NO SIDE
魔法少女たちと夜天の騎士たちが運命の出逢いを果たした次の日、私立聖祥大附属小学校の職員室では混乱を極めていた。
10月になったばかりのこの時期に、転入生が来ることになったからだ。それも1人じゃなく7人同時、しかもそのうち5人を同じクラスに編入させるよう上層部から指示された校長は頭を抱えたという。
SIDE:リナ
「おっはよ~、なのは、アリサ、すずか!いよいよね、フェイトとユーノ、同じクラスになるみたいよ。」
「うん!…逢魔、高町、バニングス、月村4家連名のO・NE・GA・Iが通じたみたいだね!」
「…まぁ、うちとすずかの分で問題なかったと思うけどね…」
「でもそのおかげで一緒のクラスなんだから…」
「そうそう。…それよりも、他にも転校生がいることにびっくりよ!それも3人!」
どうやらアメリアやはやてたちも同じクラスになったみたいね。あたしがお父さんに頼んでO・NE・GA・I追加したかいがあったかな?…なんでうちにそんな謎権力があるかは不明だけど。
「なんかリナちゃん嬉しそうなの。」
「そう?実はね、その3人のうち、2人と昨日知り合いになって…ま、1人は昔からの腐れ縁だけどね。」
「えっ、リナちゃんそれって?!」
その時、教室の扉が開き担任の先生が入ってきた。
「え~、皆さんも既に知ってると思いますが、今日から新しいお友達が増えます。
しかも5人です!…それじゃ、入ってきて。」
先生の言葉に導かれるように入ってきたのは、ユーノとフェイト、その後ろから車椅子に乗ったはやてを押すアメリア。そしてもう一人、赤い髪の毛を三つ編みにした小柄な女の子…この子が昨日話してたヴィータかな?
「それじゃ1人ずつ自己紹介してね。」
「はい。僕は逢魔ユーノ、気づいた人もいると思うけどこのクラスの逢魔リナは義理の姉になります。姉共々、よろしくお願いします。」
「…フェ、フェイト・テスタロッサです。よろしくお願いします。」
「八神はやてです。こんなしゃべり方やけど、チャキチャキの海鳴育ちです~。
みんなよろしくな~!」
「…八神ヴィータです。はやてとは姉妹みたいなもんです。よろしく…」
順番に自己紹介が進み、次はアメリアの番ね。多分みんな驚くだろうな…
「八神アメリアです!はやてさんやヴィータちゃんとは義理の家族です。よろしくお願いします!」
「「「え~~~っ?!」」」
…ほら、やっぱり驚いた。
『リ、リナちゃん?アメリアちゃんって…あのアメリアちゃん?』
『ご名答よ。あの子の前世はアメリア・ウィル・テスラ・セイルーン。あたしの前世で共に旅をした仲間で、大事な親友よ。』
あたしとなのはは念話で会話する。
先生の指示でみんなそれぞれの席に座る。あたしの両隣に座ったのはユーノとアメリア。ちなみにフェイトはなのはの隣で、
すずかの隣にはやて、アリサの隣にヴィータが座った。
「よろしくね、逢魔さん。」
「こちらこそよろしく、八神さん。…慣れないから昔通りアメリアでいい?」
「えぇ…正直、言ってて物凄くこっぱずかしかったわ…じゃ、わたしも昔通りリナ、って呼ぶわ。」
アメリアと会話したあと、今度はユーノと話する。
「…リナ、家を出るときに話してた[サプライズ]ってこの事だったんだね…さすがに僕たちと一緒に転校してきた子が、まさかあのアメリアさんだなんて思わなかったよ…。」
『まぁ、とりあえずお昼休みに屋上に集まって!そこで情報交換といきましょ。』
あたしは念話でメッセージを送ると、授業に集中することにした。
そんなこんなであっという間に昼休み。屋上の一角では、あたし、なのは、アリサ、すずか、フェイト、アリシア、はやて、ヴィータ、ユーノ、そしてアメリアの総勢10名が集まってお互いに自己紹介。
なにせ魔法文化がなかったはずのこの世界に、これだけ大勢の魔法少女(ユーノは少年だけど)が集うことになるなんて…ね。
あたしたちはお弁当を食べつつ、それぞれの事情を説明する、あたしはこの世界に転生した経緯を、なのはたちは半年前に起きたジュエルシード事件の顛末をはやてたちに説明する。
「は~、まさか海鳴でそんな大事件があったなんてなぁ…ほんまびっくりやわ。」
「うん、あたしが昨日フェイトさんと出会ったことすらびっくりなのに、あたしらクラスの魔導師がこんなにたくさん…しかもリナとなのははシグナムと互角の魔力だなんてありえねーよ、普通。」
「まぁあたしはまだ転生前の魔力量に達してないけどね。」
「嘘っ?!」
「でもアメリアも…ってアメリア?」
「……………」
あたしが会話の途中でアメリアの方を見ると彼女は無言でなにか考えてるみたい。
「どうしたんやアメリア、なにか考え事か?」
「ねぇリナ、フェイトのお母さんの身体を乗っ取ってたデバイスの名前って…」
「ん?ナーガのこと?」
アメリアはうなづくと話を続ける。
「そう!そのナーガってリナの友だ…」
「友達じゃないわ、ただの知り合いよ!!…腐れ縁のね。」
あたしはアメリアの言葉を全力で否定する。あれと友達になるくらいなら、魔王と親友になる方がよっぽどいい。
「…とにかく、そのナーガさんのフルネームはなんていうの?」
…はて?そういえばあたしもナーガのフルネームって聞いた事無かったし、ナーガも名乗るときは[白蛇のナーガ]としか言わないから…
「ごめん、わかんない。」
「それじゃ、うちに来て直接聞いてみる?今日は母さんもも家にいるから。」
たぶんそれが一番ね。それにリンディさんにもはやてやアメリアの事報告したいし。
「ごめん、わたしとすずかはパス。今日は習い事があるから…」
「そっか…あ、わたしは大丈夫だよ!」
「わたしらも問題あらへんよ。アメリアの事、もっと知りたいしな。な、ヴィータ?」
「あたしはアメリアの事はどーでもいいけど、フェイトさんの家は興味あるしはやてが行くなら行く!」
「ヴィータちゃん、何気にひどい?!…」
「…それじゃあたしとなのは、八神家の3人で放課後にフェイトの家に行く、って事にするわ。OK?」あたしの提案をフェイトとアリシアは承諾する。
「わかった。それじゃ放課後に校門で待ち合わせで。」
こうしてあたしたちはフェイトたちが引っ越してきた新居にお邪魔することになった。
時は過ぎて早くも放課後。校門で集合したあたしたちは、なのはの提案でまずは翠屋へ。
なのは曰く、
「お土産のシュークリームと、それとは別に会わせたい人がいる」
とのこと。会わせたい人って誰だろ?
