魔法少女リリカルすれいや~ず!   作:タカヒロオー

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今回はフェイトVSリニス、ヴォルケンリッターの初陣の2本立てです。最後にはあの子もセット・アップ?!お楽しみに!


四十三、恩師との 悲しき再会 運命か

NO SIDE

 

覇王の軍勢に襲われたリンディとアルフを救うために出撃したフェイト達。しかしその前に立ちはだかった仮面の女剣士の正体、それはプレシアの使い魔にしてフェイトの家庭教師、リニスだった…

 

SIDE:フェイト

 

…最初の一戟ですぐに判った。でも、勘違いであってほしかった。リニスが、あの誰よりも優しいリニスが敵だなんて…

 

「…久しぶりですね、フェイト、少し背が伸びましたか?」

 

「…それよりもリニス、どうしてここにいるの?それにその髪と眼の色…」

 

そう、リニスは私に魔法を教えたあと母さん(当時はナーガ)に契約を切られ、命は失ったはず。

それに今のリニスの姿は私の知っているリニスとは違う。

 

ショートカットだったピンク色の髪の毛は深い蒼色の腰まで届く長髪。

 

同じ蒼色に染まったその瞳からは真意が見えない。

 

更に右手に握られた一振りの剣も同じ色…

 

「その蒼色…リニス、あなたは覇王の配下なんだね?!」

 

「…はい、今の私は覇王将軍シエラ様の配下、[獣人魔]リニス…。フェイト、どうしても邪魔をするつもりですか?」

 

「…それを聞くリニス?大切な友達に害を為そうとしているのを指をくわえて見てるだけなんてわたしには出来ない!それに…」

 

わたしが言葉を切ると同時に、お姉ちゃんとアリサがこちらにやってくる。あれ、すずかは?

「すずかはリンディさんについてもらってるわ。」

 

「で、わたしたちはフェイトを助けに来たって訳。…こいつがアルフを苛めたヤツなの?…」

 

「…!! まさか…アリシアなの?!」

 

リニスはお姉ちゃんをみて動揺したみたい。そうか、リニスは時の庭園のカプセルで眠ってるお姉ちゃんしか知らないから…

 

「えっと…ごめん、誰だっけ?」

 

ズコッ(×2)!!

 

「お、お姉ちゃん?!…あ!」

 

…そうだ、リニスが使い魔になったのはお姉ちゃんが死んだ後だから…うっかり教えるの忘れてた、うん。

 

「…忘れてるなんて酷いです!私ですよ、貴女の飼い猫だったリニスですっ!!」

「えっ、リニス?!…うっそだぁ~、リニスは普通の山猫だよ?」

 

お姉ちゃんの言葉に唖然となるリニス。その視線はジトッとこちらを向く。

 

「…フェイト、もしかして私がプレシアの使い魔になったことを…教えてない?!」

 

「…いやその…ついうっかり。」

 

「うっかりって~!!」

 

こんなに動揺するリニスを見るのは初めてかも。

 

「はぁはぁ…まぁいいです。とにかく覇王様に楯突く以上、あなたたちは敵です。…フェイト、アリシア、あなたたちがどれくらい成長したか見てあげるとしましょうか…行きますよ!」

 

リニスはそういうと手に持った剣を構え直す。その側頭部にはうっすらと怒筋が…。

「…ねぇフェイト、リニス怒ってる、よね…」

 

「もう!お姉ちゃんがあんな事言うからだよ!」

 

「あたしはフェイトのせいだと思うんだけど…。」

 

「ぐふっ?!…それより注意して…来るよ!!」

 

アリサの突っ込みに言葉を詰まらせたわたしにリニスの剣が襲い掛かる。でも!!

 

「…リニスには悪いけど…」

 

「簡単にはやらせないわよ!!」

 

お姉ちゃんの防御の呪文にリニスの剣戟が弾かれ、アリサの炎の鞭がリニスを吹き飛ばした。よし、今が好機!

