ただ、物語を続ける上で語らなければいけないエピソードだとは思っているのでご了承ください。
SIDE:なのは
「え~、であるからして、諸君たちにはぁ~…」
…どうして何処の世界でも校長先生の話ってこんなに長いんだろ…
バタン!
あ、また1人倒れた。これで3人目だよ?
「…まったく…いくら集中力を測るためっていっても…ねぇ?!」
…それホントなのリナちゃん?そんなの聞いたこと無いよっ?!
「ん~っ、前世で教わってた先生にそれ言ったら『解釈が歪んでる』とは言われたけど苦笑いして否定はしなかったけどね?!」
…マジですか…そんなこんなで入学式も無事?に終わり、わたしたちは教室に移動する。
この学校は本来エスカレーター式だから、高等部からでしかも地球出身のわたしたちは同じクラスの1年A組。
「や~、アリサちゃんとすずかちゃんはおらんけどなんか中学までとそんなに違わん感じやなぁ…」
はやてちゃんが言うのも分かる気がする。感覚的にはそのまま中学の延長って感じ…だけど、ここは魔法の国ミッドチルダ。
「それでここはst.ヒルデ魔法学院高等部…わたしたちは専門的に魔法を学ぶためにここに来たんだ…わたしたちの夢のために。」
…説明ありがとフェイトちゃん♪
そう、わたしとリナちゃん、ヴィータちゃん、アメリアちゃんは教導官。フェイトちゃんは犯罪者を追って捜査する執務官。はやてちゃんは部隊を指揮する司令官。
ユーノくん、ゼロスくんも同じクラスって…なんか闇権力働いた?!
「多分騎士カリムあたりが手ぇ廻したんちゃうかな…結局良牙くんも無事編入できたんも含めて。」
…カリムさんは聖王教会の騎士で古代ベルカ繋がりもあってはやてちゃんと仲がいい。この学校も聖王教会の系列校だから…あるかも。
そうこうしているうちに担任の先生が…ってあれ?(ゴシゴシ)…な、なんであなたが先生なの~っ?!
「ア、アインス…なんであんたが此処におるんや?」
…そう、わたしたちの目の前…教壇に立ったのははやてちゃんの夜天の書の管制人格にして今は大事な家族でもあるアインスさん。
「…わたしがこのクラスの担任の八神リインフォース・アインスだ。アインスと呼んでくれ。…それじゃ順番に自己紹介だ。そっちの彼女から頼む。」
アインスさんは自ら名乗って自己紹介を促す。順番に進み、わたしたちの番に。
「…地球から編入してきました、高町なのはです。よろしくお願いします!」
わたしが自己紹介すると廻りがざわめく。さらに…
「フェイト・テスタロッサです。…よろしく。」
フェイトちゃんが名乗るとまたざわめきが。
(…おい、高町ってあの『時空管理局のエース・オブ・エース』って言われてる高町なのは?…嘘だろっ?!)
(…それにテスタロッサって『黒き雷神』?なんでそんな有名人が…?)
…ひそひそと話してても驚きは隠せてないみたいなの。
わたしもフェイトちゃんもこの数年でこちらでの知名度も上がり、さっき言われたような異名…もついてきてる。
でもわたしやフェイトちゃんで驚いてたら身が持たないよ…多分。
「八神アメリアですっ!皆さんよろしくお願いします!」
「…八神ヴィータだ。まぁよろしく頼まぁ。」
「…ヴィータ、もうちょいお行儀よくな。…あ、ごめんなぁ。地球から編入してきた八神はやてです。…名字でわかったかもしれんけど、アメリアとヴィータ、そんで担任のアインス先生はわたしの家族です、皆仲良うしてな?!」
はやてちゃんたち八神家が名乗ったとたんざわめきが大きくなる。
(…八神って…あの夜天の書の主…マジかよっ?!)
(…と言うことは他の2人は守護騎士…もしかして先生も?)
