オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
「く!」
凄まじいまでの加速Gが襲いかかる中、必死に操縦桿を握りしめる翔真…耐Gシステムをフル稼働、リニアシートをもってしても防ぎきれない
思わず意識が遠のき、手から操縦桿が離れそうになるのに気づき握りしめる…スーパーバーニア四基が生み出す加速はウイングガンダムゼロに音速の壁を超えさせ砲弾のようにまっすぐ空を飛ぶ
ー所属不明機につぐ!ここは我が連合制空域だ!直ちに止まれ!ー
「と、止まれるか!悪いけど相手してるヒマはないんだよ!!」
流れゆく風景と共に通信と接近する機影…スローターダガー、ウィンダムが前に回り込み立ちはだかろうとする刹那、マッハを超え生まれた衝撃波に弾かれ下へ落ちていくのに見向きもせずGに耐えながら通信を開いた
「マ、マルス!聞こえるか!?」
ー………聞こえる…よ……な、何かあったのー
「いま……連合制空権に……あと数分で……そっちはどうだっ!?…」
ーコッチは…ザフトの勢力圏だ………ナガスミくん…もあと少しで……中国に…ー
「そ、そうか………速く届けてやろうぜ……これ以上…病気で苦しむ人たち………ために!」
ーう、うん……じゃあ…届け終わったらトレミーで……ー
「ああ、あとでっ!御門先生との馴れ初め……を…聞かせてもらうからな!」
ーえ?ー
呆けた声と共に通信を切り操縦桿を強く握りしめる翔真…音速を超えるなか、目的地へ向け更に加速させようとした
その時、未確認機接近を告げるアラートが鳴る。この機体においつける機体は連合はおろかザフトには無いはず。サブウィンドウに映された機影、ダークグレーと白に塗り分けられたらHi-νガンダム・ヴレイヴ…よく見ると細部が違う上にファンネルが無く変わりにアメイジングウェポンバインダー、左右の腕には《アメイジングレヴ》が装着され迫る姿。そのコックピットには先日マルスと次期主力MS選定最終試験を戦ったパイロット、ルウェン・エル・バヤンがモニターに移されたウイングガンダムゼロをとらえる
「テスト中にまさかソレスタルビーイングとあうとはな………いくぞインフラックス・アメイジング」
アメイジングレヴのバーニアノズルの光が増し徐々に距離をつめる……
Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《中編》
同時刻:サー・マティアス邸
「…この戦争の裏で暗躍するモノ……?」
「まあ、本来なら関与することではないんだけどね。現在…この世界での戦争は《私たちがいる世界》の人間が深く関わっている事を掴んだのさ…」
「………」
そう告げ区切りをつけるようにティーカップの紅茶を含む男性《大東貴一》…数日前、アメノミハシラにいた彼女のもとにマティアスを通じ会談の申し出があった。名も聞いたことの無い人物だがわざわざ自分をなさししたことに軽い興味を持ち会うことにしたミナは会話の中から現在の戦争の裏で暗躍するものがいる。それは知ってはいたが何者かまでは掴めきれなかった(マティアスは知っていたが、それを市井の人間が知ることで最悪な事態になるのを知っていたため)。《私たちがいる世界の人間》…その言葉《断片的なピース》がカチリとはまり導きだされた
「それで、その戦争を起こす者をどうするつもりだ?」
「もちろん捕まえるさ……この世界をこれ以上好きにはさせたくないからね」
「そのためには、わたしの力が必要になった。そういうわけだな(……まだ何かを隠しているようだな…
この世界に新たな勢力が現れたことも関係しているようだな)………大東貴一といったな。一つ私から聞きたいことがある。ソレスタルビーイングを知っているな」
「ソレスタルビーイング…まあ、知ってるよ…彼らの事は」
「……そうか……ならあの少年…マルス・レディーレを監視していたのは何故だ?」
静かに大東に向けられた瞳、すべてを見透かすような声がゲストルームに響き肩をすくめ静かに語り出したのは過去に起きた悲劇で運命を狂わせてしまった少年の地獄と今を。会談は始まったばかり。どう転ぶかはこの場にいる二人にしかわからない
☆☆☆☆☆☆☆☆
「ぐ、ぐうう…………は、ハチさん!目的地まではっ!?」
ーあと30分強だー
「………ミラージュ・ワゾー……冷却カートリッジはあと何発あ……るッ!」
ーあと予備弾倉含めて25発。次の冷却カートリッジ装填まで5分だー
銀色の体躯に異様なシルエット、さらには光の翼が煌めき空を駆けるのはゴーストガンダム《ミラージュワゾー》。ミノフスキードライブ搭載機であるこの機体に誰も追従できる機体は無い…同じ光の翼《ミノフスキードライブ》機だけ
「ん?あ、あれは!?」
ー照合確認、特務艦ミネルバだ。こっちに気づいたみたいだー
