魔法少女リリカルすれいや~ず!   作:タカヒロオー

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今回は海上戦メインです。そしてラストにはいよいよあの人が!


十九、海の上 必ず届かす この思い

SIDE:リナ

 

あたし達がクロノやリンディさんの協力を得るようになってから1週間、未発見のジュエルシードは残り6つにまでなったわ。もっとも幾つかはフェイト達に持っていかれたみたいだけどね…。

 

それでも、最新鋭のレーダーで探索してくれたり、あたし達の訓練場所としてアースラの訓練室貸してくれたり…

クロノはあたしやなのはの訓練相手まで

してくれた。クロノは基本に忠実でいわゆる[堅い]戦い方なんで、実戦経験の少ないなのはにはいい訓練相手ね。

 

え?あたし?それは…

 

「くらえ、スティンガー!」

 

クロノが高速・正確な射撃魔法であたしの動きを牽制する。でも…

「ムダよ!」

 

翔封界[レイ・ウイング]を展開して飛行中のあたしは構わずクロノとの距離を詰めていく。クロノの放ったスティンガーは、翔封界の呪力結界で弾かれてあたしには当たらない。

 

「なっ?!」

「獣王………[ゼラス・………]!」

 

動揺するクロノに追い撃ちの誘導弾。これはシールドで防御される。でもそれこそがあたしの狙い!

 

「何!バインド効果だと?!」

 

そう、これがあたしの新呪文、獣王牙操縛[ゼラス・バインド]!

なのはの拘束呪文・レストリストロックを参考にして獣王牙操弾に拘束効果をつけてみたんだけど上手くいったみたいね。

という訳でこれで…

 

「はい、おしまい♪」

 

あたしはゼルガディス・ソウルをクロノの喉元に突きつけて勝利を宣言する。

 

「…これで僕の10連敗か?まるで君に勝てる気がしないな…」

「こう見えて実戦歴50年以上だからね。

そう簡単には負けないって。」

「そう言えばそうだったな…というか、

すずかから君の前世の小説を借りて読んだが君は化け物か?!魔王を倒したり世界を滅ぼしかけたり…」

「はははっ…」

 

まあ、あれは若気の至りと言うかなんと言うか…

 

「それにゼルガディス、君もだ。」

『俺もか?』

「あぁ、剣技・魔法技術ともに優れ、性格は冷静沈着。もし実体があったら是非僕の副官にスカウトしてるよ。」

 

おぉ、高評価じゃない!…あたしは?!

 

「…君が暴走したときに止める、自信も

勇気も僕にはない…」

 

………

 

「さ、さてそろそろ仕事に戻らないと…」

 

そう言ってクロノはその場から何処かへ去っていった。…逃げたな。

 

「まぁいいわ。それじゃなのは達の様子でも…」

 

ビィーッ、ビィーッ!

 

…これって警報よね?!もしかしてジュエルシードかも?!

 

『リナさん、緊急事態よ。至急ブリッジに来てちょうだい。』

リンディさんの声に、あたしはブリッジへと駆け出した。

 

 

あたしがブリッジにたどり着くと、なのは達も集合してた。

 

「リナちゃん!」「遅いわよ、リナ!」

 

ごめんごめん、それより何があったの?

 

「…これを見てちょうだい。」

 

モニターに写し出されたのは、海の上。

その上空にいるのは…フェイト!

見たところ呪文詠唱中のようだけど…

 

えっ?これってまさか?なんで、あの娘があれを?

 

「まさか強力な呪文を海に撃ち込んで、ジュエルシードを強制発動させる気か?!

