SIDE:リナ
さて、早速公園までやってきたけど、なのはっていう娘は何処に…とあの娘みたいね。
ブランコに1人座っている茶髪のツインテールの女の子…間違いないわね。表情が暗いのは、お父さんが大ケガで入院してるんだから当たり前か。それじゃ声掛けて……えっ、泣き出した!?あ~もう!
「ぐすっ、お父さん…うぅっ…」
「あ~高町なのはちゃんだよね。こんにちは…」
「えっ?!あなた、だれ?どうして私をしってるの?」
「あたしは逢魔リナ。今日、この街に引っ越して来たんだ。あなたの事は桃子さんにお願いされたの。仲良くしてあげて、って…」
でもなのはは、すぐ下を向いてまた落ち込んでしまう。
「お母さんが…そっか、やっぱり私はいらない子なんだ…」
ち、ちょっと待って?今の会話からどうしてそういう展開になる訳?
「だって、私が泣いててもお母さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんも、だれも助けてくれないもん!私は、こんなにさびしいのに…」
あ、そういう事か。そりゃそうよね、あたしは中身大人だからいいけど、この子は普通の5歳児だもん。さびしいのは当然だわ。でも、ちょっとパニックして勘違いしてしまってるから、ここは慰めてあげないと…
でも、この子の暴走は止まらない。そして遂に…
「…わたしなんかに、もうかまわないで!どうせ、わたしなんか…どうなってもいいんだから!」
……… 〈ブチッ〉
スパーン!
「にゃ!?」
「…いい加減にしないと、ひったたくわよ!」
「もうたたいてるの!それにそのスリッパはどこから…」
そう、あたしの手には某100円均一のスリッパがにぎられていた。
「あ、これ?乙女の身だしなみよ。そんなことよりも…」
あたしはそういうとなのはの襟元を突き上げてジロリとにらみつける。
「あんた、今どうなってもいい、っていったよね!どうなってもいい子だったら、桃子さんは、あたしにあんたの事たのんだりしないわよ!」
「あっ…」
なのははあたしの言葉で何か気づいたみたい。自分は1人じゃない。愛してくれる家族がいることに…これでもう大丈夫ね。
あたしはなのはの襟元から手を放し、声を掛ける。
「ごめんね、怖かったでしょ?」
「す、少しだけ…わたしこそごめんなさい。」
お互いに謝ったところで、あたしはなのはが、こちらを見つめていることに気づいた。その表情は真剣で…
「…ん、何?」
「ごめん、もう一度教えてもらえるかな、名前?」
あっ、さっきの一件で記憶がとんだ?!
「…逢魔リナよ。リナ、でいいわ。」
「リナ…じゃリナちゃん、おねがいがあります。友だちに…なりたいんだ…ううん、友だちになってください!わたしの初めての友だちに!!」
なのはのその言葉に、あたしは満面の笑みを浮かべてうなづく。
「もちろんOKよ。こちらこそよろしくね、なのは!」
そして、2人は握手をかわす。
その時、公園に眼鏡をかけた少女が姿を現し、2人を見つけると近寄ってきた。
「なのは!ここにいたのね!!」
「美由希おねえちゃん!どうしてここに?」
「探したのよ…って、その子は?」
「あ、はじめまして。今日この街に引っ越して来た逢魔リナっていいます。なのはとは、たった今友だちになりました。」
「逢魔…あっ、神威おじさんの娘さんね。はじめまして、なのはの姉の高町美由希です。」
なのはのおねえちゃんか。にしては、あんまり似てないような…
「と…それどころじゃないわよ!なのは!お父さんが目を覚ましたの!一緒に病院にいくわよ!」
「えっ、お父さんが!ほんとに?」
「あたしも一緒に行っていいですか?お父さんたち、今病院にお見舞いにいってるんです。」
「そうなの?じゃ、一緒に行こ!」
こうしてあたしたちは一路病院へと向かった。
リナちゃんにスリッパ・ストラッシュをくらったなのは。でも、これが彼女が強くなる最初のきっかけです。
それじゃ、次回もリリカルマジカルがんばります!(BY なのは)