オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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イギリス防衛戦、二日前


「………ん…」

微睡みながら躰を起こし毛布で躰を隠し隣を見る。白髪に赤いメッシュが目立つ彼を見て笑みを浮かべ、髪を指ですくと擽ったいのか微かに声が漏れた

「こうしてると何時ものキミじゃ無いみたいだね…」

再び横になり躰を寄せ胸板に頭を預ける。規則正しい鼓動と温もりが心地いい、寝顔は普段の無表情さと違い年相応にも見え幼さを感じる

出会った頃、MSデッキで寝袋に入り寝てるアレスを見て近づくと目を覚まし後ろでを締め上げ拳銃を押しつけられた時は最悪だった。こんな男を今まで見たことが無かった

あの三人の隊長である事も気に入らなかった…こんな男から引き離そうと勝負を仕掛け結果、負けた…口説き文句紛いの勧誘に驚いたのもだが、そのあとに抱きかかえられ運ばれたと聞かされた時は医務室のベッドで悶えた

ソレから自然と彼を見ては目で追い、勇気を振り絞ってあの時の返答をした時から感じた違和感も大きくなり、新たな機体ウーンドウォート・ラーⅡを与えられてからようやく気づいた

彼に恋をしてる事に…不慮の出来事といえ肉体関係を持った次の日の朝に見事なまでのDO・GE・ZAをされた時は驚きはしたもの許し今にいたる
 
ただ共に過ごし躰を重ねてわかった事がある

─……う、ぐ……ウウッ!ハアッ、ハアッ……っ!─

ときおり悪夢に魘され跳ね起き拳銃を手にし息を荒げるアレスを見てからはどうにかしたいと思い聞こうとするも躊躇ってしまう。ソレをしたらはなれていくのでは


「ぐ、うっ…」

「……大丈夫だ……アレス。私がキミの悪夢を祓うから……ね」

魘され顰めるアレスを胸元に導き抱きしめた。どんな夢を見てるかはわからない。ただ普段とは違う苦悶に満ちてた顔に胸が痛んだ。しばらくすると穏やかなものへ変わる。安堵したのかロランも再び眠りに落ちる






──────
───
──


─ここは?─


気がつくと暗く微睡んだ場所にいるロラン…背後から乾いた音が四回鳴り響く。銃声だと気づき振り返ったソコには


─あ、あ……う、うぅ……ああああ───────!─


真っ赤な血溜まりに膝をつく小さな男の子、老人、女性、15才、10才ぐらいの二人の少女の前で泣きじゃくってる赤いメッシュに黒い髪…黒い部分が真っ白になっていくのをみて胸が痛くなった。おもわず声をかけた


─キ、キミ…何が─


─じいちゃん、お母さん、ノイン姉ちゃん、ハーティ……なんで、なんで僕だけ……え?だれ?─


─………辛かったね…でも大丈夫…─


─お姉ちゃん、だれ?─


─こう言うときは自分から名乗るのがスジだね。私はロランツィーネ・ローランディフィルネィ……キミは?─

ロランが名乗ると俯かせた顔をあげた。赤金に輝く瞳から血の涙を流す少年をみて気がついた。この男の子が誰なのかを


─僕はアレス、アレス・ルセディス……─


初めての彼氏…いや愛する人の本質。心の奥にある本当のアレス・ルセディスを知ることになった




PHASE-118-119.5 ─戦後の希望/プレシア・テスタロッサ─side:ARES 

「アレス隊長」

 

「マリアか…どうした?」

 

 

H.U.Dをかぶりグローブを付けたままマリアに応えた。やや傾く特務艦ミネルバ、外装はへこみ穿たれた補助エンジンは消火作業が続けられCIWSも損失し痛々しい姿を見せる、ソレに寄り添うように特務艦ミストルティンが接触、後部部コンテナアームが伸び破損したCIWS砲塔をマニャピレート先端からレーザーが切り離した。外装部も同様に

 

 

イギリス本土戦が終わり12時間、特務艦ミネルバをはじめとした艦艇はMS部隊、怪我人収容が終わると共にザフト加盟国より派遣された艦隊にはプレシアは、イギリスとの交渉と戦後復興にむけての話し合いの為に残し、一路《ジブラルタル》へと航路をとっていた

 

「はい、ジブラルタルまでの航路及びミネルバ補修状況ですけど、現状のままでも問題ないと篁艦長から指示がありました。エクスカリバーに関しては準備が終わり次第に接収に向かうと」

 

 

「そうか。切歌、調、野良い…アレックスは?」

 

 

