心配してくれた皆さん、どうもすいませんでした!
NO SIDE
破滅の聖夜から数日、海鳴にいつもの日常が戻った年末のとある日、リナたち関係者は八神家に集まっていた。
SIDE:リナ
あたしたちがはやての家に集まった理由、それはクロノが今回の事後報告がしたいからとの事。
「みんな年末で忙しいところだと思うが、なんとか今年のうちに終わらせておこうと思ってね。…まずは夜天の書だが、詳しくはリインフォース頼む。」
リインフォースは頷くと説明を始めた。
「…夜天の書を闇の書と呼ぶ原因となったバグ…魔王シャブラニグドゥの残滓は君達小さな勇者たちや守護騎士たちの力によって殲滅できた。ただ…」
「ただ?」
あたしが聞き返すと、リインフォースの表情が曇る。
「…一度変質した力はそう簡単には元へは戻らない。再びバグが発生しないとも限らないんだ…幸い騎士システムは独立させる事に成功したから、将やヴィータたちが暴走することはないはずだ。あとは…私がこの世界から消えればそれで…」
…消えるですって?リインフォース、あんたまさか…
「まさか夜天の書を道連れにして自らを消滅させる気じゃないでしょうね?!」
あたしのその言葉に反応したのははやてと騎士たち。
「………?! あかんリインフォース!それだけはあかん!」
「そうだよ、てめえは今までの分まで幸せにならなくちゃいけないんだっ!!」
「…主はやてやヴィータのいうとおりだリインフォース。その選択肢だけは認めるわけにはいかん。」
はやて、ヴィータ、シグナムが説得するが、リインフォースは瞳に大粒の涙を溜めながらも首を振って拒否する。
「…判ってくれ…こんな機会はもう2度と…」
『…あのさ、お取り込み中申し訳ないんだけど…』
何L様?今大事な話を…ってまさかどうにかできるの、この状況?!
『できるっていうか…リナ、あんた大事な事忘れてない?…魔王の残滓を倒したとき、捕まえたアレの事をさ…』
アレ?アレって…あっ!
「はやて、リインフォース!大丈夫、なんとかなりそうよ!」
「えっ?それは一体どういう…」
「ほんまかリナちゃん!お願いや、リインフォースを…わたしの新しい家族を助けたって!」
ふふん、まっかせなさ~い!…っていってもL様頼りなんだけどね。
『…さぁ、出ておいで。』
次の瞬間ナイトメアハートから紫色の光の珠が現れ、姿を変えていく。
「えっ、これって…狐…だよね?」
「…でも毛色が紫色だし、羽根も生えてるよ?」
「可愛い~!!」
そう、そこに現れたのは紫色の羽根の生えた子狐。…これが何なのか、あんたには解るわよねリインフォース?
「…! まさか…ナハトヴァール…なのか?」
「えっ…えぇ~っ?!」
…まぁ、なのはたちが驚くのも無理ないか。あたしだってまさかこんなのは予想してなかったもん。
『そう、これが夜天の書の防衛プログラム、ナハトヴァールだよ。この子がいれば、あんたが暴走することはありえない。それにね…ナハト!』
L様の声でナハトヴァールはまた姿を変え、リインフォースの左手に装着される…これってパイルバンカー?!
『戦いの時にはあんたの身を護る矛になるってわけ。…これであんたも主や騎士たちと暮らせるよ。…ずっとね。』
「ありがとうL様!…よかったなぁ、リインフォース~!これからはずっと側におってな?!」
リインフォースははやてを無言で抱きしめ何度も頷く。
「ありがとうございます金色の王よ…そういえばあの剣をお返ししないと…」
『あの剣って…あぁ、ゴルンノヴァのコピーのこと?いいよ、快気祝いに持ってきな。名前は…主様に決めてもらったら?』
「へっ、わたしが決めるんかいな?!そうやなぁ…、〈ゴルンノヴァ・バルキサス〉ってどうやろ?」
バルキサス?…はやて、あんたまさかそれって…
「わたしが好きなアニメのタイトルや。サブタイトルが極黒の翼やから…あかんかなぁ…?」
…なるほど。リインフォースは「クロハネ」って呼ばれてたからぴったりといえばぴったりか。
「ありがとうございます我が主。たった今よりこの剣の名はゴルンノヴァ・バルキサスとさせていただきます。…これからはナハト共々、力の限り仕えさせていただきます!…なぁ、ナハト?!」
「キュイ♪」
リインフォースも狐の姿に戻ったナハトも嬉しそうだ。
「ただ、はやてはともかくアメリア以外の騎士たちとリインフォースはしばらく管理局の監視下に入ってもらう。生活は今まで通り出来るようにはするから…」
クロノが申し訳なさそうに言うとはやては…
「問題ないわ。いくら過去の事やいうても罪は償わないかん。これからは少しずつでもえぇ、困ってる人たちを助けていこ。みんなもえぇな?!」
「はい!(×4)」
「わたしもお手伝いします!…わたしもヴォルケンリッターの一員ですから!」
「うんうん、ありがとなアメリア…」
