オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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「ん、朝か……」


寝ぼけながらも何時ものようにゆっくりと身体を起こそうとする…が、下半身に違和感とぞくりとしつつ気持ちいい感覚に恐る恐る毛布をのかしたマルスの目に映るのは銀髪の髪…ゆっくりと顔を上げ見つめてくる
のは義妹であり肉体関係を持ってしまった雪音クリスの姿


「んん?んふんゆうんにき…ん」


「うわ!や、やめてクリス…」


「ん、ん、ん……」


やめてと懇願するも止めず、ついに我慢できず腰が動き倦怠感と共に仰向けになった


「はあ、はあ……」


「おはよアニキ♡…すごく元気なんだな…おさまりつかないよな…」


「や、やめ……」


「だ~め……悪いもんは出さないと身体にいけないんだからな…あたしにまかせて」


………一線を越えたクリスはもう止まらない…朝の爽やかさは気だるさへ一気に変わる。とちゅうで起こしに来たノーヴェも交えて




PHASE-68~70.5「天空の宣史、酒宴」

マルス、ノーヴェ、クリスが過去、翔真とフェイトたちが別世界に飛ばされ数週間。姿を消した彼らの行方を世界中から情報を集めトレミーに残っていた一夏を始めとしたメンバーは必死に探していた

 

 

しかし、一向に手がかりが掴めない。同行取材をするジェス・リブルも自身の持つ情報網を駆使しハロを使い僅かな手がかりをと探していた

 

 

『よう、久しぶりだなジェス』

 

 

「ルキーニ!?なんでココへ」

 

 

『俺の手に掛かれば造作ない。今、マルスと翔真を探しているんだな……』

 

 

「知ってるのか!」

 

 

『…《海賊傭兵》《蒼弓》この二つを調べればわかるぜ…あと、プレシアには気をつけろ。妙な動きを……』

 

 

「ルキーニ!?おいルキーニ!?」

 

 

通信越しに聞こえてきた銃声、ノイズがながれブツリと途絶え、何度も呼びかけるジェスの声が虚しく自室に響いたと同時刻、ザフト最高評議会議長《プレシア・テスタロッサ》の全世界に向けての声明発表が始まっていた

 

 

 

『こんな事が許されるでしょうか?連合軍は人の命を玩具のように扱い、簡単に奪います。連合軍の背後には旧亡国企業のメンバー、女性ばかりで結成された秘密結社《ロゴス》がいます。すべてはロゴスが元凶なのです!だから私はここに誓います。ロゴスを、地球連合軍を倒すと!!』

 

 

「………ふ~なかなかの遣り手みたいだな」

 

 

古風な作りの執務室のモニターで全世界に向け声明発表するザフト最高評議会議長《プレシア・テスタロッサ》に盆栽をいじりながら目を向けるのは世界中に支社を置くテイワズ会長《マクマード・バリストン》。内容から危険なものを感じ取っていた

 

 

『ロゴスが動く中で関係のない組織も動いております。戦争根絶を掲げる《ソレスタルビーイング》、その意思に賛同し協力する《二つの組織》、私はソレスタルビーイングや地球連合、それに組するものも含めて存在を認めません』

 

 

 

「…名瀬はどうみるプレシア・テスタロッサを?」

 

 

「ん~聞けば聞くほど、怪しさ満載って感じだな……自分の正しさを全面に出して巧みにザフトに義ありって誘導しているのはな」

 

 

 

「……ならやることは一つだ……名瀬、ウチの者(モン)に通達しとけ《喧嘩は買う》とな」

 

 

「わかったぜ……親父、そろそろ時間じゃないのか」

 

 

「そうだったな…少しいってくる……」

 

 

手をひらひらさせ山高帽をかぶり名瀬を残し執務室を後にするマクマード。彼が向かうのは本社に併設された自宅…いや和を強調させる屋敷が鎮座し分厚い木の扉を開いた

 

 

 

そして…

 

 

 

「では、はじめよう……」

 

 

地球の衛星軌道上にある軌道エレベーター《アメノミハシラ》…黒く絹のような髪をなびかせ歩く長身の女性………《天の軍神》ロンド・ミナ・サハクが赤い絨毯を歩き出す

 

 

自身の想いを明日をも見えぬ混迷に染まる世界に向け伝えるために

 

 

PHASE-68~70.5「天空の宣史、酒宴」

 

 

 

 

 

 

テイワズ本社。会長宅

 

 

 

シシオドシが鳴る庭園に敷かれた畳。赤い敷物の上に座すのは管理局本局提督《大東貴一》。静かな佇まいで正座しながら桜を見ていた

 

 

「気に入ったみたいだな?ウチの桜を」

 

 

「確かにこれだけ見事な桜は見たことないかな……」

 

 

