オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》 作:XENON
『……たしかにコレならばイギリスにたいしての介入が可能ね』
「……この二年間、よく隠し通していたがな…今回の作戦で目立てば必然的にこちらの動きに気を取られ、情報を集めようと必死になる…」
『その間隙を縫って、もう一つの矢を放つ……アナタ、いつから戦術家になったの?』
「……火星で学んだからな……オレのミストルティンと搭載MSに関しての偽装操作を頼む…アプリウス開発局辺りが有力だ。調べたらかなり際物がいるみたいだが?」
その問いに僅かに表情を変え、柔らかな笑みを浮かべるのはザフト最高評議会議長プレシア・テスタロッサ。MA奪還作戦前に様々な障害を取り除くために極秘通信でのやりとりを交わしていたのだ
『気になるかしら?』
「あとで詳細を頼めるか」
『ええ、さっきの件も含めてやっておくわ…あとアリシアのことも』
「……資料は見たが、実際にみてみないとわからない。オレのエクシェスに乗せて判断する。コレならば問題は無いはずだ」
『そうね…じゃあ手続きはこちらで』
「セカンドプランは任せた」
『もちろんよ。なにせアナタが考案したプランは間違いなく成功する…戦果を期待するわ』
それっきり通信は切れた…席から離れコーヒーを飲む。冷めたくなっているが甘みと微かな酸味を味わうと頭がスッキリと覚醒するが眠気は消えない。微かにふらついた
「……あとは出方次第。アリシア・テスタロッサの才能と判断に委ねるしかないか…いや、必ず成功させる」
それだけ口にし、ベッドへ倒れ込んだ…
「KからP5、B2、R3、Q4、N1は概要は理解したな」
『ああ』
『ついたよ』
『いつでも』
『全部』
薄暗いモニターに映る光点、音声…黒地に赤に染められたパイロットスーツに身を包む白髪に赤いメッシュの少年がキーボードを操作する
「コレより、クルダ島に駐留しているシルヴァグスタ旗艦 ラーグスタに秘匿しているMA奪還ミッションを開始する、各機データリンクを密に行動しろ………アリシア・テスタロッサ、戦況変異をリアルタイムで観測、プランに合わせ指示を」
「う、うん……」
「アリシア・テスタロッサ、不安なのはわかる…オマエの戦況変異を見定める目が必要だ…」
「でも、なんで…あなたの機体に」
金髪をおろした少女…アリシア・テスタロッサの問い…今、オレは彼女とエクシェスのコックピットにいる
「戦場の空気を知ってもらう為だ…シミュレータでいくら敵を倒せてもソレは仮想敵にすぎない…今回の作戦参加はパイロット適性を見るよう議長からの命令だ」
「は、はい…(箒と一緒が良かったのに)」
「…篠ノ之箒の隣に居たいのであれば任務を全うしろ…このエクシェスにいる限りは身の安全は保証する……」
少し落ち込みながら作戦内容に目を通しはじめた…あとは開始まで各員の配置状況をヴェーダとリンク…オレのエクシェスと合体するために生み出したMA《ルシファー》は間違いなくシルヴァグスタにある。丁寧にAMFを配置し、牽引ワイヤーで動かぬように封印してるのが
こちらからの《召喚》に応じないわけか…
「時間だ……ミッション・スタート」
待っていろ。必ずオマエを取り戻す……オレの計画を進める為に。だが不確定要素
Extra・Mission MA奪還作戦
同時刻、様々な船外作業及び補修クレーンが花びらのように船体を包むような形状を持つ…多機能強襲艦《ミストルティン》が作戦エリアの遙か上層、衛星軌道上を航行する、そのブリッジは緊張の空気に満ちている
「仰角、突入角クリア…調、切歌!」
「いつでもいけるよマリア」
「盛大にぶちかますですデ~ス!!」
キャプテンシートに座るマリアの号令に顔を見合わせ舵を取る…ミストルティンの船体が傾き、蒼い地球へゆっくりと先端が赤く染めながら加速降下する…
「侵入角問題なし、GNフィールドを電離層突破と同時に最大出力展開!」
「電離層突破で~す!」