…しっかりバレちゃってるね、うん。〈夜天の書〉のネームバリューは伊達じゃない。
そして最後に控えるのはもちろん…
「…逢魔リナ、地球からの編入組よ。ま、よろしくね。」
……………
………
…
「…管理局の〈強盗殺し/ロバーズ・キラー〉?!」
「…いや、〈生きとし生けるものの天敵〉だろっ?」
「…おぃ、ちょっとまて…。」
「俺が聞いたのは〈口から怪光線を出す〉とか〈額から触覚が伸びて周囲の害虫を補食する〉とか…」
「…だから待てと…」
…それ以上は言わないほうがいいと思うの。でないと…。
「いやいや、逢魔リナといえばあれだろ、〈魔王の食べの…〉」
『…よっぽどぶっ飛ばされたいみたいね、あんたら…(-_-#)』
「わ~っ、リナちゃん、教室で竜破斬はダメなのっ?!…レイジングハート、〈レストリストロック〉っ!」
わたしは咄嗟にバインドを発動してリナちゃんの動きを止める。
『…大丈夫だよなのは、竜破斬はあたしのアシストがないと撃てないから。』
L様…!
『…ま、精霊呪文はその限りじゃないけど。』
えっ…(汗)。
『〈氷の矢/フリーズ・アロー〉っ!!』
リナちゃんのカオス・ワーズに応えるように無数の氷の矢が現れ、陰口をたたいた男子生徒たちを襲う。…危ないっ?!
「…少々短気じゃないですか、リナさん?」
バシュッ!
…でも、氷の矢は彼らの前でかき消える。前に立ちはだかったのは…ゼロスくんだった。
「…いちいちそんな戯言に切れてたら3年間もちませんよ♪…今日のところは僕に免じて退いて頂けませんか?」
いつも通り飄々とした態度のゼロスくん。…でも彼の正体は高位の魔族。本気になったらリナちゃんでもL様の力を借りても勝てるかどうか…
「…わかったわよ。ただし今度言ったら…」
『ひぃぃぃっ?!もういいませぇん?!』
やれやれ、なんとか事なき?を得たの。…ありがとね、ゼロスくん♪
「いえいえ、これくらいお安いご用ですよ、なのはさん。」
…でも、まだ一波乱ありそうな気がするなぁ…気のせいであってほしいけど。
…その後ろから一人の少女が憎々し気にその様子を眺めていた。この後…少女は挑まなくていい〈最凶〉に挑み、最低な初日を送る事になる…。
SIDE:ククリ
キィィィーッ?!なんなんですの、あの子たちはっ?
わたくしの名前はククリ・ブラックローゼ。古代ベルカより伝わる貴族、ブラックローゼ家の長女。
わたくしはこのst.ヒルデの初等部・中等部と主席で卒業、この高等部でも庶民の憧れの的になるはずでしたわ!
…なのに、なのに…あの地球とかいう管理外世界から来た田舎者の連中が入学試験の上位を独占、わたくしはトップ5にすら入れなかった…。
…そんな事あり得ませんわっ!!絶対に不正を働いたに違いない…殿方2人はまぁ…そこそこ美形ですし、わたくしの僕として侍らせてあげてもよろしいけれど…
あとの小娘6人は決して赦せませんわ。なにがエース・オブ・エース、なにが夜天の主よ?!…そんなの自分たちで拡散したに決まってますわ!
…もっとも、そのうちの1人には付け入る隙を見つけましたわ…〈夜天の主〉八神はやて…まずは貴女をこの学院に居られなくして差し上げますわ!
ホーホッホッホッホッ!
NO SIDE
こうしてダメダメお嬢様が高笑いしている頃、リナたち編入組はアインスを交えて説明を受けながらの昼食会。…というよりは…
SIDE:リナ
「…さて、説明してもらおか、アインス?」
…はやて、怒ったというよりは吃驚したのが先みたいね。…でもほんとになんで先生に?
