「ハサン・サーバッハ。召喚に応じ参上しました」
それは少女だった。ただし、その瑞々しい褐色の肌をした身体には均等の取られた肉体のラインをありありと見せつけるように黒衣が纏わられ、その顔には『ハサン』の象徴とも言える骸骨の仮面がつけられていた。
少女はサーヴァントだった。名の通り、『山の翁』に連なるハサンの一人だ。
―――俺はそれを見て思う。
(……勝ったなぁ、コレ)
ちなみにやはり上っ面は綺礼フェイス。顔筋固まってるのかと思われてもおかしくはない程の無表情である。まあ、それはいい、別に。
彼女は通称『静謐のハサン』。蒼銀のフラグメンツにて出てくるアサシンのサーヴァントだ。
ちなみに彼女。もしかしたらfate作品で一番アサシンやってるかもしれない人であったりする。なんせマスター三人も殺してるもん。これぞアサシンの鏡的な存在ですよ。そしてあとロリっ子である。
そうそう、殺された三人のマスターのうちの一人は召喚した元マスターだったりする。え?俺は大丈夫なのかって? ええ大丈夫ですとも、だって俺死なないし。
ただまあ、彼女の信頼を獲得するに越したことは無いかなぁ……。
……ということで。
『アサシン。最初に言っておこう、私は死なない』
ばい念話。あ、驚いた顔が骸骨お面の上からでも分かりますよん。ふぇ、かわゆす。
「…………」
…………ハッ!? お、俺にはクラウディアがいるんだった……。浮気だめ、浮気だめ、浮気だめ。
ちなみに彼女の願いは『自分に触れても死なず、微笑みを浮かべてくれる誰か』を見つけること。フラグメンツの元マスターはこの『もしかして』でやられてしまった。ふん、貧弱貧弱。
数分後。
「……アサシン?」
「……なに?」
「背から降りてくれ」
「……え」
やめて!そんな切なそうな、捨てられた猫みたいな目しないで!罪悪感ヤバイから!
……え、どういう状況かわからないって?じゃあ説明してやろう。まず、俺の足元には死んだ時臣がいますね。これは静謐さんがやりました。ああ、召喚直後にこれですよ。流石ハサンの鏡。
「…………」
あ、なんか照れてらっしゃる。背中の動きが止まったもん。なに、お前読心術でも使えるわけ?……ってそうそう、そもそもどうして時臣が死んでいるのかだったなをまあ細かく言うとだ―――
『アサシン。暴走したふりして横の赤い髭のをやれ』
念話にての指示に少し戸惑いの所作が見られたものの静謐は素直に従った。そしてトッキーにハグする。するとトッキーは突如泡を吹きだして倒れてしまったではないか。これでトッキーが沈んだ。
『なっ!?綺礼、コレはなんだ!?』
『暴走かと。令呪を使います。令呪によって命ずる―――』
そして『どう見ても事故ですよねこれ?』的な雰囲気のままアサシンに令呪で絶対服従を命令。これでどう見ても璃正からしてみれば『召喚したすぐに暴走しだしたが、時臣が死んだものの令呪によって服従を強制させることによりこれ以上の被害を食い止めた』という状況になり、俺の非は無くただ時臣が不運というだけになった。まあ、実際不運なのだが。
そしてその後、またまた念話にてアサシンに俺の手を握るように言い。流れでキス。無事信頼を獲得したとさ。
つまり無事俺は『自分に触れても死なず、微笑みを浮かべてくれる誰か』としての条件をクリアしたということ。これがイコールで静謐さんは信頼度に繋がるからなぁ……。まあ、俺からしてみればちょろい。微笑みは……うん、まあ。多分。ニヤつくならいけるぞ?
だけどまあ十分触れ合えることには変わりなく。俺は結果懐かれたのだった。
……そういえばちょっとこの静謐言葉使いがやわこいな。まあいいけれど。
絶対に静謐さんをクラウディアとカレンには見せてはいけない。俺は、今日そう固く決意した。だから、うん、地味に活躍を見せたかったんだけど……葵さんの御実家行ってて。まじ、見られたら終わる。うん。
……何故かだって?
「ん……ちゅるぅ……んっ、……はぁ……」
静謐さんがキスして離れないからだよぉぉぉぉおおおおおッ!!!!