馬鹿な、無謀すぎる!!」

「…もう、撃ち込むのは止められそうにないわ…本来だったらあの娘が魔力切れを

起こすのを待つのがいいんだけど、貴女達は行くんでしょ?」「当然なの!フェイトちゃんと今度こそきっちりO・HA・NA・SHIするの!!」

 

…なのはの発音は気にしない事にして、

みんなで助けに行きたいところなんだけど…

 

「なのは、先に行ってて。」

「リナちゃん?!」

「ごめん、リンディさんに話があるんだ。ユーノ、なのは達をお願い!」

「…わかった。なのは!」

「うん!アリサちゃん、すずかちゃん、くおん、いくよ!」

 

なのは達は転送装置によって現場へと向かっていった。あたしはリンディさんの方へ向き直り話をきりだした。

SIDE:なのは

 

わたし達はフェイトちゃん達を助ける為、海鳴の海上へと転送してきた。

 

「フェイトちゃんは…いた!」

 

フェイトちゃんはまさに呪文を放とうと

する瞬間だったの。

 

『大地の底に眠り在る 凍れる魂持ちたる覇王 汝の蒼き力以て 我らが前に立ち塞がりし存在に 我と汝が力以て 滅びと報いを与えんことを!』

 

フェイトちゃんがバルディッシュを振り上げると曇り空に雷光が瞬く。

 

「あれ?変だな?!」「何が変なのよ、ユーノ?」

 

ユーノ君の呟きにアリサちゃんが質問する。

 

「あの娘の魔力光、確か金色だったはずなのに、あの雷光は蒼色…それに今の術式…」

そして今、フェイトちゃんが呪文を解き放ったの!!

 

「…覇王雷撃陣[ダイナスト・ブラス]!」

 

SIDE:リナ

 

「何ですって!!リナさん、間違いないの、それは?!」

 

「はい、フェイトが唱えた呪文は、あたしの前世の世界の呪文です。魔王シャブラニグドゥの5人の腹心の1人、覇王グラウシェラーの力を借りた上位の雷撃魔法・ダイナスト・ブラス…」

 

あたしは一呼吸おいて、話を続ける。

 

「おそらく休眠中のジュエルシードを強制発動させるつもりなんだろうけど、高位の魔族の力を借りた術なんて使ったら…」

「…!!ジュエルシードが暴走するって

事か!!」

 

クロノの言葉にあたしは頷く。

 

「アースラは万が一に備えて待機していて。クロノ、悪いけど付き合って。戦力は

あるにこしたことは無いわ。」

「わかった。エイミィ、転送の準備を!」

 

待っててなのは、すぐいくからね!!

 

 

SIDE:なのは

 

フェイトちゃんが放った呪文は海の中へと吸い込まれ、そして…

 

ドッガーン!!

 

大きな爆音と共に、海上に現れたのは海水を素体にしたアラビアの魔神風の怪物。

 

「な、何よあれ?」「物凄い魔力…」

 

アリサちゃん達も余りの大きさに驚いてる。でも、それよりも…

 

「フェイトちゃん!!」

「…なのは?!」

 

わたし達はフェイトちゃんに近づく。

あんなトンデモ魔法使ったから、顔色が

宜しくないの。それにバルディッシュも

出力が低下してるみたい。

 

「…何しに此処へ?!ジュエルシードは…」

「それは後の話!!まずはあれを封印しないと大変な事になるの!!」

 

わたしの言葉にフェイトちゃんの表情が

曇る。そこに…

 

「フェイトの邪魔を、するなぁー!!」

 

アルフさんが割り込んで来ようとする。

でも、その間にユーノ君が飛びこんだ。

 

「僕達は邪魔しに来たんじゃない!君たちのやり方は無謀すぎる!君にもわかってるはずだ!」

「くっ…」

 

よし、今の間に…レイジングハート?

 

『はい、マスター。[ディバィド・エナジー]。』

 

レイジングハートから、わたしの魔力の半分がフェイトちゃんに送られた。それによりバルディッシュの魔力刃が再生される。

「…なのは、どうして…」

「…話したいことは一杯あるの。でもその前に、力をあわせてあれを封印するの!

1人が駄目なら2人で、2人が駄目なら3人で!」「なのは!」

 

その時、空の上から声が!

 

「リナちゃん、待ってたの!」「リナ…」「ごめん、遅くなって…」

 

『リナ、足止めは僕達でする。君たちは

封印に全力を…』

 

クロノ君の呼び掛けにわたし達は頷くと、怪物を取り囲むように位置し呪文のチャージを始めた。わたしはトリガーを握り、杖の先を上に構えて魔力を溜めていく。

 

わたしの反対側ではフェイトちゃんがバルディッシュを杖形態にして前につき出す形で構えてる。

 

そしてリナちゃんは…ゼルさんを胸の前に掲げ何か呪文を…って、もしかして、これは…

 

『黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我此処に闇に誓わん…』

 

やっぱりそうだ!早く皆に警報[アラート]を!