「切歌と調なら機体整備を終わらせてさっき仮眠をと…ただアレックスは……その…」

 

 

「……何があった?」

 

口ごもるマリア…表情が優れないと感じ作業をオートに切り替えHUDを上へあげた…目の下にはクマが見えてるヴェーダの再掌握の為に魔術回路《サーキット》で霊子ハッキングし、エクスカリバーと一体化となってレーザー砲斜角と出力調整、ツバサ、ナガスミ、イギリス防衛隊にくわえ仇である大東貴一との連戦に次ぐ連戦で疲労困憊。小破したミネルバのメンテナンスとMSの対EMP処置とミネルバ隊を含めたOS更新………いつ意識を失ってもおかしくないが、些細な問題でも見過ごせない。自身の預かるパイロットならさらだ

 

 

「……野良い…アレックスがどうした」

 

 

「ソレがミネルバMS整備班の一人と…その」

 

 

「……案内しろマリア」

 

 

歩き出すアレスに慌ててついて行くマリア、仮通路を抜けミネルバMSデッキで見たのは…

 

 

「………だから何度も言ってるだろ布仏、阿頼耶識があれば左足は動かせるから問題ねぇって!」

 

 

「…阿頼耶識システムケーブルはそんなに伸びないですよ。ならあえて聞きます。食事はどうしますか?パイロットスーツも脱がずに、シャワーも浴びないまま寝るつもりですか?」

 

 

「っ!?…」

 

 

オレンジ色の整備服に身を包んだ黒髪を後で三つ編みにし眼鏡をかけた女性の言葉と目にビクリと躰を振るわすアレックスこと五反田弾…その背中には阿頼耶識システムのピアスを繋ぐケーブルがアスタロト・ブレイジングから伸びてるのを見て悟る…システムを解放したのだと。話から聞く限り左足を代償にしたみたいだ。たじろぐアレックスを余所に言葉を淡々と浴びせる様に整備班の女性メンバーがニヤニヤしながら見てる…

 

 

「ソレに用を………」

 

「あ~もう、わかった、わかったから!……オレの負けだ布仏整備「虚です」…ぬ、布「………虚」………虚整備副主任」

 

 

「……まずはシャワー浴びないと…みんな、阿頼耶識システムケーブルを外すの手伝って。あと車椅子も」

 

 

テキパキと阿頼耶識システムケーブルを外し、車椅子にアレックスを乗せ押していく女性、布仏虚とすれ違いざまに見たのは無表情ながら頬を赤く染めていたのを見て。ふうっとため息をついた

 

「……あ。あの隊長?」

 

 

「………マリア・カデンッヴアナ・イヴ、コレより切歌、調と共に12時間の休養を与える」

 

 

「え、でも隊長…私はまだ。ソレにアレックスは……」

 

 

「……疲弊は判断力が鈍る原因だ…アレックスは布仏虚整備主任に一任する………」

 

 

「え?なぜなのですか?」

 

 

「……邪魔をして…馬に蹴られたくないからな…」

 

 

「?」

 

 

何の意味かわからないマリアを残しミネルバ艦内を歩き出した…アレスは別なことを考えていた

 

 

(……ミネルバの応急修理は五時間で終わる……ミッドチルダと大東の世界は今頃は…キアラ、エッちゃん、聞こえるな?)

 

─はい、マスター…─

 

 

─久しぶり─

 

 

優しくも艶を醸し出す声、感情が無い声が響く…右手にある赤いアザ…最期の令呪一画が輝く

 

(令呪を持って殺生院キアラ、エッちゃんに命じる………現時刻を持ちプロジェクト・エデン最終段階を実行せよ…)

 

─うふふ、仕方ありませんね……では涅槃にてお待ちします─

 

─マスター、こっちに来たら秘蔵の高級和菓子食べて─

 

 

(ああ、もし《座》にいくならばな……)

 

強く輝く最期の一画が徐々に消えていく。サーヴァントとの契約が切れた事を意味する…少しだけ寂しさⅡ満ちた瞳を向け触れるも再び歩き出した

 

 

向かうは記憶を失っていた《マルス・レディーレ》自身の戦友であり、四年前に家族を奪った原因を作った仇の一人がいる場所へ…

 

PHASE-118-119.5 戦後の希望/プレシア・テスタロッサside:ARES

 

ジブラルタル基地

 

艦艇繋留エリアに入港したミネルバ、隣に接舷するミストルティンによる修繕が進み残すは火器管制と推進システム微調整のみとなり、ミネルバクルーの一部はMS部隊要員の半数が上陸許可を貰い羽根を伸ばしている

