勢いで書いたからよくわからんもんになってる。
ちなみににわかだからFateの魔術とか良く分からなかった。つまり適当設定です。
ある一室の中央、床に刻まれた青白い紋章の前に一人の男が何かを念じるように瞑目し立っており、その背後には大盾を持って少女が控えていた。
男の手には虹の輝きを放つ40の石。
しばしの後にてゆっくりと目を開き、手一杯に抱えた石を紋章―魔法陣―に投げ入れた。
瞬間、その場に土下座。恥? 外聞? 何それ食えんの?
「うぉおおおおお!? 来いよ来てくれ! いや来てくださいお願いしますぅうううう!!」
そう叫ぶと同時に魔法陣は強く輝き放られた石は四つで一つの光へと姿を変え、陣の周りに浮かぶ。
少しの間浮かんだあとその光は輝きを増し、甲高い音を立てながら帯を描くように高速で回転。
帯を描き、輪のようになった光の中心にバチバチと音を立てつつ光が何かを象りながら具現化していく。
爆発音にも似た、強烈な音を放ちながら現れたのは――概念礼装、アゾット剣
「お、おぅふ…いやまだ9回残してるし…!!」
男の声に応えるように先ほどと同じ光が輪を作り次々と光が具現化していく。
魔導書・黒鍵(赤)・黒鍵(青)・黒鍵(緑)・ルーンストーン・魔力計・魔導書・魔術鉱石…
「まだ、まだラストワンチャン…!!」
今までと違い光が一際大きく輝くのを視界に入れ期待が高まりじっと見つめる。
徐々に形が作られていき、そして飛び出るように現れたのは――モータードキュイラッシェ
死んだような、悟ったような表情で言葉を吐き出す。
「………っふ」
なるほど、つまりはそういうことなんだね?
「サーヴァントに頼らず己の身のみで人理を修復せよ、と…そういうことか...!」
「違います先輩!? 落ち着いてください!?」
これは元一般人の青年とそれに付き添う英霊たちの物語である――
―各サーヴァントたちとの関係―
―ランサーとの関係―
概念礼装とは、基本的に人や物といった物質、歴史や物語といった積み重ねられてきた事象、魔法や魂といった神秘とされるもののことを指す。
他にも色々とあるが全てに共通して言えることは概念、つまり事物の概括的で大まかな意味、内容といったものが備わっているというである。
そしてその概念を摘出し、能力として身に着けられるようにしたものを総称して概念礼装と呼ぶ。
つまり、だ。一般的には使えないと言われるものでも召喚によって摘出され概念礼装とされたものは凄まじい力を秘めているのでは、と俺は考えた。
「だから、これを使えば俺も英霊たちと少しの間くらいは戦えるって思うんだけどどうだろうか?」
「考えは悪くねえと思うがそうするためには今よりもっと戦闘訓練を積まないとダメだろうなぁ」
「マジかよめんどくせぇ…いやでもそんなこと言ってる場合でもないか」
山のように積み上げられたガラクタ…概念礼装を見上げながら二人の男が会話をしていた。
一人は良く分からんうちに世界を守るためあちこち奔走しなければいけなくなった元一般人、現魔術師の道草十時。
もう一人はランサーとして呼び出されたケルト神話の半神半人の大英雄、クー・フーリン。
「て、ことで。ちっとばかし訓練つけてくれね? 運動とか全くしてないから体力ないけど」
「おう、承った。ガンガン鍛えてやるから覚悟しろよ?」
「…やっぱやめます☆」
「おう、待ちやがれ」
「あぁああああ助けてぇえええええ!!」
嫌な予感を感じ脱兎のごとく全力で出口に逃走するもガシッと襟首を捕まれそのまま訓練所に引きずられていった。
「さて、それじゃあ始める前に使う武器を決めるか、何使うつもりだ?」
「非力な俺では振るえるのがアゾット剣しかないんだなこれが…」
