リリなの短編倉庫集   作:オウガ・Ω

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新暦76年 ルーフェン山中


「ミツキ、呼吸を整えろ…」


「は、はい……こぉぉぉぉぉ」


「丹田に意識を集中し氣を錬るんだ…それを全身の神経に行き渡らせ、満たすんだ……」


ルーフェンの山奥、木々を抜けた先には崩れ落ちそうな寺院。柱に塗られた朱い漆は剥げ、瓦には草が生え風に揺れている門には額がかけられ黒地に金で《赤心寺》見える。石畳が敷きつめられた境内に三人の人影。ひとりは空手着姿の青年、修行者の服に身を包んだ野生的な空気をあふれさせる女性、そして二年前に赤い瞳の異形に抱きかかえられ姿を消したハズの少年《ミツキ・カーディフ》。空手着を着込み膝を屈ませ腰を落とす型《馬歩》を構え呼吸を整え、弾けたように蹴りを拳を繰り出し踏み込むと、堅く厚い石畳に罅が入り割れる音が響いた

「この二年で、ここまで動けるようになるとは驚いたよ」


「……そうだな。最初の一年はまともに立つ事も出来なかったコイツが行方しれずになった《赤心少林拳》開祖《樹海大師》様の血を引いてるとはいえな」


「…ヨシツネ、俺はこの子に教えたのは氣の扱い方だけだ。別流派を学んで下地ができていたからのもあるし教えた師がよかったんだ」


「……決めた。コイツに《黒沼流》を教える…ヤツらに対抗するには《玄海流》では勝てない」


「いや、彼には《玄海流》が合う。もしかしたら《梅花》を俺より早く修められる」


「いいや、我が黒沼流だ。守りよりも攻めこそ最大の防御なり。奥義《桜花》を私が伝授する」


「いや玄海流だ!」


「否、黒沼流だ!」


弟子の指導方針に口論し始める二人…それに全く気付かずひたすら鍛錬に勤しむ弟子《ミツキ・カーディフ》。氣が満ち身体から黄金の輝きが見えた






スペシャルストーリー ミツキの災難(前編)

「…………そ、そんな…」

 

僕は目の前には赤々と燃え上がる炎、そして崩れ落ちていく何か…いや二階建ての家。消防隊の車両から勢いよく水が浴びせられるも火の勢いは全然収まらない…ふらふらとしながら膝をついた…だって今燃えているのは

 

 

「僕の部屋が燃えてる………ははは」

 

 

クラナガンで見つけた格安物件で僕の聖域《サンクチュアリ》、模写した絵にナカジマさん、リオちゃんの絵、画材道具にこっそり集めた聖典(エロ本)の数々が灰になるのを感じ笑うしかできなかった

 

 

スペシャルエピソード♪ミツキの災難(前編)

 

 

 

「はああ~コレからどうしょう……」

 

 

日もどっぷりと暮れた夜空を見上げつぶやいた…火元は隣の部屋から燃え広がり全焼…お金がないし泊まれない。まあ野宿は師父達の修行のおかげで慣れてるけど、最大の問題は一つ。食材をどうするか

 

蛇はいないし、鳩はいるけどおいしくなさそう……キノコや山菜は街中になんか生えてるわけない。猪も熊も

 

 

ーミツキ。食うモノは自分でとれ。まずは手本を見せてやるー

 

 

ーヨ、ヨシツネ師父!く、熊が!?ー

 

 

ー今日の晩飯から来てくれたかちょうど良い……ヒュウウ…黒沼流・鉄指錐ー

 

 

…ヨシツネ師父が襲いかかってきた熊の眉間に無数の穴を開け血を浴びながらドャアってニヤリと笑いながら立つ姿は覚えてる……思い出しただけで身震いする。オキ師父は逆にキノコや山菜、魚を取るのもだけど料理もすごくうまかった

 

 

「……ねぇIXA、どうしたらいいかな?結城博士の家は今は行けないし」

 

 

『ふむ。主よ…ニホンのことわざには果報は寝て待てとある。まあ、何とかなろうて』

 

 

赤い宝石が十字架に嵌められメカニカルなナックル…ミツキの相棒にして変身ツール《IXA》の脳天気な言葉に本気で野宿するしかないと思った時…

 

 

「あ、ミッくんだ?」

 

 

IXAを慌てて隠し振り返ると救助隊の制服を着たスバル・ナカジマさん。隣に黒い服に身を包んだオレンジ色の長い髪の女の人がじっとみてる

 

 

「ナカジマさん!?どうしてココに」

 

「あ、今救助隊からの帰りなんだ。ミッくんどうしたの?こんな遅くに一人で」

 

「実は…そのう」

 

以下略

 

 

「大変じゃない!……ねぇティア、何とかできないかな」

 

 

「なんとかって…ああ~もう仕方ないわね…ミツキ…くんだったわね。親御さんには連絡した?」

 

 

 

「………すいません、父さんと母さんは出張中でいないんです。親戚もルーフェンにいるんですけど山籠も…登山に行ってて連絡が」

 

 

