オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
「……みんな、用意はいいかな?」
「何時でもいいぜアニキ」
「各部オールグリーン、ミノフスキードライブも正常だ」
薄暗いドッグに固定された白に濃紺のカラーリングに帆船を想わせる船体の艦首には腕を組んだ女性の象が埋め込まれている…注水が始まりやがてすべてが海水に満たされると正面ゲートが地響きと共にひらき、ブリッジに光が灯る。正面左側に舵をとるノーヴェ、索敵手にクリス、そしてキャプテンシートに座る中世の海軍の将校がまとっていた上着姿のマルスが腕を大きく正面にかざした
「……………海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》旗艦《バビロニア・バンガード》、出航する!」
「「了解!/アニキ」」
海底へと繋がるゲートが開き、ガイドレーザーが伸び海面で光が途絶えたさきへ向けてエンジン出力全開で海底から海面へと一気に飛び出しセイルから船体に光の翼《ミノフスキードライブ》が輝き一気に加速する
海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》が向かうはレクイエム発射阻止作戦を展開する戦場…マリアからのエターナル防衛任務および増援部隊の排除依頼を受け報酬代わりに譲渡された《バビロニアバンガード》で影からの人知れずにサポートに回るために飛びたつ
……コレが、《この時代》での海賊傭兵《クロスボーン・バンガード》、そして幽霊《ゴースト》の最後の目撃となるのを誰も知らない
Return:Mission・Final《幽霊ーゴーストーは在るべき場所へ還る》第一期三部:第140~144話「狂いだす戦闘」~
「来る……」
南アメリカ上空でエターナル防衛の為に単騎で出撃し滞空するマルス…フォントの前には百を超えるザフトの別導部隊がまさに襲いかかろうとしている。それを前にして冷静になりながら戦況を分析する
(………レクイエム、ミラー破壊に二手に別れてる今、無防備のエターナルを狙う指揮官の判断は正しい…母艦をやられれば瓦解する……翔真に気づかれないようにサポートするしかないか)
すうっと目を鋭くし部隊を率いる指揮官機を探すも見つからない…軽くアームレイカーを動かしファントム…ゴーストガンダムの瞳が光と全身から炎、ミノフスキードライブから生まれる光の翼《ファントムライト》を展開し瞬く間に加速しすり抜け敵中心部へたどり着く
「………悪いけど邪魔をさせてもらう…8!ゴーストのIフィールド最大、全身のビーム放出口をヴェスバーにして全方位砲撃!!」
《了解!二段階強制放熱開始!Iフィールド最大出力……いまだ!》
強制冷却カートリッジが廃挟した瞬間。ファントムライトが消える…それを好機と判断したザフト別導部隊のMSが雪崩のように襲いかかろうとした時、再びファントムライトが激しく燃え盛り輝き…全身に配置されたビーム放出口を中心に絞り込まれ貫通力を極限までに圧縮したビームの雨が蛇行しながら容赦なく胴を貫き、腕を溶かし、切り裂かれ爆発し無数の閃光が絶え間なく煌めいた
『な、なんだあのMSは!』
『ま、まて……あの胸にある髑髏と炎は……ゴースト………海賊傭兵《クロスボーンバンガード》!?』
かろうじて被弾を免れた機体のザフトパイロット達は身体を強ばらせた。ゆっくりと此方へ顔を向け放熱するゴーストの顔はまさに悪魔のような形相は恐怖を抱かせるのに十分すぎた
海賊傭兵《クロスボーンバンガード》ゴースト…戦場に現れては怒りの炎を燃やすように機体を燃え上がらせる姿を見たものは生きてかえって来れない。
噂話だといわれるも翔真たちが戦う場に現れては敵を駆逐し、瞬く間に消え去る姿が幽霊のように見えた事。胸にある髑髏と骨を組んだように見えるフレームからクロスボーンバンガード、ゴーストといつの間にか呼ばれ恐れられていた