「…これから毎日限界まで筋トレな」
「何それめっちゃ嫌だ…」
だがまあ文句も言ってられまい、少なくとも黒鍵を振り回せるくらいには筋肉をつけなければ。
そう意気込み早速腕立て伏せを開始する。
「一、二、三、四、五、六、な、な、は…ち、きゅ…う、じゅ…ギブ」
「いやギブアップ早すぎだろ!? もっと根性見せやがれ!?」
いや本当にこれ以上は無理っす…いくらピッチピチの十七歳だって言ってもまともな運動なんて学校の体育くらいである。部活? そんなもん入っていたわけがないだろう。
しかし無理だと言う俺の脇腹をランサーがガスガス蹴ってくるもんだから根性でまた腕立て伏せを開始する。
「よしよし、少しは根性あるじゃねーか」
「あったりまえよ…! これでも男だからな! 一、二、三、よ…ギブ」
「おぃいいいいいい!」
くっ、既に腕が限界だと悲鳴を上げてやがる…!だがそんな時は腕立てをやめて腹筋をやれば良いのだ。
「てことで今度は腹筋をやろうと思う」
「足は押さえててやるよ」
「さんきゅー」
仰向けになり足を押さえてもらい、少しだけ深呼吸。
「よし、行くぞ! 一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二、十さ…ん、じゅ…よ、ん、十…ギブ」
頭の後ろに組んでいた手をほどき勢いよく落下、頭を思い切り床に打ち付け悶絶していたらランサーが大きくため息を吐いた。
やめて、そんなマジでこいつどうしよう…みたいな目で俺を見ないであげて…
「取り合えずだ、これからは毎日魔術の訓練終わった後は体づくりするぞ。そんなんじゃこの先何かあった時対応できねぇ…」
「ええぇぇ…めっちゃ嫌だ」
「文句言ってる場合じゃねーだろ…これからも毎度毎度戦地に行くことになるんだからよ」
「っく…反論できぬ…」
「ま、諦めて素直に従うんだな」
「…なるべく優しい教導をお願いしたい」
「そいつは無理ってやつだ、諦めろ」
せめて、優しく死にそうな思いにならないような訓練なら…という俺の願いはランサーの満面の笑みにて粉々にされた。
その日からカルデアでは毎日悲鳴と怒号が響くようになったとかなんとか。
―キャスターとの関係―
カルデアのある一室、窓は無く床も壁も真っ白な部屋に一組の男女がいた。
男―十時―は席につき、机に置かれた魔術鉱石に手を当て集中して魔力を注ぎ込んでいる。
もう一人は紫や藍の色で統一された、如何にも魔術師のようなローブを羽織り薄い藍色のロングの髪をたらし、そこからエルフの耳を覗かせている妙齢...うん、妙齢の女性。
こちらも真剣な表情で男の様子を見ていた。
それから数分程経った時、轟音と共に魔術鉱石が爆散した。
「つっうおおおおお、くそいってぇ…破片刺さったがな…」
「はぁあ…あなたはどうして最後であんなにいきなり魔力を込めるのよ…」
「いやあと少しで完成するぜ、って思ったら気が抜けちゃって…」
たははーと苦笑いしながらそう言うとため息が返ってくる。何か最近英霊たちからため息吐かれてばっかりな気がするのは気のせいだろうか。
「ま、まあ最初よりは上達してるし? そもそも俺の得意魔法は宝石魔法じゃないし?」
そもそも俺の起源はこういうの不向きだし? そう言うとまたもやため息。
「だからと言ってそれだけやっても仕方ないでしょう、折角それなりの才能を幾つか持ってるんだから…」
そうして本日三度目のため息を吐いてこちらを見てくる女性―ギリシャ神話、アルゴナウタイの冒険を成功に導いたといわれるコルキスの王女、裏切り者の魔女メディア。
そんな人物…英霊に魔術を教えてもらうなんて最近までパンピーやって俺からすれば全然ありがたみがないが魔術師からすればものすごい贅沢なんだろうなぁ、と思うと同時にここまで一生懸命俺のことを考えてくれることに感謝する。
