今回は珍しくはやての視点オンリーになりました。
うまく書けてるか心配ですが楽しんで戴けると幸いです。
NO SIDE
卒業旅行中に発生した空港火災事件で高町なのは はスバル・ナカジマと出逢い、更に初恋の少年・響良牙と再会する。
またフェイト・テスタロッサはギンガ・ナカジマ、逢魔リナはノーヴェ・ナカジマと出逢い、新たな運命の扉が開かれた。
そして八神はやて、彼女もまた新たな出逢いを迎えようとしていた…。
SIDE:はやて
「…そうか、救助できたんは何よりや。それじゃ次は北のブロックや…疲れとるとは思うけど、もう少しやから頼んだで皆!」
『了解!(×4)』
…ふぅ、救助の方は順調なようやな。あとは消火の方やけど…
「マイスターはやて、指揮官の方が到着されました!」
「…遅れて済まない。時空管理局・陸上警備隊第108部隊長ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐だ。お前さんが指揮を…」
「お疲れ様です!…指揮官候補生、八神はやてです。嘱託の身ですが一応一等空尉です。」
わたしとナカジマ三佐は形式上の挨拶をする。…さて、本題はここからや。
「すいませんナカジマ三佐、指揮を引き継いで貰ってもよろしいでしょうか?」
わたしは胸元からシュベルトクロイツを取り出しながらナカジマ三佐と話す。
「?…別にかまわないが…そうか、お前さんも魔導師か…。」
「はい、広域型なんです。…上空で消火の手伝いを。」
「そうか、…わかった、こっちは任せて行ってきな。」
話が分かる人で助かるわ~。って、ちょっと待った!
「ナカジマ三佐つかぬこと聞きますけど、もしかしてこちらにお嬢さんたちがいらしてませんか?」
「あ、あぁ確かに3人こっちに遊びにくる予定になっていたが…まさかっ?!」
やっぱりな…
「ナカジマ三佐、心配ありません。お嬢さんたちはわたしの親友の魔導師の皆が救助してくれましたから。」
わたしの言葉にナカジマ三佐は安堵の表情を見せた。
「…感謝する。連絡がとれないから心配していたんだ…」
確認とっといてよかったわ。心配事あったら指揮に差し支えるからな。
「…リイン、あんたはナカジマ三佐と一緒に情報整理。それが終わったら空でわたしと合流や…わかった?」
「はいですっ!」
…うん、いい返事や。リインの返事にわたしは頷くと、バリアジャケットを身に纏う。
「それじゃ行ってきます!」
わたしはすずかちゃんやアメリアが待つ空の上に向かった。
「あ、はやてちゃん!…指揮の方は大丈夫なの?」
上空に着くとそこにはすずかちゃんの姿。アメリアの姿が見えへんけど…。
「ん、大丈夫や。指揮官さんが来てくれたさかいな。…それよりアメリアは?」
「さっきヴィータちゃんから連絡が入って、救助の手助けに行ってるの。…なんでも小さい子を連れたお母さんだって。」
『…こちらアメリア!救助要請のあった親子を発見、無事保護しましたっ!お母さんのお名前はイオタ・ミナルディさん、お子さんはミウラちゃんということです!』
どうやら無事やったみたいやね。
「ご苦労様やなアメリア。ベースキャンプまでちゃんとお連れするんやで?」
『あっ、はやてさん!…はいっ、任せてください!それではあとで!』
アメリアがそういうと通信が切れた。
さて、それじゃ本格的に消火しよか?…すずかちゃん、凍結魔法で凍らせてまうで?
「うん、はやてちゃん!」
さぁ、頑張って旅行の続きせなあかんからな。はよ終わらすで!
わたしとすずかちゃんは上空で魔方陣を展開、広域凍結魔法の準備を始める。
「八神一尉、救助者はいません、お願いします!」
よっしゃ、いくでぇ!
『…永久の氷嵐、エターナルブリザード!』
先にすずかちゃんの凍結魔法…相変わらず制御バッチリやね。それに引き換え…
『…仄白き雪の王 銀の翼以て 眼下の大地を白銀に染めよ…』
わたしの詠唱とともに、周囲に発生した4個のスフィアに魔力があつまっていくんやけど…どーもリインがおらんと安定せえへん。…ここら辺がこれからの課題やね。
『…来よ、氷結の息吹!…〈アーテム・デス・アイセス〉!』
わたしが解き放った氷結魔法は辺りを捲き込みながら燃え盛る空港を炎ごと凍てつかせていく…んやけどな…
「こ、これがオーバーSの魔導師の力…すごいっ!」
…いや、褒めてくれるんは嬉しいんやけどな…いかんせん効かんねん、コントロールが…
ほら、周りの消火隊員の人の服も凍てついてる…。
「みんなごめんなぁ?!わたし融合騎のリインがおらんとどうも上手く制御できへんねん。」
「い、いえ…引き続き他のブロックもお願いできますか?」
「了解しました、継続して消火か…」
『…遅れてすまないっ?!』
割り込んで入った通信に振り向くと、首都クラガナンの方から大人数の魔導師たちがこちらを向いて飛んできた。
やれやれ、やっとご到着かいな?…ちょっと遅すぎへんか?
