(ペコリ)
SIDE:リナ
…PiPiPiPi! PiPiPiPi!…
…ん、ん~あと5分…てか今日、日曜日よね?なんであたしアラームなんて…あ~!
今日はテスタロッサ家が帰ってくるから、なのはたちと一緒にお出迎えにいくんだった!早く準備しなきゃ…
ピンポーン
「リナ~、なのはちゃんが迎えに来たわよ~。」
やっぱり!こういう時のなのはは早いのよね。
「すぐ行くからちょっと待ってて?!」
あたしは制服に着替えると階段を駆け降り玄関を飛び出す。
「遅いよ、リナちゃん!」
「ごめんごめん…あれ、アリサとすずかは?」
「アリサちゃんたちは先に行ったよ!!
わたしたちも急がないとなの!!」
なのはに急かされたあたしはヌクヌクを自転車の籠にいれ(くおんはなのはの自転車の籠)、公園まで飛ばしていった。
…なんとか間に合ったみたい…。
そこにはアリサとすずかがいた。
「もう!遅いわよ、リナ!人と会うのに10分前行動は当然でしょ?!」
「ははは、ア、アリサちゃん、落ち着いて…。」
…アリサって、お嬢様のくせに常識的な所があるのよね…
「ごめん!少し寝過ごした。でも間に合ったでしょ。」
「…まぁね。あ、来た!」
アリサが指差すほうを見ると、フェイトとアリシアが此方に駆けてきた。その後ろからはプレシアさんとリンディさん、それにあの可愛らしい仔犬は…もしかしてアルフ?!
「なのは、帰ってきたよ!」
「リナ、会いたかった~♪」
フェイトはなのはに、アリシアはあたしに飛びついてきた。
「…うん、お帰り、フェイトちゃん!この日を待ってたの。」
「アリシアも久しぶり!元気そうでよかったわ。…プレシアさんも身体大丈夫ですか?」
「えぇ、おかげさまで完治…どころかパワーアップしたわ。魔力ランク測ったら、
私自身の魔力がSSになってたし…。」
…洒落になってないわよ、それ…
「アルフも可愛い~♪」
「ほんとだ、それも魔法なの?」
『うん、工夫してみた♪』
あっちではアリサとすずかがアルフとじゃれあってる。2人とも動物好きだもんね。
あれ?そういえばリンディさんはどうして此処に?付き添いですか?
「あら、言わなかったかしら?…クロノから暫く休暇をとって休んでくれって言われてね、プレシアたちとこっちで暮らす事にしたのよ。」
あ、そうなんだ。
「…あと貴女たち、この海鳴に住んでる嘱託魔導師の監視役というか、お目付け役?も頼まれてるわ。貴女たちが無茶しないようにね…」
あ、そうなんだ…ご面倒かけます…
「さぁ、早く我が家に帰って荷ほどきするわよ!」
「うん、母さん!…それじゃなのは、リナ今度は学校で!」「バイバ~イ♪」
フェイトたちはタクシーに乗り込み、新居へと向かった。
「さてと…わたしたちも帰ろっか?すずか、家まで送るわ。」
「ありがとうアリサちゃん!…じゃなのはちゃん、リナちゃん、また明日。」
「うん!」「また学校で。」
アリサたちも帰ったわね…なのはは今日は翠屋の手伝いだっけ?
「うん、今日から新しいバイトの人が来るんだ!」
あたしも今日は店番頼まれてんだ…それじゃ今日はこれで解散だね。
「うん、じゃあまた明日、学校で!」
NO SIDE
再会を果たしたリナたちとフェイトたちは学校で会うことを約束しあい、別れることとなった。しかし彼女たちは知らない、この日それぞれに運命の出会いが訪れることを…。
SIDE:なのは
帰ってきたわたしは店の制服に着替えると店内に入りレジに向かった。そこにはお父さんとお母さん、それに見たことのない女の人…。この人が新しいバイトの人かな?
ピンク色の髪の毛をポニーテールに束ねた背の高い人…年齢はお姉ちゃんと同じくらいかな?