「それに私の弟子がお情け程度の魔術しか使えないとかプライド的に許しがたいわ」
「あ、そういう」
全然俺のためじゃなかったでござる(´・ω・`)
「あ、そうだよ、聞きたいことがあったんだった。魔術に概念礼装って使える?」
「概念礼装?」
「うん、ルーンストーンとか魔導書が山になってんだよね」
「なるほどね…」
そう言うとメディアは目を閉じ考えるそぶりをした後にゆっくりと口を開く。
「使えないことはない…いえ、むしろ上手く扱えたら強力なものになるわ」
「おぉ!」
俺の考えも捨てたものではないな! それにようやくごみ処理…概念礼装に日の目を浴びさせることができる。
「ただし、それで強くなったとしても所詮道具頼りのもの。これからも訓練は続けるわよ?」
「当たり前! これからもよろしくな」
「ええ、それじゃあまずは使う礼装持ってきてちょうだい」
「ん、持ってきてるよ、ほら」
そう言いながら取り出したのはルーンストーンと魔導書、どちらも何度も俺を絶望に叩き落した代物である。
「これは…加護と護法のルーンに爆発系の魔導書ね、丁度いいのを持ってきたじゃない」
「まあ山に適当に手突っ込んで取ってきたやつなんだけどな」
「あなたね…まあいいわ、取り合えず一回これで魔術を使ってみなさい」
「了解」
こちらに向かって放られたルーンストーンをうまくキャッチして魔術を発動させるべくまずは魔術回路を生成。
体中に作られたのを実感した後にルーン魔術を発動すべく魔力を流し込んでいく。
ルーン魔術は基本文字を何かに刻み付けて発動する魔術、今回は石に刻まれているから俺は発動させるだけ、そして発動させるには言葉が必要なのだがここでルーン魔術の面白さが発揮される。
ルーン魔術は発動のきっかけと文字さえあれば扱うことができるがその効果は術者の解釈自体で効果や範囲が大きく変わってくるものらしい。
だから今から発動させる守護系の魔術も俺の解釈によって色々と変わってくるわけだ、例えばただの障壁ではなく病気から守ってみせたり、相手に自動で反撃ささったり、といった具合にである。
と、ごちゃごちゃ考えてないでそろそろやるか…
「すぅ…アルジズ!」
体から魔力が少しだけ抜けていくのと同時に石が光り輝き、俺を中心に全方向へ向けて緑色の障壁が張られ、俺自身を緑色の光が包み込んだ。
「おおお…なんぞこれ、かっけぇ…」
「上手く発動できたみたいね、まあ、かなりお粗末ではあるけれども」
「少しくらいほめてくれても良いんじゃないのかな…」
しかしそんな俺の抗議は相手にされず、
「そろそろ実戦形式にも入ろうと思っていたところだし、今度からはトレーニングルームで訓練をするから、忘れないでね」
「おお、ついに眠たくなるような座学から脱出! テンション上がるぜ!」
しかし彼は知らなかった、トレーニングルームで訓練することになったことによりランサーに見つかり魔術と体力づくり、それを同時に行い毎日の運動量が1.5倍になり毎日死にかける羽目になることを…
―ライダーとの関係―
人理継続保障機関・カルデア
魔術だけでは見えない世界、科学だけでは測れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を防ぐために成立された特務機関。
その本拠は標高何百メートルとも知らない誰にも知られていない山の山頂、常に豪雪に覆われ人の侵入を阻む場所にある。
故に、その場所が第三者に知られることもなければ、もし敵対者に知られたとしても優秀な魔術師が揃っているため襲撃されても撃退するだけの力も持っていた。
