オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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あらゆる生を拒絶する深遠なる宇宙《そら》に暗き体躯をもつ大いなるモノが身をまかせていた

その下には蒼く命溢れる惑星を単眼が捉え映り込むも微動すらしない。巨大な体躯を持つソレは自らの主からの命を待つ…


主、アレス・ルセディスの復讐を為すがために、ただ待つ…


その時、世界の憎悪は彼に釘付けとなる
















PHASE-113 イギリス防衛戦 6《side:ARES》 

『っ!』

 

 

肩から蒼白い炎を立ち上らせ、風を切り振り下ろされ鉄塊、ソードメイスをヒートグロゥヴで掴み止めた…バル漆黒に赤にいろどれたバルバトスルプスのデュアルアイが爛々と輝き押し切ろうと力を増していくのをアームレイカー越しでも感じ悟った

 

「……阿頼耶識システムのリミッターを外したのか……」

 

 

『まあね……っ!!』

 

 

接触回線越しに響く声から判断しても間違いない…掴み止めた手を振り払い何度か潰しきるようにソードメイスが振るわれる。VPS装甲といえど当たれば衝撃で内部機構にダメージがくる。こうして刃を交えたのは初めてだが気を抜く事を許さないほどの気迫をMSの装甲越しにイノベイターとしての直感が捉えた。ソードメイスの乱撃を交わし、受け手流した

 

 

「……やるなツバサ…」

 

 

『余裕だね……でもキミをここから先に通すわけにはいかないよ』

 

 

「……そうか。なら通させてもらう…いけ」

 

ギンッと赤みがかった金眼が輝く…金色の翼が輝きを増した時、接近を示すアラートがなり響き複数のMS反応、モニターには自軍の識別を出して迫る姿、しかしどこか動きがぎこちない

 

 

『味方?鹵獲されたのか…べつにいいか』

 

 

ソードメイスがデュエルダガーのコックピットを穿ち潰す、だが動きは止まらず逃がさないとばかりにしがみついてきた、それも1機だけではなくワラワラと近づくや否や、構えたビームライフル、リニアカノン、トーデスシュレッケンが火を噴く

 

 

『く、しっこい…』

 

力任せにデュエルダガーを引き剥がしぶつけ火線に投げた。たちまち蜂の巣になり爆発、その間隙を抜いソードメイスを振るい横薙ぎにコックピットを潰しきり、ビームサーベルを振るうダガーの胴を抜き手で穿つ。しかし微かな違和感に眉をひそめた

 

阿頼耶識システムと完全な同調、自身の手のように貫いたコックピットブロックから感じるのはすでに息絶えた人のなれの果て…肉塊の感覚にようやく悟る。このパイロットはすでに死んでいたのだと

 

 

『このMSは…パイロットが死んでるのに動いてる?………まさかアレス、キミがこのMSを!?』

 

 

「そうだ、オレのガンダム….エクシェスの力…《vampire・territory》だ……ちょうど使えるMSが出来た、ソレを使ったまでだ」

 

 

瓦礫の上に腕を組み立つ金色の翼を広げる悪魔…エクシェス、感情全てをそぎ落としたアレスの声が這い寄るMSを払いのけ潰すツバサにも届く。いかにリミッター解除したバルバトスといえど主なきMSに群がられては機動力を封じられてしまう。ギンッとデュアルアイを輝かせ両肩の装甲を展開、バチバチと放電現象が辺りに巻き起こりクリスタル部に光が溢れ、太陽黒点並みの半固体化し形成されていく

 

「……せめてもの情けだ……痛み無く死ね……吹き荒れろドラグ・インパク……高エネルギー反応?」

 

僅かな逡巡を経てトリガーを引こうとした時、高エネルギー反応、極太のビームがエクシェスを飲み込もうとせまる、ドラグインパクトをやむなく中断しリュミエールシールド最大展開でしのぎ防いだ

 

 

PHASE-113 イギリス防衛戦 6《side:ARES》

 

 

 

「く、これはバスターライフル?まさか」

 

