オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》    作:XENON

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「涼子母さん、じゃいってくるね」


「リョウ、あんまり迷惑かけたらダメよ」


「うん、あ、千冬姉ちゃんに今度、マッサージしてあげる約束してたんだ…どうしょ」


黒髪に赤いメッシュにゆるふわとした髪の小さな男の子が千冬姉ちゃんとの約束を思いだししょんぼりする。白衣姿の女性、恐らくは母親だろうか。しゃがむと頭を撫でた


「大丈夫、千冬には私から言っておくから…ほらそんな顔しない。笑ってリョウ♪お友達が見たら心配するわよ?」


「う、うん…じゃあいってきま~す♪ハロも行くよ」

《ハロ、ハロ、リョウ、いこう、いこう》


六歳になる息子、御門リョウとハロを笑顔で送り出し家に入った

「さて、仕事の続きをやらなきゃね」

あの戦いのあと、御門はマルスとの子を出産と同時にテイワズを退職。母が残した診療所を自宅として改装し新たに創設された特務機関プリペンターの隊長として働く千冬と同居を始めた

初めての子育てに悪戦苦闘するもマルスの義母であるソーナ、伯母のセラフォールの助けと非番の千冬の助けもありリョウはスクスクと成長する姿は嬉しいのもあった

ただ…ここに父親。マルスがいないことが胸を締め付けた…でも涼子は信じていた

「マルス、リョウは六歳になったわよ……いい加減帰ってきなさい」


地球、ミッドチルダに多大な被害をもたらした悪名高い《漆黒の魔人》と呼ばれようとも…涼子は無事を祈った






PHASE-149.9/FINAL 泪のムコウ─終わりなき贖罪─

「ぐ、はあ、はあ……」

 

 

何かを引き摺るような音と共に声が薄暗い通路に木霊する…病院着姿に包帯が至る所に巻かれ血を滲ませ床を這いつくばる少年が見える──

 

みると肩から肘付け根から下が無く、俯かせながら歯を食いしばりながら壁にもたれるように立ち上がった

 

 

「……」

 

 

倒れないようにしっかりと歩き出し。ある扉に辿り着きなんとか解錠し倒れ込むよう部屋へはいると同時に灯りが就き、仰向けになった顔が露わになる

 

治りかけの火傷と切り傷、無造作に伸びた白髪と赤いメッシュ、そして金色の虹彩をもつ瞳はイノベイターだとわかる

 

「っ、はあ、はあ………エクス聞こえてるか」

 

 

─はい、マスター─

 

 

「この半年間…地球圏での紛争及びテロに使われた兵器をアップロードしろ。全てだ……そしてコレを」

 

─……義肢ですか?でも日常生活に不要な機能が多数見受けますが?─

 

「…早くしろ……」

 

有無を言わさない少年に彼女…電子精霊エクスは頷く。奥に置かれたビルディングマシンが起動、三次元スキャナによるフレームを構築していく中、少年の頭の中に半年間の地球圏での紛争及びテロの詳細情報が流れていく

 

 

「っ……」

 

壁に背もたれギリッと歯ぎしりした…半年前に起きたIS世界での大戦集結、ザフトは解体され新たに統一国家が樹立され戦火の傷跡は時空管理局と共に進むも、プレシア派残党による散発的なテロが相次いでる

 

ソレに対処するために設立されたプリペンターにより検挙と対処はされているもギリギリ、理由は使用されている兵器だった

 

「……やはり流出して…た…か……」

 

ヴェーダからアップロードされたデータ、添付された動画にはTRシリーズ、ASTRAYの改修機がプリペンターのMS部隊と交戦する姿だ

 

(…プレシア派がデータを持ち出したか……アレのサルベージまでされたら……)

 

 

自分の甘さを殴りつけたくなるも、その拳は無い…少年アレス・ルセディスは半年前にプレシアのナイチンゲールの攻撃を受けるも生き延びた。しかし命と引き換えに両腕を肘から下を喪って───

