バレンタイン?このおっさんには縁のない話です。(>_<)
SIDE:リナ
…まったく…ユーノの伝言とアリシアの話を聞いてまさか、とは思ったけど…あんたも転生したの、ゼロス?!
「よく気づきましたねリナさん。しばらくバレないと思ってたんですけどね…」
「そりゃ分かるわよ、あんな偽名使われたら。」
「…あ!わたし分かった!!噂通りのふざけた奴ね…」
やっぱりアリサは気がついたみたいね。あとすずかとはやても。その一方で、『???』な顔してるのがなのはとテスタロッサ姉妹。
「えっ?えっ?リナちゃんどういうこと?」
「…こいつの名前は名薗森 寛(なぞのもりひろし)。なのは、森って他にどう読める?」
「えっ?他にって[しん]…あっ?!」
「そう、森は[しん]って読めるわ。そして寛は[かん]。続けて読むと…」
「なぞのしんかん。」
……………
「ふざけるな~~~~~っ!」
スパパーン!
あたしはどこからともなくスリッパを取り出すと、ゼロスのどたまをひっぱたいた。…なんか害虫[G]を退治した気分。
「あたたっ?!い、痛いじゃないですかリナさん!頭がもげたらどうするんですか!」
…大丈夫、ゼロスだから。
「…それよりゼロス、あんたいったいどうやって、何しにこの世界に来たのよ?それにグラウシェラーの目的も!」
「やれやれ、相変わらずせっかちですねリナさん。…僕が獣王ゼラス=メタリオム様から与えられた指命は昔から1つだけですよ。すなわち…」
えっ、それって…
「…この世界にあるって言うの、あの異界黙示録[クレアバイブル]の写本が?」
ゼロスが獣王から命じられてたのは写本を処分すること。でもそんなもの何処に… … …!
「…ゼロス、あんたまさか夜天の書がそうだって言うんじゃ…」
「はい。少なくともその可能性はあると思ってます。夜天の書は時空を主と旅をしながら知識を記録し続ける魔導書と聞いています。何となくですが似ていると思いませんか、リナさん?」
確かに…異界黙示録は時空の狭間に存在する知識の集合体。似ているところはあるかも。
「で、でも夜天の書を処分したらアメリアたちが…嫌や!やっとできた家族と別れるなんてできへん!」
「おい、おめーがどれだけ強いかしんねーが、はやてと夜天の書に手出したらただじゃおかねー!!」
夜天の書を抱えて座り込んでるはやてとその前にデバイスを構えて立ちはだかるヴィータ。でもそのヴィータの身体も震えてる。
「…そんなに睨まないでくださいよ、今は何もしませんよ、今は…ね。」
「…ゼロス?それって一体…」
あたしの問いかけにゼロスはちっちっちっと人差し指を振る。
「僕だってこう見えてもなんでもかんでも処分してるわけじゃありませんよ?それにアメリアさんも消えてしまうのは惜しいですからね。」
「ゼロス…」
ゼロスはしゃがみこんでるはやての前にしゃがむと、はやての瞳をのぞきこんで話しかける。
「八神はやてさん…とおっしゃいましたか。少しだけ私に夜天の書を見せていただけないですか?…大丈夫、先ほども言いましたが処分する気はないので。」
「…わかった。ほんまに少しだけやで。」
「もし変な素振り見せたらわたしが耳元で『愛の賛歌』を囁きますからね?!」
「…何もしませんよ…結構きくんですよ、アメリアさんのささやきは…さてそれでは拝見させて戴きます…」
ゼロスはそういうと夜天の書のページをめくっていく。それを見てヴィータが驚いた表情を見せる。
「なっ…夜天の書は主と騎士にしか扱えないはずなのに…リナ、あいつ何もんなんだ?!」
「…まぁゼロスをあたし達と同じ基準で見ちゃダメよヴィータ。あいつはあたしの元居た世界の高位魔族。…多分あたし達全員でかかっても勝ち目はほぼ0よ。」
「…マジでかよ…」
そうこうしているうちにゼロスは夜天の書を閉じるとはやてに手渡した。