「すいません我が主!…実は騎士カリムから、『主はやてを含めて編入組のお目付け役』を頼まれまして…幸い担当科目は『古代ベルカ史』との事だったので…。」
しどろもどろになりながらも必死に説明するアインス。…なるほど、古代ベルカ史に関しては生き字引レベルだからね、アインスは。
「だからってなんで内緒なん?!教えとってくれたっ…て?!」
その時はやても、そしてあたしたちも気づいた。…アリシアとヴィータ、そしてリインの表情が吹き出しそうになってることに…。
「ぷっ…上手くいきましたねヴィータさん…はははっ!!」
「ぎゃははっ、はやてのあのときの顔…リイン、ちゃんと記録したかっ?!」
「バッチリです、アメリアさん、ヴィータさん!完璧です…よぉーっ?!」
勝ち誇るリインの頭を持ち上げ、更にアメリアとヴィータをバインドで拘束したのは…もちろんはやて。
「…あんたらも知っとったんかい?!どうやらお仕置きが必要みたいやね…。」
そういうはやての瞳からハイライトが消えてる…駄目だ、これヤバいパターンだわ…。
「あ~ら、田舎者が雁首揃えて何を話していらっしゃるのかしら?」
その時後ろからした不快な声にあたしたちは振り向く。
そこには数人の生徒を侍らせた高飛車な女が薄い笑みを浮かべていた。
「…先ほど自己紹介は致しましたけど改めて…わたくし、ククリ・ブラックローゼと申します。以後お見知り置き…して頂く気はありませんけど。…ねぇ、〈犯罪者〉の八神はやてさん?!」
………なっ?!
ククリの一言にはやての顔が凍りついたように青くなり、代わりに周りのなのはやフェイト…何より夜天の騎士たちの表情に怒りの感情が浮かぶ。
当たり前だ、目の前で親友を、そして家族を蔑まされたのだから。
「おぉ、怖い怖い。流石犯罪者のお友達とご家族だわ、凄い迫力…?!」
そう言ってわざとらしく怯えた表情をするククリ。間違いない、コイツはやてを…馬鹿にしてるっ?
「てめぇ…」
「よくもはやてさんを…」
「貴様…我が主を…」
今にも殴りかかりそうなヴィータ、アメリア、そしてアインス。しかしククリは更なる追い討ちをかけてきた。
「あら?そちらの2人はともかく、担任教師が『我が主』って…えこひいきはいけませんわよ、『夜天の書の管制人格』さん?」
「くっ…」
言い返せないアインスの瞳に涙が浮かぶ。
…ピキピキッ…
…ダメだ、もう無理っ!
『我慢しなくていいよリナ。あとはなんとかしてあげるからっ!』
L様のその一言を聞いた瞬間…あたしの中で何かが…切れた。
NO SIDE
プツン
「えっ?今の音…まさか?!」
その音に最初に反応したのは、なのはだった。何故ならその音を唯一聞いたことがあったから。
「…ダメだよリナちゃん、それだけはっ?!」
悲痛な叫びをあげて振り向くとそこにいたのは…
「大丈夫だよなのは、今はちゃんとあたしだから。」
そこにいたのは、暴走ではなく金色モードに〈覚醒〉したリナだった。
「リナ…ちゃん…。」
リナは懐から何かを取りだしククリの顔面に投げつけた。それは…
「ス、スリッパ?!」
「…決闘の申し込みよ。あんたエセ貴族だからそれで十分でしょ?」
「わ、わたくしの事を愚弄する気?!」
「冗談はほどほどにしてくれる?…あたしの親友を先に小馬鹿にしたのはアンタでしょーが。…心配はしなくていいわよ、9割殺しで勘弁したげるから。」
「…くっ、地球の田舎者が調子に乗って…後悔しないことねっ?!」
「…アンタは2つミスを犯した…あたしの親友と家族を泣かせたこと、そして…あたしとL様…2人の魔王を本気で怒らせたことよっ!」
…今ここに、魔王と愚者の戦いが始まろーとしていた…。
…いかがだったでしょうか?
この話にご意見、ご批判のある方はできればメッセージの方へお願いします。感想欄はあくまで感想に留めたいので…
次回「はいすくうる〈8〉リナ激昂、愚者の末路」
ククリは徹底的に更正させるつもりなのでよろしくお願いします。