『現地の隊員諸君と協力してくれたエースたちに感謝する。…後は我々に任せてもらおう!』
…なっ?!救助も消火もあらかた目処が立ってから来て美味しいとこ取りかいな?でも…
『…こちら現場指揮官のゲンヤ・ナカジマ三等陸佐だ。八神一尉とその仲間は継続して任務に当たってくれ。初動が遅すぎるせいで嬢ちゃんたちには迷惑かけたな、勘弁してくれ。』
ナカジマ三佐?!…そんな、三佐が謝る必要なんて…
「…了解しました、引き続き協力を続けますので指示をお願いします!…ふぅ…。」
わたしは通信を切ると思いに耽る。
(…やっぱりこのままじゃあかん!なんとかせな、なんとか…)
わたしは暫し考え、ある決意を抱く。
(…よし、とりあえず明日相談してみよ。)
…幸い、程無く火災は修まり被害は最小限に抑える事ができた。そして次の日の朝…
『…昨日起きました大規模な空港火災は、管理局の懸命な消火活動とエース級の魔導師の協力もあり無事沈静化、管理局は本日より現場を検証し原因を究明…』
プツッ!
わたしはニュースが流れていたテレビの電源を切ると、リモコンをベッドの上に放り投げた。
…ここは宿泊先のホテルの一室。わたしたちは救助が一段落したあと、部屋に戻った。
ちなみにわたしはリナちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃんと同室。キングサイズのベッドに4人で寝てる。
「ん~っ、やっぱりなぁ…」
「…どうしたのはやてちゃん、浮かない顔して…」
声に振り向くとなのはちゃんたちが目を覚ましてこっちを見てた…ごめん、起こしてもうた?
「…別に起きたとこだったからいいわよ。それより『何が』やっぱりなの、はやて?」
「…今回の空港火災、実際に活躍したんは現地の救助隊とわたしらやんか。なのにテレビではさも管理局が活躍したかのように報道されてるのがなぁ…」
わたしは身体を伸ばしながらぼやいてみる。
「…別にいいんじゃない?怪我人はともかく、あの規模の火災で死者0は奇跡だよ?」
…うん、フェイトちゃんのいうのも分かる。けど…わたしは意を決して訪ねる。
「…なぁ、皆聞いてくれるか?…わたしな、やっぱり自分の部隊が持ちたいんや。」
「自分の部隊?」
「うん…今みたいにフリーでやっとったんじゃ、都合のいいように使われるんが目に見えとるし、わたし自身一個も前に進んだ気がせえへん。」
わたしの弁をリナちゃんたちは真剣な表情で聞いてくれてる。
「だからわたしは自分たちの部隊が作りたい。…でな、もし叶うならみんなにも力を貸してほしいんよ…」
わたしのお願いにみんなきょとんとしてる…
「…あ、もちろんみんなにも都合があるのは…」
「なに言ってんのよはやて、水臭いなぁ…?!」
えっ、リナちゃん?
「そうだよはやてちゃん。…わたしたちもう6年も友達なんだから、遠慮なんてしちゃだめだよ。」
なのはちゃん…。
「第一、そんな楽しそうな部隊に呼んでくれなかったらそれこそ絶交だよ…ね、なのは、リナ?」
「「うん!!」」
フェイトちゃんまで…わたしはほんま幸せ者やわ、こんな素敵な親友たちに恵まれたんやから…
「…ぐすっ…ありがとなみんな。でもそのためにも、この旅行がおわったら学校でガンガン青春するでぇ!」
よっしゃー、燃えてきたでぇ~っ!
「でもそれより先に旅行でしょ?…昨日遅かったからもうお昼前なんだけど…どこ行く?」
リナちゃんの提案に手を挙げたのは…なのはちゃん。なんだか顔が赤いんやけど…どないしたん?
「あ、あのぅ…わたし、みんなに紹介したい人がいるんだけど…いいかなぁ?」
ふ~ん、紹介したい人がねぇ………ってなんやてぇ?!
「ち、ちょっと待ってんか…紹介したい人って…男の人か?」
「?…うん、そうだよっ!(デレッ)」
…なんやこの可愛い生物はぁ~っ!
「実は昨日の救助中に、再会した人が…10年振りに出会った初恋の人だったの!それでお昼にこのホテルのロビーに送って貰えるようにお願いしてたからそろそろ…」
トゥルルル…♪
その時、ルームサービスのベルがなる。
『高町なのは様、お連れの方がロビーでお待ちです。』
「わかりました、すぐ行きます…わ~っ、来ちゃったよ…ど、どうしたら…」
お、落ち着き、なのはちゃん?…でもこれは見物やな、天下のエース・オブ・エースの初恋の人…
「「「見たいっ、見るしかないっ!!」」」
そうと決まれば皆、身支度を済ましてロビーに集合や!…リインはアメリアたちに連絡!
『任せるですっ!』
ふっふっふっ…これは面白くなってきたでぇ!
…いよいよあの男のあれこれが語られそして…女性陣に(なのは共々)弄られます。(笑)
それでは次回、「はいすくうる〈4〉 異界の迷い子」
次回も見てくんないと…
「ロビーに来れないかもあの人…(笑)」
「そんなっ?!」
(BY 作者&なのは)