どうかお楽しみいただけたらと思います。
SIDE:リナ
アメリアの要望でフェイトたちの新居に集まったあたしたちを待ってたのは、ナーガとアメリアが実の姉妹だったという衝撃の事実!
「ち、ちょっとナーガ?!あんたとアメリアが姉妹なんて本当なの?!」
『そうよ。アメリアはわたしの実の妹。似てるでしょ?』
「どこが似てるのよ?!似てるのは遠慮が全くないところだけ!」
…まぁ、性格似てるっちゃ似てるけど。
「それにしてもグレイシア姉様…」
「昔みたいに姉さんでいいわよ。…そんなに他人行儀だと何だか…」
「そう?じゃ姉さん、国を飛び出してから何してたのよ?リナと一緒に旅をしてたのは聞いたけど…」
「…わたしは母様の敵を倒したあと、世界を巡る旅をしてたのよ。リナとはその途中で出会い、お互いをライバルと…」
「嘘つくな~~~!」
ペシャ!
あたしは懐からだしたスリッパで机の上にあったナーガを、ゴ〇〇リを叩くよーにひっぱたいた。
『ち、ちょっと痛いじゃないリナ?少し机にめり込んだわよ?!』
スリッパをあげると、なるほど机に跡形がついていた。…って言うか痛いんだ、デバイスなのに…
「というか、わたしはナーガさんが机にめり込んだのにびっくりなの…」
「誰がライバルよ、誰が?!それはあんたの自称でしょ?」
なのはの呆れた突っ込みを無視して、あたしはナーガの発言を全力で否定する。
『あら?確か初めて戦ったあと、気絶して目を覚ましたわたしに「勝ったのはあなたよ」って言ったのはリナ、他ならぬあなただと思ったけど違ってたかしら♪』
ぐっ、よけいなこと覚えてやがる…
あれは一度、[宿敵をつけ回すライバル]というやつをやってみたくてあんなこと言ってみたんだけど、まさか100年以上経ってから後悔するなんてね…痛恨の極みだわ。
『…まぁ、その後も色々あって気がついたらデバイスになってたのよ。わかったかしら?』
あ、デバイスになったときのいきさつ誤魔化した。…あとでアメリアにばらしてやろ。
「それはそうと姉さん、お母さんの衣装が1着なくなってたのはやっぱり姉さんがもってったの?」
『ふっ、母様の形見よ、当然じゃない?!デバイスになった今も肌身離さず着てるわよ?』
…ブブーーーッ!
あたしはナーガの言葉に思わず飲んでた紅茶を吹き出した。
「わわっ?!リナちゃんどうしたの?」
『まったく下品ね、飲んだもの吹き出すなんて…』
「誰のせいだと思ってんのよ?!」
…あのトゲトゲ付のビキニアーマーにドクロのネックレスが母親の形見?…ってちょっとまって?!
「ねぇアメリア、あんたとナーガのお母さんって事は、あのフィルさんの奥さんって事よね…」
「…? 何当たり前の事聞くの、リナ?」
「…ということはセイルーンの王妃さま…?」
「そうだけど?」
うがぁ~~~~~っ?!
そんな王妃さまいるか~~~っ!
「アメリア!あんた母親の趣味を疑問に思わなかったの?てかフィルさんもよくそんなのと結婚したわね…はっ!もしかして政略結婚?!」
それならまだ納得が…
「えっ、とーさんから母様にプロポーズしたって聞いたけど…っていうかそんなのって失礼じゃない?!」
…フィルさん何やってんの?!
「ま、その話はおいといてと…プレシアさん、[夜天の書]って知ってます?」
夜天の書の名前を出した途端、プレシアさんの顔色が変わった。なになに、夜天の書ってヤバい代物なの?
あたしの思いに応えるように、プレシアさんが夜天の書について説明を始めた。
「…夜天の書は通称[闇の書]と呼ばれている、古代ベルカのロストロギア…暴走したときの危険度はジュエルシードの比じゃないわ。…もし暴走したら…」
「暴走したら?」
「…この世界は消えて無くなるわ。跡形も無くね。」
……………!!!
プレシアさんの言葉にあたしは絶句した。ヴィータやシグナムさんはそれが事実なのか、苦い顔をしている。
「シグナム、ヴィータ…プレシアさん、夜天の書を暴走させない為にはどうしたらいいの?」
あたしはプレシアさんに対策を尋ねた。
「夜天の書は魔力を蒐集する事によって能力を発揮するから、一番確実なのは魔力を蒐集しないことね。」
「だが、それでは駄目なのだ!…魔力を一定期間蒐集しないと夜天の書はその主…主はやての魔力を蝕んでいき、やがて命を奪う。そんな馬鹿げた話、誰が認められるか!」
シグナムさんが激昂するのをはやてが諭す。
「ええんよシグナム…わたしは人様に迷惑をかけてまで生きとうない。」
「ですが?!」
「…わたしもはやてが死ぬなんていやだ!だからはやて、生きたくないなんていっちゃやだ!」
「…!ごめんな、ヴィータ…。」
あ~もう!仕方無い、助け船出してあげますか?!
