では本編どーぞです。
NO SIDE
魔導師ランクの昇格試験を受験するスバルたちの前に現れたのは彼女たちの憧れである高町なのは、逢魔リナだった。
そしてウェンディとルーテシアの前にも最終関門である試験官が現れたのだけど…
SIDE:ルーテシア
「ほーほっほっほっほっ!どーしたのかしら、かかってこないのかしら2人とも?」
かかってこいって…確か課題ってエンブレム…鬼ごっこだったよね?
なんで鬼が攻撃してくんのよ?!
と言うか白蛇の覆面かぶってるけどあれって間違いなくアリシアさんとこのナーガお姉さまだよね?!
あの人を試験官にする事自体間違いなんじゃないのぉ?!
「まぁまぁルールー、文句ばっかりいっても始まんないッスよ?それよりも時間も少ないしなんとかエンブレム取っちゃわないと。」
…ま、それしか道はないのは判ってるんだけどね?
「それじゃワタシが突っ込むッスから援護よろしくッスよルールー!」
…ウェンディだっけ、この人も大概フレンドリーっていうか馴れ馴れしいっていうか…まぁ嫌いなタイプじゃないけど。
「仕方ないわね…アスクレピオス、ゼナファモード発動。」
わたしの声に反応してデバイスが光を放つと黒かったバリアジャケットが白く変化、アスクレピオスもハードシェル装甲に包まれる。
アスクレピオスは元々わたしのママのデバイスだったんだけど、譲ってもらったわたしが初めて発動した時にこのモードの事に気付いた。
まるで昔から…それこそ前世からわたしの物だったみたい。
ちなみに正式名称は〈アスクレピオス・ゼナファ〉。
「さぁナーガお姉さま、受けてみて…〈閃光の吐息/レーザー・ブレス〉!」
わたしの声に応えるように現れた無数の閃光の一つ一つが収束された光線となってナーガお姉さま?を包み込み大爆発する。
「みぎゃ~っ?!」
「やったッスか?!」
…ううん、あの人はこの程度の攻撃じゃあ…
「ほーほっほっほっほっ!なかなか面白い業使うじゃない?!でもわたしを倒すには力不足ねっ!」
邪魔だったのかマスクを脱ぎ捨てたお姉さま。…いや、頭から血ドクドクでてるし…相も変わらずタフだなぁ…でも。
「油断大敵ッスよ?」
「ほぇ?」
ビュ~ン…べりっ!
デバイスに乗っかって背後から忍び寄ってきていたウェンディが背中に貼ってあった白蛇のエンブレムを剥ぎ取り試験終了…わたしとウェンディはハイタッチで喜びあう。
「「イエ~イッ♪」」
「そ、そんなぁ…」
ナーガお姉さま、そろそろそのすぐ調子に乗るクセ治したほうがいいですよ~?…多分無理だとは思うけど。
『はい、2人ともお疲れさんや。これで試験は終了やねんけど、あとでお話があるんよ。』
声と共にスクリーンに現れたのは八神はやて二佐。ロストロギア〈夜天の書〉の最後の主にして、わたしの目標…というか憧れの人。
うちのママとは仲が良く、わたしも家族ぐるみの付き合いをさせてもらってる。
「はやてさん、試験官の選定間違ってません?ナーガお姉さまは試験官からは1番かけ離れてる気がするんですけど…?」
『あ~っ…仕方なかったんよ、フェイトちゃんとアリシアちゃんはわたしと一緒やし、教導官の資格持ってる人で空いてたのがナーガさんしか居らんかってなぁ…ほんまにごめんなぁ?』はやてさんは両手を合わせて謝る。…ってナーガお姉さま、教導官の資格持ってらしたんですか?
