オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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(ち、P・T…プレシア・テスタロッサ。余計なことを)


軽く舌打ちし、アームレイカーを握る…ニューロことストライク、デルタプラス、AGE-1筆頭にリーオ、ガフラン、ジンが大挙してくる

(防衛艦隊の損耗率は想定内…マリア、ロラン達も此方の予定通り……あとは………)

左手に装備された巨大な砲、エクスカリバーを改造した《ジェネシスⅡ》の出力調整と戦況推移を妨げるよう電子音が桁ましく鳴る…明らかにMSが出せる加速を超え接近する機影を見る前、流れてきた脳量子波にアームレイカーを握る手に力がはいる。眼前に現れたのはジャスティスの後継機《インフィニットジャスティス》背部に巨大な機動兵装《ミーティア》だとヴェーダから詳細が届くも無視した

ようやく、この時が来たのだから


「今度こそ終わらせてやる、綾崎翔真」

 

『来い。相手をしてやるよアレス・・・!』


「面白い」

 
インフィニットジャスティス+ミーティアは大型ビームサーベル、エクシェスは大型マニピュレータを閉じ血のように赤い極厚のビームソードを互いに構え加速、大きく振りかぶった大型ビームサーベルと何合も打ち合い、エネルギー放電を起こし反発しながら斬り結んでいく……

「綾崎っ………翔真っ!!」


『アレスッ!!』


様々な試練を多くの死と哀しみを超えた変革者《綾崎翔真》、彼の遺伝子を元に生み出され人の愛を教えてくれた家族を喪い変革を迎えたアレス


二人の変革者の戦いの行方は…






 PHASE-136「妹よ」─side:ARES─

「ぐ、ぐぅ………う、ぐ──」

 

 

光がいくつも瞬き、ビームが交差する中、力無く漂うボロボロの赤い機体…頭部装甲が溶け落ちフレームの至る所からオイルが漏れるアスタロト・ブレイジング改のコックピットに獣のような叫びをあげアレックス、いや五反田弾は髪をかきむしりダンッとコンソールを殴りつけた

 

「な、なんで…そこにいるんだよ……蘭」

 

片方の瞳から血を流し呻くように呟く…阿頼耶識システムのリミッターを解除し、何度も殴り、斬り、穿ち嘗ての親友《一夏》を屠ろうとした刃を止めたのはユニコーンガンダムを駆り生き別れた妹の蘭の声だ

 

あの日、祖父と両親が殺され連合に拉致された日から生きてるか死んでるかもわからなかった。躰を弄くり回され危険な阿頼耶識システム施術を五回も耐え、祖父が隠し持っていたガンダムアスタロトを改造したブレイジング改に乗せられ消耗品扱いされながら耐えていた理由

 

 

祖父、両親が死に、蘭と生き別れるきっかけ作り、世界を変えた姿をくらました一夏、翔真への復讐が彼を支えてたのだ

 

蘭が生きて安全な場所にいるとアレス(テイワズにいることは伏せられていた)から聞いていた。この戦いで復讐を終え平穏無事な姿を一目、遠目からでも姿を見られたら満足だ。五度の阿頼耶識システム施術で醜く盛り上がった背中は奇異の目で見られ、その未来を潰すばかりか、妹の好きな一夏《仇》を殺したならなおのこと

 

 

「……爺さん、親父、お袋……どうしたらいいんだよ……なあアスタロト…俺は」

 

 

アスタロトは何も応えない…声が木霊するだけだった

 

 

PHASE-136「妹よ」─side:ARES─

 

特務艦ミネルバ、同艦橋

 

 

「アスタロトブレイジング改、シグナル途絶!」

 

 

「左舷よりソレスタルビーイング旗艦、接近!」

 

 

「イゾルデ、トリスタン照準合わせ!てぇぇぇ!!」

 

 

 

イゾルデ、トリスタンの集中砲火をすれすれで回避するトレミー…GNフィールド越しに伝わる衝撃に船体が揺れながらディアーチェもお返しとばかりに回頭と同時に指示を飛ばす

 

「やるではないかバレルロールと同時にGNキャノン、GNミサイル発射!!」

 

 