「……(このまま退いてくれると助かるけど)…8さん。ゴーストは?」
《……大丈夫だ!この前マリアから報酬代わりに貰ったX1のパーツと新しい冷却カートリッジがかなり相性がいいぞ》
「X1、ゴーストは基本的なフレームやエネルギーバイパスは同じだからかな…………クリス、ノーヴェさん。状況を」
『ヤバいぞマルス!レクイエムがチャージに入った
!ミラー破壊チームも苦戦しているってマリアが秘匿通信で言ってんだ!どうする!!』
『でも、今はアタシ等動けねぇだろうが!おらおら!とっととおちやがれ!!』
バビロニアバンガードの艦首で巨大なガトリングガンを両腕に構え弾丸を撃ちまくり増援部隊を落とすのはようやく修繕を終えたニャイアアストレイ・イチイバル。そのコックピットでクリスが叫ぶ。背後からディンの編隊がアサルトライフルを向けた瞬間、バビロニアバンガードの後部から放たれた極太の桃色の閃光2つが瞬く間に飲み込み消滅させた
『ったく、数がおおすぎなんだよ!!』
ビームが撃たれた場所…後部甲板には真紅の影…アストレアF-dashが大型GNバスターキャノンをGNバーニアへ変えながらGNハンマーを構え大きく降り回しディンへぶつけ、そのまま勢いを殺さずに編隊へなげつける、巻き込まれた数機が粉々に砕け爆散する…修繕を終えたばかりとはいえ数が多すぎる
(どうする……バビロニアバンガードはハロたちに任せれば大丈夫……レクイエムが置かれている施設には翔真さん達が向かっている。迂闊にこの時代の翔真さんへの接触は避けるべきだ。ならミラー破壊チームに手助けにゴーストで僕がむかうしかない……)
『ノーヴェさん。クリスはエターナル防衛を引き続き継続。僕はミラー破壊チームのサポートにむかう』
『わかった!クリス、気合いいれてやるぞ!!』
『誰に向かって言ってんだよ……兄貴、帰ってきたら……一緒にシャワー浴びような!!』
『どさくさに紛れてナニ言ってんだ!あたしも一緒だかんな………』
『ふ、二人とも………と、とにかく行きます!!』
クリス、ノーヴェ、バビロニアバンガードを残し瞬く間にミラージュワゾーへ変形、最大加速で向かう…しかし警報がコックピットに鳴り響く…サブモニターに映されたのは眩い閃光…レクイエムからの超高出力ビームがゴーストを追い抜く、その先にあるミラーへ向かっている
《マルス!ミラー付近にMS反応多数……機種判明!Zガンダム、ストライク、ストライクルージュがこのままだと巻き込まれるぞ!!》
その声に応えるように力強くスロットルを引き上げるゴースト…ビームがZガンダムを飲み込もうとした時、何かが来ると感じた次の瞬間、レクイエムの超高出力ビームの前に二つのアンノウン反応を捕らえた。直後に信じられない光景を目にした
「ビ、ビームが消えた?いや拡散された………アレは!?」
《……何でユニコーンとバンシィがいるんだ?》
8も驚きを隠せないでいると二機が一瞬だけこちらを見た…マルスは何かを見透かされているような。まるで本質を覗かれているようなモノを感じた時、声が響いた
ー復讐してやる!大……貴…………Gsーーーtをこ……ー
四発の銃声、真っ赤な血…血溜まりに倒れている四人の男女……押し付けられた銃口
ー恨むならーー貴●、G◐☆★◑を恨めよーー
《……ルス!………おいマルス!どうした!?》
「…は!?………い、いまのは……!?」
ノイズ混じりの声、イメージに呑まれそうになるマルスは8の声に我に帰るとユニコーン、バンシィの姿はない…地上へ降りていく二機を見ているマルスの耳にロックオン警告。みるとストライク、ストライクルージュがいつの間にか肩を掴んでいる
『動かないでもらおうか?お前はどこの所属か?』
直接に触れたことで通信回線が開き見えたのはパイロットスーツ姿の千冬、そして千冬を幼くしたようなパイロットがジッと見ている
……余計なことに気を取られて警戒をしていなかった自分に後悔しながらどうするか考え、通信回線を開いた
『!?(子供だと?見たところ翔真と年があまり変わらない…)…もう一度いう。所属はどこだ?』