「GNフィールド最大出力、このまま加速降下!!」
摩擦熱で紅く染まるブリッジに座るマリア、切歌、調がみたのは眼下に広がる真っ青な海、小さな三日月型の島《クレタ島》を捉えた、GNフィールドがミストルティンを強固につつむ
「クレタ島近海到達まで、あと90second。マリア、守備隊が発進、艦砲射撃確認」
「……予想通りね。切歌、舵はこのまま、調!」
「GN爆雷、アンチビームミサイル装填、エクシェス、シナンジュ・スタイン、デスティニー、レジェンドは正面リニアカタパルト配置、ギャプラン・ファイバー仕様、ウーンドウォート・ラー、外部カタパルトより発進どうぞ」
「ア、アイハヴ、コントロール。リイズ・ホーエンシュタイン、ギャプラン・ファイバー仕様、いきます!」
「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ…ウーンドウォート・ラー。新しい剣、白兎と共にゆくよ」
後部ガントリーカタパルトからギャプラン・ファイバー仕様、そして白兎を想わせる小柄なMS…両肩、両脚に強化ジェネレーター兼スラスターを装備、まるで騎士が持つ槍にも見えるライフルを手にしたウーンドウォート・ラーがミストルティンより発進、空を舞いながら迫る迎撃部隊と交戦開始、同時にミサイルコンテナ、爆雷投下ハッチ開放される
「GN爆雷、アンチビームミサイル発射!!各機発進!! 」
勢いよくミサイル、爆雷の嵐が眼下に広がるクレタ島へ落ち爆発、艦砲射撃が霧散しさらに通信が阻害されていく。司令部との通信途絶により展開した部隊は混乱状況に陥る中…ミストルティンがクレタ島近海へ恐竜の時代を終わらせるキッカケとなった隕石落着を再現するかのように海面へ激突、GNフィールドで護られた船体は軋みもせず海面がせり上がり20㎞を超える大津波が押し寄せ空母が木の葉のように揺れ発進準備中の艦載MSがバラバラと落ちていく
「つ、津波だと!?総員、何かにつかまれ!」
「……通信が阻害!スクランブル発進中の艦艇被害甚大!!」
クレタ島湾内施設に停泊していたシルヴァ・グスタ、ラー・グスタを大きく揺らす…牽引アンカーが軋み船体を揺らすダメージコントロール、ラー・グスタ艦橋には被害報告が絶え間なく入る。艦内では散乱したMS部材がMS発進口を塞ぎ、けが人が搬送されていく中メカニック達は作業用MSで撤去を開始している、和馬とギンガは運良く機体に乗り込んでいたのもあり難を逃れるも惨状に肩をふるわせていた
「く、なんだ……一体何が」
「和馬、コレをみて!」
艦橋から届いた映像に息をのんだ…漆黒に染め上げられたMS《ガンダム・エクシェス》が飛翔し迫り、立ちはだかるMS部隊を歯牙にもかけず、紅く耀く手刀で胴を穿ち、真っ二つに斬り捨て、背後から迫るのを漆黒のマントに身を包んだ四機が露払いするように撃破していく様を
「あれって…まさかエクシェス!?」
「やっぱりこっちに来たか…しかも大東さんが居ないときに(読み通りに来たのか、アレス・ルセディス)…柳田さん、まだでられないのか!」
『あと五分、いや二分くれ!それまでは動けねぇ。外の事が気になるのはわかるが絶えるんだ和馬!!』
…歯がみする和馬、しかし耐えるしか無い…クレタ島湾内施設には波に打ち付けられ大破したMSが散乱し、辛うじて逃れたMS部隊がエクシェスをはじめとした四機のMSを阻むべくビームライフルを撃つもアンチビームミサイルでビームは霧散、さらにはミストルティン衝突で巻き上げられた海水が阻み効果が無い、通信も先のGN爆雷でほぼ途絶状態。目と耳、決定的な攻撃手段を喪われたに等しい。アサルトライフル、100ミリライフル、180㎜対物ライフルで応戦するしかなかった
「うわああ!来るなああ!!」
「オラアアアアア!!」
真紅の機体…アスタロト・ブレイジングのバンカーブレードがコックピットを貫き潰し、火薬炸裂式ダインスレイヴが貫き通す様に僚機がやられた事に恐怖する…阿頼耶識システムを通し感じる