 

 

しかしながら保守点検に従事する歩哨、整備班は交替で休むみながら機体の整備と損耗したパーツ交換とアッセンブリにいそしむ。

 

その中にはアレスの姿があり、整備班に混じりアスタロト・ブレイジング、ガンダム・エクシェス、イガリマ、シュルシャガナ、ガングニール、AZガンダム、デスティニー、レジェンド、インパルスの前で各機体のコンディションウィンドウを幾つも開き高速タイピングしデバックと各種パラメータを同時にこなす様に息をのんでいた

 

「すごいなあ、同時にOS更新するなんて驚くよ~ルセリン」

 

「インパルス、レジェンドは問題ない…あとルセリンはやめろ。布仏整備主任」

 

 

「うん、わかったよ…ルセリン。じゃあこっちはやっておくよ~」

 

 

「……っ…く…デスティニーの関節ストレスが激しいな……」

 

 

「まあ箒は機体の限界を超える反射と反応速度でバシバシ、ズバズハするからしかたかないかな~」

 

 

「……MSはモノじゃない。いかに優れた機体でも感情まかせに動かせば必ずガタがくる……深刻なダメージが無いのは布仏整備主任と整備班の尽力によるモノだ」

 

 

「でしょ~もっと褒めて褒めて~」

 

 

満面の笑みを浮かべつなぎの袖を揺らす本音に僅かに表情が柔らかくし、タブレット端末を差し出した

 

 

「……布仏整備主任、デスティニーの問題箇所とパーツ交換リストを纏めた。ソレとコイツもも渡しておく」

 

 

『ハロ!ホンネ!よろしくな』

 

 

『てやんでぇ~整備手伝うぜ!!』

 

 

「わあ~なにこの丸いの~沢山いる~名前はなんていうの?」

 

 

アレスの後にあるコンテナが開き、青、赤、ぴんく、オレンジ、黄色、水色…様々な色のハロが整備班の周りを跳ね転がり止まり、腕の中に収まるのもいて笑顔になる

 

「…ハロだ。簡単な整備とOS更新、パーツ交換を手伝う機能を追加した…自由に使うといい」

 

 

それだけいいMSデッキから出て行く…嬉々としながら感謝の言葉を背にしながら頭にあるのは数時間前のプレシアと翔真との会話から感じた違和感。同じイノベイターとして何かが引っかかっていた

 

 

(………あの翔真が簡単に投降するはずがない。イギリスとトレミーを護るため?イヤ違う……ソレに姿を眩ました大東、Gspirits隊とATAG……アイツの事だ逆転の一手を打つ為に動いてるか………)

 

 

─何故だ…何故ミッドチルダと大東さんの世界にレーザー砲なんかを撃ち込んだ!復讐したいならオレと大東さんにしろよ!あそこにはお前の復讐には関係ない人が住んでいてたんだ!─

 

 

再び拘束される前、投げかけられた言葉が過り木霊する…

 

(……ちっ…揺さぶりをかけたつもりか…だが翔真、お前がオレの家族の仇であることは変わらない…遅れに遅れていた地球主導の火星のテラフォーミングはキアラ、エッちゃんのおかげで一年で終わるから問題はクリアだ。残すは大東の行方と翔真が何を企み拘束されたかだ。数日以内もしくは今日にでも何らかのアクションを起こす可能性が…ヴェーダにサテライトサーチを)

 

 

MSデッキを抜け、ミストルティンにある自室に向かう通路を歩き暗証コードを打ち室内のベッドに身をまかせるよう倒れた。ルセディス家で論文制作や研究で煮詰まった時に何時も考えを纏めようとする癖だ…が何かの温もりと甘い香りを感じた

 

「や。やあ」

 

モゾモゾと毛布に身を隠し起き上がるのはロラン…おもわず思考が止まる…なぜと居ると考えるも理由がわからない

 

「ロラン、なぜココにいる?休暇を取ってたハズだ」

 

「ああ、今日はキミと…そのインレのレポートを」

 

 

「……あとにしてくれ…今は…」

 

 

と、言い切る前にふらつきそのまま倒れ込んだ。ロランが居たこととで張り詰めていた気が抜け、睡眠時間を削りに削り、MS整備からミネルバ修繕、翔真とのやりとり…宿願であった《プロジェクト・エデン》の最終実行も重なり限界だったのだ。躰にろくに力が入らない

 

しかしソッと頭を抱き寄せられてた…暖かさに包まれたながら、ロランが耳に唇を近づけた

 

 

「やっぱり、疲れてたんだね…」

 

