ダンジョンに救世主っぽい何かがいるのは間違っているだろうか   作:泥人形

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いやーアニメ見てゲームしてと堕落しておりましたわ。
デジモンnextorder超面白い…僕街凄い面白い…
てことで六話目です、お楽しみいただければ幸いかと。
…結構ノリで書いたからその内修正はいるかも


武器と鍛冶師っぽい何か

 武器―それは冒険者にとって命を預ける相棒であり、魂を込める代物である。

 我々はこれに自分の人生を賭け、未知の穴(ダンジョン)より現われる化け物たちと命を奪い合う。

 敵の血潮を吸い、長く共に戦えば戦う程武器に込める心というのは大きくなるものだ。

 故に我々はこれを愛し、信頼し、死地へと飛び込んでいく。

 

 武器―それは鍛冶師にとって己の魂の結晶そのものであり、自らの子とも、自らの分身とも言うべきもの。

 彼ら彼女らは素材と道具だけで武器を作り上げるのではない、己の全てを捧げ一寸程も手を抜かずに完成させる己そのもの。

 作り上げたそれは時には見知らぬ誰かの下へ、時にはこの人だけと決めた自分の相棒の下へ渡り、その人の命を載せ敵を打ち倒していく。

 故に彼らは彼女らはこれを慈しみ、全てを賭け、作り上げる。

 

 といっても、これはあくまで俺の考えであり、誰もがこう考える訳ではない。

 世の中には武器何て所詮消耗品だと考える人もいるだろう、それもまた間違いではない。

 実際俺だって今使っている…使っていた武器を作った鍛冶師と出会うまではそう思っていたから。

 

 まあ、だとしても手に入れてから数か月で破壊する冒険者なんてオラリオにも中々いないけどな!

 ある部屋の一室、虚ろな目でハッハッハ、と乾いた笑いをこぼす奇妙な男がいた。

 

 勿論、安定の俺である。いやだってまさか渡されてから一か月で折れるとか流石の俺も予想だにしないじゃん?

 俺はどこぞのまな板アマゾネスやどっかの剣姫様と違って武器を滅茶苦茶に扱ったりしないからもっといけると思っていたんだよ…!

 

 だが結果的に刀は折れてしまった。世の中結果が全てなのである。大抵の場合は過程とか無視である。

 世の中厳しい…超厳しい…

 

 しかしいつまでもこうしている訳にもいかない。これではダンジョンでもいつも狩りを行っている層まで下りれないのだ。

 さっさと専属鍛冶師(マイパートナー)のとこに行き新しく作って貰わねば。

 頭では分かっている、だが如何せん気分が乗らない、見た目相応にショックを受けてたりするのだ。

 

 くそぅ…おにぎり君16号ぅ…ッく…君のことは忘れないよ…!

  

 因みに武器の名前は相方がつけた…のだが2号になった時に忘れたので適当に名付けて以来この呼び名で通している。

 由来はその時の昼飯がおにぎりだったのと元の名前に鬼がついていたような気がするからである。

 …もしこんな名で呼んでるなんてバレたら殴られる気がする…てかどの鍛冶師でも自分の作った武器をこんな名前で呼んでると知ったらキレるだろうなぁ…

 いや、でもね? こんな名前でもこいつは、こいつらは俺をレベル1の時から支えてくれてきている相棒なのだ。

 時には牛男を斬り、時には竜を斬り、時には食人植物をも切り裂いた、最高の相棒なのだ。

 

 ここまで考えたところでパンッ、と両頬を叩き立ち上がる。

 いつまでもいじけていても仕方がない、さっさとおにぎり君17号を作って貰おう。

 俺はおにぎり君16号(故)を袋に包みぱぱっ、と着替えた後に武器制作用にドロップアイテムを保管(適当に押し込んでいるだけ)している棚を開け、一番手近にあった角を取りそれも袋に押し込んだ後にヘファイストスファミリアに向かった。

 

 

 

 

 【ヘファイストスファミリア】

 交差する二本の槌に火山のエンブレムをかざし、ギリシャ神話、またはローマ神話に登場する炎と鍛冶の神(女神)であるヘファイストスを主神としたファミリアである。

 このファミリアも確かに超一級のファミリアなのだがロキファミリアやフレイヤファミリアとは方向性が違う。

 ロキファミリアやフレイヤファミリアはダンジョンから湧き出る魔物を倒し、その収益で運営をする『探索系』ファミリアであり、ヘファイストスファミリアは武具販売の収益で運営する『鍛冶師系』のファミリアなのである。

