それでは、どうぞ!
SIDE:なのは
ーPiPiPiPi PiPiPiPi…ー
わたしは携帯電話のアラームで目を覚ますと、それを止めて体を起こす。
「ふわぁ~、よく寝た…」
ベッドを出て制服に身を包むと、わたしは静かに家を出る。まだ朝早いからね。
「おはよ、なのは。よく眠れた?」
玄関を出るとリナちゃんが待っててくれた。
「おはよう、リナちゃん。昨日はありがとう、送ってくれて。」
「いいわよ、別に。車運転してたのは士郎さんだしね。…フェイト達と別れるの、やっぱり寂しい?」
リナちゃんの問いかけにわたしは一瞬言葉を詰まらせる。だけど…
「寂しくないっていったら嘘になるよ。 でも、半年待ったらまた逢える、一生逢えないわけじゃないもん!だからわたしにできるのは笑顔でお別れ、それだけだよ!」
わたしは強く言い切った。まだわたし達とフェイトちゃん達の絆は繋がったばかり。全てはこれからなの!
「なのは…強くなったわね。」
「ほぇ?リナちゃん?」
リナちゃんからそういう風に言われるなんて…
「だって、初めて会った頃のなのはだったら、『もうさびしいのはやだ~』って
泣いてるところよ、多分…。』
「にゃーーーーっ?!それはいわない約束なのーーー!!」
それはわたしの隠したい過去なの、黒歴史なの!!
「はははっ、ごめんごめん。…でも、強くなったと思ったのは本当よ。それでこそ
あたしの大親友よ!」
リナちゃん…わたしこそあなたが親友で
本当によかったの…
「さぁ、フェイト達が待ってるわ!公園へ急ぐわよ!!」「うん!!」
わたしたちは、フェイトちゃん達の待つ
海鳴海浜公園へと向かったの。
NO SIDE
なのはとリナが待ち合わせ場所にたどり着くと、既にフェイト達とクロノ、さらに
見送りにきたアリサとすずかがいた。
「なのは、リナ、遅いわよ!」
「え~?まだ5分前よ?」
「わたしたちもフェイトちゃん達も、10分前には来てたよ?」
「まぁ、別に遅刻じゃないからいいんだが…それじゃ…」
クロノが振り向くと、フェイトとアリシアはなのはと、プレシアはリナと話始めた。
SIDE:リナ
「リナさん、今回は本当にありがとう。
貴女たちのおかげでわたしは家族の絆を
取り戻す事ができたわ…」
「礼ならなのはにいってあげて。あたしはあたしのやりたいようにしただけだから。」
あたしは照れ隠しになのは達の方を見る。なのはとフェイトはハグしながら別れを
惜しんでるみたい。
「それはそうとリナさん、前世のお話を入院中に読ませてもらったけど…ナーガさんやゼルガディスさんも含めて、凄まじい
わね…魔王と呼ばれる存在を1度ならず2度も倒すなんて…」「えぇ~っ?!」
プレシアさんの言葉に驚いたのはすずか。あれ?すずかはあたしが主人公のライトノベルは全部読んでその事も知ってたはずだけど…?
「わたしが小説貸したの、5日前でしたよね?!もう読み終わったんですか?」
…あ、そういう事ね。でも確か全15巻だったはずだったからそれぐらいなら…
「えぇ、入院中暇だったから…さすがに40冊以上は疲れたけど、とても面白く読めたわ。」
…40冊以上?!…! もしかして、本編だけじゃなくすぺしゃるまで?!
「…すまっしゅもだよ、リナちゃん…」
まさかの小説完全制覇?!…それはさすがに予想外だわ…
「ナーガさんやゼルガディスさんもこの世界に来ていることだし、もしかしたら他の人達も転生してるかもしれないわね。
…例えばガウリィさんとか、シルフィールさんとか…」
…ガ、ガウリィ?!…そりゃ、アイツが
転生してたらもう一度会いたいけどさ…
「あらあら~?!どうしたのかしらリナさん、顔が真っ赤よ?」
「ほんとだ~どうしたのリナちゃん?」
「う、うっさい!!何でもないわよ?!」
…ちくしょう、プレシアさんとすずかは
あたしとガウリィの関係解ってるのよね…
あたしは火照る顔をごまかしながら、なのは達の方に近づいた。
なのは達はどうやらお互いのリボンを交換したみたいで、なのはもフェイトも髪を
おろしている。
(…こうやって見るとなのはって、桃子さんに似てるわね。ってことは桃子さんがツインテールにしたら…大人のなのは?)
