魔法少女リリカルすれいや~ず!   作:タカヒロオー

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前回予告のタイトルを次回に飛ばします。この頃予告と話が一致しない


四十六、深き業 夜天に潜む 紅き影

NO SIDE

 

覇王軍の襲撃から一夜明け、リナたちは再び時の庭園に集まっていた。目的は今後の対策、特に覇王の配下として現れたリニスへの対応だ。しかしそこには予想外の人物が…

 

SIDE:リナ

 

「…で、なんであんたがここにいんのよゼロス。夜天の書が完成するまでは出てこないって言ってなかったっけ?」

 

あたしたちが時の庭園を訪れると、ゼロスがテスタロッサ一家と一緒にお茶を酌み交わしていた。

 

「いや~、こちらにも色々事情がありましてね…。ま、悪い話ではないと思いますよ?」

 

…どうだか。それにしても馴染んでるわね、特にアリシア…

「え~っ、だってゼロス…名薗森くんってクラスメイトだよ?馴染んでて普通じゃない?」

 

…まぁそりゃそうかも知れないけどさ…ま、いいか。

 

とりあえずあたしたちがそれぞれの席に座ったのを確認すると、プレシアさんから話始めた。

 

「今日みんなに集まってもらったのは、昨日の出撃の時に現れたリニスについて。そして今後の対策よ。…みんな、これをみてくれる?」

 

プレシアさんが手をかざした先に現れたホログラフスクリーンには、リニスの映像…でもあれ?

 

「髪と目の色が…違う?!」

 

昨日のリニスは髪も目の色も覇王の魔力光と同じ蒼色だったのに、目の前の映像はピンク色の髪の毛…それに髪の毛の長さも昨日は腰まであったのに映像はショートヘアーだ。

 

「…この映像はリニスが私と袂を分かつ前の映像。ちょうどフェイトの家庭教師をしていた頃ね。…あなたたちも知っての通り、この頃の私は精神的に病んでたからフェイトにきつくあたってたんだけど…」

そこでプレシアさんは一瞬落ち込んだ表情になるけど、すぐに話を続ける。

 

「…リニスは私の使い魔だったにも関わらずフェイトの家庭教師として、また姉替わりとして接していたわ。だけどリニスとの契約は『フェイトが一人前の空戦魔導師になるまで』という条件だったの…。」

 

言葉に詰まったプレシアさんの代わりにフェイトが代弁する。

 

「…だからリニスはわたしがサンダーレイジを習得した日に、バルディッシュを母さんに託して時の庭園からいなくなったんだ…多分自分の死期を悟ってたんだと思う。」

そんな過去が…でもどうして死んだはずのリニスさんが覇王の手先に?

 

「詳しくは解らないけど、恐らくリニスは私との契約が完了しても暫く生きていて、覇王と再契約したんじゃないかと思うの。あの髪と目の色が変わったのは覇王の魔力光、前の記憶が残ってるのもそういうことなら納得できるわ…。」

 

「でもプレシアさん、もしかしてそれって…」

 

「…えぇ、覇王に完全支配された状態…完全な敵として現れる可能性は高いわね…」

 

プレシアさんの言葉にフェイトとアルフ、アリシアの表情が強ばる。

 

「まぁそれも踏まえて集まったんだけどね。で、まずは夜天の書なんだけど…今何ページ?」

あたしの問いに答えたのはシグナム。

 

「…皆の協力もあって、280ページぐらいたまった。ただここで問題なのは、もうすぐ目覚めるはずの…」

 

「管制人格、ね?」

 

シグナムは頷くと話を続ける。

 

「あぁ、あいつには罪はないとはいえ、埋め込まれたバグを取り除くためには主はやてが制御することが絶対条件となる。だが…」

 

「まだあれから夢に顔見せへん。ちゃんとお話したいんやけど…」

 

…管制人格との会話かぁ…目覚める前に話できたら最高なんだけど、最悪…「起動即暴走」もありえるからなぁ…

 

『…あのさぁ、リナ?』

 

…何、L様?今ちょっと忙し…

 

『…その本と話したいんだったらできるよ?』

 

…だから今忙し…なん、だと?!L様、今なんて?!

 

『だからぁ~、その本と話せるって。あたしも一応神様だし。…バグがどんなもんか解らないからとりあえず会いに行ってみる?』

 

…マジで?!どうやって?

 

『あたしとその本の人格部分をリンクする。そうすれば人格だけを呼び出して会話できるって訳。』

 

 

「…もっと早く言って欲しかった気もするけれど、それじゃ早速…はやて、夜天の書出して?!」

 

あたしは夜天の書の上にナイトメアハート(待機状態)を置いて魔力を充填する。すると…

『…こ、これは…我が主?!…それに騎士たちも?!わたしは一体…』

 

ナイトメアハートが映し出したのは銀色の長髪に紅色の瞳の女性。…めちゃくちゃ美人だ。

 

『あ~、あたしはナイトメアハート。古代ベルカだとルシフェリアの方がわかりやすいかも。…あんたの主が話したいらしいからリンクさせてもらったよ。』

 

『…!!貴女があの[破壊の女神]?!御逢いできて光栄です。主もお久し振りです。で、私に話とは…?』

 

あたしとはやては管制人格にこれ迄の経緯とこれからの事…特に覚醒後の処置について説明する。

 

『わたしと我が主のためにそこまで…感謝します、皆さん。ただ、夜天の書の中に眠るのは私だけではありません。夜天の書を自動的に防衛する運用システム…ナハトヴァール。わたしの制御に成功しても、ナハトを制御、もしくは破壊しないと…』