「ただいまお父さん、お母さん!その人が新しいバイトの人?」
「あ、なのは!紹介するわ、こちら八神シグナムさん。…シグナムさん、この子が
高町なのは、私の末娘で今日からあなたの指導係よ。」
シグナムさんはわたしの顔を見ると、呆気にとられた顔でお母さんに確認する。
「こ、この子が、ですか?」
「そうよ?なのはは6つの頃から手伝ってくれてるから、心配はいらないわ。なのはお願いね。」
にゃはは、シグナムさんは少し驚いてるかも。でもまずは自己紹介からだね。
「初めまして、この翠屋の末娘の高町なのはです!よろしくお願い…?!」
シグナムさんと握手した瞬間、手を伝わってきた何か。
(レイジングハート、これは…?!)
わたしは愛機のデバイスに心で問いかける。
(はい、この方から強大な魔力を感じます。恐らくマスターと同等、あるいは上かもしれません。)
やっぱり…シグナムさんの表情が変わった所を見るとあっちも気づいたみたいだね…
SIDE:シグナム
今日からお世話になることになった勤め先[喫茶・翠屋]。まさかこの喫茶店の店長の娘さんが、わたしと匹敵する魔力の持ち主とは…
間違いない、彼女…高町なのは嬢は魔導師、それも高レベルの魔導師だ。
「こちらこそ初めまして、八神シグナムです。どうぞよろしくお願いします。」
わたしが握手すると、念話でなのは嬢が話かけてきた。
『シグナムさん、聞こえますか?』
『はい。…なのは嬢、あなたはやはり…』
『…その話はお昼の休憩中にでも。今は、仕事に集中しましょう!』
『はい、判りました。』
「それじゃ、最初は接客の仕方から教えますね!解らない事はすぐ確認してください。」
なのは嬢から仕事のあれこれを教わり、わたしのバイト初日がスタートした。
(それから時は過ぎ昼休憩…。)
………
「お~い、シグナムさん?」
………
『返事がないです。ただの屍のようです。』
「勝手に殺さないでください?!」
…まぁ、本気で死にかけたのは事実だが。何なんですか、この異常なまでの忙しさはなのは嬢?!
「ほぇ?…まぁ日曜日だからねぇ…午後からの方がいそがしいよ?!まぁ、とりあえず休憩だよ。ご飯食べながらお話しよ?」
ふぅ、やっと休憩か。なのは嬢と一緒に店の奥まった席で軽い昼食をいただく。
主はやての食事も美味だが、店長の桃子殿が作ってくれたサンドイッチと志郎殿のコーヒーは絶品だった。今度は主はやてにも食べてもらいたいものだ。
それはさておき、今のうちに確認しておかなければ、お互いに…。
わたしはなのは嬢に話しかけた。
「単刀直入にお聞きします。なのは嬢、貴女は魔導師ですね?」
「そうだよ?そしてそれは貴女もでしょ?八神シグナムさん…」
やはりそうきたか…彼女が正直に答えてくれた以上、わたしも答えないとな。
「はい…ただ、わたしは正確には[騎士]ですが。」「騎士?!」
わたしは古代ベルカと騎士について説明する。無論、闇の、いや夜天の書については伏せてある。
「は~、古代ベルカ…また知らない術式が出てきたの。近接重視の術式なんだよね?」
「はい。私たちベルカの騎士は自らの力を魔力で増強して戦うのがスタイルです。
砲撃もしないわけではありませんが、私の場合は剣撃がメインとなりますね。」
なのは嬢は私の話を熱心に聞いてくれている。
「わたしたちのミッドチルダ式とはスタイルが逆だよね。スィーフィード式とも違うみたいだし。」
スィーフィード式?!初めて耳にする言葉に私は聞き返す。
「なのは嬢、スィーフィード式とは何ですか?初めて耳にする術式なんですが…。」
「あ、シグナムさんたちは知らないよね?わたしの親友の逢魔リナちゃんが使う術式で、いわゆる異世界?の術式だよ。カオス・ワーズという特殊な言語によって異世界の存在の力を借りて放つ呪文なんだ。」
そんな呪文があるとは…ん?リナ?どこかで聞いたような…う~ん、思い出せん。
まぁ、なのは嬢のような方と出逢えたのは運が良かった。彼女にはいずれ主はやてと会っていただき、是非友達になってもらえれば。
NO SIDE
こうしてなのはとシグナムが出会いを果たしたのと時同じ頃、テスタロッサ家では…
「母さん、こっちは整理できたよ。」
「こっちも片付いたよ~!」
引っ越し後の片付けが順調に進んでいた。
「これで大体片付いたわね。…あら?もうこんな時間?!そろそろ夕飯の支度しないと…フェイト、お買い物お願いね。」
「うん、わかった。」
「その間にアリシア、アルフを散歩に連れてって。近所に公園があったでしょ?」
「「うん!!」」
こうしてフェイトは夕飯の買い物に、アリシアとアルフは散歩に外出した。
SIDE:フェイト
わたしは近所の商店街に足を運ぶ。頼まれたのは合挽きのミンチに玉ねぎ、卵にチーズ…これはハンバーグかな?
