魔法少女リリカルすれいや~ず!   作:タカヒロオー

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本当に遅くなってすいません!




七十八、翠屋で 語られるのは なんとやら

SIDE:タカヤ

 

…あの伝説の妖狐、玉藻前がこの世界に存在するだけでも驚きなのに、それがアリサさんのパートナーの使い魔でしかも…?

 

「…なぁアンタ…ホントに玉藻前なのか?確か1000年前に出逢った時はもっと色っぽい姐さんだったような気がしたんだが…?」

 

当時の魔戒騎士・秋月靜狼(あきつき・せろ)の相方でもあったキリクもいう通り玉藻前のイメージはミステリアスな傾国の美女って感じに思ってたんだけど。

 

「そーいうあんたもかっこよくなったじゃんキリク。なんか今風でさ。その子が今の魔戒騎士かい?」

 

そう話し掛けてきた玉藻前…今はタマモさんだったっけ?

 

今の彼女の格好は一言で言うとひと昔前の女子高生。ルーズソックスなんてなかなか見ないよ近頃。

 

「はい、秋月タカヤといいます。よろしくお願いします、タマモさん。」

 

「タマモでいいよ、タマモで。転生を繰り返したせいかも知れないけど、堅苦しいのは苦手なんだよな…ま、挨拶はこれくらいにして本題に入ろうか?…美由希さん、アイス抹茶オレひとつ。」

 

タマモさんは飲み物を頼むと僕たちの真向かい…アリサさんの隣に座る。

 

「さて、何から話す?千年前の顛末はキリクも知ってんだろ?」

 

「あぁ…ズィヌフィアには魔法や妖力が効かずに苦労したよなぁ?だけど最期はお前や護鬼たちの協力のおかげでなんとか千年の時封じる事ができた。だがよ…」

 

うん。ズィヌフィアを封じていた封印がゆるみ、奴はこの海鳴市に再び甦った。そしてその目的は自らを封じた魔戒騎士や逢魔の子孫たち…僕やリナさん、神威さんたちへの復讐。

 

「…って事はあたしもその中に含まれるって訳だね、リナ?」

 

「そういう事。ま、あたしは前世の因縁もあんだけど。」

 

タマモさんに返事したリナさんの表情は険しい。それはユーノさんやアメリアさんも同様だった。

 

「そういえばゼロロもそんな事言ってたなぁ…アイツの元の存在と戦ったとかなんとか?」

 

キリクの言葉に頷くとリナさんは話を続ける。

 

「ええ、ズィヌフィアはあたしたちが前世の世界で戦った魔獣ザナッファーの生成技術が用いられているわ。魔法や妖術が効きづらいのは多分そのせいね。…もっとも、能力は本家の足元にも及ばないんでしょゼロス?」

 

「はい、恐らくは陰陽道という異なる技術を用いた事が原因じゃないかと。確かに通常の武器はほとんど効果はありませんし、魔力耐性も高いですが無効化ではありませんからね。」

 

「魔力の無効化っ?!…リッちゃん、アンタ魔法効かない相手にどうやって勝ったんだよ?」

 

呪文の無効化といえばAMF(アンチ・マギカ・フィールド)があるけど、あれは物理攻撃には効果がなかったはず。

 

「ま、まぁいいじゃない?!そんな大したことして…」

 

「…リナったらザナッファーの魔力無効化が及んでいない傷の中に手を突っ込んで体内で[火炎球/ファイア・ボール]を炸裂させたんですよっ?!」

 

言葉を濁すリナさんに続いてアメリアさんが代弁する。…えっ、そんな事したら大怪我するんじゃ…?

 

「…突っ込んだ手はグズグズに大火傷になったわ。いや~、あの痛さったら…」

 

「当たり前ですっ!!あの時わたしが[復活/リザレクション]使える前提での作戦だったとは思うけど、無茶にも程があるわよっ?!」

 

アメリアさんに叱責され申し訳なさそうに頭を掻くリナさん。

 

「いーじゃん、結果オーライだったんだから。ま、とにかくザナッファーに比べたらズィヌフィアはそれほどの脅威じゃないわ。…単体ならね。」

 

リナさんは一旦言葉を句切るとハーブティーを一口飲み、話を再開する。

 

「…だけどズィヌフィアには卷族のズィヌフがいるわ。あいつらもある程度の魔法耐性があるから一定以上の魔法で薙ぎ払うしかないのよね、まったく。」

 

そうか…昨日はズィヌフィアが居なかったから大技一発で済んだけど、連携されたらそうもいかないか。

 

