比べて改変の度合いが強くなります。
楽しい作品になるよう頑張ります!
三十二、騎士達が はやてと出会う …なぜ5人?
NO SIDE
時は少し戻って6月4日、新しい物語はここから始まる…。
6月3日深夜、日付が変わろうとしていた頃海鳴市内を1台のバスが走っていた。
車内には運転手と1人の少女。見た目小学2~3年の少女の傍らには車椅子が置いてあった。少女は胸に、鎖で固く閉じられた本を抱えてぼやく。
「はぁ、すっかり遅くなってもうたな…。[Pi!]…ん?メールや。」
少女は携帯電話を取りだし、メールを確認する。メールは少女の主治医の女性からのものだった。
ーはやてさん?石田です。明日ははやてさんの誕生日ね。もしよかったらお祝いのお食事でもしませんか?また連絡くださいね
石田
「はぁ…石田先生も律儀やな…。」
少女は携帯電話を畳むと[降ります]のボタンを押した。やがてバスが止まり、少女は車椅子に乗り換えバス停に降ろしてもらう。
バスが走り去り、少女は自宅に車椅子を向けた。しかしその時、1台の大型トラックが猛スピードで突っ込んできた。
運転席では運転手が居眠り運転。直前で目が覚め、急ブレーキをかけたが間に合わない!少女は死を覚悟し目を閉じる。しかし…。
眩い光が少女を包んだかと思うとその姿は影も形もなくなっていた。
SIDE:はやて
(…? なんや?一向にぶつかってこんなぁ?!)
わたしはおそるおそる目を開けてみた。するとそこは…
「そ、空の上~?!」
そう、わたしは何故か空に浮かぶ魔方陣の上に座っていた。傍らには車椅子もころがってる。そして目の前にはあの本が光を放ちながら浮かんでいた。しかも何をしても切れなかった鎖がちぎれ飛んでいる。
(いったい、何がおきてるんや…?!)
その時、目の前の本が喋り始めた。
『封印を解除します。…起動。』
そのとたん光がさらに強くなって、ページが勝手に捲れだした。
(なんや、このもろファンタジーな展開は…あ、あかん、頭がくらくらしてきた…)
SIDE:シグナム
ふぅ…また新たな主が目覚めたか。今度の主は我々に何を求めるのか…。
…まぁいい、まずは挨拶をせねばな。
私は顔を伏せたまま、新しい主に挨拶の
口上を述べる。
「お初に御目にかかります、我が主。」
『…おい。』
「我らは主を護りし雲の騎士・ヴォルケンリッター。私は将を務める…」
『おい、シグナム!』
…まったくあいつは…
『…うるさいぞヴィータ?!今挨拶の口上の途中だ、主に失礼だぞ!』
私は念話で割り込んできた鉄槌の騎士・ヴィータをやはり念話で注意する。
『いや…ってゆーか…主様、気失ってるんじゃないか?!』
『何だと?!』
慌てて頭を上げてみると、そこには主とおぼしき少女が目を回して倒れていた。
回復を担当とする湖の騎士・シャマルが少女に近寄り容態を見る。
「大丈夫、気を失ってるだけで怪我はないわ。…でもこのままにもできないから、主の家まで運びましょう。[闇の書]、場所はわかるわね?」『………。』
シャマルははやてを抱き抱えると、他の
ヴォルケンリッターと共に光に包まれ消えた。
SIDE:はやて
ん…ここはどこや?なんかふわふわしてるんやけど…。
『ここは貴女の夢の中です、我が主…。』
気がつくと、目の前にとても綺麗な女の人が立っていた。銀色の長い髪に整ったプロポーション、はっきりいって美人だ。
「夢の中…やっぱりそうか…」
『解るのですか、夢の中と?』
「…なんとなくやけどな。で、お姉さんは誰?」
『…私は貴女が持っていた本、通称[闇の書]の管制人格です。まぁ、この本の人格と思って頂けたら…。』
なるほど、なにか妙に懐かしさを感じる
思うたら、ずっとわたしの側におってくれてたんやね…。
あ、あれ?なんだかわたしの身体が透けてきた?
『目が覚めかかってるようですね…目が覚めたら向こうの世界に、貴女を護る守護騎士達が現れているはずです。どうか大切にしてあげてくださいね?』
「ん?お姉さんは?」
『私は名も無い管制人格、どうかお気になさらずに…「あかん!!」…我が主?!』
わたしは思わず大声で叫んでもうた。
「まだ正直、状況飲み込めてへんけど、わたしを主と呼ぶんならあんたもわたしの
家族や!名前も必ず良いのを考えたるから待っとき…」
『我が主…ありがとうございます。その時が来るのを楽しみに…』
そしてわたしが目を覚ましたのはわたしの部屋のベッドで、その傍らにはピンク色の髪をポニーテールにした女性と、金髪の
ショートカットの女性が居た。
(この人らが[守護騎士]やろか…?)