「あ、おじさん、玉ねぎと人参、ジャガイモください♪」
「おう嬢ちゃんお使いかい、偉いねぇ~!ほら、これは福引券だ。そこの広場でやってるからいってみな!」
福引券を貰ったので、言われた通り広場にいってみると広場は大勢の人で賑わってた。わたしの前で福引きを回しているのは、少し年下に見える赤色の髪を三編みにした女の子。何度も回してるけど、青色の玉
(ティッシュペーパー)しかでてないみたい…。
SIDE:ヴィータ
「はい、また残念賞のティッシュペーパー。…これで7つ目だな。」
…8つ目だよこのやろう!!ホントに当たり入ってるのか、これ?
はやてにお使いを頼まれて、たまった福引券でひいてはみたもんの、外ればっかり…
「最後の1回、今度こそ…えい!」
カラカラカラ…コロン
あたしの願いも空しく出てきたのは青色の玉…あたしの掌にはたくさんのポケットティッシュ(涙)。
「はい残念だったね、またおいで~」
はぁ…二等のアレ、欲しかったんだけどな…
あたしが後ろを振り向くと、金髪をツインテールにした女の子…はやてと同じくらいかな?が順番を待っていた。
「あ、次どうぞです…」
金髪の子は福引券を1枚渡すと福引きを回した。
カラカラカラ…コロン!
「大当り~!二等賞、のろいうさぎの特大縫いぐるみだ~!」
えっ、嘘だろ?あたしがあんだけ回して出なかったのに一発で?!いいな、うらやましいな~!
そのとき、縫いぐるみを抱えた女の子と目が合った。…あれ?こっちへ寄ってくる?
「あの…これ、貰ってくれないかな?」
え…え~!!
なんで?もしかしてあたしの心の声が聞こえた?!…ってんなわけが…
『うん、聞こえたよ。…君も魔導師なんだね。』
…これって念話?!
『…魔導師じゃなくて騎士ですけど。…
じゃなくて、いいんですか貰っても?』
「うん。わたし、引っ越してきたところだから置き場がないんだ。だからもし良かったら…」
「ありがとーございます!大切にします!」
「うん。それじゃ、わたし行くね。」
「あ…あたしヴィータ…八神ヴィータっていいます!名前教えてもらえますか?」
「…フェイト・テスタロッサ。フェイトでいいよ。」
「フェイト…さん、あなたも魔導師なんですか?」
「うん。わたしだけじゃなくて、お母さんにお姉ちゃん、友達にも魔導師の子がいるよ?…あなたもこの辺に住んでるの?」
「はい!…また会えますよね?」
「うん、会えるよきっと。じゃまた。」
そう言うと彼女…フェイトさんは買い物かごをさげて帰っていった。…か、かっけ~!
あたしは貰ったのろいうさぎの縫いぐるみを抱えながらそんなこと考えてたんだ…
NO SIDE
こうして黒き雷光と紅き鉄槌が運命の出会いを果たした頃、テスタロッサ家近くの公園でも新たな出会いが…
そしてリナの実家、逢魔堂でとうとう出逢う金色の魔王と夜天の巫女。この再会が、更なる戦いの幕開けとなる事を少女たちはまだ知らない…。
はい、お楽しみ頂けたでしょうか?
次回はアリシアとシャマル、アルフとザフィーラ、そしていよいよリナとはやて&アメリアが出会います。
それでは次回「三十四、騎士たちと 魔法少女が 出逢うとき(後編)」
それでは次も…
「リリカル、マジカル♪『頑張ります!!』…ザフィーラ、それわたしの台詞?!」
(BY シャマル&ザフィーラ)