A´s編のエピローグ、どうか見てください!
NO SIDE
あの破滅の聖夜からはや6年の月日が流れ、幼かった小さな勇者たちも成長しそれぞれの新たな道を歩もうとしていた…
SIDE:フェイト
「…これでよし…っと。」
学生カバンを支度したわたしは、リビングへと向かう。そこには母さんとアルフ、そしてリニスが食事の支度をしていた。
「おはようフェイト、よく眠れたかしら?」
「おはよーフェイト!」
「朝ごはんの支度はできてますよ。」
「うん、ありがとうリニス。」
わたしはテーブルに座り用意されたトーストを頬張る。
「…早いものね。ついこの間までランドセル背負ってたと思ってたら、もう中学校卒業ですもの。…アリシアに続いてフェイトまでミッドの高校に行っちゃうなんて…」
…アリシアは中学を卒業したあと、保護官の資格をとるためにミッドチルダの高校(全寮制)に進学した。わたしも、上級執務官資格を取得するため同じ学校に通うんだけど…。
「はぁ~っ…ねぇリニス、やっぱり私達もミッドに引っ越さない?!」
「…だめですよプレシア。せっかく開いたお店、ほったらかしにする気ですか?」
…母さんは昨年、リンディさんと共同経営で〈ホビーショップ・T&H〉を開いた。体感型の魔導師シュミレーターを開発したところ爆発的なブームになり、毎日大盛況なんだ。
「そうだよ母さん、わたしも休みには戻ってくるんだし。」
「…わかったわよもう…。その代わり休みの日は…」
解ってるって。お姉ちゃんも一緒に帰ってくるよ。
「…じゃ、また卒業式の会場で。行ってきます。」
わたしはカバンを持つと玄関を出て学校へ向かった。
SIDE:はやて
「…それじゃあ、シャマルとアインスは卒業式の会場でな。シグナムは翠屋のバイト…というか、卒業パーティーの準備しっかり頼むで?!」
「はい!はやてちゃんも答辞しっかりね!」
「主はやてならできます!わたしたちも応援しています!」
「桃子殿と一緒に準備してお待ちしています!」
うんうん、みんなありがとな。…ある時からわたしはリインフォースの事をアインスと呼ぶようになった。その理由は…
「おいで、リイン♪」
「はい、マイスターはやて!」
わたしたちの新しい家族、リインフォースⅡ(ツヴァイ/通称リイン)が産まれたから。
使い魔として生まれ変わったナハトヴァール(結局名前はなはとに)のお陰でアインスの暴走は無くなったけど、その代償としてアインスは融合騎としての機能を失った。
これまで通り夜天の書の制御・管理は出来るけど、戦闘時の魔法制御を行う融合騎は新たに産み出す必要があったんや。
そこでわたしが考えたんは…アインスの妹を創ることやった。そして産まれたんがリインやいうこと。
「リイン、私の分まで主はやての事を頼んだぞ?」
「任せてくださいですお姉ちゃん♪」
「お~っ、可愛いなぁ我が妹は!お姉ちゃんが撫でてやろう♪」
…アインスが残念な人に見えるんは気のせいやろか…うん、気のせいいうことにしとこ(汗)。
「はやて~、そろそろ行かねぇと遅刻するよ?」
ヴィータがやきもきして声をかけてきた。
「お、もうそんな時間か…あれ、そういやアメリアとゼル君は?」
「…あいつらだったら朝早くに出ていったぜ。ゆっくり登校したいんだってさ。」
あ、そうか…アメリアはわたしやヴィータと一緒にミッドチルダの高校に進学するけど、ゼル君はクロノ君に誘われて副官になるんやった。
ということは今日が最後の2人きりの登校ちゅうわけやな。
「ほんならそろそろ行こかヴィータ。リインはデバイスの中に入ってな。」
「おう!」「はいです!」
(…しっかりやるんやで、アメリア!)
SIDE:アメリア
わたしとゼルガディスさんは、学校への通学路である河川敷を歩いていた。…2人きりで。
(うわぁ~っ、緊張して何喋ったらいいのかわかんないよ~!)
