リリなの短編倉庫集   作:オウガ・Ω

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五年前……


「う、あ、痛い…」

最初に感じたのは圧迫感、そして全身の痛みと右上半身、左下半身の感覚の喪失


息も苦しい……血の味がする


なんで、こんな事になったんだっけ?朦朧とする意識から記憶を引っ張り出した


そうだ、ボクはタンドラ師父から許しを得て、対外試合をするために《天瞳流》総本山でシェベルという剣士と仕合う為にルーフェンをでてきてたんだ


でも、道を間違えて歩き回って街もなんか騒がしくて、変な建物がある場所に来ていて、ソレから爆発が起きて…瓦礫に巻き込まれてしまったんだ。耳には剣をぶつけ切り結ぶような音が届く。誰かがいるとわかる


「う、く………う、動かない、右腕が、左脚が…」


ダメだ、右腕と左脚に力が入らない…魔力で身体強化をしようとするけど、全身に行き渡らない…それでもなんとか意識を集中すると動いた

全身が埋まった状態じゃ、瓦礫を吹き飛ばす技は使えない…ならば右腕に魔力を、集中強化して…ボクがいることを伝え、たすけてもらうしかない



(………身体強化を右腕に………一度だけでいい、動いてくれ!)


右腕に魔力が集まる…僅かな隙間から流れ風、雨水を肌で感じながら一気に拳を短い距離で引き、血の味を感じながら叫けぶと同時に真っ直ぐ撃ち抜く



春光拳・覇龍咆哮!!



硬く分厚い瓦礫に拳が深々とめり込む…でもビキリと腕全体が悲鳴を上げる。

ああ、拳が砕けたんだとわかった

曇天広がる空、光る剣、光弾を弾き、刃をいなす《騎士》の姿に安心した時だった

胸から熱い何かがこみ上げ咳き込む…鉄臭い真っ赤な血があふれだした。二人の女性を相手に戦う騎士に助けを乞おうとしたけど距離が離れすぎてる、それに二人は騎士を殺しにかかっている


いま、声を上げれば騎士は二人に殺されて死んでしまう…


「…う、がは……ひゅ、ひゅ」


死にたくない……


「ひゅ………っ、けて……だれ……」


 
「…ッ!ハアアアッ!」
 
 
あきらめた時だった……ボクの耳に裂帛の叫びと刀の震える音が響く、ふわりと身体が軽くなる。血で開かない目を開け見えたのは黒い銀地のコートに幅広の片刃剣をてにした黒い髪を、三つ編みにした人

二人の女の人と戦っていた騎士がボクを助けてくれたと、涙が溢れてきた

 
 
「…あ、りがと…う…」
 
 
「もう大丈夫だから安心して…ぐあ……く」



でも、ソレはボクの罪になった瞬間だった





おまけ……ランスターさん家のメイドラゴ…龍殺し(笑)

「ん、もう朝か………」

 

 

カーテンの隙間から差し込む朝日で目を覚まし、ゆっくり身体を伸ばす。昨日も遅くまで事件の調書をまとめていていつの間にか寝てしまったんだ

 

時計をみると朝の6時……ウソ!早く支度しなきゃと慌ててデスクから立ち上がってドアをあけようとするけど、いきなり開いた

 

 

「あ、おはようこざいますティアナさん。…朝食に呼びに……きま……ま、ま、ま、ま」

 

 

開いたドアから顔をみせたのは数日前から私のウチに同居しているミツキ・カーディフくん…白地に《画家魂!!》と黒く染め抜かれたエプロン、下に学院服姿で一瞬で顔を真っ赤にしてグキっと音が鳴るぐらい勢いよく顔を逸らされた

 

なんで?そうおもって気がついた。今の私の姿…胸元が大きくひらいたワイシャツに下着姿の出で立ちだってことに……寝ぼけていた頭が急速にはっきりして顔が熱くなって手で隠した

 

「テ、ティアナさ、さ、ん!な、なにも見てませんから……」

 

 

 