まず言おう、息が苦しい。
俺がいつもの調子で拒否も肯定もしなかったらこの始末だ。なぁに、俺のコミュニティ能力が低いだけと?…………否定出来ないことが悔しい。
だがここは俺クオリティ。もう耐えきれん。いくら見目麗しい童女がキスしてくれてるからって俺は妻持ちなのん! 引っぺがす!
「あぅ」
「……む」
あ、生き返った気がする。なんか静謐さんが『なにするの?』的な感じの眼差しを向けてきているけどとりま無視で。いや、だって同情に当てられてまた同じようなことの繰り返しになりかねん。
取り敢えずだ。璃正にクラウディア達を逃がすよう言っておこう。
龍之介くっそワロタ。静謐突っ込んだだけでヘラヘラと一人笑いながら歩み寄っていきその褐色の肩に自ら触りに行ってったよ。まじウケる。
ああ、ちなみにジルはいなかったよ。まあマスターも殺したし適当なところで脱落すんだろ。
「……マスター?」
「……どうした?」
「……御褒美は?」
「う、うぬ」
……ただ、この抱擁&キスだけは慣れません。背徳感も割増で辛い。あと何度もいうようだけれど俺妻持ち何ですけど。
その次の夜。ケリィによる爆破解体が行われた。
俺はそこで待ち伏せする。取り敢えず騎士王の右手は封じられているのはもう全然オッケーなのでケイネス主従は狙わずケリィ一直線だ。……うん、まあそう思っていた時期も俺にはありました。
「…………」
「…………」
なんで俺の目の前にまいやんがいるの?ケリィは?ねぇケリィは?
「衛宮切嗣はどこだ」
「……教えるとでも?」
「……そうか、アサシン、殺れ」
「なっ……―――かハっ!?」
はい、気配遮断からの後ろからハグでした。彼女の宝具であり自らの肉体である『
「アサシン、良くやった」
「……御褒美」
この後キスされた。それもやはりディープな奴。きっと彼女の愛情表現何だろうけど……困ります。まじで。
……慣れてきた俺が一番困惑ぅ。
目の前。いず金ピカ(女帝)。
「何用だ、ギルガメッシュ」
「いやな、そろそろ我とてキツい。まあ見てみたが此度の人間は塵芥の如き数がいる癖に色々と、否全てに至るまでが不味く無価値だ。故に綺礼、その等しく無意味な人間の中でもまだ塵の欠片にでも価値を創り出せそうな貴様を、我のマスターとして特別に任命してやろうではないか。それ、遠慮なく喜べ、踊り狂えそしてのたうち回るがいい」
……うん、俺に結局来るのか……。ここ二日いないなぁ、トッキー殺したんに見ないなぁって思ってたのにこれだ。やはり油断は禁物とかいうやつなのか。……油断って何。
「……分かった」
結局こう答えるしかないとかいうアレ。
この後、なんかよく分からず嫉妬的な感じのアサシンにキスされた。それもディー(以下略)。
……アップルパイが食べたい。
ということで久しぶりに新都に来てみた。アサシンはちなみに霊体化さしてる。いや、だって一般人からしてみれば彼女とすれ違っただけでも十分死ぬ可能性はあるんだよ?実体化とかさせるわけにいかないじゃん。したら確実に璃正に怒られるって。
「む、ライダーか」
「ほう、つまりは貴様もマスターということか」
「えっ!? マスターってあのマスターかライダー!?」
「然しだ坊主。ほれ、余のマスターならばもっとシャキッとしとらんか!」
容赦ない背中への平手。痛そうです。
……うーん。どうしよう殺すかなぁ。でもライダーそばにいていけるか? 正直いっつもサーヴァントに引っ付いているこのウェイバーが一番殺りにくいんだがやはり。
「ふむ、取り敢えず何処か店にでも入るか、征服王?」
「ほう、余を既に知っているのか。ほうほう、中々やるな?其方」
「お褒めに預かり光栄の至りだな。……そうだな、私について来い」
裏路地、曲がる。くねる。そして見えてくる
「ここならば出てきても良いだろう。アサシン、出てこい」
「はい」
「!?」
「その仮面、アサシンか。綺礼とやら、アサシンのマスターだったのだな」
いえす。そしてもうここで自然に手を繋げる事くらい簡単になってきた俺が憎い。だから、俺は妻子もちだっつーの!