「ありがとうございました。…結論から言いますと、この夜天の書は異界黙示録の写本ではありませんでした。ですからあなたが持っていてくださって結構ですよ、はやてさん?」
ゼロスの言葉にあたしを含め全員が安堵の表情を見せる。
「ただ、異界黙示録の知識をもって創られた物には違いないですね。…恐らく覇王様はその事をご存知の上で狙っておられると思いますよ。」
「…で、質問の続きだけどあんたはどうやってこの世界に来たのよ?あたしと同じように転生して…」
あたしの問いにゼロスは頭を振る。
「…私達魔族は精神体なので、その世界を認識できれば往き来することはできます。しかし具現化するにはこの世界の魔力素は薄すぎるんです。」
…あ~確かに。スイーフィード式の呪文もデバイスを使ってやっとだからね。
「そこで考え出したのが、この世界に[何故か]たくさんいらっしゃる異世界からの転生者(イレギュラー)の身体をお借りして…いわば[人魔]としてこの地に来たわけです。」
「…ゼロス!あんたまさかその人を…」
「心配しなくても大丈夫ですよ。この体はこの世界に見切りをつけた転生者の脱け殻です。誰にも迷惑はかけてませんよ。」
ほんとでしょうね…あんたはさらっと嘘つくからね。
「…もっとも[覇王様]はそうではないみたいですけどね…恐らくはこの世界の人間の身体を乗っ取ったのでしょう。あの部下たちも人間を触媒にして創られた人魔ですね。」
「でもあの人たちはどうして夜天の書を狙うんや?魔族やったら別に必要ないんちゃうん?」
もっとも過ぎるはやての問いにゼロスが答える。
「僕たちは人魔になることによって実体を持ちましたが、人間の体では魔力の絶対量が足りないんですよ。イレギュラーを基にした僕はそれなりにありますが、それでも前世の力には届かないです。だから覇王様は夜天の書の力が欲しいのでは…」
でも、あたしは気づいた。ゼロスがあたしと視線をそらしたのを。まだ何か隠してんの、こいつ…?
「で、ゼロス?もう一度聞くけどあんたはどっちにつくの?!あたし達、それとも…」
ゼロスは胸のポケットから眼鏡を取り出し掛ける。…そうやってるとどこかの「見た目は〇〇、頭脳は〇〇…」の子みたいね。
「…心情的にはリナさんの味方なんですけど…まぁ今のところは中立ですね。手伝いもしないけど、邪魔もしない。それで構いませんか?」
OK、それで十分よ。…正直、あんたと関わりは持ちたくないからね。多分無理だろうけど。
「…それでは僕はこれで。夜天の書が完成するまでは遠く草葉の影から見守ってますよ。」
そういうとゼロスはどこかへと去っていった。…ねぇアリシア、ゼロスってクラスでもあんなななの?」
「ん~?クラスにはもう親衛隊がいるよ?なんかアス〇ンとかいうのと声が似てるって声真似したら大人気でさ。…あたしは興味ないけど。」
…なにしてんのよ、あいつは…ま、それより…
「みんな放課後の予定は?確かなのはとフェイトは…」
「うん、アースラにレイジングハートとバルディッシュのお見舞いにいってくるよ。」
「わたしとすずかは無限書庫にユーノのお見舞いにいってくるわ。リナ、伝言する事ない?」
「…あんまり無理するなって言っといて。なんかとんでもない事になってそうだから。あたしはアリシアと一緒にプレシアさんに話を聞きに行ってみるわ。もしかしたらなんかわかるかも…」
「あ~、わたしとヴィータ、アメリアもプレシアさんに相談があるからついてくわ。かまわへん、リナちゃん?」
別にいいわよ。それじゃみんな、夜天の書覚醒に向けてがんばっていきまっしょい!!
「お~~~~~~~~~っ(×9)!!」
次回の更新ですが、仕事の関係で遅くなるかもしれません。
なるべく早く更新できるよう頑張ります。
次回「語られる 古代ベルカの 神話かな」
それじゃリリカル、マジカル…
「頑張ります!ね、レイジングハート?」
『はい、マスター。』
(BYなのは&レイジングハート)