『ナーガさんは資格だけやったらほぼ全て取得しとるからな…あれでいて隠密行動時には無呼吸で1時間くらい行動しおるし…』
…何ですかそのチートぶり…でも考えてみればお姉さまって〈前世〉でも色々出来ましたよね、性格が個性的なだけで。もっとも、そのおかげで〈前世のわたし〉は自分を確立する事ができたんだけど。
『…そろそろ他の会場も決着つく頃やな。そんじゃ訓練センターのロビーに集合や…待ってるで?』
そう言うとはやてさんのモニターが消える。
「はぁ~っ…ルールー、あの有名な『豆たぬ三佐』と知り合いだなんて…うちの姉ちゃんたちはあの人のお友達に命を救われて、この仕事を選んだッスからね?世間は狭いもんッスね。」
えっ…ってことは、ウェンディのお姉ちゃんってあの空港火災に…
「うん、そのうち2人はこの施設の何処かで試験受けてるッス。大丈夫ッスかねぇスバル姉ちゃんとノーヴェ姉ちゃん…」
「ふうぅ~ん…」
と言う事は…うん、はやてさん何か企んでるわね間違いなく。
ま、その辺は後で聞かせてもらえるでしょうし、ウェンディ、とりあえずセンターに行こっか?
「賛成~!もうお腹ペコペコッスよ?!」
こうしてわたしとウェンディは試験会場を後にする…あれ、なんか忘れてるような…ま、思いだせない事だったら大した事じゃないっしょ♪
その頃…
「う~ん…あの閃光とデバイス…どこかで見覚えが…?」
試験会場のど真ん中でナーガが胡座をかいて座り込みなにか考えてた。
「ん~っと…あ!…前世の世界であんな感じの白い魔法の鎧着たエルフの子…確か…メ……スだったかしら。…だからわたしの事を『お姉さま』っていったのね…」
どうやらルーテシアもまた、縁に結ばれていたようで…
一方他会場で繰り広げられる戦いも終わりに向かいつつあった。
スバルとティアナは培ったコンビネーションでなのはを追い詰め、最後はスバルとなのはのディバインバスターが相撃ちしたところでティアナがエンブレムを奪い取った。
「やったわよスバル!」
「うん!〈エンブレム〉、取りましたよなのはさん!」
「…お見事。まさかディバインバスターが使えるなんて思わなかったの。2人ともよく頑張ったね。…とくにスバル、あの空港火災以来だね…4年ぶりかな?また逢えて嬉しいよ。」
「な、なのはさ~ん!」
スバルはなのはと再会を果たし…
そしてリナとノーヴェ、キャロの試験もまた…
SIDE:ノーヴェ
「そんなんじゃエンブレムは渡せないわよ、ノーヴェ、キャロ?」
「はぁ、はぁ…」
「大丈夫、キャロちゃん?」
リナさんとあたし達との鬼ごっこ…〈エンブレム〉。
キャロちゃんが誘導弾や拡散射撃で牽制し、その隙を狙ってあたしが突っ込むんだけど…
「なんで背後からの攻撃迄避けられるの?」
「…リナお姉ちゃんのセヴァールモードは近接特化だから、魔法は使えないけどその分人間が本来持つ五感が最大限になるんですよ。」
肩で息をしながらキャロちゃんが答える。
「ほらほら、あと3分しかないわよ♪」
…絶対遊んでるよね、リナさん…あ、なんか腹立ってきた。
「…キャロちゃん、1分時間稼いでくれるかな?」
「なにか策あるんですかノーヴェさん?」
うん、まだ完璧とまではいかないけど…なんとか完成させたあの呪文なら?
「…わかりました、1分ですね?…連鉄召喚・アルケミック・チェーン!」
キャロちゃんが召喚した数本の鎖がまるで蛇のようにリナさんに襲い掛かる。
「…!なかなかやるじゃないキャロ!でもまだまだ~っ!」
鎖によって避けるスペースが狭くはなり、リナさんは避けるだけで精一杯に。…よし、今だ!
『…黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに闇に誓わん…』
「…?!…ノーヴェ、あんたそれって…ふ~ん面白いじゃない、受けてたってやろうじゃないの!」
リナさんは動きを止め、バリアジャケットを元のスタイルに戻すと魔力の充填を始める。
『我が前に立ち塞がりし 全ての愚かなりし者に 我と汝が力持て 等しく滅びを与えんことを!』
…いくよリナさん、これがあたしの成長の証です!
『『〈竜破斬/ドラグ・スレイブ〉!!』』
あたしが竜破斬を放つと同時に、リナさんは無詠唱で同じ呪文を放つ。
ズガガガガ!