「…あのさはやて、[他人に迷惑を]かけないやり方なら魔力を集めてもいいんでしょ?」
「そんなやり方があるんなら、な。でもそんなこと…。」
「そんなの簡単よ。あたしたちの魔力を蒐集すればいいのよ!…魔力は時間が経てば元に戻るんでしょ?」
あたしの言葉にシグナムはハッとした表情になった。
「だ、だがいいのか?魔力の蒐集にはかなりの激痛を伴うぞ?知り合って間もない我々にどうしてそこまで…」
「友達だからじゃだめかな?…そもそもアメリアとは古くからの仲だし。その親友の主を助けるのにそれ以上の理由なんて、必要ないわよ!」
「そうだよシグナムさん!もちろんわたしやフェイトちゃんたちも協力するよ。ね、フェイトちゃん、アリシアちゃん?」
なのはの提案にフェイトとアリシアも賛成する。
「そうだね。わたしやアリシア姉さんは知り合ったばかりのリナやなのはに救われたんだ。
もしわたしたちでなんとかなるんだったら力を貸すよ。」
「そうだよ!遠慮なんてしないで!」
「リナちゃん、なのはちゃん…ほんとにありがとな。わたしはこないな友達ができて幸せやわ…。」
よし、それじゃ早速…
『ちょっと待ってくれないかしら?』
え?今の声は…リンディさん?次の瞬間、目の前にリンディさんから通信が入ってきた。その後ろにはクロノもいる。
「リンディさん、クロノ?!
いったいこれは…?まさか、やめろっていうんじゃないでしょうね?」
『そうは言ってない。ただ、無計画にやるなと言ってるんだ!闇雲にことを進めたら暴走の危険性が増してしまう。』
『落ち着きなさいクロノ。……リナさん、時空管理局では夜天の書は封印管理を必要とする、特級の危険ロストロギアとして扱われてるの。』
…何なのよ封印管理って。ものすごーくやな予感しかしないんだけど。
『具体的には発動しないうちにその主ごと永久凍結させるというのが管理局本部からでた案よ。』
リンディさんの言葉にシグナムさんとヴィータ、アメリアの表情が険しくなるが、怒鳴ろうとしたヴィータをあたしは手で制した。
「なんで止めるんだよ?!お前もこいつらの味方か?」
「…ヴィータ、落ち着いて考えて。もしリンディさんがそんなこと考えてたら、あたしたちに話すわけないでしょ?」
「あ…」
『リナの言う通り、僕や母さんは凍結封印には反対だ。
正直な所、感情的には複雑なんだか…。』
「…?どういう事?」
あたしの問いに代わりに答えたのはリンディさんだった。
「…私とクロノは、11年前に起きた夜天の書の暴走によって大事な人を失ったの。
…クライド・ハラオウン。…私の夫で、クロノにとっては父親よ。」
…これはまた重い話になってきたわね。
『あなたたち騎士に罪がないのは理解しているつもりよ。ただ、わたしたちは真相がしりたいの。』
リンディさんの言葉にシグナムさんが答える。
「…すまない。私達騎士は主が変わる度に基本的な記憶以外はリセットされるらしい…その11年前の暴走の事も記憶に無いんだ…」
『そう…それじゃ過去を振り返るのはもうやめましょ。リナさん、わたしとクロノも力をかすわ。なんとしてでも夜天の書を覚醒させましょう!』
『ただ、強硬派が事を起こす可能性もある。こちらでも夜天の書の起動は確認されてるからな。』
ふ~ん、ってことは…
「はやて、今週の日曜日から蒐集を始めるわよ。で、不測の事態に備えて1日2人まで。
シグナムさん達騎士は、管理外世界の魔物から魔力を集めてくれる?これなら年末までにはかたがつくわ。」
「それじゃ、今度の日曜はわたしと…」
「わたしの魔力を蒐集して。」
なのはとフェイトが早速立候補したわ。
「なのは嬢…本当に感謝します。」
「フェイトさんもありがとう!」
「リナ…貴女と友達で本当によかったわ、ありがとう!」
「お礼は夜天の書が覚醒した時でいいわ。暴走させない手段も探さないとだし…。」
そう、問題は暴走を未然に防ぐ方法。それが見つからないと、夜天の書はまた…
「…クロノ、僕に[無限書庫]の閲覧を許可してくれないか?あそこならもしかしたら何か解るかもしれない。」
「え、ユーノ?何、その[無限書庫]って?」
『無限書庫は管理世界の全ての知識を集約したデータベースだ。…わかった、手続きしておくからそっちは任せた。』
『私達も近々そっちに戻るわ。それじゃその時に。』
リンディさんがそういうと、通信が切れた。
「それじゃリナ、僕は夜天の書について無限書庫で調べてみるよ。何か解ったら連絡する。」
「私も文献を調べてみるわ。もちろん魔力も提供するわよ。」
ユーノ、プレシアさん…頼んます!
さぁ、これから年末まで忙しくなるわよ!
NO SIDE
リナたちが一致団結していた頃、ミッドチルダの某所では1人の玉座に座った男性の前に、
若い男女が頭を垂れて膝まずいていた。
「…………………様、どうやら夜天の書に動きがあったようです。」
『そうか…ならば我々も動くとするか。グ………、シ……、お前達はミッドチルダの魔導師どもから魔力を蒐集するのだ。その時は…』
「夜天の騎士の名を語れ、でしょう?まあお任せあれ、では…。」
そういうと2人の男女の姿が消えた。その場には玉座の男1人…。
「…前の世界で不覚をとって幾年月…人間として転生してしまった時はどうなるかと思ったが…この世界なりに力は取り戻せたし、新たな部下を[造り出す]事も出来た。
今度は邪魔をする輩も、我のネーミングセンスをバカにする輩もいない!必ずや復活させてやるぞ、夜天の書、いや…[魔王シャブラニグドゥ様]!」
一致団結で立ち向かうリナたちの影で、暗躍を始めた謎(?)の男達…果たしてリナたちの運命は?そして謎の集団の正体は?
次回「三十七、やってくる ネームセンスの ないやつら」
それじゃリリカル、マジカル…
「「メリークリスマス&よいお年を~!」」
(BY リナ&なのは)