『やめろ、マルス!』

 

 

オープン通信回線と共に響いた声、エクシェスのデュアルアイが捉えたのは青い装甲に翼を持つ機体…ウイングガンダム・フェニーチェ《リナーシタ》がトライツバーク装備バスターライフルを構え接近、ビームサーベルを抜いた

 

「ナガスミか………(トライツバーク、完成したのか…)」

 

『こんなことして何にもならないだろ!マルス!!』

 

 

振り下ろされた灼熱のビームの刃をヒートグロゥヴで受け、抜き手で逆袈裟に振るう。ナガスミは操縦幹を傾け紙一重で回避し何度となく打ち付けながら呼びかけた

 

 

「オレはアレス・ルセディスだ……マルスは死んだ!!」

 

『ざけるなよ!お前が居なくなってから御門先生や雪音さん、アインハルト、ノーヴェ、千冬さんがどんな気持ちだったのかわかるのかよ!!』

 

ナガスミの言葉が突き刺さる…一瞬、御門、クリス、ノーヴェ、アインハルト、千冬の顔が浮かぶ。どれも哀しみに彩られていた。ソレを振り払うようにアームレイカーを握り締め、リナーシタの胴へケリを入れ距離を取ろうとした時、接近反応と同時に背後に影が浮かぶ

 

 

「くっ!」

 

ソードメイスがエクシェスの胴を袈裟に殴りつけた。激しい衝撃がコックピットを揺らしながらも耐え体勢を立て直した…2対1の状況、周囲にはさきほどまであやっつていたMSの残骸、全てがバルバトスに駆逐されたモノを見ながら冷静に状況確認する

 

(…ツバサ、バルバトスのリミッター解除による機動性向上に加えてエイハヴリアクターのパワー、ナガスミのリナーシタのトライツバーク……オレが整備し改良しただけはあるか………予定通り戦線は分散、各戦線は膠着状態、全てミッションプラン通りだ。あとは…)

 

 

『アレス……もう一度いうよ…復讐なんてやめるんだ』

 

 

『マルス!こんなことしても何一つ救われない…何も変わらないんだ!!』

 

 

ビルの瓦礫にバルバトス、空にリナーシタの呼びかけに無言で佇むエクシェス…しかし3機のコックピットに高熱原体反応を示すアラートが鳴る、反応は自分達の真上からだ

 

『ツバサ!アレは!!』

 

 

『…ひくよ!』

 

 

雲一つない蒼空から目映い光、極太のレーザー光線が着弾。3機が離脱する中、ビルの瓦礫や無傷だった建造物を融かし蒸発、光に飲まれながら消えていく。熱と破壊の嵐が収まり見えたのは巨大なクレーター。ソレを目にし二人は冷や汗を流した

 

『これは…レーザー攻撃……まさか!!』

 

 

『エクスカリバーがイギリスに攻撃を?……』

 

 

「敵を倒すために自らの国を灼くか…民が住まう街ごと、コレがイギリス政府のザフトへの答えか?ツバサ、ナガスミ……(ち、出力を落とし切れなかったか…次の第二射までは10分かかるか。さあどう出るGspirit隊、ATAG、大東貴一?綾崎翔真?…《第三の矢》を撃つ頃合か)」

 

 

唖然とするツバサ、ナガスミを俯瞰し腕組む復讐の悪魔エクシェス、アレス・ルセディス。イギリスを追い詰め未だ姿を見せない大東貴一、ATAG、戦場にいるであろう綾崎翔真へと問うも答えはない

 

 

「………ツバサ、ナガスミ、お前達はコレを見てなにも感じないのか。ソレスタルビーイングは一個人。一国家を守るためにあるのか?あの少女《エクシア・カリバーン》の命を弄び兵器に組み込み道具として使う国家《イギリス》は紛争幇助対象ではないのか?お前達のCBの掲げる理念は所詮は借り物だ」

 

 

かつての友の言葉が響いた

 

────────

──────

 

 

「く、ここまで私を!」

 