……嘘だ!絶っっっ対に見たわね。ミツキと暮らしてからわかったけど嘘をつくと必ずグキって音が鳴るぐらいの速さで顔を背けるからバレバレなんだけど

 

 

 

「なにもみてないんなら、あたしの目を見てからいいなさい…さあ!」

 

 

「ほ、本当に見てませんから!安産型なお尻や白地にピンクのリボンのオバーニーに包まれた太ももとか、目のやり場に困る少し大人向けな黒レースの下着なんか見てませ……あ!?」

 

 

「や、やっぱり見てるんじゃない!バカああああああああああああ!!」

 

 

 

「テ、テラ~マクロっ!!?」

 

 

 

全力でふりぬいた平手打ちが綺麗に頬にはいった。ミツキがギュルギュル回転しながらパタリとフローリングに車田落ち?するのを見てハッとなり慌てて抱き抱えるティアナが慌てふためきながら呼びかけ、ガクリと力なく気を失い口から魂が飛び出しかけたミツキ…こんな感じで一日は始まるのだった

 

 

 

おまけ ランスターさん家のメイドラゴ…龍殺し(笑)

 

 

 

「ほ、ほんとごめんなさい……ティアナさん」

 

 

 

「いいったら……それにあたしも悪かったし…あ、今日なんだけど少し帰りが遅くなるから先に食べていいわよ……パン焼けてるわよ」

 

 

 

「あ、じゃあいただきます。あの…お仕事忙しいのはわかるんですけど、たまには休みをとらないと身体を壊しますよ?コーヒーお代わりしますか?」

 

 

 

「ん、ありがと………はあ、でも今日までに纏めないといけないのよ…ミツキ、そろそろでないと間に合わないんじゃ」

 

 

 

「あ、もうこんな時間か……じゃあ食器は水に浸けといてください。今日は学院が午前中までですから…」

 

 

椅子から立って画家魂!エプロンをたたんでいくのをみながらコーヒーを飲む…香り高くほんのり甘い味が広がる…ミツキが来てから部屋はきれいに片付いた…執務官になってからせっかく買ったマンションに仕事の忙しさのあまり帰って、すぐ寝るが習慣付いてしまってから片付けができず十字架仮面の捜査でソレがさらに拍車をかけてしまった…

 

 

コレが噂に言う《片付けられない女》にあたしはなりかかってる…同じ執務官ツバサ・カザナリって人の部屋は物取りが入ったみたいに散らかってるらしくて『毎日、片付けるのが大変なんだよな。昔から『私は一振りの剣だ』って勉強と剣術ばかりやってたから仕方ないか』ってあたしに親友で補佐官のカナデがボヤいてた…フェイトさんと声がにてるけど外見も髪型も全然違うし

 

 

「ティ…ナさ……」

 

 

いやいや、あたしはまだアソコまでいってないし、それにミツキは部屋を見てイヤな顔しないで片付けしてくれた…でも脱ぎ捨てたショーツ、プラ、ストッキングは自分で

 

 

 

「ティアナさん…ティアナさんっ!」

 

 

 

「うわあ?な、なに?……ミツキ?」

 

 

 

「どうしたんですか?何回呼んでも上の空ですし…やっぱり具合悪いんじゃ…」

 

 

我に帰ったあたしを心配そうにみてくる…癖っ毛混じりの金髪、分厚い野暮ったい眼鏡の向こうにある真っ赤な瞳から心配の色が見える…それになんか誰かに似てる…

 

 

「だ、大丈夫よ…あ、もうこんな時間じゃない!早く行くわよミツキ!」

 

 

慌てて立ち上がると近くにかけてあった上着に袖を通し玄関へ向かいヒールを履いてマンションの外にでると遅れてミツキも出てきた

 

 

 

「ティアナさん、忘れ物ですよ」

 

 

 

「え?コレ…」

 

 

 

「お弁当です…忙しくてもちゃんと食べてくださいね…じゃ、いってきます」

 

 

可愛らしい羊のアップリケが目立つ弁当入れを手渡すと手をふり反対側へ駆け出してくのをみながらあたしも歩き出した

 