2つの竜破斬はお互いのほぼ中央で衝突した。本来はリナさんの方が圧倒的のはずだけど…
「くっ、やるわね…やっぱり無詠唱でいきなりだと出力が足んないか…」
「よし、これなら…えっ?!」
しかしそれでもリナさんの方が強いらしくジリジリ押され始める。
「まっさか竜破斬マスターしてるとは思わなかったけど、そうやすやすとは負けてられないってのよ!」
…リナさんさすがです。でも…
「リナお姉ちゃん、これな~んだ?」
「ふえっ、キャロ?…あ~っ?!」
キャロちゃんが手に持ってたのはリナさんのエンブレム。…そう、キャロちゃんはあたしとリナさんが砲撃戦してる間…リナさんの注意が逸れている隙を狙って、鎖でエンブレムを掠めとったのだ。
「ふふっ、油断大敵だよ~お姉ちゃん♪」
「…参った。うん、時間も残ってるし…最終テストも合格よ。」
やったぁ!あたしは隣にいたキャロちゃんを抱き抱えて喜ぶ。
「ありがとうキャロちゃん!よくあたしの意図見抜いてくれたね!」
一応竜破斬撃つ時に目配せはしたんだけど…まだ9歳なのに機転もきくし、将来が楽しみだよ、うん。
「いえ、そんな…それよりノーヴェさんこそ竜破斬なんて…誰から教わったんですか?」
「えっ、誰って…4年前にリナさんに助けられた時に初めて見て、そこから動画とか観ながら独学…かな?」
「ち、ちょっと…嘘でしょ?」
あたしとキャロちゃんの話を聞いていたリナさんが驚く。
「スイーフィード式の呪文はカオス・ワーズを理解してないと発動すらしない…ましてや竜破斬を独学でなんて、あんたどんな頭してんのよ?!」
そう言われても…ねぇ?
「…まぁいいわ。ノーヴェ、キャロ、あんたたちはあたしの部隊に内定よ。しっかり鍛えたげるから覚悟しときなさい…わかった?」
「「…はいっ!!」」
即答するあたしとキャロちゃん。
やっと見えたリナさんの背中…必ず追い付いてみせるよ!
NO SIDE
こうして終わりを告げた昇格試験と言う名の選抜テスト。
スバル、ティアナ、ノーヴェ、キャロ、ウェンディ、そしてルーテシアは着替えをすませ、訓練施設のロビーに集まっていた。
「はいみんなお疲れさんやったな?まずは全員陸戦魔導師Bランク合格や。…そんでな?」
総括の挨拶を始めたはやては一度言葉をあける。
「みんな試験の途中で試験官から聞いた思うけど…実はあんたら全員わたしが今度編成する実験部隊にスカウトしたいんよ。みんな思惑はあるやろけど…」
はやてはそう言ってみんなの表情を確認する。
「あたしは勿論参加しますよ!なんてったって憧れのなのはさんに鍛えてもらえるなんて…夢みたいです!」
まず名乗りをあげたのはスバルだった。さらに…
「あたしとキャロちゃんはリナさんに直々に言われましたから…ね、キャロちゃん?」
「はいっ!」
ノーヴェとキャロがそれに続き…さらにウェンディ、ルーテシア、そしてティアナも頷く。
「うんうん、ありがとな~!」
「…で、八神二佐。部隊の名前は何て言うんですか?」
ティアナの質問に頷くはやて。
「…部隊の正式名称は、管理局的には『古代遺物管理部・機動六課』。すなわち所謂ロストロギアの探索・管理が仕事やな。でも…」
「でも…何ッスか、ちびたぬ…じゃなかった八神二佐?」
余計な事を言いそうになったウェンディを軽く睨むとはやては話を続ける。
「…ここだけの話、この部隊の真の目的は他にあるんや。ま、それはおいおいな。あんたらはリナちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃんらの下で実働班として働いてもらうで…ええな?」「はい!(×6)」
思いが集いいよいよ始まるはやての…そしてリナやなのはたちの理想の部隊、機動六課。
果たしてどんな運命が彼女たちに待ち受けているのだろうか…
すいません、チーム分けまでいけなんだ…
次回は結団式、そして初訓練までいけたらなぁ…と思ってますが…(弱気)
それでは次回「六十九、初訓練 白き魔王と 合間見え」(仮題)
なるべく早く投稿できるように頑張ります!