 

「ふふ、どうしたのかしら?貴女の力はその程度かしら?ツバサ・カザナリ!!」

 

 

「巫山戯るな!防人たる私の刃を舐めるな!!」

 

 

アヴァランチエクシア、ガンダムガングニール、槍と刃がぶつかりしのぎを削る…その様はまるで剣舞とも言える。何合か撃ちあい斬りつける。しかし槍に受け流された刃は決定打を与えることが無い。間合いを取る翼は想う

 

 

「(く、ここまで私の世界のマリアと同じ声と打とは…ふふ昂ぶらせてくれる)……」

 

 

「防人の刃、その程度かしら?買いかぶったみたいね…」

 

 

「まだだ!私の刃は折れてはおらず、全て見せてはいない!」

 

 

「そう、ならば………貴女の防人たる刃、折らせてもらうわ……………(隊長、使わせて頂きます)」

 

 

ガングニールのコックピット、マリアは胸元にあるペンダントを手にし、正面コンソールが半分開き現れた差し込み口に迷わず入れ、胸に浮かぶ言葉を紡ぐGNソードを振るあえ繋がれた接触回線越しに聞いた翼は目を見開いた

 

「せ、聖詠っ!まさか!?」

 

 

「《─Granzizel bilfen gungnir zizzl……………─》」

 

 

目映い光に弾かれたアヴァランチエクシア…そのコックピット内で翼は見た…ガンダムガングニールの装甲がマリアの歌声が響く中で分解、漆黒とオレンジのラインが目立つ装甲へ再構築、手にした槍も分割再構築し電光を纏い漆黒のマントがたなびく姿におもわず声が漏れた

 

 

「シ、シンフォギアだと!?」

 

僅かに剣先が鈍る。その隙を見逃さずアームドギア化した漆黒の槍がGNソードを弾き肩部GNバーニアを貫き、右腕が吹き飛んだ

 

 

「ぐ、まだ私は折れてはいない!」

 

「そう。ならば私の歌で折らせてもらうわ!!」

 

 

響いた歌と共に槍の応酬が迫る、左腕にGNブレイドを構えるアヴァランチエクシアの躰を刺し貫き横薙ぎに切り払われ右脚部アーマーが切り裂かれ吹き飛ぶ。機体フレームとバーニアが悲鳴を上げながら踏みとどまるも、追加されたアヴァランチユニットは半数喪失、吹き飛んだ肩口からはGN粒子が漏れ出し、GNブレイドも刃毀れしている

 

「く、ここまで力量の差が…」

 

「楽しかったわ。でも貴女の刃は私には届かない……これで終わりにしましょう!!」

 

 

槍を天にかざす。各パーツが展開し回転し金色のエネルギーが歌、いやフォニックゲインの高まりと共に溢れ荒ぶる光が穂先に集まる

 

 

      ─HORIZON†SPEAR─

 

「塵芥となってきえなさい!!」

 

「………く!」

 

フォニックゲインによりました極光がアヴァランチエクシアを飲み込み装甲を融かし。瞬く間に爆発した…いや手応えが無い、舞い散る破片を見て気づいた

 

 

「装甲を囮にした……やるわね」

 

 

光に飲まれた瞬間、翼は残ったアヴァランチユニットをパージし内部に蓄積されたGN粒子を自爆させ離脱したのだと。しかもGN粒子の電波阻害によるセンサー類の撹乱も兼ねた策に賞賛の気持ちを抱いていた

 

 

「次に会うときこそ、決着をつけましょう……ツバサ・カザナリ」

 

排熱を終え各部が閉じたアームドギアである槍を振るい、再戦を期待する自分の心を落ち着け、膠着している戦線へとG・ガングニールを飛翔させた

 

 

 

PHASE-113 イギリス防衛戦 6《side:ARES》

 

 

 




続きはシャルロッ党さん、ヘルダイバーさんの最新話で

アレスは世界の憎悪を向けさせる敵たるか?

  • 敵である
  • 敵じゃない

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