 

「お弁当…もう無理しなくていいのに……おにいちゃんも作ってくれたっけ…」

 

 

小さい頃はあたしのためにお弁当を忙しくても作ってくれたおにいちゃん…なんかミツキと重なる……少し懐かしく感じながら早足で歩き出した

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「あ、ミツ兄!」

 

 

「ん?リオちゃん、どうした…の……ファフニール?」

 

 

 

授業も終わり教室から出た僕の耳にリオちゃんの声が響くと同時に強い衝撃がお腹に直撃する…たたらをふみながら踏ん張りみると赤い可愛らしいリボンに黒髪…リオちゃんが笑顔で見上げている…周りをみるとザワザワしてる

 

 

「おい、あれって小等部の子だよな?」

 

 

 

「噂はホントだったのかカーディフが小等部の子を自分好みにワカムラサキ計画してるって…」

 

 

 

「まさかロリコンだったのカーディフ君って!?」

 

 

 

ヤバい、なんか犯罪者にされてる!?てかワカムラサキってなにさ?それに僕はロリコンじゃない!!慌ててリオちゃんの手を取ると人気の無い中庭に早足で歩き到着すると手を離した…なぜか残念そうな顔を一瞬したけどどうしたんだろって想ってると話しかけてきた

 

 

 

「ねえミツ兄、今度の連休って空いてる?」

 

 

「連休?もしかして明後日からの………ん~バイトもないし…空いてるけど」

 

 

 

「え、えとね今度ヴィヴィオ達と一緒にルーフェンにじーちゃんとこに遊びに行くんだけど…ミツ兄もどうかなって…」

 

 

 

「え?タンドラ師父のところに?……でも僕は春光拳はやめてるから、部外者だし…」

 

 

 

「いいじゃん。ヴィヴィオ達だって春光拳学んでないし……ねえいいでしょ~ミ・ツ・兄ィ~」

 

 

 

「…う!?」

 

 

うるうるした目で見つめて身体を揺らしてくるリオちゃん…ルーフェン…僕が八歳まで過ごし大自然の中でレイじー…タンドラ師父、リンナ姉さ…師範代と共に鍛錬した春光拳発祥の地。そして『五年前』に全てを失い絶望した僕が《赤心少林拳》を学び使命を受け継いだ場所…

 

 

ガイストの出没が不定期な今、クラナガンを離れるわけには。でもルーフェンの《赤心寺》にはについての伝承が遺されてるしオキ師父、義経師範代もいるはず

。今までの情報を出して話し合えばガイストを率いる存在についてのヒントがわかるかもしれない

 

 

「……いいよ」

 

 

 

「ホント!やったああ!じゃあじーちゃんとリンナにも伝えておくね…あ、ヴィヴィオ達待たせてるから、先に行くね…ミツ兄またね~♪」

 

 

スッゴく嬉しそうな笑顔をみせながらリオちゃんが離れてく…なんども此方をみて手を振りながらだけど…ルーフェンか、タンドラ師父、リンナ師範代と会うのは一年ぶりにシャオ、メイメイどうしてるかな……

 

 

とにかく家に帰ろうと教室にカバンを取りに向かったんだ………みんなからの視線がこわかったけど

 

 

 

同時刻…管理局内、同執務エリア…

 

 

 

「………よし、誰もいないわね…」

 

 

 

長い通路の壁からなんども顔を出して誰もいないことを確認、歩き出したあたしが向かうのは管理局内にある空き室。手にはふわふわした羊のアップリケが目立つお弁当入れ…ここまで来るまで人の目をさけてようやくたどりつき扉を操作すると開いた

 

小さな椅子に座ると膝の上に小さな敷物をかけて袋からお弁当箱を取り出しおいてから手を軽くウェットティッシュでふきかるく手をあわせた

 

 

「………いただきます」

 

 

蓋をあけると可愛らしい羊が跳ねる姿…いわゆるキャラクターイラストがご飯の上に描かれ、二段目には白身魚のフライ、シャキシャキレタスに包まれたポテトサラダ、トマトソースが絡められたアスパラガスをベーコンで巻き二つ結ばれた肉巻アスパラガス