 無論、鍛冶師系のファミリアは他にもごまんとある、しかしこのファミリアはその中でも飛びぬけているのだ。

 それは先の二大ファミリアにも勝るとも劣らずかなりの人数が所属している超大規模であることに加え、『鍛冶師系』であることにも関わらず高レベルの冒険者が所属していること、そして何より武具の販売の収益のみ(・・)で運営をしているということだ。

 まあ、高レベルであればあるほど良い武具が作れるのだからこのファミリアにレベル5がいるのも不思議ではないのだが。

 

 

 と、まぁごちゃごちゃと並べ立てたがつまるところヘファイストスファミリアは超すげーファミリアでそこの武器もすげーんだぜ、ということである。

 それこそ、下級から一級までどの冒険者も欲しがるほどに。

 

 しかし、いやだからこそヘファイストスファミリアの団員が、正確にはヘファイストスファミリアでも有数の実力者が打った武器はとんでもない額で売られている。何なら0が6個も7個もついていたりするのが当たり前なレベルだ。

 だが、そんな超すごいファミリアの武器を格安で手に入れることが出来る制度がある。

 それこそが専属鍛冶師というやつだ。

 それは鍛冶師と冒険者が結び合う契約、冒険者はその鍛冶師のためにドロップアイテムを持ち帰り、鍛冶師はその冒険者のために武具を打ち、格安で譲る(無料の場合も勿論ある、というかその方が多いと思う)。

 俗にいう持ちつ持たれつ、というやつである。

 

 つまりヘファイストスファミリアの武器が欲しいなぁ…でもお金ないしなぁ…となったらヘファイストスファミリアに赴き専属鍛冶師になってもらうように頼み込めばいいのだ! いやバベルの方でレベル1のヘファイストスファミリアの団員が作った武器があるからそれを買ってもよいのだが。 

 因みに俺は冒険者になったばかりの時にバベルで武器漁りをしていたら偶々気に入ったのを見つけたので店員に話を聞いてそれを作った人のとこに専属になってもらえないかと頼み込みに行った。それが今の専属鍛冶師である。

 

 …今思えばあの時の俺のコミュ力やばいな…超すげぇ。今の俺だったらそんなこと絶対できないわ…人間は切羽詰まっていれば何でも出来るんだな…。

 

 さて、俺の人間としての能力が低下していることに気づいたところでようやく到着である。

 基本ここのファミリアの団員は与えられた工房にいるものだが何を隠そう俺の専属鍛冶師はここの団長である、どうせ今頃書類仕事か何かしていることだろう。

 そう当たりをつけ木造のヘファイストスファミリア本拠である武具店の執務室へ向かう。

 途中で店員に要件を聞かれたがそこは俺、クールに完璧に対応して見せた。

 

 

「あの、ご用件はなんでしょうか?」

 

「ひゃ、ひゃいっ、ぶ、武器が壊れてしまってでしゅね…えっと、その、椿はいるかなぁ、と…」

 

「ああ、団長の専属の方ですか、どうぞお通り下さい」

 

「あ、ありがとうございまひゅ…」

 

 

 ………うるせぇ! 俺が見知らぬ人に急に話しかけられてすぐさま対応できるわけねーだろ! 超どもったわボケェ!!

 さっきも言っただろうが人間力低下してるって…もう俺の傷口を抉るな…

 

 と、そんなこんなで執務室の扉までたどり着いた。何度か来てるからここで間違いはないだろう、むしろ間違ってて知らない人がいたら羞恥心と申し訳なさで死にたくなるまである。

 軽く緊張しながらコン、コン、コン、とノックを三回。数秒後に誰かと尋ねる声が。

 

「ロキファミリアの甘楽です。椿はいるでしょうか?」

 

 敬語とかすっかり忘れてしまって中途半端な敬語しか使えないがまあ許せ、オラリオには敬語のけの字も知らん奴があふれているのだから。それにここの主神様なら大丈夫であろう。結構長い付き合いだったりもするしな。

 

「あら、カンラ君? 入って良いわよー」

 

 扉の奥から透き通った声が届き、扉を開ける。

 執務室、というには少しばかり広いその部屋には二人…一人の女性と一柱の女神がいた。

 女神―ヘファイストス様は書類の処理をしているのか机に向かい羽ペンで何事かを書いており、女性―椿は書類を運んでいるところであった。

 そして椿が口を開く。

 

「ああ、すまんな。今は主神様の手伝いをしておったのだ、少しだけ待っていてくれ」

 

「ん、りょーかい」

 

 書類をあらかた運んだ椿は行くぞ、と俺を武具店から引っ張り出し工房へ案内した。

 そこは武具店からそれなりに離れた北の方の場所にあり、店と比べてかなり小さな工房。そこにある椅子に腰かけ、俺もその向かいの椅子に座る。

 