 

『え~、今戦っている皆さん、こちら高町なのはです…』

 

状況にそぐわない間の抜けた念話に皆が

戦いながらも振り返る。

 

『…間もなくリナちゃんがあの最凶呪文を撃ちます。』

 

その一言でフェイトちゃんとアルフさんを除く全員の表情が凍りつく。

 

『ユーノ君は先に離脱して最大出力で広域結界を張って。他のメンバーはわたしが、「せーの!」っていったら全力で逃げてください!』

 

『『『『『『了解!!!!!!』』』』』』

 

…これでよし、と。わたしは再びチャージに専念する。その間にも…

 

『…我らが前に立ち塞がりし 全ての愚かなる者に 我と汝が力以て 等しく滅びを与えんことを!!』

 

リナちゃんの呪文が完成した、今だ!

 

「せーの!」

 

わたしの掛け声と同時に皆が散り散りに

逃げていく。

 

『ディバィーン…バスター!』

『サンダー…レイジ!』

 

『…竜破斬[ドラグ・スレイブ]!!』

 

わたしの桜色とフェイトちゃんの金色を従えるように、リナちゃんの暗蒼の魔力光を纏った赤い砲撃が怪物に直撃!その直後…

 

ドッカーーン!!

 

物凄い爆音と共に怪物は跡形もなく霧散しその跡には6つのジュエルシードが…

 

「…ねぇ、なのは?」

「…なに、フェイトちゃん?」

 

「…私達、必要だった?!」

「…もちろん!…だと思うの…」

 

にゃはは、リナちゃんやりすぎなの…。

 

リナちゃんはこっちを向いて大威張りのVサイン!その後ウインク1つしてジュエルシードの方へ…。「そっちは任せた」って事かな?

 

「フェイトちゃん!!」

「は、はいっ!!」

 

わたしはフェイトちゃんに声をかけ、正面から向き合う。

 

「わたし、不器用だからうまく言えないけど、これだけは伝えたいんだ。わたし、

フェイトちゃんと…」

 

わたしはフェイトちゃんの手を握りしめ…

 

「友達になるんだ、絶対に!!」

「わたしでいいの?わたしなんか…。」

「フェイトちゃん[で]いいんじゃない、

フェイトちゃん[が]いいの!私たちきっと親友になれるの!」

 

フェイトちゃんはきょとんとした顔をしてたけど、大きく見開いた瞳から大粒の涙を流す。

 

「…ありがとう、なのは。そんなこと言われたの初めて…こちらこそお願いします。友達になってください!」

 

やったの!これでジュエルシードも…

そう思っていたら空に暗雲が立ち込め、雷が鳴り響く。

 

『おーほっほっほっほっほっほっほっ!

何をやってるのフェイト?早くそのジュエルシードを回収しなさい?!』

ばかでかい高笑いと共に、空に1人の女性が浮かび上がったの。ロングヘアーの中年の綺麗な人なんだけど…

 

何?あのショルダーガードの付いたビキニアーマーに首にはドクロのネックレス…

どこのB級ファンタジーのラスボスなの?!

 

「母さん?!」

 

フェイトちゃん?!今母さんって言った?フェイトちゃんの母さんってあれ?!

 

「…ちょっと!なにしてんのよあんた!」

 

今度はリナちゃん?!

 

「その格好もそうだけど、あたしが腐れ縁のあんたを間違える訳がないわ!

 

そうでしょ、白蛇[サーペント]のナーガ!




はい、いよいよ現れました金魚の糞(笑)。どうしてこうなったかは次回に持ち越し
させてください。

それでは次回、「二十、白蛇に 捕らわれし魔女 その苦悩 」

次回も見てくんないと…
「出番なかったから…」
「次こそは暴れるわよ!!」

(BYすずか&アリサ)

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