(時は少しさかのぼる…)
SIDE:リナ
さ~て、なのはとフェイトも始めたみたいだし、あたしもバトル開始といきますか…まずは、あの魔獣の動きを止める!
「氷の矢[フリーズ・アロー]!」
あたしの詠唱と同時に無数の氷の矢が魔獣を襲う。魔獣は高速機動で避けようとするけど、避けきれず何発か被弾し動きが鈍くなる。
「ゼル、一気にいくわよ!」
『了解した。ゼルガディス・ソウル、フロウブレイクモードに移行。』
ゼルの声と共に短剣型のデバイスが翠色に光を纏う。これってもしかして?
『あぁ、いわゆる封印属性を付加するモードだ。後は好きにやってくれ。』
う~みゅ、なかなかやるわねゼルの奴…
でもそういえば、前世でも魔力付加の術とか使ってたっけ。
「それじゃ、覚悟なさい!烈閃槍[エルメキア・ランス]!」
呪文と共に、魔力光と同じ濃蒼の光の槍が魔獣を撃ち抜き、地面に激突!大爆発を
起こす。
「よっしゃ~、一丁上がり!あたしにかかればこんなもんよ。」
『相変わらずだな、リナ…素体の動物は
大丈夫なのか?』
もう、ゼルも心配性ね…それも考慮して、精神にダメージを与えるエルメキア・ランスを使ったんだから、ほら…ってあれ?
爆煙が消えたその跡には、封印されたジュエルシード。それは予定通りなんだけど…その傍らに小さな子猫が横たわっていた。子猫は身動き一つしない。そんな…嘘でしょ?どうして?
「こら、確りしなさい!目を醒ましてよ!起きなさいってば!!」
『リナ、落ち着け!ユーノ、これはいったいどうなってるんだ?非殺傷設定で撃ったのに何故?!』
ユーノは子猫の状態を見て、状況を説明する。
「…多分、リナの魔力が強すぎて子猫が耐えられなかったんだと思う。いくら非殺傷設定とは言っても、衝撃によるダメージは受けてしまうから…」
「そんな…それじゃこの子は…」
あたしの呟きにユーノは、悲痛な表情で首を横に振る。
「…このままじゃ長くはもたない。どうしたら…」
「…そうだ!治癒[リカバリィ]で回復すれば…」
『ダメだリナ。復活[リザレクション]ならともかく、リカバリィじゃ…』
それじゃどうすればいいの?どうすればこの子は助かるのよ…
「リナちゃん!」
あ、なのはがこっちに飛んできた。後ろには3本の尻尾が生えた子狐…あれってもしかして、妖狐?父さんから話は聞いたことあるけど、見るのは初めて…
でも、一緒にいたはずのフェイトがいない…?
「ユーノ君ごめん、フェイトちゃんにジュエルシード持っていかれちゃった…でも、くおんを助ける事ができたの!」
「くおんってその子?」
「うん!今日からわたしの使い魔さんなの!」
その時、なのはの話を聞いていたユーノが大きな声をあげる。
「そうか!!その手があった!!」
び、びっくりした…何よいきなり?
「リナ、1つだけあるよ、その子を助ける方法…その子をリナの使い魔にするんだ。そうすれば、リナの魔力で生命を維持できる。」
「使い魔?どうすれば使い魔にできるの?早く教えなさいよ!!」
「わ、わかったからそんなに揺すらないで?!」
あ、ごめん。それより方法!!
「今は時間がないから、仮契約でいくよ。術式はゼルの中にあるから後はリナがその子に触れて契約を望めばいい。ただその子に名前をつけてあげて。」
名前か…触れてみるとまだ体は温かい。温かい…よし、この子の名前は!
『我、汝と使い魔の契約を結ぶ。汝が名はヌクヌクなり。お願い、還ってきてヌクヌク!』
あたしの契約と共に子猫があたしの魔力光で包まれる。やがて…
「あ、呼吸が強くなってきた。直に目も覚ますとおもうよ。」
「ありがとうユーノ!あんたがいなかったら…」
「でもこれは仮契約だからヌクヌクの体調が戻ったらちゃんとした契約を結ぼう。
それまでに契約内容を決めておいて。」
契約内容か…ちゃんと考えておかないとね…
『ん~よくねた~』
お?ヌクヌクが目を醒ましたみたいね。
きょとんとした表情でこっちを見て、あたしと視線が重なる。
『あ、お姉ちゃんがあたしのマスターだね。あたしはヌクヌク、素敵な名前をくれてありがと~』
「ううん、あたしこそごめんね。魔法、痛かったでしょ?それとあたしの事はリナって呼んで。いい?」
『うん、よろしく、リナ!』
はは、ヌクヌクが元気になって本当によかったわ…なのはも、くおんっていう使い魔ができたみたいだし賑やかになりそう。
あ…でもお父さんにどうやって説明しようかな…ついこの間ユーノ連れてきたところだし…ま、なんとかなるか!
なかなか本筋の話が進まない…文才がない我が身ですけど頑張ります。
それでは次回、「十四、夜の街 2度目のバトル 雷光と」
それじゃ、次回も見てくれないと…
「暴れるよ?」「…くおんって、僕っ娘だったの?!」(BYくおん&なのは)