この春からわたしとはやてさん、ヴィータちゃんはミッドチルダにある教会系の高校に通うことになった。
はやてさんはわたしたちヴォルケンリッターを指揮する指揮官を目指しているから、色々な知識を得たいということでこの学校を選んだらしい。
ヴィータちゃんとわたしははやてさんの護衛も兼ねている。…残念ながら、ミッドチルダの人々の中には夜天の主であるはやてさんに偏見を持っている人もいる。
あってほしくは無いけど何が起きるかわからない、というわけだ。
一方ゼルガディスさんはクロノさんに誘われて、クロノさんの副官を目指すことになった。
クロノさんは破滅の聖夜の時の功績が認められてアースラの艦長をリンディさんから引き継いだ。
今まではエイミィさんがその役だったんだけど…近々クロノさんとエイミィさんが結婚することになって、「もう1人参謀的な副官が欲しい」と、ゼルガディスさんに白羽の矢がたった、というわけで…。
「…こうして一緒に学校に通うのも今日が最後だな、アメリア?」
「ひゃ、ひゃい?!」
突然ゼルガディスさんが話しかけてきて、わたしは思わず噛んでしまった。
「どうしたんだ?変なやつだな…でも、前の世界では学校なんて行ってなかったから、なかなか新鮮な体験ができたな。」
そうか…ゼルガディスさんはハーフゴーレムだったから人目隠れて暮らしてたんだっけ。
「…学校生活は楽しかったですか、ゼルガディスさん?」
わたしの質問にゼルガディスさんは頷きながらわたしの空いた手をとった。
「…!あ、あのゼルガディスさん…?!」
「…それもお前が側にいてくれたからだ、アメリア…。」
顔を赤らめながらそっと呟くゼルガディスさん。
「…はい、わたしも楽しかった…ゼルガディスさんと一緒だったから…♪」
わたしは握られた手を強く握り返す。
「…アメリア…」
「…ゼルガディスさん…わたし…」
いい感じに盛り上がってきたその時…
「ほ~ほっほっほっほっ!卒業式の会場はどこかしら?!」
…鳴り響いた高笑い、あれはもしかしなくても…
「おいアメリア、今のは…(汗)」
「…ねーさま…はぁっ…」
わたしたちの視線の先には校門の前で胸をそらせて高笑いするグレイシアねーさまの姿…。
大人モードにスーツを着こんでいるんだけど、サイズが微妙に小さいらしくあの大きな胸の谷間がしっかりわかる。
「…やめてねーさま、恥ずかしい~っ?!」
「やれやれ…」
わたしとゼルガディスさんはねーさまを止めるため、全力で駆け出した!
ねーさま、後で覚えてなさいよ…
SIDE:ユーノ
「…というわけで、今から学校へ向かうよ。調べた書類はそっちへ転送しといたから。」
僕はモニター越しに映るクロノとエイミィに話しかけた。
クロノに頼まれた調べものが思いの外時間がかかって終わったのがついさっき。
まぁ仮眠は取ったし、式の途中で寝落ちする事は無いと思う。
「…すまないな、卒業式の前なのに。おかげでなんとかなりそうだ。」
「ありがとうユーノくん!…それはそうと、リナちゃんと何か進展はあった?!」
エイミィの質問に僕は苦笑いする。
「はははっ…まぁそれなりには。ただ、結婚までの道のりは長いですよ…。」
「確かリナちゃんとユーノくんのパパに勝たなきゃいけないんだよねぇ…こりゃ大変だ。」
「…魔法抜きならヴォルケンリッター5人がかりでも勝てないって聞いたぞ。どんなチートなんだ…」
「…まぁ、あのリナの実父だからね。…それじゃ、そろそろ行くよ。」
「転送先は学校の屋上でいい?」
「うん、ありがとうエイミィ。」
「リナたちによろしく言っといてくれ。」
「わかった。それじゃお願いします。」
次の瞬間、僕の身体は転送された。
SIDE:なのは
「それじゃ行ってきまーす!」
わたしは身支度を整え、家族に声をかける。
「車に気をつけるんだぞ、なのは。」
「みんなによろしくね!」
わたしは手を降って答えると玄関をでて、リナちゃんの待つ並木道へ向かう。
リナちゃんはゼロスくんと話があるとかで先に行ってるって。2人きりでって前世がらみかな?
わたしはリナちゃんたちと一緒にミッドチルダにある聖王教会系の高校、St.ヒルデ魔法学院の高等科に通うことになった。
フェイトちゃんやはやてちゃんもそうだけど、リンディさんやその友達のレティ提督からは「管理局に入らない?」って誘われた。けど、わたしたちにはもっと知らなきゃいけない事、学ばなきゃいけない事があると思う。
それにわたしたちの夢…フェイトちゃんは執務官、はやてちゃんは現場指揮官、そしてわたしとリナちゃんは新しい子達にわたしたちの魔法を伝える教導官。
みんなそれぞれ資格は取得したけど、もっとしっかりと地についた仕事を覚えるため、そしてちゃんと次の世代の子に伝えられるように…
「あ、なのは~っ!」
「おはよう、なのはちゃん!」
あっちから歩いて来たのはアリサちゃんとすずかちゃん。
2人は残念ながら家業を継がなくちゃいけないからこっちの学校へ通うことに。
それでも、魔導師は嘱託で続けるって。
「おはようアリサちゃん、すずかちゃん!」
「あれ、リナは?!」
「ん~、ゼロスくんと話があるとかで先に行ってるって。並木道のところで待ってるはずなんだけど。」
「そっか。じゃ行こう。」
そうしてわたしたちはまた歩き始める。…でもゼロスくんの話ってなんなんだろ?