 

「オ、オレは疲れてな…い」

 

 

「あまり根を詰めすぎるのはよくないよ。キミの悪いところだよ…さあ、今は休むんだ」

 

 

甘く優しさに満ちた声と共に服が手際よく脱がされていく。よく見るとロランは何も着ていない事に気づく、白い肌に豊かな胸、くびれた腰に緩やかなヒップライン…生まれたままの姿に息をのんだ

 

 

「でも、その前にご褒美を貰いたいな…キミは何もしなくていいから。ソレにココは収まりがつかないだろうしね」

 

 

「っく?」

 

疲れと裏腹に滾るソレに手を添え、胸を押しつけるロラン…艶の色に染まる瞳から目を離せない

 

「私に委ねていいよ…アレス…ん」

 

 

「ロラ…ン……」

 

 

唇が重なりまとわりつくような水音と共に灯りが落ちる、衣擦れと共に艶がかった声、スプリングが軋む音がギシギシと鳴る

 

「っ。はあ…熱くて…かたい」

 

 

「は、ロラン……しま……っく!?」

 

 

奥に…さらに奥に…薄暗いなかわからないが何度も、何度も激しく揺れる肉丘、グリグリと押しつけ引き抜くように上下する度に声に歓喜に満ちた艶にそまる声が響く。逃がさないと言わんばかりにガッチリ両手で掴み形が捏ねていく度に限界が来た

 

「や、動かな…やあ…ダメ…ん、ん!んんん♡♡」

 

 

「ぐ、ロ、ロランっ!」

 

 

ビクっ!と躰を大きく震わせ声を押さえながら歓喜に躰を震わせ身を預けるよう倒れた…脈打つマグマのような赤よりも白き熱さを受け止めみ息づかいも荒くし髪は少し乱れるも、喜色に顔は満ち口元から涎がつゥと落ちた

 

「はあ、は、あ…はあ♡激しすぎだ…私がするっていったよ…んっ!」

 

 

不満の声は唇をふさがれた…舌と舌が絡み味わうような長い長いキスを交わす。やがて名残惜しいかのようにゆっくりと銀の糸をツウゥと伸ばし離れた

 

「っはあ…はあ…ズルイよ…こんなことして許さないよ」

 

 

「すまない…どうすれば…」

 

 

「なら、大人しく私にまかせ…」

 

 

その続きは鳴り響いた敵接近を知らせるアラートにかき消され、アレスはガバッとベッドからロランを対面坐位のまま起き上がる。嬌声を上げたまらずしがみつくのを気にしながら直ぐさまヴェーダとアクセスする

 

 

「(未確認機複数接近?……ヴェーダのサテライトサーチから逃れてだと?補給と整備、MS部隊要員が出払って手薄な時を狙われたか)………ロラン、オレと一緒に出られるか?」

 

 

「あ、はあ、はあ……奥に…っ)………う、うん……敵かい?」

 

 

「ああ…迎撃に出る………」

 

 

躰を震わせ惚けながら聞くロランに応え、手早く離れパイロットスーツに着替え。MSデッキに走り迷わずエクシェスとウーンドウォート・ラーⅡのコックピットに身を滑らせイグニッションキーを押し、リニアカタパルトへ移動する

 

 

─エクシェス、ウーンドウォート・ラーⅡ、発進口へ固定、リニアボルテージ上昇…カウント開始します!─

 

発進口から見えたのはビームの軌跡と黒い何かが空を駆け、爆発四散するバビ、ザクファントム、グフ…アレスは黒い何かから感じ取る

 

(この感覚…ショウマ・バジーナ、リイズ・ホーエンシュタイン………アレはデスティニー!?最新鋭機のデータが漏れたか…)

 

 

僅かに驚くも冷静になる…今は自身の目的の為に集中すると決めると同時にカウントがゼロになる

 

 

「ガンダム・エクシェス、アレス・ルセディス、敵を殲滅する!!」

 

 

「ウーンドウォート・ラーⅡ、ロランツィーネ・ローランディフィルネィ、共に行く!!」

 

 

閃光と命の光が輝く空にリニアカタパルトからエクシェス、ウーンドウォート・ラーⅡが射出され空へ向かう…

 

 

 

(……ショウマ・バジーナ…お前の真意を見せて貰う!!)

 

 

声なき声が空に木霊する

 

 

 

PHASE-118-119.5 戦後の希望/プレシア・テスタロッサside:ARES 

 

 

 

 

続きはシャルロッ党さんの最新話PHASE-121「ダークハウンド対エクシェス 後編」で!


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