……この後、『あんなもの食べさせてマスター鬼畜』と妙に艶かしい喘ぎ声とともに怒ったアサシンにキスされた。なお、デ(以下略)。
え、俺? なんかアップルパイで相当味覚麻痺してたのか普通に美味かったよ。でもまあやっぱりアップルパイは外せないが。
次の日。ケイネス陣営の監視をしているとどうやらケリィ宅にピンポンしに行くようだった。あ、ちなみにギルガメッシュは今日も新都で遊んでるのでいないです。あの人はもう戦力外通告を出してもいいだろう。聖杯だって自らの蔵に収めるだけなんだし。
そう思いながらアインツベルン城までのなだらかな山道を俺は走っていく。横には静謐さんが並走しており、流石はアサシン山の翁とも言える走りっぷりを見せてくれていた。
……なんかイメチェンなのか白のワンピース着てるんだけど下がどう見てもノーパンでチラリズムが働いてエロいんですが。なに、あなたラニ=Ⅷと同族なの?
「…………」
だが指摘はしない。いや、なんか静謐の思う壷っぽそうだったから。
「キリ……ツグ」
悲報、アイリさんが死んだ。もちろん犯人は俺です。なんか横合いから突如出てきたから土手っ腹に思わずミラクル☆八極拳を当ててしまったのだ。彼女は無防備なまま俺に八極拳を当てられ、内蔵からとてつもなくエグい音を漏らしながら吹っ飛びそして適当に血を吐いて死んだ。
血が雪を染めてく。俺はそれを呆然と眺めていた。
何を呆然とだって?いやだって、アイリさん死んだんだよ?つまり、小聖杯の器が死んだんだ。どうすっべコレ。
「……マスター?」
あ、いやうん。何でもないんだよ?ただ小聖杯どうすればいいのかなぁって思ってさ。
「……取り敢えずは、抜いておくか」
ギルガメッシュよろしく。俺はアイリスフィールの心臓のある位置に手を突っ込んだ。
その後、なんか良くも知らぬ女性の胸に触ったとかで嫉妬したアサシンにキスされた。なお、やはりディープな(以下略)。
「それで、綺礼。わざわざ我にそのような穢らわしい肉片を見せるためにわざわざそんな汚物を持って歩いてきたというのか?」
「ああ、これを、貴様ならば使えるだろう?」
俺は使い方分からんもん。あ、でもアンリ・マユでの裁定とかやめてよね。クラウディアとカレン死んじゃうから。
……だが俺がそう思っていると、
「……ふん。要らぬわそんなもの。裁定など、やろうと思えばエア一本で十分。……それはそうと見てみよ綺礼! 1/5スケールのハーレーだぞ。見ろこのツヤを、曲線美を! これは良い、流石価値のあるものを作り出すことに定評のある無価値な雑種共だ。この一つ一つの欠片から組み立てるという機構も褒めてつかわそう!」
え。
「…………」
女帝ギルガメッシュがなんかいつの間にかプラモにハマっていた件。なに、あんたカニファン?そんな暇だったの?
「む?聖杯か? そんなものは要らぬ。適当に貴様が持っていけ、我はここでこれを作る。決して邪魔をするでないぞ」
ああうん。これでホントにテメェ戦力外になったな。
ケリィの憔悴感ぱねぇ。使い魔ちゃんがより一層落ちくぼみどよんとしているケリィを今柳洞寺で捉えていますよ。
いやぁ、思えばアイリスフィールもまいやんも俺らが殺しとったなぁ。
今残っている陣営はセイバーとランサーとライダー、そしてバーサーカーのみだ。アーチャー陣営はもう無いとして、さてはてどれから潰していくものか。
それにしてもまだバーサーカー組残ってたんだな。意外です。トッキー殺したし既に無気力簡感で雁屋んボッシュートしてると思ったわ。しぶといのね、貴方。
流石にランサーやバーサーカー達のような対人特化とは苦しい戦いになりそうだから後回しとして、ケリィかウェイバーを潰すか。
あ、そういえば聖杯の浄化とかしてなかったわ。