「それはそうとして…ノー~ヴェ~?あんた[竜破斬/ドラグ・スレイブ]使うなってあれほど言ってたのに何で使ったのよ?」

 

「(ギクッ?!)そ、それはその…ごめんなさいっ!タカヤさんに良いとこ見せたくてつい…」

 

「あ~ん~た~は~っ?!」

 

「リ、リナさんっ?グリグリは痛いですぅっ?!」

 

「まぁそんなところだとは思ってたけどさ…。で?大丈夫だったの、身体の方は?」

 

「あ…はいっ!特に問題は…。ご心配かけてすいません!」

 

リナさんに頭をグリグリされたノーヴェは慌てて謝る。…でも、ノーヴェの身体を心配って、どういう事?

 

「気になる?まぁ大した話じゃないんだけど。そもそもスィーフィード式の呪文ってさ、ミッドチルダやベルカとはまた違った適性が必要でね。あたしやアメリアみたいな転生組は問題ないんだけど、大抵の人は魔力を過剰に使用してしまうのよ。」

 

「まぁ、フェイトさんも子供の頃に[覇王]グラウシェラーの力を利用した雷撃呪文を開発したらしいですけど、戦闘スタイルが近接メインになったせいもあって近頃は使ってないですからね。確か…[ダイナスト・ファランクス]でしたっけ?」

 

「まぁアレもナーガとユニゾンすれば使えなくはないんだけどね。それからすると完全オリジナルでカオス・ワーズを組み込んで魔砲を開発したなのははやっぱ天才よね。まさかあたしも魔力の過剰消費を[散布された魔力を収集・再利用]するなんて発想で解決…」

 

ち、ちょっと待って?!フェイトさんのはFランサー・ファランクスシフト、なのはさんのは言うまでもなく…?

 

「…間違いなくスターライトブレイカーだよなぁ…って事はうちの世界の2人よりも強いって事かぁ?」

 

異世界の呪文を取り込んで強化されたブレイカー…考えるだけで恐ろしくなる。

 

「ごめんごめん、話が脱線しちゃったわね。スィーフィード式の呪文は完全に転生したあたしやアメリアはもちろんだけど、ユーノみたいに記憶を宿らせて転生した場合もある程度は使えるわ。そしてキャロも推測でしかないんだけどあたしの前世の知り合いの転生者らしいのよね。」

 

「えっ、それってホントなのリナお姉ちゃん?」

 

リナさんの告白に驚くキャロさん。どうやら初めて知ったみたい。

 

「うん。本当はあんたが自分で思い出すまで黙ってるつもりだったんだよね…確証が掴めてないから。でも、ノーヴェが竜破斬を使えるのは何でなのかは全くの謎なのよこれが。…多分ゼロス辺りはなんか知ってるんじゃないの?」

 

「僕だって知らないものは知らないですよ…まぁ知っていても教える気は無いですけどね♪」

 

相変わらず飄々とした表情でリナさんの追及をはぐらかすゼロスさん。

 

「まぁもしかしたら…ってのはあるんだけど、まだそれは内緒。大魔王の呪文だし、しばらくは大技に頼らず勝てるようにみっちり基礎からって事で。それよりも…なんだか外が暗くない?」

 

えっ?でもまだ午前中…こ、これは?!

 

窓の外を見るとそこには漆黒の闇が広がっていた。

 

「…リナ、聞こえる?」

 

「ユーノ?これってまさか?」

 

「あぁ、どうやら先手を取られたみたいだ。擬似的な闇属性の封鎖結界が海鳴市を包みこんでる。」

 

ユーノさんからの緊急通信は海鳴を襲った異変の報告だった。

 

「僕とすずかもすぐ急行するよ。だからリナたちも無茶はしたらダメだよ?」

 

「あたしを誰だと思ってんのよ?ズィヌフィアの1匹や2匹、あたしたちで吹っ飛ばしてやるわ!心配はしてないけど美由希さんたちはとりあえず待機していて。」

 

「うん。リナちゃんたちも気をつけるんだよ?」

 

リナさんの言葉に美由希さんたちは苦笑いで答える。

 

「さ、いくわよみんなっ!…勝利はあたしたちの為にあるっ!」

 

…何でだろ、リナさんの言葉には物凄く力を感じるよキリク。

 

「あぁ全くだ、負ける気は微塵も起きねえや。」

 

待ってろズィヌフィア、千年前の宿縁はここで断ち切るっ!

 

 

 

  

 

 

 

 




次回はいよいよバトル開始…出来るといいなぁ…(願望)


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