「こ、このお!!……がベアーーーーー」
「この武器、かなり使えるな………」
死角から潜り込み対艦刀で斬りかかるM1アストレイA2の胴を横薙ぎに潰しきり言葉を漏らした。アスタロトとの一体感が増してる
「アイツの整備と訓練のお陰って訳か…」
今まで碌な整備をされておらず、阿頼耶識システムで無理に動かしていた彈…アレックス。しかしアレスが課した阿頼耶識システム無しでの訓練がさらなる飛躍的向上見せていた事を実感していた
「大気圏から海面へ激突で生まれた津波、海水、GN爆雷とアンチビームミサイルで敵の目と耳、武器を半減させるか…恐ろしいな彼は」
自由落下とバーニアで滑空、迫る敵機を特殊鍛造鋼彈ライフルで撃ち落としながらショウマ・バジーナは戦慄した…戦略家としての才能は、コレからの戦局を左右しかね無いと理解したからだ。しかしうかつな行動すれば彼に疑いの目を向けられる
今は動くときでは無いと判断し、向かってくる敵機を排除するべくバーニアをふかし、実体サーベルを抜きはなち斬り捨てていく
「エクシェス、クレタ島湾内施設に到達。シナンジュスタイン、アスタロト、デスティニー、レジェンドは各機撃破行動開始、ビーム及び通信阻害タイムリミットまであと240second切った」
「切歌、ミストルティン海面浮上」
「デスで~す。海賊ビックリするぐらいにいくデスよ~」
波を切るよう半分だけ海面へ浮上し、プラズマジェットで加速するミストルティン。その艦へ空母艦隊からMS部隊が接近する…が、強力な鋼彈の雨《クレイモア》が降り足を阻む…刹那、白い影が過り敵機の上半身が泣き別れになり落ち爆発していく
「ミストルティンには触れさせないから!」
「いい腕だリィズ…このウーンドウォート・ラー、私にぴったりだ!!」
純白の装甲を爆発の光が染めながらヒートブレードを構え飛翔するウーンドウォート・ラー。火星時代にアレスがミストルティンで製作していた新機軸のMS…《ウーンドウォート》をコアユニットとし様々なオプションパーツを組み込むことで様々な戦況に対応可能なMSシステム。今回の作戦にあわせ完成させ(入念な調整を施して)ロランへと与えたのだ
「……私のコトを欲しい………この気持ちを抱かせたからには覚悟して貰うよ」
決意を込めたヒートブレードを振るうウーンドウォート・ラー、リィズもギャプラン・ファイバー仕様のシールドブースター改《指向性クレイモア》のカートリッジを装填。加速し変形しロングヒートブレードで敵機装甲を溶かしきりながら、左右から迫る敵には鋼彈を浴びせ怯ませ切り払っていく
「この戦況にあわせた武装、戦術…もし敵にまわったら…」
作戦立案した際のアレスから感じたドス黒い狂気…ソレを思い出す、振り払いミストルティン防衛に集中する…クレタ島湾内へ入り、シナンジュスタイン。アスタロトと別れ、アレスのエクシェス、箒のデスティニー、湊のレジェンドはラーグスタへ到着する
「…………(感じる、ココだ)…篠ノ之箒、湊、両名はココでプラン、D24を実行しろ………エクシェス、アリシア・テスタロッサのバイオメトリクス仮登録」
ーラジャー
「え、あの…」
『な、オマエ、ドコに』
「決まっている、MAを奪還する…プランD24を忘れるな…まさか、ソレすらも出来ないのではないだろうな。ザフトの赤服の意味を忘れてるのか?」
やや侮蔑気味に浴びせられ。カチンときた
『く、おまえ………ああ、わかった、やってみせますよ!その代わり、ちゃんとやれよな!!』
「……無論だ。アリシア・テスタロッサ、プランD24が不安ならば、ソレ以外を試してみろ……篠ノ之箒を生き残らせたいならばな…まかせた」
ソレだけ告げ、エクシェスから降りかけだす。津波が起き通信網はズタズタ、混乱状態まっただ中を走る。少しだけ傾いたラー・グスタのタラップを駆け上がる
「おまえ!誰だ!!」
「……邪魔だ…」
銃を手にした歩哨が叫び撃つ、地をけり回避と同時に回し蹴りを頭へ決め意識を刈り取り狭い通路を走る中。微かな違和感を覚えた、警備にまわす人員もだが手薄すぎる…オレのMAを確保したならば守りを固めるはず