しかし、現在そのカルデアはほとんどの能力を失い、人員は8割以上を失っていた。
全ての原因は実験の失敗。近いうちに人類が滅びるという結果を見た彼らは人類史の歪みを正すため、多数の魔術師を過去に送るという壮大な計画を打ち立て、後一歩のところで失敗した。
失敗により起こった強烈な爆発によりその場にいたほぼ全ての者は死に伏し、残された者たちはほんの十数人という惨状。
そんな状況ではまず外に出るものはおらず、暇があれば機械の修理に時間を費やしてるはず…なのだが現在そのカルデア本拠の周辺を二つの影が疾駆していた。
「お待ちください主殿ぉおおおお!」
「こっちくんじゃねえ首取り侍ぃいいい!!!」
片や訓練の合間に何度も練習しようやく乗りこなせるようになったバイク―概念礼装、モータードキュイラッシェを爆走させる十時。
片やライダーとして現界したサーヴァント、完全に服装が痴女な牛若丸。
何故この二人が追いかけっこをしているか? それは至極簡単。サーヴァントが圧倒的に少ないカルデアではどこの人理の歪みを正しに行くにも一定のメンバーになる。
従って骸骨兵や屍兵、影サーヴァントどもと戦うのも一定のメンバーになるわけである。
そうすると自然とサーヴァントたちとコミュニケーションを取ることにもなり、仲良くなっていくわけだが、牛若丸の場合は少し違った。いや、仲良くはなった、少なくとも仲良くしたいです、絶対に裏切りませんアイアム忠犬と言わんばかりに接してくるのではあるが、友好度が上がるたびに牛若丸、敵の首を持ってくるのである。「主殿! 敵将の首級です!」じゃねーよ! このご時世に敵さんの生首とかいらねーから! お前が強いのは分かったから! だからそれどっかにポイして! おいやめろ、にこやかにそれを押し付けてくるんじゃない、いややめて、お願いだからやめて、ほら、生首さんが恨めし気に俺をにらんでるからぁあああああ!
と、そんな感じのことが続き苦手意識を持った俺は牛若丸をナチュラルに避けるようにして生活してきたのだが、今日のお昼頃何を思ったのか大量の屍兵の生首を網に入れて持ってきやがったのだ。
当然のごとく俺は脱走。網を持ったまま追いかけてくる牛若丸。
完全にホラーである。
しばし走った後にこれは逃げきれないと確信した俺は礼装置き場に逃げ込み目くらましの魔術を連発。その隙にモータードキュイラッシェに乗り込みエンジンを吹かせ未だ雪降るカルデア外に逃げ出したのだが、「あ、鬼ごっこですね! ならば僭越ながら鬼役務めさせて頂きます! では!」とか言いだしたあいつは自分の愛馬―太夫黒―を召喚し追跡してきやがったのだ。
「だからこっちに来るんじゃねぇええええ」
「おお! なんと見事なドリフト! しかしそれでは私に捕まってしまいますぞ? 主殿!」
「お前は少しでいいから人の話を聞こうか!!」
碌に整備されていない山道を力任せに突っ走るが距離は離されることなく一定の距離を保ち続けられる。
彼女の背後でグワングワンと揺れる生首たち(髑髏含む)が恐怖感を煽り更にスピードを上げるべく魔力を全開で流し込み馬力を上げる。
しかしそれでも距離が開くことはないという事実に涙がこぼれそうになった。
「もういいから! せめてこっち来るならそれ捨てろぉおお!!」
「それ…とは?」
「それはそれだよ! その背後でガチャガチャいってるそれ!」
「し、しかしこれは主殿への手土産で…!」
「いらんわぁあああ!」
この後数時間の間鬼ごっこし続けたとかなんとか。
―以上、カルデアに現存する全サーヴァントたちとの関係―
「マシュ? あれは俺の唯一の癒しだから」
次話から本格的に人理修復し始めるから…礼装使うから…