魔法少女リリカルすれいや~ず!   作:タカヒロオー

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今回からフルボッコタイムが始まります。


五十二、いざいかん 激闘の待つ 海鳴へ(後編)

NO SIDE

 

熾烈化を極める戦局の中、 戦いは終盤戦に突入する。

 

そして、雷光の一家と覇王将軍の一戦は剰りにも一方的な終局を迎えつつあった…。

 

SIDE:フェイト

 

母さんとナーガさんが参戦してから小一時間、ずっとわたしたちのターン…いや、20回に1回ぐらいお情けで攻撃させてるけどほぼ完全にわたしたちが制圧してる。

 

「…どうして…どうしてたかが人間風情にここまで…」

 

一見、目立った損傷は無いように見えるシエラだけど、実はもう数えきれない位再生を繰り返してる。わたしもザンバーで幾度となくぶった斬ったけど大半はこの人たち…。

「あら、まだやるの?まったく懲りないわね…そんなに私の雷撃が気に入ったのかしら?」

 

『ほ~ほっほっほっほっほっ!わたしとプレシアが組めば覇王将軍の1人や2人、どうと言うこと無いわ!』

 

…うん、端から見てるとどう見ても…

 

「「ママ(鬼婆)の方がラスボスに見える!!」」

 

あ、駄目だよアリシア、アルフ。そんなこと言ったら…

 

「あら、誰がラスボスで鬼婆ですって?(怒)」

 

「「ひいっ?!」」

 

母さんの凄まじい殺気が2人を襲う。まぁ実際に攻撃することはないと思うけど…

 

それはそうと今気付いたんだけど、母さん若返ってるよね?!

元々実年齢(〇9歳)より若く見られる母さんだけど、今の母さんはどう見ても20代前半、いや下手をすれば10代後半にしか見えないよ?!

 

「あら~流石フェイト、よく気づいたわね。私とナーガさんがユニゾンするとナーガさんの生命力でこうなるらしいのよ…これなら貴女たちの姉でも通用するかも…。」

 

…ま、まぁユニゾンは魔力をたくさん使うから多用は禁物だよ?…って母さん、シエラが!

 

「わたしを無視するなぁ~?!喰らえ、覇王氷河烈[ダイナスト・ブレス]!!」

 

シエラは自らの想像主である覇王の力を借りて氷結呪文を放つ。普通の魔導師相手なら一撃で決まる強力な呪文なんだけど、今の母さんには…

「効かないって言ったわよ!」

 

片手、しかも無詠唱で発動したバリアに防がれてしまう。

 

「…そろそろ終わりにしましょうか?フェイト、アリシア、アルフ、止めの準備をなさい!」

 

「はい、母さん。」

 

「うん、ママ!」

 

「任せとけ!」

 

わたしたちはそれぞれのポジションに飛び散ると呪文を詠唱して魔力をチャージしていく。

 

「くっ、させは…何っ、これは…?!」

 

わたしたちの動きを見て阻止を目論んだシエラ。でも1歩遅いよ…母さんとナーガさんが予め設置してたライトニングバインドがシエラの全身を拘束、完全に動きを止めた。

「くっ…う、動けない…貴女、本当に人間なの?!」

 

「…ええ、普通の人間よ。ただ、貴女は大きな過ちを犯した。…わたしたちの大事な家族を操りあまつさえ自分の保身の為に傷つけ奪った…それだけで死に値するわ!!」

 

母さんは手にもった杖を天にかざし呪文を発動する!

 

「…簡単に楽になるとは思わないことね…サンダー…レクイエム!!」

 

呪文の発動と同時にシエラに雷の大柱が突き刺さる。

 

「………………?!…あ…が…?!」

 

「まだまだだよ!…フォーチュンドロップ・[スキル=スイーフィード]…冥王崩魔陣[ラグナ・ブラスト]!」

 

アリシアの放った呪文は逆五芒星となってシエラの廻りに展開と同時に黒い柱となって吹き上がる!

 

「がっ?!な、何故滅んだはずの冥王様の呪文が…?」

 

…知らなかったの?あなたのいってる冥王フィブリゾは確かに滅んでるけど、この世界とは無縁なんだよ。…それ以前にわたしたちにはL様がいるから。

 

「さぁ、最期の時だよシエラ。…これがわたしの一撃必閃!」

 

わたしの構えたバルディッシュはもう臨界点を迎えていた。

 

「ジェット…ザンバァーッ!」

 

光の大剣と化したバルディッシュは音も無くシエラを真っ二つにした。でもこれだけじゃ気が治まらない!

「バルディッシュ、ブレードモード!!」

 

わたしの声にバルディッシュは片手剣形態に変形する。

 

「サウザンド…スラッシャー!!」

 

放った斬撃はシエラの身体を切り刻み塵と化した。

 

「やったねフェイト!…でも、リニスは…?」

 

『わたしはここです、フェイト、アリシア、プレシア、アルフ…。』

 

声のした方を振り向くとそこには、リニスの姿があった。でも…。

 

『…はい、今のわたしは残留思念、最期の燃えカスです。ただ、貴女たちにどうしてもお礼が言いたくて…』

 

そんな?!…やっと、やっと逢えたのに…そんなのないよ!