「そっか……困ったわね」

 

考えるティア?さんの横でナカジマさんが何か閃いた顔をし僕に笑顔で

 

 

「じゃあ私の家にくる?」

 

 

「「え?」」

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーーーー

 

 

「ほら着いたよミッくん。私の家へようこそ♪」

 

ナカジマさんに連れられ来た場所は救助隊隊舎から少し離れたばしょにある住宅街、その一つの家の前にいる。最初は断ったんだけど「夜は怖い人がたくさんいるんだよ。モヒカンとか世紀末ヒャッハ~とテラ○ォーマもでるんだから。ミッくんは逃げきれる?」って強引に押し切られココまできたんだ

 

「さあ、ぼうっとしてないで入る入る。ティアも夕食食べていくよね?」

 

 

「そうね。じゃあご馳走になろうかしら…それに聞きたいことあるし」

 

 

扉を開けて入る。なんか女の人特有の匂いがする…手にもってた数少ない画材道具とスケブを取り出し書きかけの絵を仕上げようと手にしたら

 

 

「ミッくん、先にお風呂入ってきたら?」

 

 

「え?でもナカジマさんが先に…」

 

 

「すすだらけだし、それに気持ちの切り替えもやらないと…ほら、はいった♪はいった♪」

 

 

「はい……」

 

 

廊下にでてつきあたりのバスルームを開け洗濯カゴに着ていた制服、Tシャツ、トランクスを入れ中に入るとシャワーの温度を調節、程よい温度の水滴があたる…気持ちいいな。身体、次に頭を洗って湯船に浸かりハアアと息を付いた

 

「……家が見つかるまでか………でも骸須菟がでたらどうしょう」

 

 

ー………問題なかろう。今日はすでに討滅したからの…じゃがスバル殿には気をつけた方がよかろうてー

 

 

「なんで?ナカジマさんに気をつけないといけないのさ?……」

 

 

「ミッくん。湯加減どう?」

 

 

「は、はい?とても良いです」

 

 

「良かった~(将来の為にお風呂の温度は知っておかないとね)……制服洗っておくね。あと着替えも置いておくね」

 

 

……うう~なんか、タンドラ師父の家に泊まった時のリンナ姉さんと似てる…パシャとお湯を顔に当てゆっくりと湯船につかりながら思った

 

 

 

「こ、コレがミッくんの………すぅうううう~はあああああ~すぅうううう~はあああ…ちゅ…ん」

 

 

新たなHENTAIが生まれる瞬間。それは理性と言う名の蛹を破り蝶へ変わる時もいえる

 

ひとしきり堪能し身を捩らせながら微かに濡れた布地を名残惜しそうに離し洗濯機へと入れ、その薄いガラスのむこうにいるミツキに視線を送る

 

(……本当はリオちゃんと二人でって決めてたけど……いいよね)

 

ゆっくりTシャツに手をかけ脱ぐ…最近、また大きくなってきたけど大きい方が好きだって聞いたし、参考書の表紙で隠した《プルプル♪巨乳元気っ娘とストレッチ♡》を見たからミッくんはEDじゃないってわかったから…でも確認しないとね。スカートを脱いでブラとショーツ姿になるとゆっくり扉に手を伸ばした

 

リオちゃん、ゴメン。先に行くね

 

 

「ス~バ~ル~?ナニしてるのかな?」

 

 

「テ、ティア!?な、なんでここに!?」

 

 

「執務官としての勘よ。さあ、戻るわよ」

 

「い~や~だ。は~な~し~て~味見さ~せ~て♪」

 

 

悪びれなく粘るスバルに額を抑えながら脱ぎ捨てられたら服を片手にリビングに引きずりながら、親友が越えてはならない一線を超えないことを真に願った

 

 

後編に続く!

 

 

ーーーーーー

 

ーーーーー

 

 

ーーーー

 

 

そこにあるは深い闇…澱みきった氣が集まる中で五つの人影が座している

 

 

『ほぉほぉほぉ。我らが神が産みしガイストを倒すとは…長生きはするものよの』

 

 

『けっ!んなのはどうでも良いんだよ。まさか使える奴がまだ生き残っていたとはな…』

 

 

『そうですわね…思い出すだけで苛つきますわ。この世界で私たちに刃向かった忌々しい脆弱で愚かな人間。《赤心少林拳》の使い手が』

 

 

憎しみを露わにする二人の男女を見ながら老人…H髭が伸びた顎に手をあて軽く笑いながらみるのは水晶玉に映されたミツキ…仮面ライダーイクサと戦うガイストの姿に殺意をむける

 

 

『……………。赤心少林拳は80年前に継承者、門下生100人を確かに滅したはず…』

 

 

 

『ほぉほぉほぉ…。恐らくは正統の血を我らに秘して残していたのだろう、現にかつて地球に存在したドグマ、ジンドクマを壊滅させた仮面の戦士。祖奴がいまこの世界に来ておる……』

 

『けっ!改造人間如きに遅れをとるかよ。じじい、俺にソイツをやらせろ』

 