「それで、一体どうしたのじゃ? 数ヵ月は会わないものだと思っておったが」

 

「い、いやーそれがですねぇ…おに…武器、壊れちった…」

 

「……は?」

 

 俺の用件に椿は呆然としたように口を半開きに目を見開いた。

 

「う、嘘じゃろ…? あれはお主が持ってきた迷宮の孤王の角と最高級金属を織り交ぜ作り上げた手前の最高傑作だぞ…? まさかたった一月で壊れる訳が…」

 

 思わず、と言ったように椅子から立ち上がり驚きに声を震わせる椿。

 

「い、いや、俺もまさか壊れるとは思っていなかったっていうか? あ、いや、しっかり手入れはしてからな、毎日!」

 

てめぇまさか整備してなかったとかじゃねーだろうな、そんな目つきをした鍛冶師に必死に弁解する。

 

「一体、何をしたのだ…?」

 

「んーと、この一月のことで言えばダンジョンに潜りっぱなしからのアイズと摸擬戦、そんでもってオッタルと戦って、その時に折れた…あ、ダンジョンでは迷宮の孤王と二回くらいやりあったな、その内一体は確か30層辺り」

 

「んな…何をしとるのだお主はぁああああ!?」

 

「いや俺だって好きであの獣男と戦ったわけじゃないからね?」

 

しかも連戦ではないから、そう付け加えるが色々と困惑している椿には届いていないようで落ち着かせるまで数分を要した。

 

「はぁ、それじゃあ今回は新しい武器を作って欲しい、ということで良いかの?」

 

「お、おう、頼めるか…? というか怒ってない?」

 

「まぁ、手前はお主のパートナーだから当然作るし、お主が壊し屋なのは分かっておるしのぉ…」

 

 やれやれ、といったように言葉を吐く椿。

 ふぅ、最悪ぶん殴られるのまで考えていたから助かった。レベル5の拳なんて洒落にならんからな…

 ていうか壊し屋とか酷くありません? 俺とか自分の武器超大切にしてるからね? 毎日手入れしてるし。 少なくともどこぞのアマゾンよかマシだと思うんだ…

 若干不満を覚えつつも抱えていた袋を椿に渡す。

 椿は両手で受け取りゆったりと袋の口を開き折れた刀を取り出した。

 

「見事なまでに砕けておるのお…」

 

「いやはや申し訳ないです…」

 

 どんよりしたようなオーラを醸し出しながら刀に触れる椿。

 そんな姿に申し訳なさがとんでもないことになった俺は目を伏せながら謝罪の言葉を紡ぐ。

 しかし椿はぶんぶんと頭を振った後に良し、と呟き袋から俺の用意した角を取り出しふむ、やら、これは…等と呟きながら硬度を確かめたりとした後にこちらに顔を向けた。

 

「これ、何から取れた?」

 

「んーと、何だったっけ…多分階層主のやつだわ」

 

「やはりか…」

 

「ていうか俺の扱い方じゃそんくらいのじゃなきゃもたないじゃん?」

 

「刀は普通こんな風になるような使い方はしないんじゃがの…」

 

「いやまあ、そうなんだけどさぁ…」

 

 そうなのである。

 そもそも刀とは「折れず、曲がらず、良く切れる」というコンセプトから作られたものであり、どの剣よりも「断ち切る」ということに適したものなのだ。

 しかし刀というのは重量が軽い。故に切断する際手前にスライドさせ力の向きを物に対し直角にしなければならない。

 つまり刀とは結構デリケートなものでありどっかの馬鹿(俺)みたいにガンガンガンガン相手の武器とぶつけ合わせるようなことをするもんでもないのだ。そんなもの両手剣とかの役目である。

 因みにここで言う刀とは俺の元の世界で言う日本刀のことである。

 こいつに専属になってもらった時に日本刀作ってくれ! と言ったら何だそれは、と真顔で言われたのが思い返されるぜ…。この世界には極東はあっても日本はないのである。

 あの時はこれが原因で俺がこの世界の人間じゃないとバレるとか思いもよらなかったよなぁ…まあ当時はまだ元の世界のことが強く頭に残ってたからポロポロと前の世界のこと話してたのも原因かもしれんが。

 男は美女に対しては口が軽くなるものなのだ。特に俺みたいなチェリーは。

 

「…おい! 甘楽!」

 

「ほわぁぁっ!?」

 

 そろそろ本気で彼女が欲しい、と真剣に考えていたら大きな声をかけられた。

 どっぷりと思考の世界に浸かっている時に声かけられと誰でも驚くもんよね。

 だから俺が変な声が出たのも仕方がないことなのだ…そう、致し方がないことなのだ…

 