 

「バルディッシュ、ハルバードフォーム!」

 

『Yes、Sir!』

わたしの声に応えるようにバルディッシュは薙刀へと姿を変える。

 

わたしはそのまま加速してリニスに突撃!

 

リニスが放つランサーをかわしつつ、バルディッシュで斬りかかった。

 

リニスは太刀をかざしてわたしの攻撃を受け止めた。

 

「くっ、やりますねフェイト。…それにその形態は…成程、プレシアですね!」

 

うん。リニスが創ってくれたバルディッシュを母さんが強化してくれた。ヘキサ(6)の名を冠したバルディッシュの力、見せてあげるよ、リニス!

 

SIDE:プレシア

 

マリーと一緒にリナさんやなのはさんのデバイスを調整中に、バルディッシュから送られてきた映像を見て私は驚きを隠せなかったわ。

だって、フェイトと闘っているのはフェイトの家庭教師だった私の使い魔・リニスだったのだから…

 

髪の毛と瞳の色が蒼色なのは覇王に支配されてる証拠…まさかこんなかたちで蘇るとは思わなかったわ。

 

「プレシアさん、リニスさんって確かプレシアさんの…」

 

リナさんの問いかけに私は答えた。

 

「えぇ、彼女は私の使い魔よ、元だけどね…私の心が病んでた時、使い魔としてのリンクを切って消息を断ってたの。私もサーチをかけたりして探したけど見つからなかったわ。でもこんな形で…」

 

私は調整の手を緩める事なく、話を続ける。

 

「そっか…それじゃフェイトは戦いにくいかもね。」

「早く助けに行かないと…まだなんですか、プレシアさん、マリーさん?!」

 

「あともう少し…もう少しだけ待って!!」

 

なのはさんとマリーの叫びを聞いて、アメリアさん達夜天の騎士がはやてさんに詰め寄る。

 

「はやてさん、わたしたちを行かせてください!」

 

「あかん、わたしはあんたらには戦いはさせんって…」

 

アメリアさんの願いを否定するはやてさん。でもシグナムさん、ヴィータさんがさらに…。

 

「そんなこと言ってる場合じゃないだろはやて!フェイトさんたちが危ない目にあってるのに…。」

 

「そうです我が主!幼い彼女たちが主のために闘っているのに我々がこんなところで指をくわえて視ている事なんて出来ません!」

「アメリア、ヴィータ、シグナム…よし、わたしも腹くくるわ!夜天の騎士ヴォルケンリッター、友達を助けるために出撃や!…みんな、無事に戻るんやで。」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

…はやてさん、有り難う。よく決意してくれたわね…あ、アメリアさん?

 

「はい、なんですかプレシアさん?!」

 

「貴女にこれを渡しておくわ。本当ははやてさんから渡してもらうつもりだったんだけど…」

 

私は引き出しからペンダントを出してアメリアさんに手渡す。

 

「これは…えっ、セイルーンの紋章?!」

 

「それは貴女専用のデバイスよ。はやてさんから頼まれてたの。…小説の貴女に合わせて格闘仕様のストレージデバイスにしたわ。」

「あ、ありがとうございます!」

 

あと騎士服ははやてさんのデザインで創ったんだけど…アメリアさん、頑張ってね色々と。

 

私は現地に転送されるアメリアさんを見送りながら、そんなことを思っていた…

 

SIDE:すずか

 

「………!!やっぱりあの人だけじゃなかったんだね…」

 

フェイトちゃん達とあの女剣士…リニスさん、だったかな?…が闘っている最中にその場を離れようとしたんだけど…

 

「ふっ、シエラはあの女を気にいってるようだか、所詮は得体の知れない使い魔風情…こんなものか。」

 

わたしとリンディさん、アルフの前に現れたのは、神官衣を着た体格のいい男の人と3匹の使い魔…それぞれ大型犬、猿、鳥を模してる。

 

「まずは名乗るが礼儀だな。…我が名は覇王神官グラーヴ。そしてこいつらが…」

 

「犬獣騎ダイン。」

 

「猿獣騎アース。」

 

「鳥獣騎トゥーダよ。」

 

3匹の使い魔はそれぞれ名乗ると騎士の姿に変身する。…ちょっと待って!