「そうか…ワシはテイワズのマクマード・バリストン。まあ楽にしろや……」

 

 

 

「お言葉に甘えようかな。私は大東貴一、地球圏統一連合軍大佐でミッドチルダ時空管理局本局提督および独立愚連隊Gspirits隊の指揮をしている」

 

 

「ほう。なかなかそうは見えないがな…まずは軽く飲むか」

 

 

「よろこんで…」

 

 

手を軽く叩くと着物を着た女性が黒い徳利に黒杯を台にのせ二人の前に出す。まずはマクマードから杯に酒を入れ、貴一へと注ぎ軽く目を合わせ飲み干す

 

「……なかなかの逸品ですね…コレは春にしかでないと言われる生搾り原酒……ニイガタの新発田の酒かな」

 

 

 

「わかるか?ならもう一献いくか?」

 

 

「ではいただくかな…」

 

 

酒を注ぎ交わし飲む二人…徳利の数は20を超えたあたりからマクマードの瞳が厳しいモノへ変わった

 

 

 

「……………大東貴一、オレに会いに来た用件はなんだ?」

 

 

 

「(本題に入ってきたか)………この世界で争いの火種を撒こうとする存在を逮捕する。そのためにはアナタの…地球圏に支社を置き《ザフト》、《連合》に対して唯一対等に渡り合える企業《テイワズ》の力を貸して欲しいんだ」

 

 

 

「………なるほどな……逮捕したい相手というのは《プレシア・テスタロッサ》だな」

 

 

鋭い眼光を向けながら発せられた言葉に驚く大東…マクマードは静かに杯に酒をそそぎ入れた

 

 

「オレの耳は地獄耳でな…ザフト、連合とは商売上の付き合いもあるし、裏の顔も嫌でも耳に入る……四年前に突然現れ瞬く間にザフト最高評議会議長の座に就いた才媛。公表されているデータは真っ白だ。怪しいところは無い…まあ、普通の人間なら騙せる隙も無いほどの完璧な経歴にしては余計に怪しすぎだ」

 

 

 

(………ここまで調べていたとはね。マクマード・バリストン、かなりの傑物だ……民間企業だった《テイワズ》を僅か三年で地球圏に影響を与えるほどに成長させただけはあるか)

 

 

くいっと杯を飲み干すマクマードに続いて飲む大東…鮎鮓(鮎を米、鮎、米の順番で漬け発酵させたモノ)を抓む。日本酒と相性が良い摘みは酒を勧めさせ更に徳利の数を増やしていくも酔っているようには見えない

 

 

「……私は彼女、プレシアの最終的な目的は知っている…」

 

 

「最終的な目的………聞かせてもらおう……安心しろ人払いはすませてある」

 

 

「………彼女、プレシアはーーーーーーー」

 

 

風が舞い、桜の花が流れ枝を揺らす音に言葉はかき消される。だがマクマードの耳にはしっかりと届いていたのか考え込むように軽く目を閉じゆっくりと開いた

 

 

「………それが目的か………大東、俺んとこのファクトリーとFシリーズ、開発中の《V》を貸してやる……」

 

 

 

「いいのかい?連合やザフトに敵対する事になるんだが…」

 

 

「ふ、喧嘩を売ってきたのは向こうだ…それにザフトの奴ら《阿羅耶織システム》に手を出したからな…連合も《エクステンデッド》施術を年端もいかねぇ戦災孤児に使ってやがる………人が人にこんな事をしていい訳ねぇんだ……」

 

 

くいっと杯を飲み干し息を吐くマクマードに、無言で酒をそそぎ入れた大東は静かに口を開いた

 

 

「………確かに、人が人にこんな事をしていい訳がない……私たち大人は何時も未来を担うべきまだ見ぬ我が子達に背負わせてしまう…大人が取るべき責任を次へと押しつけてしまうのが今の世界の構図なのかもしれない………」

 

 

 

「それに気づいたから《ソレスタルビーイング》は生まれたのかもな。やり方はどうアレ自分(てめぇ)の確固たる信念で動いている、しがらみに縛られたオレらに変わってな。大東、オレらが《大人が取るべき責任》を果たすべき事を代弁しているんだ。…オレらは責任をとらないといけねぇ。世界は違えど一度でもこの世界に関わったのならな。さて、ここからテイワズのマクマードバリストンとしてではなく私事だ……」

 

 

言いたいことは言ったと区切りをつけるよう飲み干すマクマード…大東も遅れて空にし待った

 

 

「……ソレスタルビーイングにいるサーペントテール《6》マルス・レディーレとウチのテイワズの開発室二課の御門涼子との仲を取り持ってくれ」

 

 

「はぁ!?」

 

