ゲージを見ると僕が20%、相手は40%ほど減っていた。
「思ったより頑丈みたいだね。」
相手の方を見てみると立ち上がり斧を構えていた。
「クソが!、だがな本番はこれからだやっと俺の必殺技ゲージが溜まったからな。」
確かにゲージは満タンになっていた、対する僕の方は半分位しか溜まっていない。
「いくぜ、ワイド・スラッシュ!!」
必殺技コマンドを叫ぶと同時に斧を振るうと少し遅れて斬られたような痛みが僕を襲った、相手との距離は5、6メートルは離れているので直接斧で斬られた訳ではないようだ。
どうやって攻撃されたのか考えていると笑い声が聞こえてきた。
「驚いたか!俺の必殺技は例え距離が離れていようと関係ないんだよ!」
恐らく衝撃波のようなものだと思われるが・・・どうするか。
「終わったな、あいつ。」
「ああ、あの必殺技のせいで何人もやられたからね。」
ギャラリーからは既に諦めムードが出ているがこの位の危機的状況ならレイちゃんと戦ったり一緒に行ったダンジョンの方が3倍くらいヤバい、しかしあの技をどう攻略するか、仮にあの技が衝撃波だとするとその衝撃波は目視する事はできないので避けるのは難しい、だが・・・・。
「おらさっきまでの威勢はどうした!」
そう言うと再び先程の技を使い攻撃してくるが、跳んでかわしそのまま持ち前のスピードを使い一気に接近する。
「なっ!?まぐれで避けた位で調子に乗るなあ!!」
何度も見えない斬撃を放ってくるが例え見えなくても斧の振り方を見ればある程度は斬撃の来るタイミングは分かるのでタイミングさえ分かってしまえば避けるのは難しくない。
放たれる全ての衝撃波を避け一気に間合いを詰める。
「なっ!?何で当たらないんだよ!?
「せやっ!!」
自慢の衝撃波を避けられ一瞬呆然とした為迎撃しようとした時には既に遅く胸目掛け何度も鎌で斬りつける。
「ぐっ、この!!」
躍起になって斧を振るうが僕の機動性を活かしたフットワークに翻弄され当たらず全て空振りする。
ならばと距離を離そうとするがその巨体の為移動スピードが遅く余裕で追いつけてしまう。
「何で?この俺がこんな奴にいいいい!!」
大声と共に斧を大きく横に振リ回すが既に見切っている。
「必殺技に頼りきって慢心した人に負ける程僕は弱くはありませんよ!」
「せやぁぁぁぁぁぁ!! 」
掛け声とともに鎌を相手の首本めがけ鎌を振り下ろす。
「この、くそがああああ!!」
一閃
最後の言葉と同時に鎌が彼の首と胴体を切り離し彼の体力ゲージは一気に0になった。
僕の強化外装デスサイズは切断能力の一点に特化した鎌でありどんなに硬い装甲だろうが一閃する、何故ならそれが死神の鎌だから・・・。
「ふう。」
初めての対戦に何とか勝利する事ができた、リザルト画面が表示され10ポイント加算された、確認すると同時に直にバースト・アウトする。
理由としては初めての対戦で凄く緊張したからだ、意識が現実に戻ると現実の時間では2秒にも満たない時間しか経っていないが初めての対戦で少し疲れたのか眠気が襲ってきたのでお婆ちゃんの家に着くまでの間少し寝させてもらう事にした。
こうして僕の初対戦はなんとか勝利を得る事ができたので凄くうれしかった。
一方対戦終了後ギャラリーにて
「おいおい勝っちまったよあの骸骨、何者だあいつ?」
「さあね、でも久々に見たぜあいつの負けた所。」
「なんかスカっとしよね。」
などと各々対戦の感想を言いながらバースト・アウトしていく中まだ最後の一人がいた。
「ふむ、中々面白そうな奴が現れたな、素性は分からんがあのバカを倒すほどの実力か・・・。」
少し思案したがとりあえず自分のやるべき事は決まっている。
「一様我らが王に報告しておこう。」
そう言って最後の一人もバースト・アウトしフィールドには誰もいなくなった