 

キャロルとエルフナインに助けられ治療を受け意識が目覚め聞いたのは、家族を喪った事件の裏に隠された真実、プレシアに踊らされ体よく利用されていた事を知り、今まで自身がやっていた復讐心、ルウェンと出会い支えていたモノがガラガラと崩れ落ち、生きた屍となっていた…キャロルとエルフナインの呼びかけも届かずぼうっと過ごし、リハビリだけの日々

 

 

そんな日が二週間すぎた…たまには気分転換にとエルフナインがテレビを見せた時だった

 

 

 

PHASE-149.9/FINAL 泪のムコウ─終わりなき贖罪者─

 

 

『番組の途中ですが先ほどプレシア派によるMSテロが起きました。死傷者は不明ですが犯人グループより声明文が届いたようです』

 

 

『我々は現行政府を認めない。プレシア議長の考えは正しいのだ!逆賊扱いした貴様等こそ逆賊なのだ!アレス統括官が残した力を思い知るがいい!!』

 

 

自身の名を高らかに告げる犯人グループに息をのんだ。その背後には自身が開発に携わったTRシリーズ…ヘイズル・アウスラが鎮座していたからだ。利用され偽りの復讐の為に生み出したMSが街を火の海に変えていく

 

─はあ、はあ、は、は、は、は、……はあ、はあっ……─

 

 

─バカ、早く切れエルフナイン!!─

 

 

─マルスさん、しっかりしてください!─

 

 

瞳孔を見開き過呼吸状態になるアレス、キャロルはすぐ背をさすり落ちつかせ、エルフナインは顔を俯かせた

 

 

─大丈夫、プリペンターに任せていろ……今は怪我を治せ、な─

 

 

─ごめんなさいマルスさん……ごめんなさい。あなたは傷ついてるのに─

 

 

エルフナイン、キャロルは泣き続けた…しかし気づかなかったその瞳に強い意志を湛えた光が宿った事を──

 

今こうして弱り切った躰にむち打ちヴェーダからのデータを精査しサポートAIに極秘裏に義肢制作を託し意識を放り投げた。翌朝にキャロルとエルフナインに泣かれたがリハビリに力を入れるようになり徐々に歩けるように、そして二人が寝たあと部屋を出て這いずり義肢制作を繰り返し失敗しながら明け方に戻る、自問自答し辿り着いたのだ

 

 

─自身が生み出した兵器と世界から戦争の火種全て潰すことを…その為の力、自身の半身を甦らせる─そして今、新たな義肢が装着される

 

─脳量子コネクテイング、フィジカルフィット確認、どうですか?─

 

 

「問題ない……アレは組み上がってるな?」

 

 

─はい、キャロル様とエルフナイン様を誤魔化すのは大変でしたが、肝心のリアクターは二機しか現存しておらず、四肢に関しても旧型でシリアルもバラバラで─

 

 

「かまわない…それで充分だ」

 

 

義肢の動きを確認しながら手に取ったのは後頭部まで覆うようなフルフェイスのマスク。コレには脳量子波を完全に遮断、ボイスチェンジャー含めたマルチデバイスだ。被るとロックされ他人に脱がされる危険性は無い。さらに羽織ったコートは耐熱及び耐弾衝撃に優れたモノで伸縮しジャケットにもなる

 

『……エクス、ここにあるデータはマスクに移せ』

 

 

─了解、提言よろしいですか?─

 

 

『なんだ……』

 

 

─キャロル様、エルフナイン様に別れは告げないのですか?─

 

『…………………必要ない』

 

 

そう告げ、それっきり無口になり歩き出す…キャロルとエルフナインにはこれっきり会わないと、この仮面を被った時から決めていた事だ

 