 

 

ミツキがあたしの健康を考えてかお弁当をつくってくれるようになって一週間…今までアンパン、ミルク、栄養バーだけですませていたお昼が変わった

 

 

「んん~…美味しい」

 

 

 

お肉の旨味とアスパラガスの食感が広がり目を閉じて味わいながらキャラクターイラストがかかれたご飯を口にする度、身体が軽くなるしリフレッシュする…次に白身魚のフライ、サクッとして白身の感覚が雲のように舌で溶けていく

 

 

「ん、んん…あ」

 

 

 

身体中に電気がはしり撫でられていく…フェザータッチにも似てるけども不快感はなくて食べる度に疲れが癒されてく…それに冷めているはずなのに暖かい。まるでおにいちゃんが作ってくれたお弁当と同じ

 

 

でも、食べる度に誰かに一番敏感な部分が撫でられ擦られると息も荒くなってくる…エアコンは効いてるはずなのに汗ばんできて上着を脱いでシャツのボタンを外すけど暑さが引かない

 

 

「ふ、ふう…ごちそうさま……ん、はあ、はああ」

 

 

大きく息を吐いて机に突っ伏して顔を上げると鑑があって見えたのは真っ赤になったあたしの顔…初めてした時のあとと同じ顔……

 

 

カナデやツバサからお弁当食べ終わったあたしをみて大丈夫かと心配されてからここで一人で食べるようになった…誰にもこんな逝った顔見られたくなかったし

。それに…ああ~もう!また変えないと

 

「うう~早く寝よ…クロスミラージュ、時間になったら起こして…」

 

 

 

《yes…》

 

 

 

火照る身体を無理やり押さえ込んで目を閉じる……ミツキのお弁当、控えようかな……って想いながら

 

 

 

 

……ティアナがミツキ特製お弁当を食べ悶えていた頃、ミツキはというと

 

 

 

「う~なる、◆◆ひりゅう♪♪ゃく…」

 

 

鼻歌を唱いながら食器を洗っている…しかし手元が全く見えない…わずかな影を残しキレイになった皿、箸、コップが乾燥機へと入れられ静かに閉じるとスイッチを入れると音が鳴り始めたのを確認すると同時にバスルームへ、着くと同時に洗濯機が止まるとふたを開いてカゴへと入れテラスへと出た

 

 

「まずはシーツから…ワイシャツはシワを伸ばして、インナーは日が当たらないように…」

 

 

 

ババババっと腕が無数に現れたかのようにみえる程の動きで干していく…宙に舞う洗濯物が瞬く間に洗濯はさみ、ハンガー、ワイヤーにかけられ干し終わるとふわりと風がミツキに通り抜けていく

 

 

 

「よし、夕方には十分乾くね。それまではお弁当の仕込みやるかな~」

 

 

 

画家魂!エプロンを装備したミツキは冷蔵庫へと歩く…しかし通り過ぎ足を止めた先にはやたら頑丈な小型の冷蔵庫…なぜかわからないが何かに傷つけられ。牙みたいなのが突き刺さっている扉を迷わずあけ取り出したのは暴れまわる白くて長い生きが良い巨大な尻尾…

 

 

「さすがに活きがいいかな…」 

 

 

暴れまわる尻尾を気にせず包丁で軽く一閃、すると輪切りになった尻尾がさらへ落ちていく…必要な分を切り取ったミツキはいまだに暴れまわる尻尾を冷蔵庫に押し込みカギをかけ、輪切りにしたそれを手慣れた様子で塩をもみ込み冷蔵庫へ入れていく…

 

 

ミツキが調理している尻尾…数日前に師である義経から送られてきたものだった…『珍しい肉だ、食べて見ろ』と一筆添えられて…一応食べてみると元気が出たのをみてティアナの疲労困憊気味を治すために赤心少林拳の食医施術を用いて調理してみてお弁当のおかずと夕食に出すスープに使っていたのだった

 

 