「………所属は無い…海賊傭兵《クロスボーンバンガード》だ」
『クロスボーンバンガード……ならお前がゴーストなのか?』
「ああ………すまないが失礼する!」
『な、待て!ゴースト!!』
二人を振り払いそのままファントムライトを展開。あっという間に加速する。向かうはエターナル防衛をするクリス、ノーヴェ、バビロニアバンガードがいる戦闘空域へ向かうマルスが見たのは火を噴くレクイエム。そして揺らぎ始める空間に既視感…まさかと思い急ぎ秘匿通信をエターナルにいるマリアにつなぐ
『どうしたのフォントくん?』
「マリアさんすいません。僕たちは今からこの空間を利用して本来の時間に帰ります…」
『そっか…なんか淋しいわね……』
通信越しに寂しさを感じる…実際、マリアが自分たちを匿まってくれなかったら、こうしてこの場には居られなかった。任務を依頼された事もあるが、それいじに楽しい日々を一緒に過ごせた…在る意味《家族》みたいで別れるのが辛い
「いえ、会えますよ……必ず……その時はみんなで遊びに行きます」
『わかったわ。またねフォントくん……それと二人を泣かしたらダメよ?じゃなきゃお姉さん怒っちゃうぞ♪♪』
「き、肝に銘じます………」
冷や汗をかきながら約束するとバビロニアバンガードへ着艦、MSデッキに固定するとブリッジに上がり先に戻っていたクリス、ノーヴェの姿もそこにあった
「ノーヴェ、クリス。今からこの歪みを利用して元の時代に帰るよ…」
「帰れるのか?」
「マジなのか!」
「うん。今からバビロニアバンガードにビームシールド展開!8さん、座標軸と時間合わせを!!」
《がってん承知!ゴーストのバイオコンピューター接続。あの黒いガンダムが使った空間転移事象を観測と同時に突っ込むぞ!!》
「取り舵一杯、機関最大戰速用意……」
《………観測完了!今から六秒後……カウント開始!5、4、3、2…………いまだ!》
「ミノフスキードライブ全開!最大戰速!!」
光の翼が瞬き、空間転移事象の中心へとまるで矢のように突き進む…その速さは誰の目にも止まらない。それはエターナルにいる翔真達も気づかない。明滅する不思議な光がみち上も下もわからない空間を突き進むバビロニアバンガード…その先に微かな光が見えた瞬間、曇天の空が雷を光らせ雨が激しく海面を叩く光景が広がる
「こ、ここは…8さん!?」
《…………成功だマルス!俺たちの時代に帰って来れたぞ!!》
「や、やったな兄貴!」
「ああ早くトレミーに連絡しょうぜ…」
「ち、ちょ!?ノーヴェ、クリス離れて!?む、胸が当たって」
喜びの余りマルスに抱きつく二人の豊かで暖かく甘い胸に挟まれ顔を真っ赤にした時、警報が鳴る…慌てて持ち場に戻り見たものは
蒼いグフが光の翼を広げるガンダムから攻撃を受ける光景…何故かわからないが蒼いグフから何かを感じとる…まるで
「クリス、ノーヴェ…今すぐトレミーに連絡を…」
「兄貴、どこに」
「あの蒼い機体……何かを感じる………いかなきゃ」
「まて!マルス………?」
呼び止めようとたノーヴェは息をのんだ…マルスの赤金に輝く瞳…その瞳とよく似たものを以前にも見たことがあった
翔真が純粋種《イノベイター》として覚醒した際の瞳。それとよく似ていると気づくも、瞳の色は元の黒に戻っていた
「……ごめん、どうしても行かなきゃ………」
ゆっくりとノーヴェ、クリスを残し離れていく…ブリッジからMSデッキに降りゴーストのコックピットに体を滑り込ませ起動させカタパルトに乗る
「ゴーストガンダム。フォント・ボー……いやマルス・レディーレ出る!」
勢いよく撃ち出されたゴーストガンダム…向かうは蒼いグフ、光の翼を輝かせる新しいガンダムがいる戦場……
幽霊《ゴースト》、運命《デスティニー》、伝説《レジェンド》を駆るモノは再び合間見える
Return:Mission・Final《幽霊はあるべき場所へ還る》(第一期三部:第140~144話)
了
続きは超電磁砲さんの最新話で!!