アメリアの言葉に涙ぐむはやて。どうやら大丈夫そうね。
「あと、リニス?」
「…はい、覚悟はできています…」
神妙な面持ちで応えるリニス。
「私は覇王グラウシェラーに操られたとはいえ、世界を破滅させる手助けをしていました。罰を受けるのは当然です。」
「そんな!…クロノ、どうにかならないの?!」
「そうだよ!リニスは何も悪くないんだから!」
フェイトとアリシアがクロノに懇願する。
「…君達、話は最後まで聞いてくれないか?確かにリニスは実行犯だが、操られていたんだから仕方ない。…と言うわけだからプレシア女史、貴女の元で保護観察とさせてもらう。いいかな?」
その言葉にテスタロッサ一家に満面の笑みが浮かぶ。
「…えぇ、感謝するわクロノ執務官。」
「やった~!!」
「ありがとうクロノ!…リニス、これでずっと一緒に暮らせるよ!」
「…はい!もうどこにも行きません、ずっと側にいます…。」
フェイト、アリシアとリニスは涙ぐみながら抱き合って喜んでる。
「…なかなかいいところあるじゃない、クロノ?」
「…僕にできるのはこれぐらいだからな。あと覇王グラウシェラーだが、成り済ましていた人物が判明した。…この人だ。」
クロノが映し出したのは初老の男性。グラウシェラーとは似ても似つかない。
「…名前はグラウズ・ストラトス・イングヴァルト。何でも古代ベルカの王家の末裔だそうだ。」
ふ~ん…また古代ベルカか…まぁ、今はほっといても大丈夫でしょ。
『クロノ、話は終わったかしら?』
ホログラフ通信で現れたのはリンディさん。「はい母さ…艦長、今終わったところです。」
『あら、そう?グッドタイミングだったみたいね。…まずは皆さん今回は協力感謝します。おかげで地球は救われたし、私やクロノの無念も晴らせたわ。』
「気にしないでください、あたしたちは自分たちの為にしただけですから。…ねっ、みんな!」
あたしの言葉に一同全員サムズアップ!気持ちは一緒だったみたいね。
『そういってもらえると救われるわ。…で、実はお願いがあるんだけど…』
NO SIDE
事後報告を受けたリナたちはそれぞれの家路へ帰っていた。
そしてリナとなのは、ユーノの3人もまた、帰り道の途中…
SIDE:リナ
ふう、すっかり遅くなっちゃったわね…ん、どうしたのなのは?
「…リンディさんの話、リナちゃんはどうするのかなって。『管理局にお勤めしてみない?』って…」
「…あたしは魔導師つづけるよ。ただ学校はちゃんと高校までは行くつもりだから、それまでは嘱託だけどね。」
あたしの答えになのはは表情を輝かせる。
「リナちゃんも魔導師続けるんだ!…わたしも続けるよ、空を飛び続けたいから…そして伝えたいから、わたしの魔法を!」
そっか…ユーノはどうすんの?
「管理局から無限書庫の司書をしないか?って。ただ僕もしばらくは嘱託で学校に行きつつ海鳴から通うつもりなんだけど。」
…じゃあ当分の間は今のまま、ってことね。
「それに義父さんに剣技で勝てるまでは逃げれないよ…絶対に。」
ん?それってどういう…?
「あ、それじゃリナちゃん、ユーノくん…わたしは帰るね?また明日!」
なのははそういうと自分の家の中に消えた。
「…ユーノ、今のっていったいど…」
あたしはユーノの発言が気になって振り返ると…
チュッ
あたしの唇にユーノの唇が重なってた。
「……………!!!!」
あたしは離れようとした…つもりだったんだけど、意思に反してあたしの両手はユーノの腰にまわってた。
どれくらいの時間…多分数秒の時間がとてつもなく長く感じた。
やがてユーノから唇を離す。
「な、な、な…」
「ごめん、どうしてもキスしたく…」
そう話すユーノの顔は真っ赤だ。でもあたしの顔はそれどころじゃないくらい火照ってる。
「とりあえず帰ったら義父さんにお願いするよ。リナとお付き合いさせてほしいって。」
…まったくこいつは…ガウリイとは方向性は違うけど、あたしを振り回してくれる事は間違いなさそうね…。
「…そうね、あたしも一緒に頼んであげる。その代わり…浮気は絶対に許さないわよ!!」
あたしはそういうとユーノの手を取って家に帰った…。
NO SIDE(語り・リナ)
…こうして、〈破滅の聖夜〉と言われた事件は全て終わったわ。
新たな出会い、そして取り戻せた日常。これからあたしたちは新たな道へと進んでいく。
そう、あたしたちはきっと…!
…あ~なんかこそばゆい…(笑)。
とにもかくにも残るはエピローグとあとがきでA´S編は終わります。
という訳で募集していたあとがきの質問は締め切らせていただきます。
出来る限り紹介するつもりなので楽しみにしてください!
次回「五十九、六年後 それぞれの道 進む時」
それじゃ次回も…
「リリカル、マジカル、がんばります~!」
(BY ユーリ)