クレタ島、ラーグスタの所在情報はヴェーダからあげられたモノ…実際に『感じる』からニセモノである可能性は薄い。幾つもの戦術的要素を思考分離し艦内通路を抜け巨大な区間へ躍り出た。牽引アンカーに動きを封じ込められるよう固定された巨軀、漆黒にいろどられた異形のMA《ルシファー》…四年ぶりだ。同時に思考分離した戦術的思考結果が導き出た
「くくく……アハ、アハハハハハ………そうか、やってくれたな……………」
これはワナだ…オレを誘い出すために仕組まれた、ヴェーダとイノベイド達の目を逃れて巧妙かつ気づかれないように自然にMAの情報を流した。コレが出来るのは大東貴一だけだ。怒りがこみ上げた時、頭に声が過る
ー坊や、相手の策に嵌まった時、怒りや苛立ちは禁物。こんな時に必要なのはクールかつ先を見据えた戦術的思考…端的に言うと相手の思考を読むの。よろしくて坊やー
……………そうだな悠那・クロスハート。オレはまだまだ甘いな。ビーム及び通信阻害も顕界だな。ルシファーのコックピットへ手を当てインカムを開いた
「……各機へ…今作戦の目的は達成した、アリシア・テスタロッサ、プランI52を発動しろ」
『え?は、はい…プランI52発動…』
プランI52…戦闘領域より撤退を意味する。敵はこう想うだろう…眼前に目的のMAがあるのに撤退行動を取るのか?を。もし策ならば、想定すらしていない行動に慎重になるか、何らかのアクションを見せる
さあ、どうでるか………ルシファーの制御系へアクセス、コンディションチェック…次元転移による損耗は五割、通常稼働には問題ない。ならば
「……ルシファー、起動しろ」
と呼びかけと同時に船体が揺れ動く…とっさにワイヤーガンを射出。ルシファー起動にあわせ上部ハッチへ大型クローを突き立てビームを浴びせる。ドロリととけおちた。バーニア全開でラー・グスタを出た時、気配を感じる
『ソコまでだ、アレス・ルセディス!大人しく従って貰おうか?』
ルシファー直上からビームライフルを向け外部マイクから呼びかける機体…Hiνガンダムのカスタム機。隣には蒼く塗られたレギルスが滞空している
Hiνガンダムのカスタム機……ヴェーダからのデータによればHiνガンダム・ヴレイヴ・リベレーターから感じたのは逃さないという強い意志。ただレギルスからは戸惑いを感じた…この場にいるのはオレとMAだけだ、こうして仇の一人と巡り合わせた事は…運命か
「…………神宮寺和馬……オレをどうする気だ」
『く、止めるに決まってる、大東さんは、四年前のあのコトををいまでも』
「だまれ…」
冷静になりなさい…ああ、そうだな悠那・クロスハート。でも四年前のあの日、力がありながらオレの家族を助けもせず見殺しにした、なにより地球蒼生軍を野放しにしてミッドチルダにMSを持ち込むきっかけを作った地球統合政府より派遣されたG-spirits隊、大東貴一。そして大戦の英雄、綾崎翔真への怒りを静かに秘め、ゆっくりと顔をあげた
「……オレを止めるか…ならば止めて見せろ…エクシェス、不可視モード解除…」
ーラジャー
オレの声に、MAから離れた空間が歪み剥がれ落ちた。漆黒のMS《ガンダム・エクシェス》が片膝をつく姿、そしてインカムに通信が届く
『ルセディスさん、プランI52完了です。でもどうやってここから離脱を?』
「問題ない……ルシファー、エクシェスとエンゲージ、エクシェスを残し。搭乗者アリシア・テスタロッサと共にミストルティンへ帰投しろ」
ルシファーをホバリングさせ、エクシェスとエンゲージと同時にアリシア・テスタロッサと入れ替わりでコックピットへと躰を滑り込ませマスターアームへ両腕を差し込み脳量子波を跳ばす。ルシファーの口?に該当する部分が開きコックピットシートが伸びる
「ルセディスさん?私MAの操縦は……」
「アリシア・テスタロッサ…操縦はAIキアラがやる……早くしろ」
「わ、わかったよ…わかりました」