 

「あなたたち[ダイン・アース・トゥーダ]って…いや、なんでもないです…」

 

『『『???』』』

 

…まぁ、本人たちが気づいてないみたいだからいいか。でも間違いない、この人たち覇王グラウシェラーの配下だ。

 

「助けに来たのはいいが、形勢は逆転したようだな…貴様らの魔力、我らがもらい受ける!」

「くっ…フェイトちゃんたちはリニスさんで手一杯だし…こりゃまずいかな…」

 

わたしがどうしようか迷ってると…

 

「…紫電一閃!」

 

「いっけ~、コメート・フリーゲン!」

 

「…鋼の軛!」

 

後方から声がしたかと思うと…3匹の使い魔たちにシグナムさん、ヴィータちゃんと獣耳の男の人が一撃を加える。

 

「…大丈夫、すずかちゃん?」

 

シャマルさん!…あれ、皆さんのその格好は?

 

「あぁこれは、はやてちゃんが私たちのために考えてくれた騎士服よ。あなたたちのバリアジャケットと同じような物よ。」

 

へぇ~、はやてちゃんが…覇王と違ってセンスがいい…似合ってますよ、シャマルさん。

「ありがとう。それよりも怪我人は任せて、あなたもあいつらを!」

 

「はい!…あれ、アメリアちゃんは?」

 

わたしは辺りを見回すが姿が見えない。

 

「えっ、一緒にこっちに来たはず…あっ、あそこ!」

 

シャマルさんが指さした先にはビルの屋上に立つアメリアちゃんの姿があった。

 

「そこまでよ、邪悪な覇王の手下ども!」

 

アメリアちゃんはグラーヴを指差すと口上をのべ始めた。…原作にもあったな~、こんな流れ。

 

「向こうの世界じゃ飽きたらず、魔法と関係無いこの世界を支配しようとするなんてこの八神アメリア、天に代わって…とぅ!」

あっダメだよアメリアちゃん、そんなことをしたら…

 

グワシャッ…

 

ビルのペントハウスから屋上に飛び降りようとしたアメリアちゃんはお約束通り着地に失敗!顔面から突っ込んだ。

 

「…おい、なんなんだアレは…」

 

グラーヴが呆気にとられてる。でも彼女はすくっと立ち上がるとまたペントハウスの上によじ登ろうと…

 

「登らんでいい、登らんで…」

グラーヴは突っ込むがアメリアちゃんは気にせずよじ登り…

 

「…とにかく!はやてさんに害を為すものはこのわたしが許しません!…力を貸して、[ジャッジメント・ハウル]セット・アップ!!」

 

そう言ってアメリアちゃんは胸のペンダントを右手に掲げ白い光に包まれた。あまりに眩い光にわたしもグラーヴも視線をはずした。

 

そして光のあとに現れたアメリアちゃんは、原作でも着てた白い神官衣を身に纏い、両の拳にはオープンフィンガーの手甲型のデバイス。そして…

 

「なんで赤ずきんなの、アメリアちゃん?!」

 

「そんなの知りません、はやてさんに聞いてください!!」

 

…そう、アメリアちゃんが纏っていたのは、マントとセットになった赤いフード…一言でいえば赤ずきんだったんだ…。




今回登場したアメリアの騎士服は以前書いていただいた西瓜第二さんの感想を参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

さて次回はアメリアたちの初陣、そしていよいよリナ&なのはの出番です。そして覇王軍の運命は?!(笑)

それでは次回、「四十四、群青の 巫女の初陣 ご覧あれ」

それでは次回も、リリカル、マジカル…

「「頑張ります!」」…って出番これだけ?!

(BYリナ&なのは)

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