ちょんちょん…「ん?誰?」
あたしが他愛もないことを考えてたら、
誰かがあたしの背中をつついた。振り向くとそこにはアリシアが…
「どうしたの、アリシア?」
「リナ、わたしとあなたのリボン、交換して!」
えっ、どうしてあたしと?
「わたし、リナみたいに強くなりたいの!わたしの魔法の術式はリナやナーガさんと同じスィーフィードらしいから…」
あたし達の術式は[赤の竜神]の名をとってスィーフィードと呼ばれることになった。
あたしとナーガの魔力を浴び、ゼルの力で蘇生したアリシアは、スィーフィードに
適性があったらしく今はナーガに魔法を
教わってる。
…教わるのは魔法だけにしてほしいけど…
「魔法はナーガさんに教わってるけど、
私が憧れてるのはリナなんだ!だから…
ダメ、かな…?」
うっ…、フェイトより見た目が幼いから、可愛い生物度がハンパないわこれ…
「いいわよ。…はい、これでいい?」
あたしはポニーテールを束ねていたリボンをほどくと、アリシアに手渡す。
「わ~、ありがとう!それじゃこれ、わたしのだよ!」
そういうと、アリシアは水色のリボンを
あたしの掌に置いた。1組で2つあるから1つはヌクヌクにあげようかな?お揃いになるし。
「半年したらこっちに引っ越してくるからその時は一緒に遊ぼう!約束だよ?」
「わかった、約束。」
あたしとアリシアは小指を繋いで指切りで約束を交わす。
「…お別れは済んだか?そろそろ時間だ。」
クロノの声にフェイト達は頷く。
「それじゃなのは、約束通り、ビデオレター送るね。半年後、必ず帰ってくるから…。」
「…うん!絶対だよ!!それじゃ…またね…!」
あれ?なのはもしかして…?
クロノとフェイト達は転送魔法の光に包まれて消えた。アリサとすずかも家に帰り、この場に残ってるのはあたしとなのはだけ…。
「なのは、泣いてるんでしょ?!」
「!…泣いてなんか…(グスッ)…ないもん…(グスッ)。」
あたしは顔を伏せてるなのはを覗きこむ。…あ~あ、目真っ赤にしちゃって。
「いいよ、泣いても。…フェイトに心配かけたくないから我慢してたんでしょ?…
ここにはあたししかいないから、おもいっきり泣いたらいいよ!」
「リナ…ちゃん…うっ…うわぁ~ん…」
なのはは堪えきれなくなったのか、大声をあげて泣きはじめた。あたしはその頭を抱えてやる。
「グスッ、リナちゃん、グスッ…」
「さぁなのは、帰ろうか?」「うん…」
あたしはなのはを促すと公園を後にする。
…こうして、のちにジュエルシード事件、またはP.T.A.N(プレシア・テスタロッサ・アンド・ナーガ)事件と呼ばれる出来事は終わりを告げた。
でも、あたし達は新しい物語の扉が、既に開いていたことに気づいていなかったんだ…。
NO SIDE
なのはとフェイト達が別れを惜しむ頃、
海鳴市立図書館に車椅子に座ったショートカットの少女と、黒髪のボブカットの少女の2人が訪れていた。
「ん…よっと…」「この本ですか、は○てさん?」
車椅子の為、本棚に背の届かない少女の代わりに、もう1人の少女が目的の本を取り車椅子の少女に渡す。
「あ、それや~。ありがとな、ア○○ア。」
車椅子の少女の笑顔に、黒髪の少女も笑顔で返す。
「いえ…主の為だったら当然の事です!」「そういってくれるとうれしいわ~。
さっ、お目当ての本も見つかったし、そろそろ帰ろか?ヴィータがお腹空かせてまってるわ。いこ、アメリア?」「はい!はやてさん!」
…闇の書覚醒まで、あと666ページ。…
はい、いかがだったでしょうか。
最後に出てきた子は、5人目のヴォルケンリッターです。スレイヤーズのファンの方ならお馴染みのあの子です。
この後の予定ですが、何話か番外編を書いたあとA´S編に突入します。後、告知済みの新シリーズにも手をつけていきます。
執筆ペースを落とさないよう頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。
それでは次回、えくすとら編開始!!
「二十八、見てみよう 高町なのはの 一日を」
それじゃ、「リリカル」「マジカル」これからもよろしく(なの)!!
(BYリナ&なのは)