シートに座るとMA内部へ格納と同時にハッチが閉じる、ゆっくりと浮上とともにバーニアノズルに火がつき加速離れていく…メンテナンス用コックピットだが耐Gシステムは万全だ
『逃がすかよ!』
ビームライフルをルシファーへ狙いをさだめ撃つ…ムダだ。バーニアノズルを穿とうとしたビーム彈はIフィールドに阻まれ霧散、エクシェスを飛翔、光翼《ヴォワチュール・リュミエール》により加速、瞬く間に肉迫しビームライフルを掴む。振り払おうと力を込めてくるのをマスターアーム越しに感じる
『な、お前…』
「これ以上、ルシファーを傷つけさせるわけにはいかない…」
マスターアームを強く握る、エクシェスの手《ヒートグロウヴ》が赤熱化、掴むムライフル基部を溶かす様に手放し軽くスパークした瞬間爆発と閃光がモニターを染め上げるなか、煙を抜け光刃がエクシェスに迫るのをみた
『ハアア!』
「………」
粒子鋼刀スケトゥルスを展開、何度となく斬りつけ撃つ…こちらのスピードに肉薄し距離を取れば背部にある誘導兵装、いやファンネルの高出力ビームが機体表面を何度も掠めスジが浮かぶ。耐ビーム性が向上したとはいえ直撃受ければVPS装甲といえどひとたまりも無い。ビームの嵐をバレルロールと急加速、減速機動で再び刃を振るい撃つ
『アレス・ルセディス、オレの話を聞け!四年前の立て篭もり事件で、家族をテロリストに殺された気持ちはわかる!!』
……刃を受ける度に繋がる接触回線越しに声が響く…わかる…だって?
『お前が、大東さんと俺たちGspirits隊を憎む気持ちもわかる、あのガンダムを作り上げたのも。でも、あの時は四年前のあの日、俺たちは…』
「……れ、…まれ…………黙れエエエエ!!あの日、お前達が犯人の要求を蹴り、突入が遅れたせいで…遅れなければ……じいちゃん、マヤ義母さん ノイン義姉さん、ハーティが死ぬこともなかったんだ!!」
刃をぶつけ叫びながら、脳量子波をメインフレームに接続…もう終わらせてやる……最終コード解除を念じる。モニターが上から降り虹彩認証完了と同時にジュエルシードの出力があがり翼から金色の粒子が溢れ出していく
「エクシェス、その力を解放しろ……」
ーRoger・Vampire・Territoryー
金色の粒子が輝きを増し、斬りかかろうとする神宮寺和馬のHiνガンダムリベレータの装甲の隙間へ入った。機体のデュアルアイが明滅しバーニアから光が消えビームサーベルも輝きを喪う
『く、な、なんで動かない!?予備回線も…』
堕ちそうになるのをガンダム・エクシェスで頭をつかんだ。まるで糸が切れたようにだらりとぶら下がる《Hi-νガンダムヴレイヴ・リベレイター》。今頃、コックピットで慌てふためいてるな。接触回線を開いた
「無駄だ。オレのエクシェスの前ではすべてのMSは無力化する。神官寺和馬、ミッドチルダで見え見えの芝居をうってクァンタ譲渡した時、格納庫で面白い事言っていたな」
マスターアームに力がはいり、全身から沸々とドス黒いマグマが溢れ出してくる感覚と共に絞り出した
「『そもそも俺は管理局員じゃないからミッドチルダを守る必要は無いだろう』って……四年前のあの日、オレの家族なんか守る必要ない、見殺しにしてもかまわないって思ってんだよな!!」
『……っ!!』
「なんで知ってるって顔だな?脳量子波を通してオレだけの《ヴェーダ》が教えてくれたんだ!!」
言葉が詰まる和馬。ギンっと赤くツインアイを光らせながら、リベレイターの左腕を掴みメキメキと軋ませ力任せに引きちぎった…オイルが血のように吹き出し装甲とフレームがバラバラに落ち、左腕を叩きつけるよう投げ捨てた。頭を掴むマニュピレータに力がこもり、リベレイターの頭部に亀裂が走り出した
「今のは研究所の皆が感じた恐怖のぶんだ。あの日、もつと早く突入していたら。カイジじいちゃんは!リナ母さんは!ノイン姉さんは!ハーティは!…………全部、全部おまえたち、Gspirit隊……大東のせいだああああああ!!」