SIDE:リナ
「…それは本当なのゼロス?」
あたしは声を潜めてゼロスに尋ねた。…だってゼロスのいった話はそれぐらい突拍子もない話だったから。
「えぇ、残念ながら。」
「…全然残念そうに聞こえないんだけど…?」
ゼロスは相変わらずの飄々とした感じ。
「僕個人的には楽しみですからね、『中立』の僕としては。」
…こいつの言うことを鵜呑みにはできない。
こいつの言う『中立』とは世間一般でいうところの『どちらの方にもつかない』という意味じゃなく、『はたからおかしく他人事として見物する』という事だから。
「…先程もいった通り、貴女がこの世界に転生したことによりこの世界と平行する様々な世界の壁が揺らいだようです。だから我々のいた世界を含め色々なイレギュラーが起こるかもしれません。…いや~、困ったもんです。」
そんな…って待って…?
「…それって、あんたがあたしを転生させなかったら起きなかったんじゃないの?!」
「…それは言わない約束ですよリナさん…」
ゼロスはそういうとこめかみの辺りをポリポリとかく。
「まぁ、確かに教えてくれた事には感謝するわ。知ってるのと知らないのじゃ大違いだから。」
「それはなによりです。…それじゃ、卒業式の会場で。」
そういうとゼロスの姿が消え去った。…人が見てるかも知れないのにこんなところで魔法使うなよ…
「あっ、いたいた!」
「リナちゃんおはよ~!」
「…あれ、ゼロスくんと一緒じゃなかったの?」
そこに現れたのはなのはとアリサ、すずかの3人。
「おはようみんな。ゼロスだったら先にいったわ。あたしたちも行こっか?」
あたしはそういうと歩き始め、3人もそれに続く。
「今日の卒業パーティー、楽しみ~!」
「今日はうち(翠屋)貸しきりで準備してるから。お母さんも新作のケーキ出すっていってたよ!」
「ほんとに?!それじゃお腹すかせとかないと。」
そうこうしているうちに八神家やフェイトと合流、大人数になる。
「リナちゃん、ユーノくんは?」
「…さっき連絡があったわ。もう学校で待ってるって。」
あたしたちはワイワイいいながら校門をくぐり校舎へ。
…卒業式ではプレシアさんが親バカぶりを発揮したり、ナーガの高笑いで式が一時中断したりとドタバタだった。まぁ、それもあたしたちらしいけど!
その後の卒業パーティーでは桃子さんとシグナムの新作スイーツに舌鼓。…なお、シャマルと美由希さんが作った謎の物体には触れずにいよう。うん、それがいい。
そして、次の日…
あたしとなのは、フェイト、はやて、アメリアの5人はフェイトの家の屋上に集合。目的は…
『卒業早々すまないな、みんな。』
「別にえぇよクロノ君。」
「そうだよ水くさい。わたしたちとクロノの中じゃない。」
「…ゼルガディスさ~ん!」
「にゃはは、アメリアちゃんは何時も元気なの。」
「さぁ、そろそろ行くわよ!」
あたしたちはそれぞれの相棒〈デバイス〉を頭上に掲げる。
…そう、あの日出会った絆は、6年たった今もちゃんと結ばれて…笑顔でいます、元気です!
「いくよ、ジャッジメント・ハウル!」
『ya!』
「バルディッシュ!」
『Yes,Sir!』
「いくでリイン!」
『はいです、マイスターはやて!』
「レイジングハート!」
『行きましょう、なのは!』
「ナイトメアハート!」
『おっしゃあ!』
……………………………
『Standby,ready.』
「「「「「セーット・アーップ!!!!!」」」」」
魔法少女リリカルすれいや~ず! NEXT‐A´s編 おわり
まだまだリリすれは終わらんよ!
(BY タカヒロオー)
これでA´s編は終了しますが、続けてあとがきにて裏話します。
よろしかったら読んでやってください。
ではまたあとがきでお会いしましょう!