この数年間、アルケミスターズ主導で開発された実験用ステーションに匿われ傷を癒やしながら思った。自分といたら不幸になる…自分の子を生んだ涼子、ノーヴェ、クリス、ロラン、今だ待ち続けてるアインハルト、そして千冬がプリペンターとして戦いに身を投じてる事は全て自分のせいだと

 

 

なにより誰にも知られず全ての兵器を破壊、戦争の火種を潰す為、愛した人が平和に暮らせるに命をかけると決めたから

 

『……………』

 

冷たい仮面に遮られた顔から何もわからない。ただ静かに進む彼に迷いは無く、薄暗い通路に靴音が響く

 

その向こうにあるはザフト、ジオン系列のジャンクの手足を組み込んだMS。その瞳に光が灯る

 

主と共に贖罪という戦いへ共に朽ちるまで従おうと言う現れなのか、ソレは誰もわからない───

 

 

 

────────

─────

ミッドチルダ、ナカジマ家

 

 

「どうした空をみあげて?」

 

 

「なんでもねえよ爺さ……痛っ!?」

 

 

「こらリン!爺さんって言うなって、お爺ちゃんだろが!!」

 

 

「どっちも同じだろババ……いひゃい、いひゃ~いかりゃ~!?」

 

「アタシはまだそんな歳じゃねえよ!この口が言ったか?ああ!!」

 

 

むに~っと赤毛の男の子のほっぺを引っぱる肩まで伸ばした赤髪が目立つ女性に涙目になりながら謝るとはなした

 

「ほら、謝る!」

 

 

「い、いやノーヴェ、オレは謝らなくてもかまわないんだが…」

 

 

「こう言うのはキチッとケジメつけねえとダメなんだから!ほら」

 

 

「っ……ごめんなさいゲンじいちゃん、ノン母ちゃん」

 

 

「…はい、よく出来ました。じゃご飯にするか」

 

 

「ご飯って……あの混ぜご飯!?」

 

 

「ああ、たくさんあるからな」

 

 

「やりぃ!」

 

笑顔になり手を洗いに行く男の子…リンをみて女性、ノーヴェは肩をすくめた

 

「ノーヴェ、リンのやつ大きくなったな」

 

 

「ああ、誰に似たんだか六歳で早めの反抗期ってヤツ。すこしはレオン、リョウ、アンナを見習ってほしいんだけどな…アタシより千冬や涼子、アインハルト、ギンガ、ウェンディ、ディエチに懐いてるし、ソーナやセラなんか甘やかすしさ」

 

「ま、まあ、そんなことねえよ…母親はお前だけ何だからよ。でだ、まだ捜してるのか?」

 

 

「………あたりまえだ…絶対生きてるに決まってら──絶対に」

 

 

「…」

 

 

空を見上げるノーヴェ…絶対に生きてると信じ捜す娘。アレス・ルセディスことマルス・レーディレが特級次元犯罪者として指名手配されていることを告げられなかった

 

 

(……とにかく生きてるなら顔を見せろ…一発ぶん殴ってやるからな)

 

 

そう呟き家の中へ入った────

 

 

 

─────────

─────

 

 

偽りの復讐を植え付けられ、真実を知り絶望した少年の償い…誰にも感謝されず世界の敵として憎しみを受ける彼《アレス・ルセディス》は戦い続けるだろう

 

『いくぞ、エクシェス………オレが産みだした全ての兵器と戦争の火種を破壊する』

 

 

ボロボロの愛機と共に戦場を舞う、自らが産みだした兵器と戦争の火種を完全に潰す為に。終わりなき贖罪の戦いの果てにあるものは?

 

 

 

彼が迎える結末は誰一人も知らないのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY

 

 

──完結───

 

 

 

 

 

 

 




シャルロッ党さんとヘルダイバーさんとの三次創作

オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》

ようやく無事に完結できました


長い間、本当にありがとうございました


ヘルダイバーさんの


オリ主が再びIS世界で再び頑張る話だけど・・・side Gspirits team


もよろしくお願いします





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