「義経師範代、この肉は大事に使わせてもらいます…」

 

 

義経がいるであろう世界に感謝の言葉を継げ調理を再開したミツキ…その頃

 

 

 

「さあ、やるか………」

 

 

 

『GAAAAAAAAAAAA!!』

 

 

 

吹雪荒れ狂う山の頂で不敵な笑みを浮かべる僧衣姿の女性?…自身を地上最強の生物とも呼ぶ赤心少林拳黒沼流師範《義経》。その前には山をもこえる体躯を持つ白い龍が闘志向きだしで雄叫びをあげるも、涼しい顔で口角を釣り上げ笑いながら地を蹴るのをみて殴りかかってきた。よく見ると龍の尻尾が半ば断ち切られている

 

 

いつもなら邪魔をする沖が居ないので全力で戦える相手との出逢いは拳士として最高の喜び、全身から赤く血のような気を漲らせ義経はなんなくかわしていく

 

 

 

「最高だな……だが赤心少林拳黒沼流に負けはない!今日も喰わせてもらうからな!!」

 

 

 

第6管理世界 アルザス地方…………そこに住む白きヒトガタにちかい龍のしっぽ……義経が愛弟子ミツキに送りつけてきた肉の正体だった

 

 

ルシェの民は言う………黒髪の鬼女が笑いながら白き龍と戦う姿をみたと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし下拵え終わり。洗濯物取り入れなきゃ…」

 

 

 

水で手を洗い洗濯物を取り入れていくミツキの手は素早く部屋着、私服、制服、ティアナの制服と分けていくが手が止まる…ピンクのレースが目だつショーツに顔を真っ赤にしながら置き畳み終えティアナの私室へ向かう廊下に出ると静かに扉を開く。女性特有の香りにふらつきながらベッドのシーツをはいで新しいのに変えビンと張らせどこから取り出したのかコインを落とす。コインはシーツにはじかれ絨毯へと落ちた

 

 

「完璧。じゃあ次は枕カバーとブランケットを変えて……あとは制服とワイシャツをクローゼットに…」

 

 

手早くブランケット、枕カバーを新しく変えスッと手でのばして、さらにクローゼットのバーにかけ最後にやっかいな物を残すのみになった

 

 

やっかいな物…それはティアナの下着…入れる場所はわかっているのだが何度やってもなかなかなれない…引き戸を引くとずらりと並んだカラフルな乙女の最終装甲の数々に思わずのどが鳴る…ミツキの頭の中ではエンジェル☆ミツキとデビル†ミツキが囁いてくる

 

 

 

ーミツキ、それだけはやめるんだ!家主であるランスターさんをそんな目でみてはいけない。早くおいて閉めるんだ!ー

 

 

 

 

ミツキ、一枚減ろうが問題ない…この際だとっちまいなよ…欲に従えよ?こんな最高なのを使わないでどうする?

 

 

 

「う、うるさい!……赤心少林拳聖拳突き!!」

 

 

 

ーぐわあ!?ー

 

 

 

『……ティアナさんは忙しいのに僕を住まわせてくれてるし、それに今のままじゃ、コレはただの布きれだ。ティアナさんが本人が身につけてこそ意味があるんだ!!』

 

 

 

 

 

 

デビル†ミツキの誘惑に抗って勝った…わずか数秒間攻防といえども1日中鍛錬したぐらいに消耗しきったかのように息を吐きながら、見ないようにしながらやっと乙女の最終装「作者さんは黙って!!」…引き出しを閉じた

 

 

時間をみると夜の7時を回っている…ミツキはフラフラしながらティアナの部屋を出て両頬を強めに叩いた

 

 

「あうう煩悩退散、煩悩退散!………と、とにかく夕飯作ろ、今日は遅くなるっていってたから胃に優しくて消化しやすい………よし沖師父直伝のお粥にしてみよう!」

 

 

 

