ぼっちだけがいない街   作:stright
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ひっそりと




「…知らない天井だ」

 

「何いってんの?お兄ちゃん」

 

バカなの?とこちらをジト目で見ながら言う美少女が一人。アホ毛と八重歯がトレードマークの、どこか小悪魔染みた雰囲気を持っている少女だ。俺と容姿で共通した部分があるはずなのに、俺と全く似ていない血を分けた兄妹がベットの脇のイスに座っていた。…本当に血が繋がってるのかしらん?

 

…いいじゃない、別に。こういうときのテンプレでしょ。

言ってみたくなるじゃん。

 

 

「おはよう、小町。目が覚めて一番に小町の顔が見れるなんてお兄ちゃん感激よ」

 

「ありがとうお兄ちゃん。小町はそうでもないけど。嬉しいよ」

 

呆れ顔から一転してきゃぴ☆っと星がつきそうな笑顔でそういい、また元の呆れ顔に戻す。

それからため息を一つつき、ベットの上で横になっている俺を覗き込んできた。

 

「まったく、これで何回目?小町言ったよね、こういうのはほどほどにしてって」

 

「...まあ、な。すまん」

 

小町の言う通り俺は今回のようなことを何回も繰り返している。理由は勿論、再上映(リバイバル)のせいだ。

 

いつからか起こるようになったこの現象は、俺に今回の様なことを何度も行わせている。これに巻き込まれるようになった当初はどうにかして逃れようと努力をしていたが、何度も繰り返していく中で現象が起こるきっかけとなったであろう原因をなんとかしない限り、脱出出来ないことを悟ってしまった。それからは、骨が折れようが自分が恥をかこうが出来ることはなんでもしてきた。端からみたら単なる異常者である。

 

そんな俺を妹の小町は側でずっと見てきた。

 

酷い時には血まみれになる俺を見て泣くこともあった。もうそんなことはしないでと言う小町を振り切ってこれまでも同じことをしてきた。何度も何度も。

 

幸い自分には友達もいないし、親もあまり干渉してこない。悲しむ人なんていない。そう思ったから。

 

でも小町は違った。無茶なことをしたり、傷ついたりしたときは悲しんでくれた。怒ってくれた。

 

それが無性に嬉しくて。申し訳なくて。

 

それに気づいてからは、少しだけ自分の安全について考えるようになった。小町に心配をかけないようにできるだけ危なくない手段を探すようにした。

 

 

(最近はここまでのことはなかったんだけどなあ)

 

 

しかし中学2年位までと比べれば軽い方ではある。あの頃は投げやりになってしまっていたために、死にかけたこともあった。

 

(ん?今も大して変わってないか?)

 

それはともかく。

 

「...小町」

 

「なにごみぃちゃん」

 

 

「あの犬は無事だったか?」

 

 

「無事だよ。ちょっと前に飼い主さんが謝りに来てたし」

 

「そっか」

 

なら多少は体張った意味はあったのか。これで犬が無事じゃなかったら何のためにしたのかわかったもんじゃない。

 

「...まったくお兄ちゃんは。普通自分のこととか小町に対して心配かけたこととかを先に聞かない?よくないとこだよ、そういうとこ」

 

「...悪い。心配かけたか?」

 

「あんまり」

 

 

どっちだよ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ●      ●       ●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...てなわけで1ヶ月は入院生活だって。その間の課題とかはこっちに送ってくれるってさ」

 

「そっか。サンキュー小町」

 

「いやいや。でもお兄ちゃんもこまったねえ」

 

「なにがだ?」

 

「またぼっち確定じゃん。せっかくいつもよりも早く家でるくらい楽しみにしてたのに」

 

「ばっかお前。そんなの関係ねえよ」

 

俺が初めから学校にいたとしても友達なんて作れないし。

 

てかいらないし。人間強度が下がるから。

 

...本当だし!

 

「...はあ。相変わらずだねえ。ごみぃちゃん」

 

「うっせ」

 

あれから小町に俺のこれからについての話を聞いた。全治三週間。リハビリを込めて1ヶ月の入院。流石にここまで長いのは久しぶりであり、新学期早々に学校生活をリタイアするのは流石の俺も少し堪えた。

 

遅れてしまう勉強などは入院中に送られる課題と、退院後に実施してくれる補講などで補ってくれるらしい。夏休みも必要であれば補習を行ってくれるそうだ。

 

(まあでも割り切ってしまえば入院生活も悪くはないよな。一日中のんびりできるし)

 

課題をほどほどにこなしていれば何とかなりそうだしな。何よりも、

 

(一日中部屋に居ればリバイバルは起きない...!)

 

これが大きい。リバイバルは俺が出歩く先々で起こることが多い。俺が事件の原因に気付くことのできる位置にいることで初めて発生する。つまり出歩かなければ基本的には起こることはないというわけだ。

 

(本当の意味でのんびりできるってことか。最高かよ)

 

「小町も時々見舞いには来るからね。だから大人しくしててよね」

 

「わかってるよ」

 

 

それじゃ。そういって小町は病室から出て行った。

 

パタンとドアが閉まる。

 

先ほどまで賑やかだった部屋の中がしんと静まった。

 

それに少しの寂しさを感じながら、まぶたを閉じた。

 

 

そして俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続きは未定






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