『私もですわ!!古臭い改造人間に遅れをとるわけないですわ…

 

『ほぉほぉほぉ…二人ともこやつは我等を封じた忌まわしき赤心少林拳の使い手よ。返り討ちに会うのが目にみえようぞ。ーーーーーー、ーーーーーよ』

 

 

赤心少林拳の使い手と聞いた二人は口を閉じ唇を噛み締め黙り込むのを尻目に老人は水晶玉を軽くなでる

 

 

『忌まわしき《赤心少林拳》を受け継ぎ伝えた者も放置は出来ぬが。されど今の使い手を倒さねば我らの悲願は叶わん…しばし様子見じゃよ。すべては我らが神の御身のために!!』

 

 

「いいだろう。夜が我らの時間…いずれは光すらも飲み込む時までまとう」

 

 

『『『『我が命は偉大なる神《クロス》の御身にささげん!《ズィークルス》に栄光あれ!!』』』』

 

 

………ミツキ、いや仮面ライダーイクサに闇が迫る

 

 




ミツキ・カーディフ

年齢:13

身長:147㎝

体重:55kg


守りし者ー異聞ーの主人公。

四年前のJS事件に巻き込まれ、ある騎士に救われるも負ったケガが原因で春光拳士としての未来を断たれ、今は画家になるため日々のバイトに学業に励む苦学生でタカヤの友達でリオの兄弟子にして幼なじみ。普段は頼りないが、それは仮の姿…夜に現れる異形《骸須菟(ガイスト)》から人々を守る仮面の戦士《仮面ライダーイクサ》

かつてルーフェン武術界最強とも謡われるも失伝した《赤心少林拳》を振るい骸須菟の魔の手から人々を守り拳と蹴りで打ち砕く!

本来ならまともに身体を動かせない彼が今は普通に暮らせて、失伝した赤心少林拳を使えるのか?

それは物語が進につれ明らかになるだろう



デバイス紹介


IXA


正式名称:Intercept X Attacker《ver:Ⅸ》


新暦75年にアキツキ・インダストリアル、特殊デバイス開発部門総主任《結城丈二》博士、《麻生》博士、《海堂》博士らが共同開発した《未知の災害に対応する勇敢なる者》として先行試作された全身装甲装着型デバイス

最大の特徴はインテリジェントデバイスAIによる的確なパワーアシスト、さらに低ランクの魔導師でも起動可能という利点がある反面、肉体にかかる反動が激しく装着者に多大な負荷を与えること、使用時間が短い事など様々な問題が露呈、新暦76年に開発中止となり一機のみ先行試作されたIXAは封印された


…三年の時を経てミツキの手にどういう経緯でわたったのかはいずれ明らかに


AI人格は昔のサムライを彷彿させる堅物な人格で、様々な古典、ことわざを駆使しミツキを主として支える。たまにボケる事もあるが大事な相棒


仮面ライダーイクサ


スペック(セーブモード時)


身長:218cm


体重 :85kg


パンチ力:2.2t

キック力:2.5t

ジャンプ力(ひと跳び):200m


走力(100m)18mを9秒


装備一覧


ナックル・フェッスル

グラビティ・フェッスル(調整中)

ファイブ・フェッスル(未使用)


イクサカリバー(現在、結城博士、麻生博士、海堂博士等の手でミツキに合わせて調整中)





イクサリオン

アキツキ・インダストリアル《アキツキ・モータース》で新暦75年に《IXA》と同時期に開発されたIXA専用のハイパーモーターサイクル。650馬力を誇るマシンで常人には扱いきれないパワーを持つため、IXA装着者でなければ乗りこなせない。

タイヤは《アキツキ・マテリアライズ》で開発された特殊ゴム《V・G》製。あらゆる環境下に置いて性質を始めとする変化させ悪路を走破、フレーム部材には《BT鋼》を採用。心臓部であるエンジン、フレームは立花モータース《立花藤兵衛》氏、カウルの設計を《結城博士》が中心になって製作したライダーマシン


しかし、開発中止に伴い一台のみ作られた…現在はデチューンされたイクサリオン…《リオン-2016》が生産され陸士隊へ納品、市販されている
 



スペック

全長:2030mm
全幅:720mm
全高:1120mm
全装備重量:172kg
定置最高速度:753km/h
最高出力:477.75kw/21000rpm(約650ps)(ハイパーEXPチャージャー点火時)



次回予告!


やあみんな、僕はミツキ・カーディフ。


今日は赤心少林拳の基礎を一緒にやってみよう。深く深呼吸しておへその下にある丹田に氣を溜める。これを欠かさずやれば風邪なんかひかなくなるよ(個人差があるけども)


新しい部屋が見つかるまで、スバルの家に居候する事になったミツキ


しかし、夜に現れる怪物《骸須菟》の捜査をしていたティアナ、個人的に協力していたスバルの前に骸須菟が現れ危機に陥る!

二人の前で変身するわけにはいかない。果たしてミツキ、いや仮面ライダーイクサは正体がバレずに変身し、守れるのか


次回!ミツキの災難(後編)


ご期待ください!



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