気合い入れてキッチンに入るミツキ…まず冷蔵庫に塩をもみ込んだ龍の肉(!!)を取り刻み、龍眼、棗、干し椎茸、鳥骨(烏骨鶏)、木枯れ節(かつお節の仲間)、肝ネギ、リンゴを袋に詰め縛り煮立った鍋へと入れる沸騰しないように煮ながら出たアクをこまめにとり掬う事、一時間…

 

 

「よし…あとは土鍋に移して残りは冷蔵庫に」

 

 

 

濁りなく透き通ったスープを土鍋へ移し、具の準備を始める…黄ニラ、龍肉(!?)、そして黒くとろみがある液体を取り出すと水を張った中華鍋に蒸籠に揃えたモノを皿に入れ黒い液体を注ぎ中へおき蓋を閉じた

 

 

「蒸しは一時間ぐらいかな…ご飯を洗わなきゃ」

 

 

米櫃から升に米をすくいボウル三合入れ水で二回洗い濯ぐよう流し、指を立て優しく研いでいく…無心で洗うミツキの身体から暖かな光《煌氣》が漏れ出す

 

 

(しっとりと瑞々しいお米……今年もいい出来だね《赤心米》……美味しくな~れ、美味しくな~れ。ティアナさんが元気になりますように…)

 

 

 

ルーフェンにある《赤心寺》の段々畑で沖が育てた《赤心米》…ミッドチルダでは市場に出回るのは希で、出たとしても数キロ、数十万から数百万で取引される…それを当たり前のように使うミツキ、やがて煌氣が浸透した赤心米をとぎ終えセットする

 

 

「ん、コレでいいかな。ティアナさん帰ってくるまで、あと少しか。仕上げるかな」

 

 

 

エプロンをたたみ、ソファーに座るとスケブを手にとり開くと昨日買いたスバルさんの家でスケッチした絵を見る

 

スバルさんってキレイだ。ムダ無くついた柔軟な筋肉と腰回り、太もも、肩、二の腕は芸術的で、

自然な笑顔もスゴく可愛いと思った。でもナンかわからないけど、少しだけ違和感を感じる

 

 

スバルさんの家族と、ご飯を食べた時に会った、ギンガさん、チンクさん、ディエチさん、ウェンディさんからも同じのを感じた

 

 

わからない…たぶん気のせいだ。そう考えながらスバルさんの絵を仕上げていく。出来たら見せる約束してるし

 

ソレから、ずっとペンを走らせて修正を終わると同時に

ご飯をが炊けた事を知らせる電子音かなると、スケブを閉じてエプロンを着ながら時計をみる

 

 

そろそろティアナさんが帰ってくる時間。す、少し集中しすぎちゃった。手早く料理の仕上げ、テーブルに土鍋を置くと同時にチャイムが鳴り響いた

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

先月の事件調書、報告書を纏め終え提出し庁舎を出て、マンションへ歩いてる。今日も何時ものように定時過ぎての帰宅

 

 

誰もいない部屋に帰って、ただいまと言っても返してくれない、一人でご飯をを食べてシャワーを浴びて、持ち帰った仕事を片付け寝るか、寝落ちする毎日

 

片付けも出来ない、洗濯物もたまる、時間と仕事に追われる日々だった

 

 

でも今.は.違う、マンションのオートロックを開いてエレベーターに乗る、帰るのが待ち遠しくて仕方ない。エ目的階で止まり、扉が空くと同時にと歩き出した

 

 

だって…今のあたしの家には待ってる人がいる。部屋の前に立つとインターフォンを鳴らす。その向こうから足音が聞こえ、静かに扉が開く

 

 

 

くるくるした金髪、野暮ったいメガネ、第97管理外世界、なのはさん達の故郷の言葉が大きく書かれたエプロンをきた男の子…二週間前から同居しているミツキ・カーディフ君が柔らかい笑顔をむけている。もう、先に寝ていて良かったのに

 

 

 

「おかえりなさい、ティアナさん。今日もお疲れさま」

 

 

     ーおかえりティアナー

 

 

一瞬、小さいころ、あたしが帰ってくると出迎えてくれた、おにいちゃんとミツキの姿が重なる

 

「あ、あのティアナさん?どこか具合が……」

 