GNキャノンのビームをすれすれでかわし迫るGNミサイルはCIWSの弾幕で防ぎきる…火線がいくつも瞬く。揺れはMSデッキにも伝わり、整備チームは身近なモノに捕まり耐える

 

 

「…アスタロトの弾さんのシグナルが消えた……うそ…」

 

 

「識別シグナルは消えてるけと、アスタロトのリエイハヴウェーブはまだ生きてる……お義兄ちゃんは生きてるのだ」

 

微かに震える虚の手を覆うように握る本音に静かに頷く、なぜ遠く離れたアスタロトのコンディションがわかるか。ソレは小型ながら高性能な量子コンピュータを搭載しMS整備をもサポートする機能を持つハロ。弾のアスタロトも例外なく特殊な量子通信によるリアルタイムでわかる。しかしながら声を送ることはさすがに無理だった

 

(弾さん……)

 

 

本当ならばすぐにでも駆けつけたい。しかし今ミネルバを離れるわけにはいかない…ただひたすら無事に戻ってくることを虚は祈るしかないのだ

 

─────

──

 

 

プトレマイオス2、艦中央ブロック

 

 

「っ!?……いまのは……近くにいるのか兄貴が?」

 

 

ナニカを感じベッドから起き上がる…艦中央ブロックにも届く微かに振動だけだ。しかし何故かアレスが近くにいると感じMSデッキへ続く通路を出た時だ

 

 

─まぁま…ぱぁぱ。ぱぁぱ─

 

 

「だ、誰だ?」

 

 

頭に響いた声に驚き辺りを見るも誰もいない…気のせいだ。そう思ったクリスの頭に再び声が響く

 

 

─まぁま…まぁま、ここ…─

 

「……っ?……まさか…」

 

声にハッとなり下腹部に手を触れた時

 

 

─まぁま♪─

 

 

ようやく触って貰えた事を喜ぶ声にようやくクリスは悟った…まだ形になったばかりの小さな命、アレスとの子の声だと

 

 

「もしかして兄貴のいる場所に案内してくれるのか?」

 

 

─…ぱぁぱ、ちいさいぱぁぱ、まっくら。まぁまはヒカリ…─

 

 

ちいさいアレス、まっくら、光、たどたどしい声…荒唐無稽な言葉だ。直感的にでもわかった

 

 

「……兄貴を……お前のパパをアタ……ママと助けたいんだな………わかった。じゃ一緒にいくぞ。パパの所に」

 

 

踵を返しMSハンガーにあるノーマルスーツルームに入り服を脱ぎ捨て、着慣れたパイロットスーツに身を包みデッキへ上がるとニャイアアストレイ・イチイバルのハッチに取り付いた。それに気づいたロウが慌てて飛んできた

 

 

「やめな嬢ちゃん。いま外じゃミネルバ、ルウェンが見たことないMSと戦闘中だ!それに妊娠してんだMSには…」

 

 

「るせぇんだよ!んなのは百二百もわかってらあ!兄貴が近くにいるんだ…この子が言ってんだ。兄貴が危ないんだ」

 

 

鬼気迫るクリスほ真剣な眼にロウは逡巡し、胸ポケットからあるものを手渡した

 

 

「これは?」

 

 

「ニャイアアストレイ・イチイバルの新装備《シンフォギアシステム》だ……これなら衝撃やGにも耐えられる………使い方は……って嬢ちゃん、説明は!?」

 

 

「んなのいらねぇ、ニャイアアストレイ・イチイバル出る!!」

 

 

「わかった、ディアーチェ嬢ちゃん。ニャイアアストレイ・イチイバル出るからカタパルト開いてくれ!」

 

 

『な、わかった……アインハルト第二カタパルトを!』

 

 

『え?クリスさんが!?……わ、わかりました……』

 

 

戸惑うアインハルトの声をみみにしながらギュツとアームレイカーに手を置くクリス…医務室から御門とノーヴェが駆けつけてきたのを見ながらカタパルトに固定される

 

解放された向こうには光煌めく戦場と化した宇宙、白いMS?と戦うストライクノワール…リニアボルテージがMAXに到達、軽く息を吸った

 

 

「雪音クリス、ニャイアアストレイ・イチイバル……突っ走る!!」

 

 

混迷と策謀渦巻く宇宙へ勢いよく打ち出された…

 

 

 

 


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