いきなりの事に抜けた声を上げる大東の前でばつが悪そうに理由を話し出した…テイワズを立ち上げる前YAKUZAな道を進んでいた時につきあっていた女性と親密な仲になり所帯を持とうとしたら女性の親に反対され引き離されてしまったらしい

 

YAKUZAな道から足を洗いカタギとなり会いに行くも引っ越ししてて行方も掴めなかった…がむしゃらになって働き仲間を集めて小さな会社を立ち上げ、連合の戦車の部品を収める事から始まってからMSの有用性に気づき様々な分野から人材を集めていたマクマードの目に止まった履歴書…自分が愛した女性と瓜二つ、さらに名字まで同じ

 

まさかと思い調べたら予想通りだった…別れた直後に妊娠がわかりおろすよういわれたが拒否し、女手ひとりで育て上げた直後に亡くなった事を

 

 

 

「………オレは女一人幸せに出来なかった因果がめぐって娘がオレんとこに来た…面接の時、アイツとよく似た目でオレをみていた……はなしてみると父親の事は教えてくれなかったらしい……性格は違うが………いまさら父親なんて名乗れねぇ、だから惚れた相手と一緒にさせてやりてぇんだ」

 

 

 

(……………テイワズの結束力の高さがわかったかな。この人柄だからこそだね………仕方ないか)

 

 

マクマードの言葉に頷くと軽く頭を下げ酒を進めてきた…酒宴は明け方まで続き名瀬が来たときには完璧に出来上がった二人がいたのは言うまでもない

 

 

 

そして……

 

 

 

「私はロンド・ミナ・サハク。現在はどこの国家にも属してはいない。私はこれからある計画を全世界に向け発信する。それについてどう判断しどう行動するかは個人の自由だ」

 

 

光が照らすのは黒く長い髪を揺らし立つ女性…彼女は静かに、澄んだ声を響かせる。一夏が撃墜されトレミーが攻撃を受けた直後、全世界に向け発信され連合、ザフト加盟国、非加盟国の全映像回線を通し流されている

 

 

「先日の宣言。ザフトは連合を強く非難している。

その矛先はソレスタルビーイング、それに協力する者へと向けられた。だが果たして本当にその非難は正しいものなのか?」

 

 

世界中に混迷ので闇が広がっている、その中で人々はおびえている。闇に踊らされていると告げると目を閉じる

 

「だがその闇を指揮している者がいるのだとしたら?

これが今日の政治であり国家だ。闇を敵を作ることで市民をコントロールする。だが聞いてほしい。私はこれからまったく新しい世界の可能性を提唱する。世界には自らの曲を奏でる者たちがいる。彼らは自分の信念を真実を持つ」

 

 

 

ただ自分の曲で踊る。自らのリズムをメロディを持てたのなら、もう今のような国家としての枠組みは必要ない。故に闇の中でも己をもてるのだ。そう区切りゆっくりと開いた彼女の瞳は確固たる信念を映像を通し見ていた人々の心に染み渡る

 

 

「政治もその役割を大きく変えるだろう。もちろん彼らは一部の特殊な存在だとも言えるだろう。私もそう思っていた。だが、そうではないことをは知った。

ジェス・リブル。このジャーナリストを知る者は少ないだろう。そう、特別な存在でなくても誰もがそのように生きてさえいれば、世界は変わるのだ」

 

 

光の中で黒髪をなびかせる彼女の姿を見る一人の女性…ザフト最高評議会議長《ブレシア・テスタロッサ》。対ソレスタルビーイングに対しての会議中に流れたそれを穏やかに柔らかな笑みを浮かべるも瞳は極寒の冬をも思わせるモノが見えた

 

 

 

ー人は他者の理想を妨げない限り己の信念に従うべきなのだ………ー

 

 

「ぎ、議長?」

 

 

「………何でもないわ…今日はここまでにしましょう…再開は明日でかまわないわね」

 

 

 

「は、はい!失礼しました」

 

 

頭を下げ退室していくメンバーがいなくなって、ダンッと鈍い音が響いた

 

 

 

「………まさかこうくるとはね…ロンド・ミナ・サハク…」

 

 

 

感情を押さえきれずロンド・ミナ・サハクに対し怒りとも取れる言葉を漏らすプレシア…この宣言は明らかに自分、ザフト加盟国、連合加盟国…世界に向けおこなわれたモノだと気づくも遅かった

 

 

数日後、連合加盟国、ザフト加盟国、非加盟国から賛同する国家、企業(テイワズはソレスタルビーイングへの支援を明言)が先のロンド・ミナ・サハクの宣言に賛同を表明(一部は黙認)。この全世界へと向けられ発信された言葉は後に《天空の宣言》と呼ばれるようになった

 

 

 

 

 

 

PHASE-68~70.5「天空の宣史、酒宴」

 

 

 

 

 

 


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