 

「だ、大丈夫よ……うん。え、えとミツキ、ただいま」

 

 

「はいティアナさん。えと、先にお風呂にしますか?」

 

 

 

「……先にご飯でいいわ。ミツキも一緒に食べるわよね」

 

 

「くす。そういうと思って、用意出来てますよ…今日はルーフェンの郷土料理ですよ」

 

…笑顔でこたえると、あたしをソファーに座らせてテキパキ用意していく姿をみながら思う

 

なんか、おにいちゃんと一緒にいるみたいだって。それに誰かがいるってスゴく嬉しくて楽しい

 

このまま、ずっとココにミツキが居てくれたらと考えた時、ある言葉が浮かぶ

 

 

 

ーティア、ミッくんを襲って食べちゃだめだからね、最初はわたしとリオちゃんだから……ー

 

 

ー襲うわけないじゃない!まだ成人もしてないんだから……もしやったら未成年者略取の現行犯でスバルを逮捕しないといけなくなるわよ!!そ、れ、に、あたしは年上が好きなの!!ー

 

 

 

ーじゃあ、今度わたしの家にミッくんと泊まりに来て……ー

 

 

ーダメよ!この前したこと忘れたわけないでしょうね?ー

 

 

ーや、やだな~アレは、ミっくんに忘れ物を渡しに…ー

 

 

 

 

……スバルの家でお別れ会していた時、なんでかわからないけどジュースを頭から被ったミツキをバスルームへ向かわせたスバルが帰ってこない。胸騒ぎがして向かっ先でみたのは

 

 

ー………はあ、はあ、すぅぅぅぅぅぅぅぅ……はあアアアー

 

 

ミツキの履いていた《アレ》を袋に入れて、目をトロンとしながら膝をついて深く息を吸い込んでるスバル……思わず執務官として逮捕しようとしたけど、踏みとどまりながら確信したわ。スバルは間違いなくミツキを狙っている…自分より年下の子を

 

 

もう、ノーヴェと同じで年下趣味ってあり得ないんですけど!?まあノーヴェの方は成人するまでは手は出さないだろうけど…《アキツキ》の次期総帥と結婚するってことも信じられないけど

 

 

 

とにかく、あたしがやるべき最優先事項は二つ!

 

 

スバルを未成年者略取および淫行罪で逮捕しないようにしつつ、ミツキを成人するまで守り抜くこと!!

 

 

もし遊びに来たとしても目を光らせていれば問題ない

 

 

ミツキのお母様、獅子の女皇《ルネ・カーディフ》特務執務官から同居をするよう頼まれた、あたしがミツキを護らなきゃいけないんだから

 

 

「ティアナさん、出来ましたよ~」

 

 

「は~い」

 

 

いったん考えるのを辞め、返事しミツキと向き合うように椅子に座り手を合わせた

 

 

「「いただきます」」

 

 

 

軽く合唱し、土鍋のふたが開けられた…お米の甘い香りと、出汁の香りの湯気が晴れると真っ白なお粥が見え、大きなレンゲで白磁の器にもり、彩り鮮やかな具材を入れ最期に黒いツユを垂らす

 

 

「はい、今日のご飯はルーフェン郷土料理《天雲海龍肉粥》です」

 

 

「ありがと……ん……はああ、美味しい……」

 

 

レンゲをで掬い口へ入ると、濃厚な出汁とお米の甘み、具材の肉(?)、錦糸卵、根菜の旨みが身体に染みこんでいく、疲れた身体に力がわいてくるし身体がぽかぽかする

 

 

「はい、どうぞ。まだまだおかわりはたくさんありますからね」

 

あっというまに空になると、ミツキが笑顔で次のをよそって渡してくれた。まただ、おにいちゃんと面影が被る。ずっとあたしの家にミツキが住んでくれると嬉しいなと強く思った

 

 

あたしに、とってミツキは大事な陽だまりなんだから

 

 

 

 

 

 

おまけ……ランスターさん家のメイドラゴ…龍殺し(笑)

 

 

 

 


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