オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
薄暗い通路を漆黒のパイロットスーツ姿の少年がゆっくりと歩く…謎の女性P.Tに誘われた場所に来て二年…家族の仇、管理局地上本部《大東貴一》への復讐を糧にココでの力を得るために血の滲むような努力をし続けた。もともとのMSパイロットの才能もあったが自らが研究していた技術の提供が上に認められたからだ
火星、マーシャン急進派…地球と縁を斬るべきと唱える彼らに協力し遂に力の象徴を作り出した……
(……ぼくは…オレは力を得たよ……大東貴一、Gspirits隊……おまえたちに復讐してやる)
長い通路をぬけた眼前に黒く塗りつぶされたMSが現れる……DSSD、オーストレルコロニーから盗み出した《Δ》のデータ、少年の研究を用いて生み出した復讐の形…
ーエクシェスー
急進派が推し進める《軍神の矢》計画の要でありフラッグシップ機を見上げ搭乗用タラップに乗り上昇、ハッチに手を触れる。瞬く間に上下に解放、セーフティーシャッターが収納。パイロットシートがせり出すと身体を滑り込ませた。各種点検項目に目を通した
Gunnery
United
Nuclear
Deuterion
Advanced
Maneuver
盗用技術で作られたエクシェスはザフトの最新鋭機のを改良したOS積まれている、それを最適化、モニターが展開しデッキが映し出され静かにリニアカタパルトへハンガーごと移動を始めた
(……………エクシェス…まずはアキダリアを落とす……アグニス・ブラーエ、急進派にとってお前は邪魔なんだよ………それが終われば次は大東貴一、Gspirits隊。お前たちだ)
ーエクシェス、発進スタンバイ。リニアボルテージ上昇……ー
アナウンスが響く中、最終チェックを終えコントロールスティックを握りしめる少年…もう迷いはない…復讐の為に情けは捨てた…大東貴一への復讐が終われば死んでも構わない。みんなのいない世界に生きていたって仕方ないから…その揺るがない決意に応えるように発進スタンバイ完了の電光掲示が光る
「………アレス・ルセディス、エクシェス…でる!」
復讐の翼が今、羽ばたいた
「……じゃあ始めるかマルス」
「わかった……」
朝靄の中に佇む二体のMS…マルスが駆るアストレイ・エクシェス、対するのはナガスミのウイングガンダム、バスターライフルの砲身に長い開放型のバレルが三機囲むよう装着され外観を別なモノと変えている。エクシェスは左手にシュベルトゲベール《グラム》、右腕に《ドラグ・リム》と呼ばれる楯?を装備してる
「とった!いくぜ!!」
まず、動いたのがナガスミ。互いに距離を取りながら飛翔。照準マーカーが動き重なるとバスターライフルを構え引き金を引く。凄まじいまでの高エネルギー収束帯であるビームがそのままエクシェスを飲み込もうとする
PHASE-28.5「揺れる旋律の大地」side:ASTRAY
「くっ!」
コントロールスティックを傾けギリギリで回避しながら反撃に移るべく加速。瞬く間に間合いがつまりグラムの刀身基部が稼働、カートリッジが二回吐き出されレーザーの刃が輝きをまし横へ凪払うように斬りつけるもかわされ、再び距離が開く
「今までのバスターライフルと威力が桁違い過ぎるだろ……」
「……あと二発…バスターライフルへの新装備、威力は計測値を予想値を上回ることを確認……性能テスト及び完熟訓練継続……いくぞエクシェス」
あまりの威力に声を漏らすナガスミ、先日ロウに整備してもらったウイングガンダムを見にきてバスターライフルに追加装備されていた
ーん?これは宇宙で拾ったんだけどさ~オレのレッドや連合、ザフトの規格に合わなくてな。お前のウイング整備してたら似た規格だらけでさ、もしかしてと思って組んでみたんだ…まあ、試しに使ってみてくれよ。使いづらかったら外すけどさ、名前はドライツバークだー
バスターライフルのバレルに追加されたドライツバークのカタログスペックとロウの腕に驚きを隠せなかった…が、すぐに気を引き締め目の前にいる相手、マルスが駆るエクシェスに集中する
(………コレがあのマルスかよ?)
シュベルトゲベールを持ち滞空しながらこちらを見るエクシェスとマルスの鋭い眼がツインアイと重なる…傭兵とは聞いていたがこうして対峙すればいやでも事実だとわかる……知り合いになって間もないが、普段のほんわか天然さが抜け落ちている。余りにも落差がありすぎるMSに乗ると人が変わるというのを初めてみた気がしてた
「……コレが傭兵…なのか」
「……」
コントロールスティックを握る手に汗がにじむ。今二人は模擬弾は使わず実弾、バスターライフルもリミッターを付けていない。模擬戦の名を借りた実戦…何故こうなったのか?当初ナガスミはシュミレータでトライツバークのテストをするはずだったのだが
ーシュミレータだけじゃ咄嗟の判断が遅れるぜ?オレもレッドに持たせてるガーベラを使いこなすのに爺さんに習って身体に覚え込ませたからな。そうだ!お~いマルス。依頼うけてくれないか?ー
ー……別にいいですけど…ー
……ロウからのトライツバークを実戦形式で使いこなせるよう訓練をつけてくれと依頼を受けたマルスとの訓練という名の実戦…装甲越しにでも感じる殺気に否が応でも理解する
本気だと…再び構え引き金を絞る。だが射線を読み再び接近するエクシェス。ナガスミは覚悟を決め叫んだ
「……でもな、オレは負けるわけにはいかないんだよ!勝負だマルス!!」
「……くる……エクシェス、ヴォワチュール・リュミエール起動!!」
ギンっとウイングガンダム、エクシェスの瞳が輝く…ヴォワチュール・リュミエールを展開、ウイングガンダムもバスターライフル《トライツバーク》を構える…いまナガスミはZero.systemを使っていない。何故ならば模擬戦前に聞いたロウの言葉があったからだ
ーナガスミ、お前の機体に積んであるZero、やばいシステムだな……パイロットに勝つ未來を無理強いする奴だ……でもなコイツがお前を乗り手に選んだんなら何時かは使いこなせるだろ。ただ、あんまりシステムに頼るのは良くないな。それに頼るのが当たり前になっちまう…そこでだトライツバークを使いこなすと同時にシステムに頼らずマルスに一撃当てるんだ、ここぞって時は最後にモノをいうのは……ー
「……オレ自身の力だ!!」
ナガスミの言葉に応えるようにバスターライフルが再び構えられ引き金が絞られる、再び回避行動をとろうとした…が、ビームの射角が追尾するように迫りマルスのエクシェスを飲み込み爆発が起きた
「や、やったのか?…………ってヤバいだろ!?」
当てた事に喜んだのもつかの間、冷や汗をだらだら流しながらエクシェスの姿を探す…煙が晴れ見えたのは光の翼…右腕のシールドを失いながらグラムを構える姿。ゆっくりと下げると同時に通信が入った
「トライツバーク慣熟訓練終了…キガフロートに帰投する……」
「…ああ(や、やっぱり変わりすぎたろ!傭兵モード・マルスって………もし翔真先輩がみたら驚くのが目に見えてるし……)」
はああとため息をつきながらも一路、ギガフロートへ向け飛翔しながら、胸の内に確かな手応えを感じていた