わたしはとりあえず、彼女たちを広間に集めてお互いに自己紹介をした。
ピンク色の髪の人がシグナム、金髪の人がシャマル、赤毛の女の子がヴィータ、犬耳の付いた男の人がザフィーラっていうらしい。
「…なるほど、みんなはこの[闇の書]の
守護騎士で、わたしはその主、ってことやな?」
「はい、主はやて。我らヴォルケンリッター、主に忠誠を…」
「あ~、そんなんはえぇから。…ま、わたしがせなあかんのは、みんなの面倒はわたしが見る、ゆうことやな?!」
「「「「はい?!」」」」
騎士たちは呆気にとられて何も言えなかった。いままでの主は自分たちを道具としてしか見てなかったのに、今度の主は…
「わたしが主の間は騎士はお休みや。戦う必要もない、わたしの家族として暮らしてほしい。それだけがわたしの願いや…。」
「…ですが主はやて、闇の書の完成には魔力の蒐集が必要です。完成すれば貴女の足も治ります。」
「それでも人様に迷惑かけたらあかん!…まぁ、迷惑かけんやり方があるんなら考えてもええけど。」
わたしのお願いに騎士たちは戸惑いを見せながらも納得してくれた。
「解りました。主はやての命ならば、我ら騎士はそれに従います。それでは主はやての命なき限り、魔力蒐集は行いません。」
「うん、それでえぇよ。…どうしたん、闇の書?」
いままでわたしの膝のうえでおとなしくしてた闇の書が突然浮かび上がった。
『……!!』
えっ!また闇の書が光輝いて…ほんで現れたのは、わたしとおなじぐらいの年頃の
女の子?…黒髪のショートカットでシグナム達と同じ黒い服を纏ってる。あれ?この子何処かで見たような…
「なぁシグナム、この子も守護騎士なんか?同じ服着てるし。」
「いえ、私達ヴォルケンリッターは総勢4人です。少なくともこれまではこのようなことは…?」
シグナム初め他の騎士もわからんみたいやな…。仕方ない、本人に聞いてみよ。
「あの~もしもし?あなた、どちらさん?」
わたしの呼び掛けに少女はその大きな瞳を開いて答える。
「…あなたがわたしの主ですか?初めまして、わたしの名前はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。
この[夜天の書]の守護騎士、ヴォルケンリッターの末席にいれていただくことになりました。どうかよろしくお願い…」
「おいなんだ、その[夜天の書]というのは!これは[闇の書]だ、[夜天の書]なんかじゃ…」
その時、わたしの頭の中に何かがはいってきた。これは…。
「…シグナム、この子が言ってることは正しいみたいやで。[夜天の書]自体がそういってるから…。」
「…?!」
「…わかってくれましたか?というわけで宜しくお願いします、先輩♪」
「あ、あぁ…よろしく頼む…」
…シグナム達も動揺しとるな…それにしてもアメリアって名前どこかで…ってあ~!!
わたしは本棚に並べてある小説から1冊
抜き出しページをめくる。確か…あった!
アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、それはライトノベルの名作、「スレイヤーズ」シリーズに登場する、正義を愛する熱血王女。
でもまさか、小説のキャラがでてくるなんて…
「え~!なんでわたしがそんな本に書かれてるんですか?」
本を覗きこんだアメリアが驚きの声をあげる。あ、やっぱりそうなんや…。
「あ、リナだ。…リナたちもこの世界にいたら楽しいのにな…」
小説の挿し絵を見てアメリアがつぶやく。どうしてアメリアがこっちの世界に来たのかはわからんけど、流石に他のキャラクターまではおらんやろ…
わたしはそう思ってた。この時は。
でも、わたしは知らんかった。
このたった数ヶ月後に、その主人公とわたしやアメリアが出会い、終生の友と呼び会う仲になる事を…。
はい、5人になったヴォルケンズ。はやてを含めてどうなっていくか、お楽しみに!
次回はテスタロッサ家が海鳴の街に帰ってきます。そして無印組と騎士達があちらこちらで…?!
それでは次回、「三十三、騎士達と 魔法少女が 出会うとき」
次回も見てくんないと…
「アイゼンでふっ飛ばす!!」
(BY ヴィータ)