…暴走するって事か…

 

「それじゃそのナハトヴァールがバグって事なんですか?」

 

なのはの問いに彼女は首を振る。

 

『いいえ、ナハトは私の妹みたいな物…暴走を起こすバグは夜天の書そのものを侵しています。そしてそれはルシフェリア様…』

 

『あ~、L様でいいよ、皆にもそう言われてるし。』

 

『…じゃL様、私を苦しめる呪い…バグは貴女の世界に近しき存在なんです。』

 

その言葉にあたしたちは思わず息を飲む。…L様の世界に近しき存在、それはすなわちあたしやアメリアがいた世界を意味する。世界を破滅させる魔導書を暴走させるだけの存在って……?!…まさか!

あたしはある1つの考えに辿り着き、ゼルやアメリアと顔を見合わせる。アメリアやナーガは「???」って顔してるけど、ゼルは気がついたみたいね。

 

でもそれならすべてが繋がる。覇王グラウシェラーが何故夜天の書を狙うのか、そして管制人格の紅い瞳…あくまで推測でしかないし、この場ではいえないけど。

 

『おいリナ、バグというのはまさか魔王シ…』

 

『ゼル言わないで!憶測で物は言えないし、混乱が起きるだけよ。…後でユーノとプレシアさんにだけ話すわ。あとアメリアとナーガには…』

 

『あぁ解った。…確かにあいつらに知れたらややこしくなりそうだ。秘密にしておいた方が無難だな。』

理解が早くて助かるわゼル。さて、と…。

 

「わかったわ、え~と…はやて、そういえばこの人の名前は?」

 

「あ、あ~、…ごめん、まだ考え中や。せっかくやからいい名前を…と思ってんねんけど…」

 

『慌てなくてもいいですよ我が主。…私は善き名前が戴けるのを楽しみに待ってます。』

 

…そうはいっても、何時までも「管制人格」なんて呼べないし…ん?そうだ!クロハネってのはどう?実際黒い羽根だしね。

 

『クロハネ…いいかもしれませんね。じゃあ当座はそれで…。』

 

「はやて、それに騎士の皆は今まで通り管理外世界の魔物や動物から魔力を蒐集して。あとアリサやすずかたちは魔力の提供をお願い。」

「了解した。必ずや成就させて見せるぞ!」

 

「…はやて、はやては絶対に元気にしてみせるから!」

 

皆気合いが入ったみたいね。…クロハネさんも、もう少しだけ待ってて?…ナハト共々、必ず助けて見せるから!

 

『…ありがとうございます。その時を楽しみにして…』

 

そう言うとクロハネさんの姿が見えなくなった。

 

『…ごめん、ここまでが限界だわ。でもリナ、バグの正体は…』

 

…やっぱり「アレ」なんだね、L様…あとで秘密会議だね、こりゃ。…ゼロス、あんた知ってたんでしょ?!正直にいったらどう!

 

「…別に隠してなんかいませんよ。聞かれなかったから答えなかっただけのことです。…まぁ、僕は今回はノータッチです。貴女と覇王、どちらが勝つのかゆっくり見させてもらいますよ…。」

辺りを見るといつの間にかゼロスの姿は消えていた。相変わらず神出鬼没ね…。というか、よく考えると何しに来たんだあいつは?!

 

「…冷やかしか、そうじゃなきゃ嫌がらせだな。」

 

「ゼロスさんに常識を求める方が間違ってるの…。」

 

そんなことはわかってるわよヴィータ、なのは!…あとそこで頷かないクロノ!!

 

「あとリニスの事なんだけど…」

 

あ、すっかり話が飛躍してたわね…で、どうするんですかプレシアさん?

 

「リニスの対処は私とフェイト、アリシア…そしてアルフに任せてほしいの。これはテスタロッサ家の問題だから…。」

 

「…わかったわ。それじゃお願いします。…というわけで今日はここで解散!明日からまた、覇王軍には警戒しつつ夜天の書の覚醒目指してがんばりましょみんな!」

 

 

「お~っ!(×多数)」

 

こうして、[夜天の書&覇王軍対策会議]は終了した。

 

因みにバグの正体(推測)を聞いたプレシアさんとユーノは絶句、さらなる調査を開始することとなった。

 

あたしの考えが邪推に終われば越したことないけど…

 

NO SIDE

 

こうして再び始まった[夜天の書覚醒計画]。あの事件以来、覇王軍の妨害もなく順調に蒐集は進み、ページ数も残り100ページにさしかかろうとした12月、物語は急展開を迎えようとしていた…。




説明がダラダラになってすいません。次回からはテンポよくいけるよう頑張ります。

(今度こそ)次回!「四十七、訪れる 破滅の前触れ 刻々と」

それでは次回も見てくんないと…

『出番まだですかね~、L様?』

『しゃしゃり出てくんじゃないわよ!』

ガスッ!

(BYL様&始末された夜天の書のバグ・部下〇)

追記

新投稿始めました!タイトルは「魔法少女リリカルなのはVD~夜天の主と龍の戦乙女~」です。リリカルなのはとヴァルキリードライヴ‐ビクニ‐のクロスとなっております。

活動報告にも書きましたが、あくまでリリすれメインでいくので、もしよろしかったら読んでもらって、感想、評価の一つも戴けたら幸いです。リリすれ共々よろしくお願いします。

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