ぐんぐん遠ざかるミネルバからスクランブル発進する機影を見るものの追いつけない。気づいたのはいいが刹那な邂逅にすぎない…わずかに緊張が緩みカートリッジ装填のために一時的に減速した時、光がかすめた。周囲に荒れ狂うIフィールドにより偏向、拡散するも衝撃が伝わる
「い、いまのは」
ー気をつけろマルス!どうやらザフトも本腰いれたみたいだぞ?ー
「あ、あれはまさか……インパルス!光の翼を装備してる!?」
「………みつけたぞソレスタルビーイング!わたしが、このデスティニーインパルスで引導を渡してやる!!」
フラッシュエッジビームブーメランを構え投げつけるインパルス…いやデスティニーインパルス。しかし強力なIフィールドに阻まれる。機体が揺れるのを耐えながらワクチンが収められたコンテナにダメージが無いことをチェック、同時に全周波チャンネルで呼びかけた
「やめてください!僕はワクチンを届けないといけないんだ!!」
『そ、その声は………ホアシン?ホアシン・リーか!!』
「!?あなたは篠ノ之箒さん?…お願いです!ワクチンを」
『………そうか、そういうことか!おまえ達がこの事態を!!』
戸惑いながら加速させるもデスティニーインパルスも光の翼を広げ迫り背中にマウンドされた対艦刀エクスカリバーを抜き構え切りかかる。レーザーの刃はIフィールドでも防げない。とっさにミラージュワゾーからゴーストガンダムへ変形、飛行機雲が身体に流れワクチンコンテナを背中に固定しムラマサブラスターと非常に似た外観を持つ大剣《クジャク》を構えた。若干速度は落ちるも減速せず目的地へ螺旋飛行しながら斬り結んでいく
「話を、聞いてください!」
『くどい!ホアシン・リー………いやソレスタルビーイング!!』
力任せに切りかかるデスティニーインパルス、箒に言葉は通じない。さらに進行方向上に敵影が多数捉えた
…前と後ろに迫る驚異、迫る時間に焦り始め接近するグフのスレイヤーウィップ、エクスカリバーの攻撃があたる寸前、見慣れたビーム砲撃が阻んだ
『兄貴!大丈夫か!』
『ココはあたし達に任せて先に!!』
「ノ、ノーヴェさん!クリス!……なんでここに………早くココから離れるんだ!!」
『逃がすか!!ホアシン・リー!!』
ココにはいないはずのニャイアアストレイ、アストレアF-dash…クリスとノーヴェが武装コンテナと共に現れた事に驚き気を取られたのを見逃さずエクスカリバーを構えたデスティニーインパルスの刃が背後から迫る。ワクチンコンテナを守るためには…わずかな逡巡、光の翼を広げるやクジャクで刃を受けながらワクチンコンテナをつかみとる
「クリス!ノーヴェさん!コレを!!」
二人に向けワクチンが収められたらコンテナを投げわたし切りびながら二人から離れていく中、通信がコックピットにクリスの驚く声が届いた
「コレってワクチンコンテナ?」
「二人はコレをヨーロッパ……AEU総合病院にとどけるんだ!!」
「でも…マルス一人でこいつらを相手には……」
「急げ!こうしてる間にも病気で苦しむ人が増えていく、今ソレが出来るのはクリスとノーヴェさんだけなんだ!」
いつになく声をあげるマルスの言葉にうなづくと武装コンテナは方向転換、粒子バーニア全開にし最大加速で戦闘空域から離れていくのをゴーストガンダムのセンサーで確認しデスティニーインパルスの胴へ蹴りを入れ吹き飛ばし、すぐさま追撃に向かおうとするグフに向け飛翔する
「うわっ!」
「8さん!冷却カートリッジ装填………バイオコンピューター最大稼働…………ファントムライト、最・大・出・力ッ!うわああああ!!」
『了解!二段強制冷却開始………ミノフスキードライブ最大稼働!!』
「二人をやらせない…………ミラージュファントム!!」
激しく燃え盛る炎のように光の翼が煌めいた瞬間、無数の幻影が現れクジャクで切り裂き、胴をなぎはらう。距離の離れた相手にクジャクを投擲しコックピットをつぶす…その光景にデスティニーインパルスのモニターを通し見る箒は息をのんだ
「な、何なんだ…コレがあのホアシンなのか!?」
洗練された操縦と超高機動で相手を翻弄、懐に潜り込み容赦なく切り捨て、穿つ度に強制放熱するフェイスはさながら悪魔を思わせた
「……………残存機は一機……」
はあはあと肩で呼吸しながら傭兵モードへ切り替わったマルス。ゴーストガンダムがデスティニーインパルスをファントムライトを揺らめかせながら見据えクジャクを向け構えた
「はあああ!」
「……………」
胸の内に沸き起こる恐れを振り払い箒はスロットル全開にし加速と同時に突きの構えをとり光の翼をひろげ大ぶりに振りかぶったエクスカリバーの刃、無言でクジャクで受け止めるホアシン…マルス
空に無数の光の軌跡が描かれたぶつかり合う
Mission:疾風なるモノ達、天の軍神は彼の者と対話する《中編》
了