やがて一行は翠屋に到着、なのはを先頭に店内へ入る。
「いらっしゃい…あ、お帰りなさいなのは。」
「うん、お母さんただいま~!」
店に入ると桃子さんが出迎えてくれた。
「リナちゃんもいらっしゃい。…あら、新しいお友達?」
「は、はじめまして、フェイト・テスタロッサです。」
「アリシア・テスタロッサです!よろしく~!」
「八神はやてです~。よろしくお願いします。」
「八神ヴィータです。よ、よろしくです…。」
「はじめまして、八神アメリアと申します。」
ここで皆が自己紹介。…フェイトとアリシアも桃子さんと会うのは初めてだからね。
「あらあら~。…八神さんって、もしかしたらシグナムさんのご姉妹かしら?」
「へ?確かにシグナムはうちの家族ですけど…シグナムを知ってるんですか?」
「知ってるも何も…」
その時、後ろから若い女性の声が。
「店長、3番テーブルの片付け、終わり…ま…あ、主はやて!どうしてここに…」
「シグナム?!…シグナムがゆってたバイト先ってなのはちゃんの家やったんか!…は~、世間は狭いもんやなぁ。」
「ぷぷっ…シグナムなんだよその格好は?結構似合ってるぜ…あ~おかしい!」
なのはが会わせたい人ってこのシグナムさんの事だったのね。確かに今のシグナムさんを見たらとても騎士には見えないわ。
「ねぇお母さん、シグナムさんと大事なお話があるから、シグナムさんを借りていいかな?」
「…それは魔法関係の話なの、なのは?」
なのはの代わりにあたしが頷く。
「…仕方ないわね。シグナムさん、今日はあがっていいわよ。」
「えっ、桃子殿は魔法の事を…?」
「うん、うちの家族は皆知ってるよ?それより、これからフェイトちゃんのお家ではやてちゃんも交えて大事なお話するから、早く準備してほしいの。」
「…わかりました。」
「それとお母さん、シュークリームを20個ほど…」
「はい、用意できてるわよ♪それと紅茶の入った水筒もね。」
「早っ?!」
相変わらずの手際のよさね、桃子さんは…そりゃ翠屋も流行るはずだわ。
「…お待たせしましたなのは嬢。」
「シグナムさんも準備できたみたいだし、それじゃそろそろフェイトちゃんのお家に行こっ?!」
そうね。それじゃ今日の目的地・フェイトたちの新居に向かうとしますか!
こうして辿り着いたフェイトたちの新居。…へぇ、結構綺麗じゃない!
「じゃ、みんな入って…母さん、ただいま。」
「たっだいま~!!」
あたしたちが玄関に入るとプレシアさんが出迎えてくれた。
「お帰りなさい、フェイト、アリシア♪…リナさん、なのはさんもいらっしゃい、よくきてくれたわね。」
「おじゃまします、プレシアさん。」
「あ、これうちの店のシュークリームと紅茶です♪」
「ありがとう。…後ろの人たちは新しいお友達?」
「はいっ。八神はやてです。よろしくお願いします。」
「…八神ヴィータです。…よろしくです。」
「八神アメリアです。…あの、こちらにナー…」
アメリアが自己紹介をしようとしたその時…
『…アメリア?!あなたまさかアメリア・ウィル・テスラ・セイルーン?!』
突如ナーガが大声をあげる。
「なによいきなり…ナーガ、あんたアメリアと知り合いなの?」
『なにいってるのリナ?アメリアは…』
「今の声はやっぱり?!…お久しぶりです、グレイシア姉様…。」
…
………
……………何…だと…?!
「ア、アメリア、今何て…姉様って…」
「えぇ。リナたちには名乗ってなかったみたいだけど、本名グレイシア・ウル・ナーガ・セイルーン。…わたしの前世での姉です。」
「「「「「「「「「「「 え~~~~~~~~っ?!」」」」」」」」」」」
これは早々から予想外の展開ね…今日は長い1日になりそうだわ…
はい、ついに衝撃の事実を知ってしまったリナ(笑)…まぁ、ナーガの扱いが変わるわけではないですが。リナたちと夜天組の協力体制が築かれるなか、そろそろ動き出す闇の陣営…?
次回「三十六、友のため 共に戦う 仲間かな」
それでは次回も…
「リリカル、マジカル…グレイシアです♪」
「気持ち悪いからやめて、まぢで…」
(BY ナーガ&リナ)