「ママ、どうにかならないの?!」

 

アリシアに詰め寄られた母さんは、暫し思案して…

 

「方法はあるわ。…リニス、貴女の使い魔としてのデータのバックアップはあるから貴女と同じ素体の使い魔は造れる。でもそれは似て非なるものに過ぎないわ。…そう、アリシアとフェイトのようにね…」

 

「プレシア…」

 

「だけど身体を造ることが出来るなら、貴女が戻るべき身体があるなら…?!」

 

…あっ?!アリシアを甦らせたあの呪文…聖王降魂陣[ヴィヴ・フォール]ならリニスの霊を呼び戻せる!…でもあれはゼルガディスしか使えないんじゃ…

 

「…わたしがやるよ。わたしがリニスを甦らせる!」

「アリシア…お姉ちゃん?!」

 

「ぐはっ?!…今の一撃は効いたよフェイト…じゃなくて!」

 

わたしの一言に何故かダメージを受けたアリシアは気を取り直し話を続ける。

 

「わたしのフォーチュンドロップでヴィヴ・フォールを使えばリニスを取り戻せる!…そう言うことだよね、ママ!!」

 

母さんは頷くと杖をアリシアに向ける。

 

『ディバイド・エナジー!!』

 

母さんの魔力がアリシアに注がれ、アリシアの身体が水色の強い光を放つ!

 

『リニスの身体を再構築するから、同時に呪文を発動して魂を呼び戻す!…いいわね、アリシア。』

「うん、ママ!!…『古より世界(そら)を抱きし生命の女神よ! 常世を守りし白輝の聖母(はは)よ! 我に力を貸し与え 迷える魂を今一度 在るべき処へ戻さんことを!!』」

 

母さんが、リニスの身体を再び構築させた。今だよ、アリシア!

 

「お願い、戻ってきてリニス!…『聖王降魂陣[ヴィヴ・フォール]!』」

 

アリシアから放たれた水色の光がリニスの身体を包み込んだ。

 

「リニス、目を覚まして!」

 

やがて光が消えると、リニスの目蓋がピクッと動いた。

 

「あ…私…戻ってこれた…」

 

「「「リニス!!!(×3)」」」

「わわっ?!」

 

目を覚まし身体を起こしたリニスにわたしとアリシア、アルフの3人は思わず飛び付いた。

 

「…リニス、よく戻って来たね。もう出てっちゃやだよ?!」

 

「…はい。これからは一緒ですよ、もう離れません!」

 

「良かったわねフェイト、アリシア…それとリニス。」

 

「はい、プレシア…。」

 

母さんはリニスの手を取る。

 

「今日からアリシアが貴女のマスターよ。アリシアとフェイトの事を守ってあげて…これは元マスターとしてではなく、友人としてのお願い。」

 

「言われなくてもそのつもりです。…アリシア、フェイト…大好きですよ。」

涙ぐむリニス。…でも闘いは終わりじゃない。なのはやリナ、それに他のみんなも闘ってる…

 

「いくよ母さん、お姉ちゃん…アルフはリニスをお願い。」

 

「わかった。フェイトたちも気をつけて!」

 

「くれぐれも無理しないでください。」

 

わたしたちは海鳴中央病院へ向かうことにした。なのは、リナ待ってて…すぐ助けにいくから!!

 

SIDE:アメリア

 

わたしたちと覇王グラウシェラーとの闘いは一進一退の攻防を続けていた。

 

頭数ではわたしたちが上回っていたけど、いくら能力を落としていても魔王の側近は伊達じゃない!

 

「フレイムウイップ!」

 

「アイススプレッド!」

 

アリサとすずかの同時攻撃も軽くあしらわれてしまう。いったいどうしたら…

 

「…あれを使ってみるか。アメリア、こっちに来てくれ!」

 

わたしは呼ぶ声に応じてゼルガディスさんの側に近づく。

 

「どうしたんですかゼルガディスさん?何か秘策でも?!」

 

「あぁ…アメリア、俺の手をとってくれ。」

 

えっ、手を取れってどういう…

 

「…いいから早く!」

 

「は、はいっ?!」

 

わたしの手がゼルガディスさんに触れると、わたしたちの魔力が反応し、ゼルガディスさんは身の丈30cmくらいになる。

『いくぞアメリア!…ゼルガディス・グレイワーズ、ユニゾン・イン!』

 

その瞬間、ゼルガディスさんは翠色の光に変わりわたしの胸へと飛び込んできた。

 

するとわたしの髪と瞳の色が翠色に変化し、魔力が一気に増幅された…これがユニゾン?

 

『そうだ。…どうやらうまくいったようだな。』

 

ゼルガディスさんの声が頭の中で響く。…そうか、今わたしはゼルガディスさんとひとつになってるんだ…

 

『さぁいくぞアメリア!この力であの覇王を倒すぞ!』

 

「はい、ゼルガディスさん!」

 

「へぇ…それじゃわたしたちも特訓の成果を見せるとしますか、すずか?!」

 

「うん、アリサちゃん!…見せるよ、わたしたちのユニゾンを!!」

 

そういうとアリサさんとすずかさんはお互い背を向けあって、待機状態に戻したデバイスを重ねる。

 

『『ユニゾンリライズ!!』』

 

眩い光に包まれた2人の姿が消え、再び現れた時にはアリサさんの服は青色に、すずかさんは赤色に変化していた。

 

「へっへーん、これがわたしたちの秘密兵器、ユニゾンリライズよ!」

 

す、凄い!相乗効果なのか魔力が跳ね上がってる!これなら覇王にだって!

 

「ふん、それしきの事で我に勝てると…」

 

勝てるかどうかじゃないわ、絶対に勝つわよ!さぁ覚悟しなさいグラウシェラー、わたしのこの正義の一撃で倒してあげる!




はい、アメリア&ゼルガディスがユニゾン、アリサ&すずかがユニゾンリライズと2つの異なるユニゾンが出揃いました。

果たしてこの闘いの行方はいかに?!

次回「五十三、ぶん殴る 正義の巫女の その拳」

それじゃ次回も見てくんないと…

「燃やされるのと」「凍らされるの」「さぁ、どっち?!」

(BYアリサ&すずか)

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