「全く、何を呆けておるのだ」

 

「すまんすまん、ちょいと考えごとしてた」

 

「お主は…まあ良い。今回も刀…日本刀で良いんだな?」

 

「ん、よろしく」

 

「良し、承った」

 

 そう言いおにぎり君16号を隅に置き超のつくほどの硬度を持つ角を炉に置く。

 次いで取り出しのは吸い込まれるような深い青い石。

 フレイムロックと呼ばれるアイテムから作られる発火剤…の一ランク上のもんらしい、詳しいことは知らん。

 それを炉に放り込むと炉の中は幻想的な蒼い炎がゆらゆらと燃え猛り、小さな部屋の温度を急上昇させる。

 それから椿は炉の温度を調節でもしてるのか真剣な眼差しで作業を進めていく。そんな姿を俺は椅子に座りながらも初めて来たときはまだ普通の発火剤使ってたよなぁ…なんて昔のことを思い出しながらじっと見つめていた。

 

 あれからどれだけ経っただろうか、少なくとも三時間くらいは過ぎた気がする。

 来た時は昼を少し過ぎた頃だったのだが今では日が沈み始めている。

 炉の中でずっと炎に抱かれていた角はようやく取り出され、鉄床に乗せられた。

 椿は特別製と思われるハンマーを片手に持ち、そしてそれを勢いよく叩き付け始めた。

 

 激しく、強烈な打撃音。

 一回一回に魂を込めているように叩き付けていく。

 それは全てが同じなのではなく、一つ一つが違う音を奏でている。

 

 やがて真っ赤に赤熱したそれは少しずつ形を変えていった。

 それでも止むことはなく続いていく衝撃。

 何かに取りつかれたように、恐ろしく丁寧に、しかし大胆打ち付けていく。

 音が響くたびに赤の、青の閃光と火花が散り咲いていく。

 飛び散る火の粉によってその光景は更に幻想的に見えて、柄にもなく神秘的だと思った。

 

 

 

 音が止んだのは差し込んでくる陽がすっかり消えてしまい、真っ暗な闇が空を覆い尽くしてしばらく経ったころだ。

 椿はすっきりとした表情で刀身を両手で持ちそのまま工房の奥へ入っていった。

 そんな背中を見送り見てたこっちも疲れたなぁ、と背もたれに体重を預ける。

 彼女が刀を作る様子を見るようになったのは…というより一号の頃から見続けている。

 当時の俺は何となくそれを見なければ、と思ったのだ。何故かは今でも良く分からん。

 しかしあの作業を見たのももう17回目か…今度は壊さないようにしなきゃな…まあそう思ったところで戦場に立ったらいつものように扱ってしまうのだが。

 

 まあ考えすらしないよかマシでしょ! うんうんと頷いてたら椿がやりきった、というような表情でこちらに刀を持ってきて完成を告げた。

 

「完成じゃ」

 

「うぉおおお…‼」

 

 渡された刀の重さは前とほぼ変わらず良く手になじむ。

 鞘から引き抜いたそれの刀身は透明感がありつつも深い蒼をたたえており、長さは16号とほとんど変わっていないように見える。

 そして柄は真っ白であり、表面には青の布が巻かれていた。

 

「すっげぇ…流石椿、マジで愛してる…」

 

「うむうむ、手前も最高の刀が打てたと思っておる、もっと褒め称えるが良い」

 

キャー、サッスガー!、ツバキサマー、ハッハッハー、ソウダロウソウダロウ、何てじゃれ合いながらも本気で感謝の念を捧げる。

 

「良し、んじゃ試し斬りするかね」

 

「そう言うと思っておったわ、あっちに用意してある」

 

「流石…」

 

 そう言い工房の奥に入っていく椿に着いていくとそこには一本の刀が台座に突き刺さるように鎮座していた。

 

「最近打った中でもかなりの出来と自負しておるもんじゃ、これなら十分試し斬りに使えるじゃろう」

 

「ん、そんじゃ遠慮なく」

 

 正面に立ち、居合いの構え。

 瞬間、一気に振りぬいた。

 時すら置いていくように振られた刀は何の抵抗もなく目の前の刀を切り裂いた。

 その様子を視認しにっこりと笑みを作り鞘にしまう。同時に斬られた刀が地に落ちた。

 

「さいっ…こうだわこれ、ありがとな」

 

「うむ、今度はすぐに壊れぬようにな」

 

「あ、あはは―…気を付ける…」

 

にやりと笑いながら痛いところを突いてくる椿に苦笑いしながらそう返す。

 

 

 

その後何だかんだテンションの上がった二人はご飯も食べずにダンジョンに潜り暴れまわったとかなんとか。

 

 

 

 

 

 


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