エクシェスのフェイスに亀裂が走り、大きく裂け放熱、金色の翼を輝かせ叫んだ…
「……次は右だと左だ!!」
『うわっ!ぐああ!』
脳量子波コントロールし、腰部ヒートディル右脚を溶かし貫き砕く。苦悶の叫びが響いた。サイコフレーム搭載機と感応しやすいから起こるみたいだな。左脚もヒートディルのビーム刃で輪切りにした。バラバラと地表に堕ちていく
「次で終わりだ………」
右手…ヒートグロウヴを赤熱化、そのままコックピットへ突き立てるよう振り抜いた…しかし声と共に何かに遮られた
『やめてええええええ!!』
青い影にヒートグロウヴを掴みあげられた…機体称号、ガンダムレギルスのカスタム機か
「邪魔をするな…」
『いや、和馬をアナタに殺させない、ソレにアナタにこれ以上罪を背負わせるわけにはいかないの!!』
誰だ、あの時のミッドチルダで交戦したパイロットだというのはわかる……なんだ。この感覚はノーヴェ・ナカジマと同じ?まさか…まさか
『ギンガ、やめろ!このままだと……はやくはなれるんだ!!』
ギンガ……ナカジマ…ナカジマ……ヴェーダから情報が流れてきた…な、なんでだ…姉さんと……ウソだ。だがオレの仇だ…はあ、はあ、はあ
「離れないと言うなら……纏めて塵にしてやる……シュツルムウント・ドランク・インパク……」
どうしても離れないレギルス、Hiνガンダムリベレータのコックピットへロック、指向性サイクロプス《シュツルム・ウント・ドランク・インパクト》を起動させようとした
だめ!ぱぁぱ
「う、うわっ!なんだ!コレは脳量子波だと?……」
ー警告!リアクター同調率低下!速やかに戦線離脱を推奨しますー
強力な脳量子波に頭が痛み、機体コンディション異常…リアクター同調率が低下だと?ココは引くしか無いか。
「……命拾いしたな……」
V・T解除と同時にレギルスを引き離すと同時にリベレータを投げた。レギルスは落下していくリベレータを地表すれすれで掴んだ。エクシェスを合流ポイントへと向かわせる、通信が入る。痛む頭を押さえながら暗号通信を開く。内容は…
「………作戦は成功したか……なら次のステップへいくか」
今回、オレは作戦を二つ展開していた…ひとつはMAルシファー奪還作戦、そして………
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『番組の途中ですが、緊急速報です……先ほどザフトのカルガナン基地、そしてオーストラリア海洋基地が攻撃を受け消失した模様です。生存者の安否確認がいまだ続けられています』
直径100キロの大穴が穿たれた大地…カルガナン基地が文字通り消滅、オーストラリア海洋基地があった場所も資材が海面を漂う現場映像が世界中に流れた
「ザフトの基地が?」
「一体何があったのかしら?」
一体ダレがと人々が思った時、情報を集めている放送局から、衝撃の言葉が告げられたのだ
『たった今、情報が入りました……ザフトのカルガナン基地およびオーストラリア海洋基地はイギリスが所有する超高出力レーザー砲搭載衛星《エクスカリバー》よるものだと判明しました。宣戦布告および勧告も無しに砲撃が行われたモノとの情報もあり、現在イギリス政府およびイギリス王室に説明を求めていますが返答がありません』
「イギリスがザフトの基地を?信じられない」
「これって虐殺よね…勧告も無しに…イギリスはなにを」
……世界に再び大きな波紋が波立つ
Extra.mission:MA奪還作戦
了
続きはシャルロッ党さんの最新話で!
アレスの真の目的を理解してるの誰?
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ユーナ・クロスハート
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殺生院キアラ
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謎のヒロインXオルタ